グループが目指す姿と地球環境問題の解決
当社グループの使命は、創業者の松下幸之助が生涯をかけて追い求めた「物心一如の繁栄」、すなわち「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現です。1932年、創業者は本業(事業)を通じて、250年かけて「理想の社会」の実現を目指すと宣言しました(創業命知)。以来、当社はこの想いを引き継ぎ、時代ごとの社会課題の解決に向けて、お客様お一人おひとりの幸せのために、様々なお役立ちを果たしてきました。
現在、この使命達成を阻む最大の課題は、地球環境問題です。中でも、喫緊の課題である気候変動と、限りある資源の枯渇を少しでも食い止めるためには、2050年頃までにカーボンニュートラル社会を実現(気温上昇を1.5℃に抑制)すること、そして資源循環型の経済システムを実現することが不可欠です。当社は、これらの課題に対して企業としての責務を果たすとともに、社会やお客様への貢献に向けていち早く行動(ACT)し、より大きなお役立ちを果たすことで、必ずや解決に導くという強い決意のもと、2022年1月に長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT(PGI)」を発表しました。
このビジョンのもと、気候変動の抑止に向けて、バリューチェーン(VC)全体のCO2排出量の低減と、社会およびお客様のCO2排出削減への貢献を加速しています。
また資源の枯渇に対しても、企業によるイノベーションと社会システムの変革という両輪から、持続可能で経済合理性ある社会システムの実現に貢献することを事業運営の基盤とするために、2023年11月には「サーキュラーエコノミー(CE)グループ方針」を社内外に発信しました。この方針に基づき、事業特性に応じたCE課題の特定と、戦略・計画の策定と実行につなげています。
Panasonic GREEN IMPACT
PGIは、当社グループが目指す「より良いくらし」と「持続可能な地球環境」の両立に向けて、2050年に実現すべき変革の姿を見据えた環境戦略の全体像です。自社の責務の遂行(❶OWN)、貢献の拡大(❷CONTRIBUTION、❸FUTURE)、および社会やお客様へのポジティブな波及効果(+INFLUENCE)に分類され、❶❷❸を通じて、PGIが起点とする2020年時点の世界のCO2総排出量317億トンの「1%」にあたる年間3億トン※2以上の削減インパクトを2050年までにもたらすことを宣言しています。
※2 PGIの起点である2020年の全世界のエネルギー起源CO2排出量317億トン(出典:IEA)による。
CO2削減貢献量の排出係数は2020年基準
❶OWN IMPACT(2020年度と比較したCO2排出削減量)
自社VCの全排出量※3(1.1億トン※4)を社会の脱炭素効果※5とともに実質ゼロにします。
※3 事業会社内(スコープ1,2)、部品や材料の生産時(スコープ3カテゴリ1)や製品使用時(スコープ3カテゴリ11)など、事業活動における全排出量(スコープ1,2,3)(詳細はこちら)
※4 2020年度実績値
※5 各電力事業者により電気のCO2排出係数が良化すること
❷CONTRIBUTION IMPACT(現在の事業領域でのCO2削減貢献量※6)
既存の事業領域で、社会やお客様の排出量に対して年1億トン以上の削減貢献量を創出します。
❸FUTURE IMPACT(新技術、新事業の創出によるCO2削減貢献量※6)
新技術、新事業で、社会やお客様の排出量に対して年1億トン以上の削減貢献量を創出します。
※6 当社の製品・サービスを採用いただくことで、社会やお客様のCO2排出の削減に貢献した量(詳細はこちら)
+ INFLUENCE(社会のエネルギー変革や脱炭素化にもたらす波及効果)
当社グループの製品・サービスの提供や社会とのコミュニケーション活動などによって、より多くの人々の行動(ACT)が変容することを通じて、社会にポジティブな影響をもたらすことを目指しています。お客様や関係事業者、国政府や投資家などの行動変容に貢献することで、エネルギー需給の安定化や脱炭素化の推進を加速します。PGIの一要素として、社内から率先して行動を起こしていきます。
環境行動計画「GREEN IMPACT PLAN」
Panasonic GREEN IMPACT(PGI)実現に向けたマイルストーンとして、2030年度の目標値と、2022年度から2024年度までのグループ共通の環境行動計画「GREEN IMPACT PLAN 2024」(GIP2024)を策定・公表し、取り組みを進めてきました。
GIP2024では、重点課題に対するKPI※7として、OWN IMPACT、CO2実質ゼロ工場の数、CONTRIBUTION IMPACT、工場廃棄物のリサイクル率、再生樹脂の使用拡大、新規サーキュラーエコノミー型事業モデルの創出を設定しています。
