未来につながる変化の兆し

パナソニックグループでは、社員⼀⼈ひとりが⾃らのポテンシャルをUNLOCK(アンロック)し、能⼒やスキルを最⼤限に発揮できる環境づくりを進めています。前例や固定概念にとらわれることなく、変⾰を推し進めようとする意識が広がる中で⽣まれた、未来につながる変化の兆しをご紹介します。

変化の兆しを⼤きなうねりに

パナソニックグループでは、採⽤、育成、評価‧処遇、異動‧配置、退職‧再雇⽤といった社員のキャリアに関わるあらゆる場⾯で、新たな試みが次々と始まっています。「前例がない」「ルールは変えられない」といった固定観念を払拭し、必要に応じて仕組みを進化させる意識が広がりつつあります。こうした⼩さな変化の兆しが、やがて⼤きなうねりとなり、組織全体の進化を加速させる⼒へとつながっていく。その可能性を信じ、⼀⼈ひとりの挑戦を後押しする環境づくりをさらに推し進めていきます。

社員のキャリアのサイクルを示した図版。上から時計まわりに「採用」、「育成」、「評価・処遇」、「異動・配置」、「退職・再雇用」とあり、矢印で結ばれ循環している。

新しい試みの数々

変⾰は、現場での試⾏錯誤から⽣まれます。ここでは、グループ全体や各事業会社で取り組んでいる新たなチャレンジの事例をご紹介します。

※現時点では⽇本地域の事例を中⼼に掲載していますが、今後、他地域の事例も追加予定です。

採⽤活動を通じたキャリア⽀援
〜⼈とAIのハイブリッドで、⼀⼈ひとりのキャリアに寄り添ったサポートを提供〜

Before:従来の採⽤活動では、企業説明会や個別の懇談‧⾯談などの場での社員対応や、採⽤ホームページなどによる情報提供が中⼼でした。しかし、対応できる学⽣数には限りがあり、「⾃分の強みや、やりたいことをまだ整理できていない」「どの事業会社や職種が⾃分に合うかわからない」といった学⽣の悩みに対して、⼗分な個別サポートを提供することは難しい状況でした。

就活⽣⼀⼈ひとりの悩みに対して
⼗分なサポートが困難

After:対話型のAIサービス「AI Career Supporter」を導⼊し、学⽣がいつでもどこでもキャリア相談できる環境を整えました。学⽣はAIとの対話を通じて⾃分の考えを⾔語化し、内省を深めながらキャリアの⽅向性を⾒つけることができます。さらに、数百種類の職場実習型インターンシップの中から、AIが学⽣の専攻や志向、⾏動特性に基づいて最適な実習テーマを提案。これにより、配属後のミスマッチを減らす効果も⽣まれています。利⽤者からは、「本⾳を気軽に話せた」「職場理解や企業理解が深まり、キャリア選択の幅が広がった」などの声が寄せられ、93%の学⽣が継続利⽤を希望するなど、⾼い満⾜度を得ています。

対話型AIの導⼊でサービス環境を最適化
配属後のミスマッチを減少

こうしたAIの活⽤に加え、仕事のやりがいや想いといった“はたらく”に関する活きた情報は⼈を介して提供。⼈とAIの最適なバランスを考慮した、ハイブリッドな採⽤活動やキャリア形成⽀援を強化することで、⼈とAIの強みを活かした新しい就活のあり⽅を提案。⼀⼈ひとりが納得のいく初期キャリアを選択できるよう⽀援しています。

対話型AIの導⼊でサービス環境を最適化
配属後のミスマッチを減少

⼈事サービスの品質向上
〜⽣成AIを活⽤し、社員7万⼈向けにワンストップ⼈事サービスを提供〜

Before:⼈事情報の取得先や申請窓⼝が分散し、異動や休業などさまざまな申請に⼿間がかかるほか、都度問い合わせが必要な場⾯も多く、回答を得るまでに時間がかかる状態でした。また、⼈事担当者は問い合わせ対応に追われ、業務負荷が増⼤。よくある問い合わせ内容であっても、毎度個別対応が必要となり、回答の質や⼀貫性の⾯でも課題がありました。

申請窓⼝の分散により
回答までに時間がかかる

After:ポータルサイト「ワンストップ⼈事サービス」を導⼊し、分散していた⼈事情報や問い合わせ窓⼝を⼀本化。お知らせやTo Doをパーソナライズ表⽰できる「マイページ」、AIチャットボットによる⾃動回答‧⾃動申請が可能な「バーチャルエージェント」、Face to Face対応の安⼼感を新たな形で実現する「メタバース」など、複数のサポート⼿段を提供することで、セルフサービスの利便性と有⼈対応の安⼼感を両⽴しました。

