デザイン経営実践プロジェクト

私たちのデザイン経営をシンプルに説明すると「未来を自分たちの考えでデザインし、その未来に向けて経営すること」と言えます。
大切にしているのは、パナソニックグループにとってではなく、人や社会全体にとって理想的な「実現したい未来」を解像度高く構想した「未来構想」を創り上げることです。その未来構想をもとに事業運営する長期視点にたった経営スタイルを根付かせることを目指しています。現在から考えるのではなく、実現したい未来からバックキャストでなすべきことを考える「未来起点」と、自社がどうありたいかではなく、人やくらし、それをとりまく社会や環境にとってどんな価値があるのかを考える「人間中心」。この二つの考え方を取り組みの基軸に置いています。
検討の中心はあくまでも事業部門のメンバーです。BTC(Business、Technology、Creative)メンバーで構成された支援チームがバックキャストやファシリテーションの知見をもってサポートしています。実現したい未来の社会像とそこに近づくための取り組みの解像度を高め、経営戦略上の優先順位を上げること。それによって、既存事業の延長線上で経営することから脱却し、本質的な競争力の強化を目指します。

実現したい未来を描き、バックキャストで考える

人物写真:臼井重雄

創業者である松下幸之助は250年の計で理想の社会を描き、未来志向の経営を実践しておりました。近年、世の中にはモノが溢れ、一見豊かになったように見えます。その反面、環境問題など新たな社会課題が顕在化しているのではないでしょうか。こうした激動の時代において、10年から20年先の未来を見据えて、具体的な「ありたい未来」を描くこと、そしてそれを起点に考え、実践することがますます重要になると考えます。

「デザイン経営実践プロジェクト」は、デザインの手法を取り入れ、事業主体者と長期視点から未来の変化を読み取り、実現したい未来を構想、実現に向けた具体的な実行計画まで創り上げていきます。事業部門長を含めた事業部門の検討メンバーが、10年から20年先の未来仮説を描き、既存事業にとらわれず新しいチャレンジを熱意を持って始めることができるようサポートしています。ゴールは、各事業部門に長期的な視点を持った経営スタイルが根付くことです。

このプロジェクトを通じて言語化された「実現したい未来」は、社員はもちろん、パートナー企業、投資家の皆様の共感を得ながら実現することで、社会の公器としての使命を果たしていきたいと考えています。未来のことを自分たちで考え、自分たちで動くというシンプルなことに、パナソニックグループの様々な事業部門と共に挑戦し続けていきます。

パナソニックホールディングス株式会社
執行役員 デザイン担当
デザイン経営実践プロジェクトリーダー

臼井 重雄

パナソニックのデザイン経営と起こりつつある変化

パナソニック インダストリー株式会社

メカトロニクス事業部の未来構想づくり

「今後の事業の存続と成長のために、顧客の要望に応えるだけでなく、自分たち自身で未来を考え、それに共感していただける顧客と一緒にやっていくべきでは」という経営の課題意識を持っていたメカトロニクス事業部のメンバーと共に未来構想プログラムに取り組む。その結果たどり着いた「誰もが心地よく暮らす社会」、具体的には「デジタル・自動化による心地よい暮らしを実現」「持続可能なエネルギーの基盤を構築」という実現したい未来は、その後当事業部のミッション・ビジョンを再認識する一助となった。

パナソニック株式会社

「水の挙動」の基礎研究が生んだみずみずしい乾燥食品?「常圧凍結乾燥」の可能性とは

以前から取り組んでいた研究開発テーマ「常圧凍結乾燥技術」は、デザイン経営実践プロジェクトの未来構想プログラムをきっかけに、研究段階のテーマとしては珍しく対外にも発表した。大学や社外の事業者と協業しつつ開発の加速を図っている。(リンク先はパナソニック株式会社のオウンドメディア『Make New Magazine』にてその模様を取材した記事)