さらに、社会課題の重要性に鑑み、当社グループの行動に対して社会やお客様から共感を高めていただくため、事業領域や地域の特性に応じて、「生物多様性/ネイチャーポジティブ(NP)」「水」「化学物質」「地域社会」「順法」などの課題に継続的に取り組んでいます。各KPIや目標、取り組み内容、結果などについては、下記の表および関連ページを参照ください。
※7 PGI目標達成への進捗を定量的に評価・分析するための基幹指標をKPI(Key Performance Indicator)としている
▪重点課題のKPI・目標値について
当社グループは、持続可能な成長を実現するためのグループ経営改革に取り組んでおり、新体制のもとで2026年度から新たな中期戦略をスタートさせます(2025年2月発表)。PGIは事業成長と連動する取り組みであるため、2025年度は、現行の環境行動計画GIP2024を1年間延長した単年度目標を設定(GIP2024+1)し、継続的に取り組みを進めます。なお工場廃棄物のリサイクル率については、この3年間で99%以上という高水準をグローバルに安定達成してきましたので、次期中期計画に向けて国際ルールとも整合した新たなKPIを検討しています。
次期中期計画の期間においても、新たな事業戦略と連動した環境行動計画へとアップデートし、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを継続的に強化していきます。
GREEN IMPACT PLAN 2024目標と実績、2025目標(GIP2024+1)、2030目標
※8 GHGプロトコル(排出量の算定・報告の基準)による区分
※9 2020年度の排出量から当該年度の排出量を減算した量
※10 当社の製品・サービスが導入されなかったと仮定した場合のライフサイクル排出量から導入後の排出量を差し引いた量。電気の排出係数はIEC2021で算出
※11 再資源化量/(再資源化量+最終処分量)
※12 当社グループの製品に利用された再生樹脂に含まれる再生材の質量
※13 ▲は排出量の増加を意味する。スコープ1,2とスコープ3カテゴリ11に加えてカテゴリ1(調達)やカテゴリ12(廃棄)などの増減分を含む。カッコ内は2021年以降に算定可能となった製品の排出量相当も反映した2020年度実績(PGIの起点)との比較
※14 パナソニック オートモーティブシステムズ社を除く
※15 2020年度のカテゴリ11の対象33事業で算定した2020年度からのCO2削減量
※16 電気の排出係数はIEA World Energy Outlook 2℃シナリオで算出
※17 過去より99%以上の高水準を維持しており、2025年度の目標値からは除外し、世界の潮流に応じた新KPIを検討していく
▪CO2関連KPIの2024年度結果の詳細
OWN IMPACT、CO2排出量、CO2実質ゼロ工場、CONTRIBUTION IMPACT(削減貢献量)のCO2関連KPIは、自社バリューチェーン(VC)全体の排出量の実質ゼロ化と、社会やお客様とともにカーボンニュートラルを目指す「PGI」の中核となるKPIです。「排出量」と「削減貢献量」は、いずれもCO2に関する指標である点では共通していますが、算定方法や活用目的が異なります。「排出量」(図上段)は、自社のVCにおいて削減すべきCO2の責務の大きさを示す指標です。一方、「削減貢献量」(図下段)は、脱炭素に貢献する事業活動を通じて、社会やお客様のCO2排出量の削減に貢献した量を示す指標です。
自社VCの排出量は、削減貢献量によって相殺や減算することはできません。これらの取り組みは、企業活動の両輪として表裏一体の関係にあり、互いに連携しながら削減インパクトの拡大と加速を図っていきます。
CO2排出量(図上段)
スコープ1,2(工場などでのエネルギー使用等による排出量)については、省エネや再エネの導入等が進展し、2024年度の排出量は137万トンとなりました。一方、当社VC全体の排出量の約7~8割を占める、製品使用時の排出量(スコープ3カテゴリ11)は、PGIの起点である2020年度には33製品で8,593万トンでしたが、2024年度には対象製品を63製品に拡大したことで、11,116万トンに増加しています。
このスコープ3の対象領域の拡大(棒グラフの点線部)は、PGIを策定した2022年以降における法規制や社会要請の厳格化、そして戦略的重要性の高まりを受けて、自責領域を拡大した結果です。具体的には、事業の成長やポートフォリオの変化・拡大(冷凍機、A2W、ハスマン社など)、および開示範囲の進化(モータ、冷媒の放出量など)が要因です。
当社は、2022年のPGI発信を契機に、スコープ3の削減対象の適切な認識・特定と、算定精度の向上に積極的に取り組んできましたが、2025年度のGIP2024+1では、現在のフレームワークを継続しつつ、今後、当社の努力をより適正に評価いただきやすくするためにOWN IMPACTの起点の見直し等にも取り組んでいきます。