ワンストップ⼈事サービスを導⼊し
窓⼝を⼀本化

この新たなポータルサイトはPC‧タブレット対応。⼯場勤務の社員もスムーズに利⽤できるよう、構内にタブレットを整備し、どの勤務形態の社員も円滑に情報取得や申請ができる環境を構築しました。さらに、問い合わせ状況はダッシュボードで可視化し、優先タスクを明確化。FAQの蓄積‧活⽤により、回答の品質と⼀貫性も向上しました。これにより、社員の利便性が向上するとともに、⼀⼈ひとりが本来の業務に集中できる環境が実現しつつあります。

ワンストップ⼈事サービスを導⼊し
窓⼝を⼀本化

持続的成⻑を促す⼈材戦略
ジョブ型⼈材マネジメントによる競争⼒強化
(パナソニック コネクト株式会社)

Before:従来の⼈材マネジメントでは、組織へのロイヤルティを重視し、⻑期雇⽤を前提とする⽂化が根付いていました。明⽰的‧暗黙的な雇⽤の保障や、年功序列に基づく報酬の後払い制度が、⼈材の流動性を抑制し、柔軟なキャリア選択を困難にしていました。その結果、会社としては⼈材を囲い込む構造となり、社員の意識としても会社への依存が強まる傾向がありました。

従来の人材マネジメントを表した図。事業ごとに人材が囲い込まれており、拡大事業では人員不足が、撤退事業、縮小事業では人員余剰が生じている。

流動性が低く、最適化しづらい
⼈材ポートフォリオ

After:個⼈と会社双⽅の持続的な成⻑を追求するため、ジョブ型⼈材マネジメントを導⼊。事業戦略と連動しながら、⼈材ポートフォリオの最適化を進めています。ジョブディスクリプション(JD)を導⼊し、各ポジションの職務内容や役割を明確化。報酬についてはジョブ‧職種に応じた競争⼒ある⽔準の導⼊により社内外⼈材の惹きつけを⾏っています。パフォーマンスマネジメントの徹底によりポジションに⾒合う期待を発揮できない社員にはパフォーマンス改善プログラムを実施し改善を促すことで、ハイパフォーミングな組織を⽬指しています。事業と連動した組織‧ポジションの精査と適時適所のアサインによりヘッドカウントコントロールを実施し⽣産性向上を実現するとともに、Blue Yonder等のポジションを活かした育成により、ソフトウェア‧ソリューション領域の⼈材を拡充しています。

ジョブ型人材マネジメントを表した図。事業ごとの人材の囲い込みがなくなり、新規採用に加え、他事業からの異動や、社外での挑戦を後押ししたりすることで、人材ポートフォリオを最適化している。

⾃律的でダイナミックな
⼈材ポートフォリオ

なお、内閣官房主催の「ジョブ型⼈事推進会議」にも参画。⾃社の取り組み事例を紹介することで、⽇本企業のジョブ型⼈事導⼊促進を⽬的とした「ジョブ型⼈事指針」の作成に協⼒しています。

ジョブ型人材マネジメントを表した図。事業ごとの人材の囲い込みがなくなり、新規採用に加え、他事業からの異動や、社外での挑戦を後押ししたりすることで、人材ポートフォリオを最適化している。

⾃律的でダイナミックな
⼈材ポートフォリオ

DEIの推進
製造現場でのジェンダーギャップ解消
(パナソニック株式会社)

Before:製造現場での安全管理、機械設備の運⽤、トラブル対応など、突発対応や体⼒を要するとみなされる職種やリーダーには、「男性でないと難しい」というアンコンシャスバイアスが根強く、同質性の⾼い職場環境が形成されていました。⼀⽅で、現場では多様な働き⼿が増えてきています。本来、品質や安全を⾼めていくには、多様な観点が取り⼊れられること、そして、誰もが安⼼して発⾔できる⼼理的安全性の⾼い環境があることが必要です。⼥性リーダーの存在はこれらを実現していくうえでの「多様な意思決定者」として重要であるにも関わらず、⼈数は少なく育成も難しい状況でした。

