パナソニックのオリンピック推進室メンバーは12名程度だ。しかし、実際に北京オリンピックに関わるパナソニックのスタッフは、総勢500~600名にものぼる。パナソニックチャイナ(有)北京オリンピック推進室の林卓一は語る。「世界中の言葉や習慣の違う人たちが集まって創りあげるスポーツの祭典。その栄えある場で、私たちパナソニックが、感動を分かち合う橋渡しの役割を担えれば、これほど嬉しいことはありません。本番まであと4ヶ月ちょっと。今後もスタッフ一丸となって準備を進めていきたいと思います」
ゼロから築き上げた5年越しの計画
1988年からおよそ20年近くにわたり、オリンピックにおける最高レベルのスポンサーであるTOP(The Olympic Partner)の一員として、歴代大会を支えてきたパナソニック。今年の北京大会に向けた準備も、すでに4年前のアテネオリンピックの時期からスタートしている。そういった意味では、北京オリンピックの仕事は、5年越しという息の長い事業計画だと言える。開催の前年から、北京の街ではますますオリンピックムードが盛り上がり、数々の事前イベントが開催された。
パナソニックがこれまでにお手伝いしたその代表例として、2007年8月8日に天安門広場でおこなわれた、“開幕1年前カウントダウン式典”が挙げられる。1年後に予定されている開会式と同日同時刻の午後8時、上空を彩る約500発の花火とともにショーがスタート。当社の約580インチ(高さ8.1m×幅12.3m)の大型アストロビジョンが映し出し、集まった大観衆を大いに沸かせた。そこに集まった人々の心をひとつにするのを目の当たりにして、パナソニックのスタッフ全員が「本当に自分たちがオリンピックを支えていくんだ」と強く実感し、チームとしての絆を一段と強めた夜となった。
必然でもあった北京大会へのサポート
創業者が1979年(昭和54年)に訪中して以来、30年近くのお付き合いとなる中国とパナソニック。北京に進出した最初の外資企業としてのイメージも強く、今も政府には、パナソニックを「古き良き友人」と呼ぶ人もいる。今、日々の仕事でスムーズに連携が取れているのも、これまでの信頼関係があったからこそ。それだけに、北京オリンピック推進室の責任は重大であった。ミッションを成功させるには、関わる人たちがまとまることが必要だ。林は言う。「私も毎日、中国語・英語・日本語を使い分けて多くの関係者とやり取りをしていますが、多様な人種で構成されたチームがひとつにまとまるために不可欠なのが、一人ひとりとの細かな『コミュニケーション』。私自身、常にその核となることを意識して、日々取り組んでいます」