なお、2020年度から対象としてきた33事業に限定して排出量の推移を比較した場合、2024年度には6,831万トンとなり、約2割の削減を達成しています。この削減は、販売数量の変動、省エネ技術の進化、電気のCO2排出係数の改善などの要因です。
CO2削減貢献量(図下段)
2024年度の製品・サービスによるCO2削減貢献量(CONTRIBUTION IMPACT)は5,325万トンとなり、目標値である3,830万トンに対して1,495万トンの大幅な達成を果たしました。この達成の主な要因は、脱炭素に貢献する各事業の拡大に加えて、新たに空調用および冷蔵庫用のDCモータ、データセンター向け分散型電源ソリューションを対象に加えたことによるものです。対象製品数は、2020年度の28製品から2024年度には61製品へと拡大しています。
当社で最大の削減貢献量を創出している車載用円筒形リチウムイオン電池については、2023年度から算定方法をライフサイクル視点に精緻化しました(従来は走行時のみを評価)。これにより、電池1単位あたりの削減貢献量は減少しています。
当社の省エネ性に優れた新製品(「置き換え」領域)について、従来、その製品が導入されなかった場合の仮説に基づくベースライン(比較対象)をライフタイムを経た当社従来製品におき、その差分で削減貢献量を算定していましたが、2025年度から現在策定中の国際標準※18の要件に準拠するため、直近の市場平均的な製品をベースラインとして算定していきます。2025年度の目標値は、最新の算定方法を積極的に反映した約900万トン分の減少が含まれており、結果として4,750万トンと前年比で約10%減少となります。
※18 こちらを参照ください
GREEN IMPACT PLAN2024:CO2関連KPIの総括
▪CO2削減貢献量
「CO2削減貢献量(以下、削減貢献量)」は、お客様や社会のCO2排出量(以下、排出量)の削減にどれだけ貢献したかを示す指標です。当社では、事業の性質に応じてCONTRIBUTION/FUTURE IMPACTというKPIとして削減貢献量を数値化しています。(詳しくはこちら)
削減貢献量は、新しい技術や製品・サービス(以下、製品)の導入前後における、製品のライフサイクル全体や接続先の排出量の差分をもとに算定します。製品が導入されなかった場合の仮説に基づく参照シナリオを設定し、その差分を数値化します(使用時に限定しません)。企業が製品の普及を促進することで、導入されなかった場合に発生していたであろう排出量を「回避した価値(Avoided Emissions)」として表現します。
一方、企業のVCにおける排出量(スコープ1,2,3)は、GHGプロトコルという国際標準に基づいて算定され、削減した量(排出削減量)も数値化されます。当社では、PGIのOWN IMPACTがこの排出削減量に該当します(詳しくはこちら)。排出削減量と削減貢献量は一見似ていますが、目的も算定方法も異なる指標であり、削減貢献量によって自社VCの排出量を“相殺”することはできません。
削減貢献量は、他者の排出削減に貢献する事業者やソリューションのインパクトの大きさを定量的に識別する指標となり得ます。当社では、事業評価や投資判断にこの指標を活用することで、脱炭素に資する製品の公正な評価と競争の活性化を目指しています。
2024年度に販売した製品のCONTRIBUTION IMPACTは、61製品で合計5,325万トンとなり、新たに8製品を数値化したことが大幅な増加に寄与しました。当社では、CO2削減効果を以下の4つに分類しています。
「電化」:化石燃料よりもエネルギー利用効率に優れる電化機器や部品
「置き換え(省エネ性能向上)」:従来と同じ効能をもたらしつつ省エネ性能を向上した製品
「ソリューション」:建物空間や設備など接続先のシステム全体の電力・燃料使用を最適化する製品
「その他」:上記に含まれない多様な貢献。クリーン発電や断熱効果、配送削減等
エネルギー供給側(各地域の系統電力供給事業者)の努力によって再生可能エネルギー化が進むことと並行して、削減貢献量を生み出す当社製品が使用される側で空間や社会システムのエネルギー効率を高めることは、供給側の負荷を低減し、さらなる再生可能エネルギーの促進につながります。削減貢献量という概念は以前から存在していましたが、算定方法の国際標準はまだ形成途上にあり、金融界など社会全体での認知も広がりつつある段階です。製品が普及しなかった場合を仮定した算定には、方法や開示要件の解釈に幅があるため、社会共通の指標として確立するには課題も残されています。当社は、国際標準化への働きかけと並行して、規格に準拠した合理的な算定方法の開発に取り組み、目標や実績数値とともに貢献内容を積極的に開示しています※19。具体的には、毎年度の事業計画時に、製品ごとの削減原単位やベースラインの最新化を検討します。脱炭素に貢献する各事業の競争力を高め、製品が広く普及して継続的に使用いただき、1トンでも多くの削減貢献量を創出することで一刻も早い社会の脱炭素化の実現に貢献していきます。
