海外助成 2022年募集事業 選考委員長総評

応募

長引く戦争、武力による政変、国による政策の失敗、これらに伴う経済的疲弊。世界で苦しんでいる多くの人々に、NPO/NGOは日々、最大限の力を尽くし活動を継続しています。
この国際協力活動と並行して、今年度は28団体から応募がなされました(昨年24)。新規申請は関東15・関西2・九州3の20件(昨年同数)。また、既に助成を受けている8の団体(関東3・中部1・関西2・九州2)からは継続申請が出されました。

選考

年々選考は難しさを増しますが、まずは最初の資格審査で、新規申請から3件が資格外となり、選考対象は25件になりました。選考対象団体の活動拠点はアジア37、アフリカ18の合計55ヶ所です。
漏れ抜けない視点で行った委員それぞれの書類選考結果を持ち寄り、10月初旬に東京日比谷で、選考委員会が開かれました。今年は例年にも増して難しい判断となり、選考会での慎重かつ限りを尽くした議論の結果、8団体が次のヒアリングに進み、選考委員会で出された疑問点を中心に、事務局の担当者による聴き取りが行われました。

成果

念入りに行われたヒアリング後間もなくの11月上旬、申請団体からの回答を選考委員長が確認する、最終決裁の場が設けられ、助成目的である社会の貧困削減によりつながるであろう組織として、新規5件(診断3・強化2)・継続2件の7団体が助成対象として決定しました。助成総額は1,100万円と、ここ5年で最も少額に留まりました。
類題に対して次のような多様な診断・基盤強化策が採択されました。体験型支援を意識した資金調達の実施、組織内の交流をより活況にした事業創造、ボランティアをより活用出来る制度設計、事業継承の計画作りとその実施。次に、診断を行う組織が特にフォーカスする点としては、組織・財務・制度の課題抽出、他団体も調査をした上でのベストプラクティスの決定と計画作成、組織の勤続疲労分析で、いずれも将来の組織基盤強化につながる診断内容でした。

契合

快活な組織は、二人以上の人による意識的に調整された行動システムです。メンバーは互いにコミュニケーションを取りながら、共通の目的に到達するために、それぞれが貢献します。組織の目的は何か、一人ひとりのメンバーは目的達成の為に何に貢献しているのか、互いのコミュニケーションは取れているのか。そんな組織の基本から、じっくりと組織診断されることが、その後の基盤強化につながります。そして基盤強化に必要なことは何か、ヒトとカネの補強は多くの組織が課題としていることです。ただしそれはどれほどなのか、どの方向に向けて強化すべきなのか。到達すべき量と質を明確にした計画の基、基盤強化を実施されるのが良いでしょう。変化の速度が増しますと、どうしても日々が多用になります。我々の組織の到達点はどこなのか、今一度しっかりと共有することで、地に足がついた組織基盤強化が実現出来ます。
多分に、困っている人たちを目の当たりにしますと、あれもこれもして差し上げたい、そう思うのが人の心かもしれません。しかし支援者側が天手古舞いでは、良い支援もなかなかできないものです。何を何処までできるのか、それを見極める診断、そして不足している力を付ける基盤強化。社会を豊かにするために、支援制度をうまく活用していただければと思います。

海外助成 選考委員長
中山 雅之

<選考委員>

★選考委員長

中山 雅之

国士舘大学大学院 グローバルアジア研究科 教授 ★

井川 定一

開発・人道支援コンサルタント

坂口 和隆

認定特定非営利活動法人 シャプラニール=市民による海外協力の会
代表理事

米良 彰子

認定特定非営利活動法人 メドゥサン・デュ・モンド ジャポン
事務局長

福田 里香

パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社
企業市民活動推進部 部長