グランプリ/グローバルシチズン賞

難しいテーマを分かりやすいよう見事に作り上げた作品です。映像制作が素晴らしいのが印象的でした。映像を作る視点及び技術面でもレベルが高いです。

この作品のオープニングはとても完成度が高いです。ステージシーンはとても説得力があり、芸術的で、メッセージがわかりやすく、そして強く伝わってきました。

私はこれまでにホロコーストに関する制作物を数多く見てきました。この作品は生徒達が自ら学んでいく過程を観客にも体験させてくれるとともに、ホロコーストでの出来事を表現する事がどれほど難しいかを伝えています。彼らは後半のドラマ仕立てのテクニックによって、ホロコーストの残虐な事実を捉えただけでなく、その過程を巧みに表現したことはこの作品の実に賢い部分と言えるでしょう。最後のシーンでは素晴らしい企画力、カメラワーク、ディレクション、照明によって非常に美しく表現され、スローモーション、パウダー、モノクロのテクニックが高度に織り交ぜられたことで、魅力的なクライマックスと幻想的な映像に結実しています。

ベスト・フレンドシップ賞

身近にいながら気がつきにくい隣人である「カミール」の存在を、ドラマ仕立てで見やすい展開にしています。相手に親しみを感じ、友人になっていく展開も自然で好感が持てます。ロックバンドの登場や、映像に流れるロックBGM、そしてラスト展開も、ただ甘いストーリーではない現在ならではの感覚が感じられるとともに、隣人との関係において、自分に正直に行動する子どもの積極性は、逆に大人である我々に多くの気づきを与えてくれました。

よく練られたストーリーが素晴らしい編集で表現されており、救助のシーンはドラマチックに描かれています。また音楽トラックが適切にテンポを調整して興味を誘っているのも巧みです。

ベスト・ウィットネス賞

彼らは作品を通して、現代に歴史的な過去を伝える素晴らしい能力を持っています。さまざまなテクニック(シンプルな手法から最新のデジタル技術まで)を駆使して視聴者の興味をそそる映像を作り上げました。決して忘れてはいけない過去があった事を彼らが立証し、次世代へと引き継ごうとしてもそれを隠そうとする人はいます。しかし、生徒達は風船爆弾を作成したたけでなく、過去の恐怖を記録しました。そして、素晴らしい台本と制作技術によって一流の作品となっています。

このドキュメンタリーはよく練られています。シンプルな映像が効果的で、多くの人が風船爆弾の存在をこの作品を観て初めて知ることでしょう。第二次世界大戦で使われた爆弾がどんなものであったか、このドキュメンタリーで明らかにされています。

ベスト・ストーリーテリング賞

これほどまでに美しい物語を作ったチームに祝辞を送りたい。構成もイメージ選択もよくできており、素晴らしい音響効果にのせてストーリーがスムーズに展開されています。主人公サマーが紹介される前にすでに興味をそそられるオープニング、また、「サーカスに逃げ込む」というコンセプトも実に面白い。コミュニケーションのテーマも、サマーが答えを探し求める冒険を通してうまく表現されています。私はこの映像の中で表現されている創造的なアプローチや情緒的な口調、そして制作技術等を存分に楽しむことができました。サマーの物語の続きがとても待ち遠しいです。

主題選出がよく、映像制作のスキルもとても素晴らしい。モノクロシーンから始まり、主人公の成長をカラーシーンへの変化で表現した巧みな構成で、オープニングからすごく強い印象を受けました。犬をなでる自然なシーンで作品に息吹を与えるなど細部まで作り込まれ、音楽もシーンに合わせて効果的に使われています。私はサマーが緊張しながらサーカスに向かうシーンでの、パフォーマーのコントラストが気に入っています。

Kファクター賞

私はこの作品のスピリットがとても気に入っています。視聴者に人生について前向きな気持ちをもたらす、とても心が動かされる作品です。前向きなメッセージを伝えることは特にこの題材においては難しく、わざとへりくだったものになりがちですが、彼らはそれを感じさせないところが素晴らしい。もう一つのポイントはメッセージが短く、はっきりとしているということ。彼らは簡潔さと明確さの重要性を理解していて、伝えたいメッセージだけを語り、メッセージをイメージさせる映像を集め、それをシンプルにまとめ上げています。

タイトルがとてもシンプルなのに象徴的でとてもよいです。それぞれの境遇の子ども達が、身近でがんばって生きている先輩の姿をよく見て自分たちの希望としている内容にリアリティが深く感じられました。一見ネガティブにとらえやすい現実を、純粋かつ強い意志で建設的にしていく意思表示が心からのメッセージとして感じられ、今この時の世界のリアルを肌で感じる事ができた素晴らしい作品です。

ベスト・シネマトグラフィー賞

バランスのとれた作品で、環境のカテゴリーで課題となっている持続可能な生活という話題へ視聴者をうまくリードしており、とても楽しめました。田舎の美しい自然を活かした村の生活を、うまく構成されたシーンで紹介しており、人々が楽しみながら生活の質を保つことの重要性に気付かされました。また、革新的な豚のガスの活用は科学的に面白いだけでなく温かな人情味も感じられます。これらは組み合わせの難しいトーンながら、短い中に叙情的なスタイルでスマートにまとめられています。このビデオは地元レベルでの地球環境へよい影響を与えつつ、人々を元気づける、希望に満ちた事例を伝えてくれます。

この作品には本当に優れた映画撮影術が数多く見られます。視覚的に心暖まるようにつくり込まれた構成も素晴らしい。ユーモアと有意義なインタビューが作品の完成度を上げています。

ベスト・コンセプト賞

移民国であるアメリカの特徴が如実に作品に反映されています。世界中で飢餓に苦しむ国の事情を紹介しグローバルの視点が作品として仕上がっており、国際性豊かな作品です。

飢餓というテーマに対し、世界情勢とその影響を興味深く表現しています。さまざまな角度からの調査により、非常に信憑性のあるメッセージとして伝わってきました。各国の国旗のイメージや子ども達が手を取り合い、助け合うジェスチャーがとてもよかったです。また、エンプティーボウル協会を紹介した事で、問題の重大性をいっそう強く認識させられました。