※19 削減貢献量を主張する前提として、当社VC全体の排出量(スコープ1,2,3)に対して、SBTiの1.5℃シナリオに準拠した排出目標を設定し、その達成にむけた削減活動(OWN IMPACT)を進めています。また製品の普及に伴うリバウンド効果の有無も確認しています(現時点では製品の普及拡大によるライフサイクル排出量の増加以外のリバウンド効果は確認されていません)。そして開示情報の客観性を高めるため、本書に記載の算定方法や根拠データは、第三者機関の検証を受けています。
下記サイトにはお客様や社会のCO2削減に貢献する商品の事例を掲載しています
https://holdings.panasonic/jp/corporate/sustainability/environment/vision/product.html
削減貢献量の定義
(注)削減貢献量で自社の排出量は相殺できない
削減貢献量は、あるソリューションによるCO2削減への影響を、そのソリューションが使用されない参照シナリオと比較したときの、社会に対するプラスの影響と定義される
WBCSD, 2023/3,“Guidance on Avoided Emissions”
CONTRIBUTION IMPACT
:サステナビリティデータブック2025で開示
※E EV用円筒形充電池
※F ヒートポンプ給湯・暖房(エコキュート、A2W)
※G 空調用DCファンモータ
※H データセンター向け分散型蓄電システム
※I 熱交換気システムによる空調の省エネ
※J 真空断熱ガラス
※K 宅配ボックス
※L kinari
ヒートポンプ式 給湯・暖房機器(エコキュート、A2W※23)
※23 A2W(Air to Water):欧州向けヒートポンプ式温水給湯暖房機
主な削減対象となる製品ライフステージ
主な販売地域:エコキュートは日本、A2Wは欧州
■概要:
ヒートポンプ(HP)は、気体を圧縮や膨張させると温度が変化するという性質を利用して、大気中の熱エネルギーを水や空気に移動する電化技術で、化石燃料の燃焼による熱の利用と比較して利用効率に優れる(約2.4~4.3倍※24)。さらに、ガス機器からは都市ガスを燃焼する際にCO2が必ず排出される一方で、本電化機器が普及することで、機器が使用する個々の電源で再エネ構成が年々高まることを前提に、地域の脱炭素化への移行の加速に寄与する。
※24 経済産業省「トップランナー制度」の情報から試算
■削減貢献メカニズム:
市場に普及している平均的なガス燃焼式の給湯・暖房機器と比べて、同量の能力を持つ本機器がヒートポンプで熱交換することで、生涯で使用する電気のCO2排出量が少なくなる。
給湯・暖房エネルギーによる1台あたりCO2排出量
■CO2削減貢献量の算定式:
■ベースライン:(比較対象)
ヒートポンプ機器と同量の給湯・暖房に要する熱量を獲得する、2024年度の市場標準的なガス給湯器のガス燃焼によるCO2排出量※26。寒冷地の多い欧州などでは、ガス給湯・暖房が主流。(A2Wは既存のガス機器の配管を再利用して電化への移行が可能。)
※26 資源エネルギー庁ガス温水機器のトップランナーより
■定量化の範囲:(考え方と合理性)
機器の使用時。ヒートポンプ機器とガス機器ともにCFP*が対象で、使用時以外のCFPもHP機器の方が優位だが、使用時のCFPの差分と比較して小さく※27、保守的に数値化する観点から削減貢献量に加算しないと判断。
※27 削減貢献量の1-3%(2024年度当社実績)
■活動量:
(エコキュート)日本での年間販売台数にガス機器からの置き換え率70%※29を乗じた数(台)
- ※29 日本冷凍空調の工業会データより当社試算。
推定寿命を終えたエコキュート同士の置き換えを計上から除外
(A2W)欧州における年間販売台数※30(台)
- ※30 2008年より販売開始のためA2W同士の置き換え率はカットオフできると当社判断
■活動量1単位あたりの削減貢献量:(最新原単位)
ヒートポンプ機器とガス機器の双方で、同量の給湯・暖房効果をもたらすために要した年間エネルギー使用量のCO2換算量の差分。
■期間:(フロー方式:販売年度にその生涯分の排出量を計上)
補修部品の保有年数。期間中、CO2削減効果は持続する。
*CFP(Carbon Footprint of Products):製品・サービス(1単位)が原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出する温室効果ガス排出量のCO2換算値
車載用円筒形リチウムイオン電池
主な削減対象となる製品ライフステージ
電池の販売地域:北米
■概要:
内燃機関車(ICE)から電気自動車(EV)への移行はエネルギー効率の優位性※31に加えて、直接排出するCO2量が少なく、世界の運輸部門の脱炭素化をもたらすことが期待される。特に、内燃機関車でないBEV(二次電池式電気自動車)は電気によりモータを駆動させて動力とすることから、ICEの燃料供給機能に相当する充電池はBEVにおいて最重要部材の一つと認識されている。
