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オリンピック大会の舞台裏

オリンピック大会の舞台裏 観客のスマートフォンを
サブスクリーンに
「マルチ動画配信システム」

写真:マルチ動画配信システムの編集室で作業を行う人々
顔写真:パナソニック株式会社 村林 紘行

村林 紘行
パナソニック株式会社
東京オリンピック・パラリンピック推進本部 スポーツ事業推進部 アライアンス推進課

顔写真:パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社 小嶋 健嗣

小嶋 健嗣
パナソニック インフォメーションシステムズ株式会社
エンタープライズソリューション事業部

顔写真:国際オリンピック委員会(IOC) John Paul Giancarlo

John Paul Giancarlo
国際オリンピック委員会(IOC)
テクノロジーリーダー

オリンピックの競技場では、大型スクリーンや音響などにより、競技観戦をより楽しめるよう工夫がこらされる。平昌2018大会では、会場の大型スクリーンに映し出される映像だけでなく、もっと観客が見たいシーン、知りたい情報を会場内のスマホ・タブレットに向けて配信するマルチ動画配信システムがオリンピックで初めて導入された。観客が持っている自分の情報端末を、会場の大型スクリーンのサブスクリーンにするという、パナソニックによる新たな観戦スタイルの提案だ。

スポーツ観戦環境を変える新ソリューション

パナソニックは、オリンピックのすべての競技会場に、大型映像表示装置やプロジェクター、システムディスプレイなどの映像関連機器を納入している。会場で繰り広げられる熱戦を画面でクローズアップし、さまざまな関連情報を提供することで、会場内のすべての観客は、張り詰める緊迫感を共有し、選手の躍動をより熱く感じることができる。 しかし、スポーツコンテンツに関する情報源が拡大を続ける現在、オリンピックという最高峰のスポーツを楽しみたい観客のニーズも多様化している。パナソニックでスポーツをテーマとした新規事業開発を担当する村林紘行は語る。

「会場には多くの大型のスクリーンを配置していますが、どうしても見えにくい場所もあります。また、自分の好きなように巻き戻しやズームして見たい、という観客の方もおられます。このマルチ動画配信システムでは、観客のスマホやタブレットなどの情報端末をサブスクリーンとして利用いただくことができ、観戦環境が大きく改善できます。オリンピック・パラリンピック観戦のための新しいソリューションです。」

様々なスポーツでのノウハウを積んでオリンピックへ納入

マルチ動画配信システムでは、専用のアプリから会場内のWi-Fi アクセスポイントを経由してコンテンツが配信される。ライブ映像を自分の好きなアングルから見たり、リプレイやスロー再生、ズームなども可能だ。さらに動画だけでなく、競技解説などの音声コンテンツも配信できるため、配信するコンテンツを工夫することで観戦の楽しみが広がる。パナソニックの村林は、これまで日本国内のさまざまなイベントで得た実績に手応えがあった。

「ラグビーやアイスホッケー、マラソンなどで好評をいただいています。1月には東京都主催の"BEYOND STADIUM"というパラスポーツの応援イベントに採用を頂いて、イベントで行われたブラインドサッカーでは普通ではフェンスがあって見づらい壁際の攻防が見られると好評でした。また、動画配信だけではなく競技解説の音声配信を行い、オリンピックやパラリンピックのように、初めて見る競技でも音声の解説ができるという点で、非常に有効なソリューションだと評価を頂けたと思います。」

東京2020大会には、もっとイノベーティブな取り組みを

平昌2018大会では、一部の競技会場で試験的に導入されたマルチ動画配信システムだが、競技の特性や会場によって、別アングル動画や音声コンテンツなどの効果的な運用の可能性はさまざまに広がる。IOCの技術担当者 John Paul Giancarlo は次の東京2020大会での運用に期待する。
「このマルチ動画配信システムはとても面白いコンセプトで、特にイベント全体が見られないような競技において観戦環境をよりよくできると期待しています。東京2020大会で、パナソニックのマルチ動画配信システムをどのように全体的な競技プレゼンテーションに取り入れることができるか検討しているところです。」

マルチ動画配信システムは、エンターテインメントやファッションショー、教育や医療などスポーツ以外の領域でも活躍できるソリューションだ。パナソニック インフォメーションシステムズの小嶋健嗣は今後の展開に思いを馳せる。
「このソリューションは、これから大きく発展できる可能性を持っています。オリンピックの組織委員会でも、東京オリンピックはイノベーティブな大会にしたいという意向です。パナソニックも、このマルチ動画配信システムのようなスマホベースのアプリなどのソリューションへの新しい取り組みをもっとやっていきたいと考えています。それには、ベンチャーとの協業などにより新しい技術を取り入れたり、スピードアップしてチャレンジしていきたいと思っています。」