グローバル各地域の取り組み

写真:多様な社員たちが談笑する様子 写真:多様な社員たちが談笑する様子

パナソニックグループでは、グローバル各地域においても多様な人材が最大限に力を発揮できるよう、それぞれの地域の課題に応じて、多種多様なDEI推進の活動に取り組んでいます。

インドでの取り組み

パナソニック ライフソリューションズ インド(PLSIND)では、DEI推進に向けて、多様な人材の採用に積極的に取り組んでおり、年齢・性別の多様性だけでなく、多様な業種からの採用に特に注力しています。また、業績とスキルに連動した報酬体系を導入することで、ジェンダーによる報酬格差をなくしています。

DEIを重視した人材採用

人材の多様性と流動性を高めるために、欠員補充時の社内公募や後継者育成に計画的に取り組んでいます。加えて、採用担当者が直接、大学の工学部や経営学部を訪問し、キャンパス・リクルーティングを行うことで、タレントのプール化や組織全体の年齢構成の適正化につなげています。

社内コミュニケーションの促進

多様性のさらなる推進のため、トップダウン・ボトムアップ両方のコミュニケーションを強化することによりインクルーシブな組織づくりに取り組んでいます。会長との「Freewheeling」、社長とMDとの「One Team Dialogues」、そしてCHROとの「Be Free Feel Free」などの対話セッションを通じたコミュニケーションの機会を設けています。

写真:Freewheelingの様子
会長との「Freewheeling」

上司と部下による「Heart 2 Heart」セッションでは、業務の話題にとどまらないざっくばらんな対話が推奨されています。部下の人物像について上司が理解を深め、チームの精神面でのウェルビーイングを高める機会となっています。

その他のDEIの取り組み

社員が言うべきことを言える環境づくりに向け、社内イベント「Face Off」を毎年開催しています。イベントでは、業務におけるチームの枠を超えて社員が集まり、一つのトピックに関してディベート形式で意見交換を行っています。

「Think Beyond」は、パナソニックグループの創業者・松下幸之助が唱えた「素直な心」の考え方をベースに、アンコンシャス バイアスや脳科学的なアプローチを取り入れて考案された研修プログラムです。過去の経験が現在の行動や対応に影響し、その結果、周囲との軋轢を生むメカニズムについて、参加者に気づきを与えるとともに、創業者による「日に新た」の心構えの実践を促しています。

さらに、インクルーシブな職場づくりのため、管理職を対象に「感情知能」に関する研修を新たに導入しました。

ベトナムでの取り組み

パナソニック ベトナム(PV)では、全ての社員が力を発揮し、互いの個性を受け入れ合えるDEIな職場環境づくりに取り組んでいます。PVは、経歴・ジェンダー・人種に関係なく、一人ひとりが能力を最大限に発揮するためにDEIが不可欠であると信じています。

DEIコンペティション2023

PVがDEI推進に取り組んで2年目となる2023年12月に、「DEIコンペティション」を開催。同イベントを通じて、全ての社員がチームメンバーの多様性を活かしながら知恵を出し合い、イノベーションを加速できる環境づくりを目指しています。社員一人ひとりの力を引き出すことが、会社全体の「社員エンゲージメント」の向上や取り組み活性化につながると考えています。

優勝 - チーム 1

写真:DEIコンペティション。チーム1の登壇風景

2位 - チーム 2

写真:DEIコンペティション。チーム2の登壇風景

3位 - チーム 3

写真:DEIコンペティション。チーム3の登壇風景

コンペティションでは、社員が対人コミュニケーションを含むさまざまなDEIの課題に取り組みました。各チームはDEIに対する考えをまとめ、寸劇やプレゼンテーションを通じて改善策を提示。同イベントは、社員がDEIを理解し社内で推進するための貴重な機会となりました。PVの社長は、「個人が能力を最大限に発揮するために、DEIの必要性は今後ますます高まっていくだろう」とコメントしています。