※31 エネルギー効率(消費エネルギー量のうち車輪に届く割合)ICE:16-25% BEV:87-91%
■削減貢献メカニズム:
当社の充電池を搭載したBEVとICEが同じ距離を走行した場合、BEVはエネルギーの動力への変換効率が高いため、燃油消費量と充放電量をCO2に換算した量の差分が生じる。
米国におけるICEとBEV各1台のライフサイクルCO2排出量
参照 ICCT( The international council on clean transportation)
■CO2削減貢献量の算定式:
■ベースライン:(比較対象)
平均的なICEのガソリン使用を含む製品ライフサイクル全体でのCO2排出量。
■定量化の範囲:(考え方と合理性)
充電池(BEV)とガソリン(ICE)の原材料の採掘から廃棄・リサイクルまでの各段階と、BEVとICEそれぞれの車体走行分を比較した総CO2排出量の差分。
■活動量:(台)
車載用円筒形リチウムイオン電池の年間販売容量をBEV台数に換算した値。
■活動量1単位あたりの削減貢献量:(最新原単位)
ICEからBEVへの乗り換えによる1台の走行距離あたりの製品ライフサイクル全体での総CO2排出量の差分。
■期間:(フロー方式:販売年度にその生涯分の排出量を計上)
生涯走行距離
- 日、米、欧の年間走行距離の平均値※33×自動車の寿命(10年)
- 期間中、CO2削減効果は持続する。
※33 電池を搭載した自動車の販売先はグローバルであることを想定し、3地域の平均値とした。
空調機器の省エネに貢献するDCファンモータ
主な削減対象となる製品ライフステージ
モータの販売地域:日本、欧州、北米、中国、インド、東南アジア、中南米、中近東阿
■概要:
普及が進んだ大量の電化製品が使用時に消費するエネルギーの利用効率性を向上することは、製品が使われる地域の系統電力の負荷量を低減し、再エネ供給量のハードルを下げる。すなわち、エネルギー需要側から脱炭素社会への移行の促進に貢献する。エネルギー利用効率が向上した製品への更新は顧客と電源側の双方にCO2削減効果を生む。空調機器に搭載されるモータは製品の機能発揮に不可欠なデバイスであり、その使用電力量は空調全体の1割以下であるものの、空調機器が顧客で使われる生涯にわたってモータ自身の省エネ効果がCO2削減効果に直結する。
■削減貢献メカニズム:
DC(Direct Current:直流)モータは、AC(Alternate Current:交流)モータに比べて、負荷に応じた最適な運転が可能となるため、無駄なエネルギー消費を抑えることができる。
ACモータとDCモータのライフタイムでの使用電力量によるCO2排出量
■CO2削減貢献量の算定式:
■ベースライン:(比較対象)
モータの販売地域ごとの、同条件で使用される当社の同等出力のACモータが消費するライフタイム電力量のCO2換算量。空調機器の使用地域はモータ販売地域と同じと設定。
■定量化の範囲:(考え方と合理性)
モータの使用時。対象範囲はモータのCFP*だが、空調機器のCFPにおける使用時の占有率は平均で約8~9割であり、使用時以外の段階でのCFPも同等であるため、置き換え前後の使用時以外のCFPの差分の影響はカットオフが可能と当社判断。
■活動量:(台)
DCモータの販売地域ごとの置き換え前(普及率など)に応じた年間販売数量。
■活動量1単位あたりの削減貢献量:(最新原単位)
販売地域ごとの当該製品と比較対象製品のライフタイム使用での消費電力量※34のCO2換算量の差分。
※34 設計上の定格電力×年間の使用時間×効率
■期間:(フロー方式:販売年度にその生涯分の排出量を一括計上)
- 9年(当社規定の耐用年数)。期間中、CO2削減効果は持続する。
- 電化製品は適切な使用やメンテナンスにより耐用年数は伸びるため、9年は保守的な見積りとして当社判断。
- 耐用年数の伸長によって資源有効利用によるCO2削減効果も期待される。
■2024年度のCO2削減貢献量:816万トン
*CFP(Carbon Footprint of Products):製品・サービス(1単位)が原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出する温室効果ガス排出量のCO2換算値
熱交換気システム
主な削減対象となる製品ライフステージ
※35 本システムの使用期間における空調にかかる室内からの熱ロス減によるCO2排出削減
主な販売地域:日本、中国、北米、欧州
■概要:
民生部門/業務部門の脱炭素化には居住空間やオフィスの冷暖房の負荷低減が重要であり、熱交換気システムは室内からの熱ロス低減、空質維持による快適性を同時に実現する。
換気時に熱交換素子で室内外の熱を交換して、室内に送り込む空気の温度をあらかじめ冷やす/温めることで冷暖房負荷を低減し、さらに空気清浄も付与した高機能システムであり、高い気密性が求められる日米欧や中国などの住宅や店舗、ビルなどで幅広く利用可能。
■削減貢献メカニズム:
同じ条件下の室内空間において、本システム導入により市場平均的な換気方式と比べて空調機器の運転で消費される電力・燃油の使用が削減された量のCO2換算値。
■CO2削減貢献量の算定式:
■ベースライン:(比較対象)
現在の市場平均的な通常換気方式のシステムを導入した住宅での空調機器の運転による販売地域ごとの消費電力量と燃油使用量のCO2換算値。
■定量化の範囲:(考え方と合理性)
熱交換気システム(本製品)使用前後の住宅の冷暖房負荷の差分。
換気システム1台当たりのCFP*は本製品のほうが大きいが、本製品の使用前後の住宅の冷暖房負荷の差分のCO2換算量と比較して小さい(当社試算)ため、その影響はカットオフが可能と判断。
■活動量:(台)
本システムの中核機能である熱交換気ユニットの年間販売台数。
■活動量1単位あたりの削減貢献量:(最新原単位)
日本の住宅の居住空間における通常の換気システムを使った平均的な空調負荷量を、販売地域ごとに当社シミュレーションによって算出。
通常の換気方式と熱交換方式における居住空間の空調機器の運転で消費されるエネルギー量の差分に、販売地域ごとの電力や燃油※36のCO2排出係数を乗じる。
※36 燃油:灯油を採用
■期間:(フロー方式:販売年度にその生涯分の排出量を計上)
- 熱交換気ユニットの設計寿命(10年)。
- 期間中、CO2削減効果は持続する。
*CFP(Carbon Footprint of Products):製品・サービス(1単位)が原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出する温室効果ガス排出量のCO2換算値
データセンター向け分散型蓄電システム
主な削減対象となる製品ライフステージ
※37 本製品の使用期間におけるデータセンターのCO2排出削減
主な販売地域:北米
■概要:
近年、生成AIの急速な進化を受け、データ処理の高度化・複雑化に伴いデータセンター(DC)の消費電力が増大している。DCでは蓄電池の活用が進んでおり、一般的な鉛、LFP系バッテリーを使用した、電源をサーバールームとは別室で管理する集中型電源と、高出力かつラックごとに設置が可能で省スペースなリチウムイオン電池を搭載した分散型電源がある。
分散型電源は、集中型電源と比べて、省スペース化および、電力/電源マネジメントによるエネルギー効率の最適化が可能であり、サーバーへ供給する電力の利用効率が優れている。
【参考】DC用蓄電池事業について
■削減貢献メカニズム:
DCにおいて、分散型電源は集中型電源よりサーバーへ供給される電力の変換回数が少ないため、電力の利用効率が向上する。
DCのライフタイム供給電力量によるCO2排出量
■CO2削減貢献量の算定式:
■ベースライン:(比較対象)
DCにおいて集中型電源(鉛蓄電池)を使用した場合のライフタイム供給電力量のCO2換算量。
■定量化の範囲:(考え方と合理性)
DCのCFP*は「使用時」以外は同等と設定し、DCの稼働に要する蓄電池からのCO2排出量の差分を対象とした。
【参考】リチウムイオン電池と鉛蓄電池のLCAについて
■活動量:(台)
当社リチウムイオン電池を組み込んだDC向け蓄電システムの年間販売数量。
■活動量1単位あたりの削減貢献量:(最新原単位)
DCにおいて集中型電源を使用した場合と分散型電源を使用した場合の供給電力量の差分にCO2排出係数を乗じる。
■期間:(フロー方式:販売年度にその生涯分の排出量を一括計上)
- 設計寿命
- 期間中、CO2削減効果は持続する。
*CFP(Carbon Footprint of Products):製品・サービス(1単位)が原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出する温室効果ガス排出量のCO2換算値
真空断熱ガラス Glavenir
主な削減対象となる製品ライフステージ
※39 本製品の使用期間における建築物の冷暖房負荷低減によるCO2排出削減
販売地域:日本
■概要:
民生部門や業務部門等の脱炭素化には、建築物の断熱性向上によって室内温度を維持して居住空間やオフィス等における冷暖房負荷を低減することが有効な手段である。特に窓など開口部の熱の出入りは夏の冷房時では73%(流入)、冬の暖房時では58%(流出)を占めている※40。
本製品は薄さと高断熱性を同時達成したことで、既存の建築物の開口部(窓)にもそのまま採用できるため、既存の建築物をはじめ幅広い室内空間に対して適用拡大するポテンシャルを持つ。
■削減貢献メカニズム:
真空断熱ガラスは単板ガラスやLow-E複層ガラスと比較して大きく断熱性に優れる※41。これを建物の窓材に採用することで、空調機器の運転に必要な電力を削減した量のCO2換算値。
真空断熱ガラスの導入有無による住宅の冷暖房エネルギーのCO2排出量とガラスのCFP*の比較
■CO2削減貢献量の算定式:
■ベースライン:(比較対象)
日本の住宅における空間全体の空調運転に消費される電力量のCO2換算値。