写真:女性社員が一人で作業する様子

アンコンシャスバイアスが根強く
同質性の⾼い職場環境

After:全国の製造拠点で活躍する⼥性リーダー約30⼈が参加し、「⼥性リーダーTalk」を開催しました。「重い商材の梱包作業⽤に補助装置を導⼊したところ、⼥性だけでなく、ベテラン社員の作業負荷も軽減できた」といった好事例や現場での実状の共有をもとに、「なぜ製造現場には⼥性リーダーが少ないのか?」といった様々なテーマで活発な議論が⾏われました。普段話せない悩みを共有し合う場⾯も⾒られ、「これまで当たり前だと思っていた仕事のやり⽅についての気付きがあった」といった声や、「⾃分たちが後輩のロールモデルになるんだ」という意識の醸成がみられました。

写真:「女性リーダーTalk」の様子

⼥性リーダー同⼠がつながり
気づきの共有や意欲醸成を後押し

この取り組みを起点として、社⻑をはじめとする経営層が、製造現場におけるDEI推進の重要性を全社員に向けて発信。その意識を製造現場にまで根付かせる原動⼒となっています。ジェンダーギャップの解消とともに製造現場での働きやすさを追求し、すべての社員が活躍できる現場づくりに向けた機運が⾼まっています。

写真:「女性リーダーTalk」の様子

⼥性リーダー同⼠がつながり
気づきの共有や意欲醸成を後押し

キャリアとライフイベントの両⽴⽀援
卵⼦凍結への補助を福利厚⽣制度として導⼊
(パナソニック コネクト株式会社)

Before:⽇本では、不妊治療がとても個⼈的でセンシティブな問題とされてきました。多くの社員がキャリアとライフプランの両⽴に悩む⼀⽅で、当事者が周囲に相談しづらく、企業として⽀援の必要性が⾒えにくい状況が続いていました。また、不妊治療と仕事の両⽴が難しく、実際に両⽴を諦める社員も少なくありませんでした。精神的‧⾁体的‧⾦銭的負担が⼤きく、キャリアの選択肢が狭まることが課題となっていました。

写真:カレンダーを片手に悩む様子の女性

不妊治療は負担が⼤きく
仕事と治療の両⽴を諦める社員も

After:社員が⾃律的にライフプランを設計し、キャリアの選択肢を広げられるよう、卵⼦凍結費⽤の補助を福利厚⽣制度として導⼊。採卵‧凍結費⽤を最⼤40万円まで補助し、経済的負担を軽減できるようになりました。さらに、社員向けセミナーを開催し、卵⼦凍結に関する正しい知識を広め、理解を深める取り組みも実施。これまで個⼈の問題とされてきたテーマに企業が積極的に関与することで、キャリアとライフイベントを両⽴しやすい環境づくりを進めています。

写真:パソコンに向かって生き生きと仕事する女性

卵⼦凍結費⽤を制度で補助し
経済的負担を軽減

ワーク‧ライフ‧バランスの確保
〜働く場所の選択肢拡⼤〜

Before:オフィスへの出社が前提だったかつての勤務制度は、働く場所や時間の制約を伴うものでした。また、パートナーの転勤、育児‧介護などのライフイベントによって、キャリアの継続が難しくなるケースも少なくありませんでした。遠隔地への転勤に伴い、単⾝赴任をするか退職を選ぶかの決断を迫られる社員もおり、柔軟な働き⽅の選択肢が求められていました。

写真:悩んだ様子の男女

キャリアの継続を困難にする
オフィス出社が前提の勤務制度

After:パナソニックグループでは、時間や場所に縛られず、⽣産性を⾼めながらワーク‧ライフ‧バランスを確保できる働き⽅を推進。在宅勤務制度の導⼊後は、オフィスとリモートを組み合わせたハイブリッド勤務が定着し、24年度の在宅勤務利用率は68%(月の半分以上、在宅勤務をしている社員は19.9%)となっています。
また、フルリモート勤務制度も整備し、通勤圏外の遠隔地からの勤務を可能にすることで、パートナーの転勤帯同による退職や、転勤による単⾝赴任を避けたい社員の退職リスクを軽減。働き⽅の選択肢を広げることで、多様な⼈材の活躍を後押ししています。

写真:乳児を抱く笑顔の男女

在宅勤務の利⽤率向上で
多様な⼈材の活躍を後押し

  • 「組織カルチャー変⾰」「未来を創る変⾰型リーダーの開発‧登⽤」「HRモダナイゼーション」という3つの重点取り組みの推進状況や、人材と多様性・働き方、キャリアに関する基本情報については、データで見るパナソニックグループの人的資本経営をご確認ください。