写真:DEIコンペティションについてコメントするPVの社長
写真:DEIコンペティション。観客席の様子

その他のDEIの取り組み

PVでは日々の取り組みを通じて、全社的にDEIを推進しています。職場におけるアンコンシャス バイアスに関する研修に加え、人事部門ではDEIディスカッションやゲームの作成、DEIニュースレターを配信しています。

欧州での取り組み

パナソニック ヨーロッパ(PE)では、「才能の扉を開く」取り組みとして性別やその他のさまざまな属性に関わらず、全ての社員が可能性を最大限に発揮できる真にインクルーシブな環境づくりに取り組んでいます。

ジェンダー平等の推進

2019年に開始した女性リーダーシップ・プログラムは勢いを増しており、2024年現在、3回目を実施中です。3回目のプログラムでは欧州地域外からの参加を受け入れており、地域外からの参加者は50%を占めます。プログラムの目的は、当社の女性人材がより注目されるプラットフォーム、女性特有のリーダーシップ上の課題についての議論の場、および健全なブレインストーミングができる環境を提供することです。プログラムを修了した社員の82%が、より重要な役職に就いているか、将来的に重要な役職に就くことが決まっています。また、こうしたプログラムの試金石となる後継者育成計画に、これまで以上に多くの女性が参加しています。

PEは、ジェンダー平等を強化し、人材プログラム以外の手法で女性社員のキャリアをサポートするために、2021年にビジネス・インパクト・グループ「Women Connect Europe」を設立しました。現在、30カ国のパナソニック企業31社にわたる約350人が同グループのネットワークに参加しています。

図版:欧州で展開されているDEI関連コミュニティ「Women Connect Europe」のロゴマーク。「Women Connect - Inspire. Empower. Grow.」Women Connect is a business impact group that strives to support the organisation in its drive for gender diversity. It connects people across Panasonic in Europe to inspire change and innovation. TED Talks & Key Note speakers / Cross-Functional Exchange / Events & Newsletters / Lunch & learn / Leadership skills development / Exposure to senior leaders

アンヘルプフル バイアス教育プログラム

PEでは、英国のダラム大学の心理学チームと協力して開発したアンヘルプフル バイアス教育プログラムを提供しています。欧州事業は広範囲の業界に及んでいますが、同プログラムは科学的なアプローチを採用しているため、業界ごとの違いに合わせた微妙な調整が可能です。プログラムの第一段階では、あらゆるレベルの社員に焦点を当て、社員一人ひとりの意識を高め、多様性とインクルーシブな文化を促進する態度、価値観、戦略、スキルを開発します。第二段階では、シニア・マネージャーがビジネスにとって有意義な戦略を策定できるよう支援します。このような取り組みは、社員にとって望ましいインクルーシブな文化をつくる一助となっています。

また、PEではアンヘルプフル バイアス教育プログラムをベースとして、同じ開発チームによりコグニティヴ・ダイバーシティ (認知に関する多様性)のためのe-ラーニング・モジュールを構築。マネージャーがチーム内の多様性を強みとして活用できるよう支援する自主参加型のワークショップとして、高い受講率と修了率を誇ります。これは、DEIがPEに本格的に普及していることを示す大きな成果です。

その他のDEIの取り組み

PEは、欧州におけるDEIを支援する目的で汎欧州HRチーム「DIAG」を設立しました。同チームは、インクルーシブな文化支援のための政策に関する課題について定期的に議論しており、直近では、英国政府による「Disability Confident(障がいのある人を自信を持って採用する雇用主)」の認定取得に取り組んでいます。

2023年には、社員の民族的な多様性に焦点を当てた新しいビジネス・インパクト・グループ「Embrace」が結成されました。同グループはこれまでに、社員全員が参加する多くの文化を称える教育セッションを実施しており、メンバーは現在60人を超えています。

ブラジルでの取り組み

パナソニック・ド・ブラジル(PANABRAS)では、一人ひとりの違いを尊重し、良好な関係を育むことで、より寛容で敬意に満ちた持続可能な職場環境や世界を実現できると考えています。

