はじめに
パナソニックグループの創業者である松下幸之助さんは、企業の社会的使命として「生産者の使命は、この社会から『貧困』をなくしていくこと」と語られた、と伺いました。パナソニックグループは、創業以来、事業活動のみならず、企業市民活動を通じても社会課題の解決のために貢献を続けられています。
自社の利益や従業員の幸福を追求するだけではなく、世界中の人々の幸せを願って尽力されているパナソニックグループの企業理念が「Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs」助成事業の屋台骨を支えていると実感しています。
この助成事業は、パナソニックグループがこうした崇高な理念の下、グローバルな「リーディング・カンパニー」であるように、助成を受けた団体が「リーディング・NPO」としてさらに発展することが求められているのではないか。
私は、2018年から選考委員を務めさせていただき、そのような実感を深めてきました。
助成対象団体は、団体の組織基盤強化を進めることで自団体の発展のみならず、同じ分野で活動する全国各地の団体や活動する地域の幅広い分野の団体など、縦にも横にも大きな影響を与える「リーディング・NPO」にさらに成長してほしい。そうした熱意と覚悟やこれまでの実績などを兼ね備えている団体こそが助成対象団体にふさわしいのではないかと思います。
今回、応募いただいた多くの団体が、それぞれの団体の課題に真正面から向き合い、今後に向けて挑戦したいという深い思いを、応募書類を拝読し、強く感じました。今回の選考委員会も委員がそれぞれの専門分野から多面的な視野で活発な審議を行いました。
選考にあたりご尽力いただいた選考委員のみなさまに心からお礼申し上げます。
応募と選考経過など
2024年募集は、36件の応募がありました(新規29件、継続7件)。
新規助成の選考は、まず事務局が応募要件を確認し、「要件を満たしているもの」が25件、「要件を満たさないもの」が4件と判断されました。次に「要件を満たしている」25件について、選考委員長と選考委員4名が選考基準ごとに評価を行った上で、さらに総合評価を行い、コメントを添えて事務局に提出しました。
継続助成の選考は、7件全てについて、選考委員長と選考委員4名が選考基準ごとに評価を行った上で、さらに総合評価を行い、コメントを添えて事務局に提出しました。
10月4日に選考委員会を開催し、選考委員長と選考委員4名が出席して、新規助成と継続助成についての審議を行いました。その結果、新規助成7件と継続助成4件が事務局による選考ヒアリングの対象となりました。
審議では、①本助成事業の趣旨に合致しているか、②他機関・団体や地域との連携体制や今後の影響力があるか、③事業内容が具体的で団体の実情などを認識しているか、④目的などが明確で社会的に意味があるか、⑤貧困の解消など課題解決の見通しがあるか、などを重視しました。
その後、事務局が団体のヒアリングを行い、その結果を受けて11月7日に新規助成5件(組織診断からはじめるコース5件、助成総額750万円)、継続助成4件(助成総額750万円)を決定しました。合計の助成件数は9件、助成総額は1,500万円となりました。
採択された団体の①事業分野、②助成対象事業のテーマ、③所在地、は以下のとおりです。
【新規助成】5団体
- ①離婚など家庭環境に悩む子どもなどへの支援、②愛情的・経済的貧困を抱える子どもたちへの支援体制および財務基盤強化に向けた組織診断、③千葉県
- ①LGBT法整備に向けた全国連合組織、②LGBTQの貧困の解消に向け、持続可能な組織・ファンドレイジングの仕組みづくり、③東京都
- ①「にんしんSOS」事業など、②「妊娠の社会的孤立」解消に向けた多様な活動の持続運営のため組織横断型で取り組む人材育成・組織文化作り、③東京都
- ①セクシュアル・マイノリティ支援、②複合的な課題のあるLGBTQの人々への支援を行うための持続可能な組織構築を目指した組織診断、③大阪府
- ①自立援助ホームの運営など、②地域の子ども・若者にむけた多様な支援を届ける事業を継続しつつ制度のはざまを埋める活動も継続していくため、組織全体の診断と法人事務の強化に向けた取り組み、③広島県
【継続助成】4団体
- ①社会的養護等のアフターケア事業、②親を頼りづらい若者サポート事業のボランティアマネジメント・管理部体制・財政基盤整備等の組織基盤強化、③東京都
- ①学校内居場所カフェなどの運営、②制度の隙間に溢れ落ちたこども・若者に切れ目ない支援を届けるための持続可能な組織構築を目的とした基盤強化事業、③神奈川県
- ①ひきこもり・不登校などの居場所事業、②ひきこもり・ニート(若者無業者)・不登校の子どもや若者およびご家族の自立支援を持続的および発展的に運営するための組織基盤強化事業、③大阪府
- ①困窮するこどもの居場所事業など、②こども若者の貧困課題解消へのソーシャルアクションに向けて、人材育成計画の策定を中心とする組織基盤強化事業、③滋賀県
採択された団体をみると、事業分野は多様であり、助成対象事業のテーマや計画は、それぞれの団体の事業継続期間、団体の財政規模や人的リソース、事業内容の特徴、団体が抱えている現状と課題、今後の目指すべき姿など、継続助成対象団体は、これまでの助成事業の成果などを勘案し、しっかり検討していると評価できます。また、団体の所在地も日本各地に拡がっています。
助成対象団体には、この助成を十分に活用して、目指すべき次のステージに移行し、「リーディング・NPO」として、貧困の解消など社会課題の解決に向けて、さらに貢献していただくことを願っています。
また、採択に至らなかった団体においては、大変お忙しい中、応募に多大な労力をかけていただいたことと存じます。心苦しい限りですが、ぜひ次年以降の応募に改めてチャレンジをいただければ幸いです。
![](/content/dam/panasonic/phd-jp/ja/corporate/sustainability/citizenship/pnsf/npo_summary/kokunai_josei/result2024/souhyou/photo_01.png)
小河 光治
<選考委員> |
★選考委員長 |
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小河 光治 ★ |
公益財団法人 あすのば 代表理事 |
阿部 真紀 |
認定特定非営利活動法人 エンパワメントかながわ 理事長 |
実吉 威 |
公益財団法人 ひょうごコミュニティ財団 代表理事 |
立岡 学 |
特定非営利活動法人 ワンファミリー仙台 理事長 |
東郷 琴子 |
パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社 |