長崎

平成4年、観光立県長崎へ希望の鐘が鳴る。

「日本は今まで工業立国、農業立国と申しておりますが、私は観光日本として、観光立国を徹底しなければならないと思うのであります」――東京オリンピックを3年後に控えた昭和36年、創業者松下幸之助は、観光協会の方々を前に、こう切り出しました。さらに続けます。「政府の大体の方針は、昭和38年には35万人ぐらいの外国人が日本に来るだろう。そして2億ドルぐらいの金が落ちるだろう。こう予想を立てております。しかし35万人、2億ドルは少なすぎると思います。徹底的に、積極的に、観光事業に徹していただいて、いろいろ不利な面が出てまいりまして弱体化している一般産業界を、観光事業によってカバーして、そして幸いにして続けてまいりました日本の繁栄をくつがえさないように、特に皆さんにお願い申し上げたいと思います」。

その後、昭和62年、開発企業や自治体が税制面で優遇を受けられるリゾート法が施行。いよいよ、日本にレジャー産業時代が幕を開けます。その時流に乗って、平成4年、アジアの観光拠点となるべく、長崎大村湾に面した佐世保市にオランダの街並を再現したテーマパーク「ハウステンボス」が誕生。パナソニックは、その7割に及ぶ照明や空調設備、CATV設備を納入。さらに3つのアミューズメント施設で、映像や音響技術を駆使した企画演出をプロデュースしました。大カロヨン(組鐘)の演奏は、多くの来場者で賑わう場内に鳴り響きました。現在は、ハウステンボスの集客の目玉となる新施設、宮殿に美しい映像を映し出す3Dプロジェクションマッピングの感動をデジタル映像技術で支えています。

2020年に向け、今、日本は観光立国を掲げ、年間4000万人の外国人旅行者獲得をめざしています。半世紀以上も前に、松下幸之助が世に投げかけた「観光立国構想」は、ようやく実を結ぼうとしています。

大正7年の創業以来、私たちがここまで歩んでこられたことは、長崎のみなさまをはじめとする、たくさんの方々のご愛顧とご信頼の賜物と心より感謝申し上げます。これからも変わらぬご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

おかげさまで、パナソニックは創業100周年を迎えました。