PANABRASは、社員の多様性への意識向上を図る中で、全ての事業所で社員一人ひとりの意見を集めて多様性の現状を把握し、会社として挑戦すべき課題や主な指標を設定しています。PANABRASは今後も、組織のリーダー・お客様・サプライヤー・社員およびその家族の協力の下、あらゆる人々が日々の生活で多様性を重んじる世界の実現に取り組んでいきます。

DE&Iプロジェクト

PANABRASでは、より平等でインクルーシブな職場環境の実現を目指し、「DE&Iプロジェクト」を実施しています。同プロジェクトでは、リーダーシップ育成プログラムを通じて、アンコンシャス バイアスの基本的な考え方やその影響についての正しい知識を社内に広めています。第一段階として、人事部門だけでなく、カスタマー・ケア部門やカスタマー・エクスペリエンス部門を含む全社のリーダーや管理職を対象に、会社への帰属意識を高めるためのトレーニングを実施中。今後、さらに内容を充実させていきます。また、リーダー職の全社員を対象に、オンラインでのアンコンシャス バイアス・トレーニングも実施しています。

さらには、社内向けカレンダーにDEIイベント情報を随時掲載。社員へのニュースレター「Café com Panna」にも、DE&Iプロジェクトに関するコラムを設けています。

画像:「DE&I(Diversity, Equity & Inclusion)」プロジェクトのロゴマーク

アクセシビリティの推進

障がいのある社員が働きやすい職場づくりの一環として、アクセシビリティの向上や職場環境の整備に取り組んでいます。これまでに、建物の改築やアクセシビリティマップの作成、社員採用時のインクルーシブな選考、教育・研修の推進などを実施しています。

また、ブラジル エストレマの事業所では、上肢障がいのある人が使用できる専用のドリンクボトルを採用。さらには、障がいのある社員(People With Disabilities)とコミュニケーションをとることで、要望や困りごとに耳を傾ける機会として、四半期に一度、社員同士の集まりである「Open Chat with PWD」を開催しています。

写真:上肢障がいのある社員向けドリンクボトル
上肢障がいのある社員向けドリンクボトル

また、毎年12月3日の「国際障害者デー」に合わせて、アクセシビリティや障がいについての社員の意識向上を図るための全社的な取り組みを実施しています。

その他のDEIの取り組み

PANABRASでは、インクルーシブな文化のさらなる醸成のため、「Break your bubble(自らのバブルを壊そう)」というスローガンの下、積極的なコミュニケーションを推奨。全ての社員が「コンフォートゾーン(挑戦を強いられない安全領域)」を離れ、新しい物事に対してオープンになることを目指しています。

写真:「Break your bubble」 の実施会場にて、「DE&I」プロジェクトの冊子を手にする社員たち
写真:スタンドバナーを覆う風船が割れ、ポルトガル語のメッセージが現れる

「Break your bubble」は風船を割るとDEI関連のメッセージが現れる啓発イベント

北米での取り組み

パナソニックノースアメリカ(PNA)では、全てのステークホルダーにとって事業をより良い形で継続的に発展させるためには、私たちのビジネス慣行と社会貢献の在り方がDEIに根ざしたものであるべきと考えています。この考えの下、社員一人ひとりが力を最大限に発揮でき、互いに言うべきことを言える、心理的安全性の高い職場環境づくりを推進しています。

また、さまざまなプログラムやツール、プロセスの開発・導入によるインクルーシブな職場環境づくりを通じて、パートナー企業・お客様・地域社会へのお役立ちにつなげていきます。

「LGBTQ+職場インクルージョンのリーダー賞」を受賞

PNAは2023年、ヒューマン・ライツ・キャンペーン財団による「LGBTQ+職場インクルージョンのリーダー賞」を受賞。同財団による「会社の公平性指標」において100点満点と評価されました。

