「組織カルチャー変革」は、「人材ポートフォリオ変革」「変革型リーダーの開発・登用」「DEI(Diversity, Equity & Inclusion)推進」「人事機能変革(AI利活用)」と並ぶ、パナソニックグループにおける人的資本経営の重点取り組みの一つです。その推進に向け、「組織デザイン:6つの原則」に基づき、組織カルチャーを戦略的にデザインしています。
変革に向けたアプローチ
組織カルチャー変革は、働きやすさや風通しのよさといった職場環境の改善にとどまるものではありません。どれほど優れた戦略があっても、それを実行するのは「人」です。戦略が成果につながるかどうかは、一人ひとりの行動や組織のあり方によって大きく左右されます。
だからこそ、組織カルチャーは自然に醸成されるのを待つのではなく、経営責任者や組織責任者が意図を持ってデザインしていくことが重要だと私たちは考えています。
そこで、私たちは「Organization Performance Model(OPM)」をもとに、グループ共通の指針である「組織デザイン:6つの原則」を策定しました。組織長が自らの戦略や課題に応じて組織をデザインし、成果につながるカルチャーを構築するための指針です。
組織カルチャーをデザインするためのフレームワーク(OPM※)
「組織デザイン:6つの原則」
「組織デザイン:6つの原則」は、「評価・報酬」「意思決定」「情報共有・学びのプロセス」「採用・トレーニング・リーダー選抜」「仕事デザイン」「組織構造・配置」の6つの要素で構成されています。これらは個別に機能するものではなく、互いに連動し、一体となって初めて組織の力を引き出し、戦略実行を支えます。
この原則は、新たな考え方を一から生み出したものではありません。創業者・松下幸之助が大切にしていた経営への想いを、現在の組織環境に合わせて体系化したものです。
なお、これらはあくまでグループ共通の「原則」です。事業戦略や市場環境、抱える課題は組織ごとに異なるため、100の組織があれば100通りの組織デザインがあります。重要なのは、自組織に最適な形へ落とし込むこと。そのためには、経営責任者や組織責任者が課題に応じて組織をデザインし、成果につながるカルチャーを構築し、社員を巻き込み、変革を推進することが不可欠です。
経営責任者の実践を支える仕組み
経営責任者や組織責任者(グループ内の事業部長等)が自組織のカルチャー変革を主体的に推進できるよう、経営責任者向けプログラムを定期的に開催しています。2024年度から2025年度の2年間で、延べ732人が参加しました。
さらに、グループ横断の組織カルチャー変革コミュニティも立ち上げ、各事業会社から選抜されたメンバーが経営責任者による組織変革を継続的にサポートしています。
経営責任者向けの取り組み | 概要 |
|---|---|
組織デザインワークショップ | 「組織デザイン:6つの原則」に基づき、組織カルチャーを戦略的にデザインするための実践的な知識とスキルを習得 |
グループ経営研究会 | 組織カルチャー変革に関する社内外の好事例の研究 |
組織カルチャー変革プログラム | 組織カルチャー変革の事例共有とスキル習得ワークショップ |
レジリエンスプログラム | 医学・心理学の知見をもとに、個人のパフォーマンスを高めるとともに、逆境を個人と組織の成長につなげ、多様性を活かす力を育む研修 研修内容の詳細 |
こうした取り組みを通じて、前例や固定観念にとらわれず挑戦する機運が各組織へ広がり、変化の兆しが生まれています。具体的な取り組み事例をご覧ください。
「組織デザイン:6つの原則」に宿る、創業者の哲学
〜「意思決定」と「評価・報酬」に対する考え方〜
「組織デザイン:6つの原則」の核となっている考え方は、パナソニックグループにとって新しいものではなく、創業者・松下幸之助が大切にしていた経営への想いを現在の組織環境に合わせて体系化したものです。創業者は著書「指導者の条件」(PHP研究所刊)の中で、組織を率いる者としてのあるべき姿を102カ条の心得として示しました。本コラムではその一部をご紹介します。
意思決定への考え方 ~「決断する力」と「任せる力」~
創業者は、「大事にあたって即断速攻できる見識と機敏な実行力は、指導者に不可欠の要件」と述べ、指導者には迅速な意思決定が求められると説いています。「決断もせず、実行もせずといった姿で日々を過ごすことは許されない」の言葉の通り、判断を先送りすれば機会を逃し、競争力を失うことにつながります。
一方で、すべての意思決定を指導者一人で抱え込むのではなく、人に任せる力の重要性にも言及。「一人の人間の力というものはどうしても限りがある。その限りある力以上のことをしたり、させたりすれば往々にして失敗する。力に合った適正な範囲で事を行うのがいちばんよいのであって、そのことが力に余るようであれば、それを分割して何人かの力によって行わせることが望ましい。」と語っています。権限を適切に委譲することで、組織全体として意思決定のスピードを高めることができるのです。
パナソニックグループではこの考え方に立ち返り、スピードと柔軟性を備えた意思決定の文化をより一層根付かせていこうとしています。
評価・報酬への考え方 ~一人ひとりの挑戦と成果に報いる~
創業者は、「功績あればこれを賞し、過ちあればこれを罰する。その信賞必罰が適切に行われてはじめて、集団の規律も保たれ、人々も励むようになる。」と述べ、公正な評価と報酬が組織の成長に不可欠であることを説いています。
成果を正しく評価し、挑戦する姿勢に応えることで、社員の意欲を引き出し、さらなる挑戦につなげることができるのです。また、「自分の働きが人にみとめられないほど寂しいことはないと思う。ほめられればうれしくもあり、自信もつく。今度はもっと成果をあげてやろうという意欲もおこって、成長への励みともなる。もちろん、失敗や過ちに対しては、大いに叱ることは必要である。しかし、何かいいことをした時、成果をあげた時には、心からの賞賛とねぎらいを惜しまないことが、指導者としての一つの要諦であろう。」とも語っています。適切な評価とフィードバックは、社員のモチベーションを高め、次の成長を促す原動力となります。
パナソニックグループではこうした考え方を大切に、一人ひとりの挑戦と成果を正しく評価し、報いる文化の定着を目指しています。
重点取り組みの推進状況や、人材と働き方に関する基本情報については、データで見るパナソニックグループの人的資本経営をご確認ください。