本製品導入でリフォーム時は単板ガラス、新築時はLow-E複層ガラスを置き換える設定。
■定量化の範囲:(考え方と合理性)
- 使用時:住宅全体の冷暖房で消費される電力に起因したCO2排出量。
- ガラスのCFP*:真空断熱ガラスのCFP*は単板/Low-E複層ガラスより大きい。
(ただし使用時はガラスからのCO2排出量はゼロ)
真空断熱ガラスと、単板ガラスのCFP*の差は削減貢献量の31%、Low-E複層ガラスの差は同じく19%を占めることから、CFP*の差はカットオフせずに削減貢献量より減ずる。
■活動量:(㎡)
真空断熱ガラスの年間販売量。
■活動量1単位あたりの削減貢献量:(最新原単位)
- 使用時:各ガラス窓ごとに住宅の冷暖房で消費される電力量を算出した差分。
※日本建築学会の標準気象データと冷暖房熱負荷計算ソフトを用いて木造2階建/床面積120㎡の戸建住宅の年間消費電力量を当社でシミュレ―ションして試算。 - ガラスのCFP*:各ガラスごとに日本板硝子協会データより当社算定。
■期間:(フロー方式:販売年度にその生涯分の排出量を計上)
- 真空断熱ガラスの設計寿命。期間中、CO2削減効果は持続する。
- 日本の住宅の寿命は一般的にさらに長いと考えられるため、CO2削減効果は保守的に見積られていると当社判断。
*CFP(Carbon Footprint of Products):製品・サービス(1単位)が原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出する温室効果ガス排出量のCO2換算値
宅配ボックス e-COMBO
主な削減対象となる製品ライフステージ
※44 本製品の使用期間における宅配便輸送によるCO2排出削減
販売地域:日本
■概要:
日本の家庭部門では電子商取引の増加と生活様式変化に伴って不在時間が増えており、宅配便の再配達回数が増えることによって、宅配事業者の物流の負荷量が増加している。
家庭に宅配ボックスを設置することで、再配達が回避され、荷物を受け取る人の煩わしさの解消や宅配事業者の労働時間短縮と、同時に、配達にかかる車の燃料等のエネルギーの消費に伴うCO2排出量が削減され、地域物流網の負荷量軽減と低炭素化に貢献する。
■削減貢献メカニズム:
再配達の回避によって宅配事業者が再配達のために車での移動に用いるエネルギー消費(ガソリンなどの化石燃料の燃焼)のCO2排出量を削減する。
宅配ボックス1台の有無によるCO2排出量
(再配達による宅配事業者の車両からのCO2排出量と宅配ボックス自身のCFP*)
■CO2削減貢献量の算定式:
■ベースライン:(比較対象)
宅配ボックス非設置の住宅で受取人が不在時、宅配便を受け取れなかった場合、宅配事業者が再配達に要する平均エネルギー使用量のCO2換算量。
■定量化の範囲:(考え方と合理性)
使用時(宅配ボックスの使用による宅配事業者の配達にかかる削減貢献量)。
宅配ボックスは使用時の排出量はゼロだが、CFP*全体では削減貢献量に対して20%(当社試算)あり、これは追加的な影響であるため削減貢献量より減ずる。
■活動量:(台)
宅配ボックスの年間販売台数。
■活動量1単位当たりの削減貢献量:(最新原単位)
- 再配達1回あたりのCO2削減貢献量:0.46kg(国土交通省実証データ)
- 再配達回数:当社実証データ
■期間:(フロー方式:販売年度にその生涯分の排出量を計上)
- 宅配ボックスの設計寿命。期間中、CO2削減効果は持続する。
- 本製品は適切な使用やメンテナンスによって耐用年数はさらに伸びることから設計寿命を採用することはCO2削減効果の保守的な見積りであると当社判断。
*CFP(Carbon Footprint of Products):製品・サービス(1単位)が原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出する温室効果ガス排出量のCO2換算値
高濃度セルロースファイバー成形材料 kinari
主な削減対象となる製品ライフステージ
販売地域:日本
■概要:
石油由来のプラスチック(以下、樹脂)の生産量は2020年の4.5億トンから2030年には6.1億トンに増加すると予測※45されているが、リサイクル率は9%※46といわれ、廃棄物循環と脱炭素の観点で課題がある。当社は日本で20年にわたり家電リサイクルを運営し、循環型のモノづくりを進めてきたが、廃家電から手解体で回収する単一樹脂(高純度/高品位)は製品の樹脂使用量の2割にとどまり、機械破砕で回収する混合樹脂(低純度/中品位)の多くは製品に再使用できていない。
この課題解決策の一つである代替材料のバイオ樹脂は、トウモロコシなどを原料とし、食糧生産に影響を与え、機能性にも課題がある。当社の高濃度セルロースファイバー成形材料「kinari」は、間伐材や産廃などの植物資源を原料とする素材で、他の繊維に比べて密度、強度、価格面で優位性がある。kinariは最大85%の濃度でセルロースファイバーを配合し、石油由来の樹脂よりも軽く強く、既存の樹脂成型機を利用できる。kinariの普及により循環経済と脱炭素化に貢献する。