同指標は、LGBTQ+の社員に関連する企業の方針・慣行・福利厚生に対する評価を数値化したもので、米国において最も影響力のある指標の一つです。同指標において高い評価を得られたことは、過去1年以上にわたって、LGBTQ+の社員のためのポリシー改訂・プロセス導入・既存プログラムの拡大について社員が主体的かつ慎重に取り組んできた成果といえます。

ビジネス・インパクト・グループによる活動

PNAがヒューマン・ライツ・キャンペーン財団の認証申請に向けて動き出したのは2022年の春。社員によるビジネス・インパクト・グループの一つである「PRISM」が中心となり、複数の部門の支援の下、人事情報の登録システム「Self-IDプログラム」(英語サイト)に、性自認と性的指向の項目追加を検討したことがきっかけでした。その後もPNAでは、広く継続的にLGBTQ+のコミュニティを支援。プライド月間などを通じたこれまでの主な実績として、サプライヤーの多様性ポリシーやLGBTQ+福利厚生ガイド(英語サイト)の制定、トランスジェンダーの社員および同居するパートナーへの医療保険の適用拡大などがあります。

これらの成果は、PNAによる強いコミットメントの現れといえるだけでなく、ビジネス・インパクト・グループの活動が職場環境の向上に大きく貢献していることを裏付けるものです。

PNAでは、以下の通り多くのビジネス・インパクト・グループが活発に活動しています。

  • LGBTQ+の支援を行う「PRISM」(Pride, Respect, Inclusion, Support, Mindfulness の頭文字から)
  • 女性社員のキャリア形成などを目的とした「RISE」(旧名称:Women’s Connect)
  • 退役軍人による「Veterans Group」
  • ミレニアル世代の能力開発を目指す「Level Up」
  • 黒人・ラテン系・アフリカ系アメリカ人・アフリカ系・カリブ海系社員による「BLAAC Employee Network(BEN)」

PNAは、これらのグループについても引き続き支援していきます。

画像:北米で展開されているビジネス・インパクト・グループのロゴマーク
写真:Women Symposiumの参加メンバー
RISE のイベント(シンポジウム)
写真:舞台で歌うCandice Hoyesさん(歌手)
歌手 Candice Hoyesさんを迎えての BEN のイベント

DE&I カウンシル

DEIに関する戦略とアクションをサポートするため、PNAでは経営層と社員の各々のレベルでカウンシル(会議)を開催しています。各カウンシルの目的は、多様な考え方や経験が肯定される職場の醸成。メンバーが持ち寄る議題に加えて、人材の保持、採用、組織への参画意識の向上、コミュニティ、コミュニケーションといった幅広いテーマについて話し合います。

有給休暇制度の拡大

現在、PNAでは米国の年間12日の祝日を会社の公休にすることで、社員が公的な年間行事を楽しむ機会を支援。さらに、多様な社員をサポートするためには社員それぞれの宗教行事や伝統的行事を祝うための休暇が必要であるという考えの下、標準的な休日に加えて「フローティング・ホリデイ」として1年に1日任意の休暇を取得できる制度を採用しています。この制度により、社員が個人に付与された有給休暇を消化することなく、宗教行事や伝統行事などの希望に合わせた柔軟な休暇の取得が可能になっています。

多様なサプライヤーの参画促進に向けた取り組み

PNAでは、戦略的な調達活動のためにはサプライヤーの多様性が不可欠であると認識しており、多様なサプライヤーの参画を促進する調達プロセスの構築を目指しています。調達に限らず、経営のあらゆるレベルにおいてサプライヤー多様性の推進を支援し、多様なサプライヤーがPNAのビジネスに参画できるような公平な環境づくりに努めます。

その他のDEIの取り組み

PNAでは、DEIへの理解を深めるため、アンコンシャス バイアス研修を強化。加えて人事部門では、DEIに対するパフォーマンスを評価対象に含む人材評価プロセスの導入に向けた取り組みを続けています。また、DEIに関する従業員意識調査を導入し、社員から寄せられる意見や基礎データを集めています。