※45 Bioplastics2020-2025(IDTechEx Report)
■削減貢献メカニズム:
kinariを用いた成形品と一般的な石油由来の樹脂成形品とを比較した場合、kinariは原材料調達と成形品廃棄でのCO2削減効果がある。kinariの製造には植物資源の粉砕プロセスが必要※47だが、その影響を考慮してもkinari成形品の方がライフサイクルのCO2排出量が少ない。
石油由来樹脂とkinariのCO2排出量
(成形品同士のCFP*比較)
■CO2削減貢献量の算定式:
■ベースライン:(比較対象)
標準的なポリプロピレン(PP)樹脂成形品のCFP*
■定量化の範囲:(考え方と合理性)
原材料調達、製造、輸送、廃棄の各段階におけるCO2排出量の差分(使用時はゼロ)。
ただし、製造時(共通部)と輸送時はベースラインとkinariは同量(同じ工程)であるため、製造(共通分)、輸送、使用の段階は定量化の範囲に含めない。
■活動量:
kinariの年間販売パック数(1パック25kg)
■活動量1単位あたりの削減貢献量:(最新原単位)
標準的なポリプロピレン樹脂成形品とkinariを用いた成形品がライフサイクル全体において排出するCO2量※49の差分。
※49 SuMPO環境ラベルプログラムに準じた当社算定値。kinari 廃棄時の貯蔵炭素量を考慮
■期間:1回
削減効果を発揮するのは、成形品のライフサイクルで1回。
■2024年度のCO2削減貢献量:11トン
同年度の石油由来プラスチック削減量:2.4トン
*CFP(Carbon Footprint of Products):製品・サービス(1単位)が原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出する温室効果ガス排出量のCO2換算値
削減貢献量の認知・価値化活動
現在のGHGプロトコルは、自社の事業活動に伴うCO2排出量を評価できますが、事業を通じた社会への貢献(機会:ビジネスチャンス)は含まれません。一方、削減貢献量の考え方はありますが、統一基準が未確立、社会の認知度が低いのが実情です。よって、企業の脱炭素貢献が適切に評価される環境を整備することで、そのための企業努力(技術開発・イノベーション)を促進し、カーボンニュートラル社会実現の加速に寄与していく仕組みづくりが必要です。
環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT」(PGI)は自社だけでなく社会全体のCO2排出量削減を対象として目標設定しており、企業の脱炭素貢献を適切に評価する「モノサシ」としての削減貢献量の意義や認知拡大を、同じ志を持つ企業、金融機関などのステークホルダーとともにグローバルに進めることが重要です。そこで、グローバルな基準の統一化・認知拡大・周知に向けて以下の活動を推進中です。
▪標準化活動
■IEC(国際電気標準会議)
2020年9月、IEC規格の標準化活動が日本提案により始まりました。具体的には、新技術(AI、IoT、デジタルツインなど)の削減貢献量の算定、算定方法の要求事項の提供、コミュニケーションと情報開示の要求事項の確立を行い、国際規格番号:IEC63372、タイトル:「電気電子製品およびシステムからの温室効果ガスの排出、排出削減、削減貢献の算定とコミュニケーション-原則、方法、要求事項およびガイダンス」を作成しています。2025年6月には、IEC TC111(電気・電子機器、システムの環境規格)において最終国際規格案が完成され、順調に進めば2025年内にIEC規格として発行される見込みです。当社グループは国際委員としてこの活動に参画し、当社の削減貢献量の算定事例を提案するなど、この標準化活動を推進しています。
■WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)
WBCSDは、持続可能な開発を目指す先進的な企業約200社が加盟するグローバルな組織で、持続可能な社会への移行に貢献するために協働しています。パナソニック ホールディングス(株)はWBCSDが目指す理念に共感し、グループのPGI活動を加速させるためWBCSDに加盟しました。WBCSDでは「削減貢献量ガイダンス」の発行(2023年)に続き、その更新版の検討、業界分野ごとのガイダンスの策定を進めており、当社は積極的に策定に寄与し、WBCSDおよび会員企業と密に連携し、削減貢献量の標準化・普及促進活動に取り組んでいます。
■GXリーグ※50
世界全体のカーボンニュートラル実現に向けて、日本企業が持つ気候変動への貢献の機会面(市場に提供する製品・サービスによる排出削減等)が適切に評価される仕組みを構築することを目的に、当社はGXリーグにおける取り組みの1つである「市場創造のためのルール形成」において、金融機関と連携し「GX経営促進ワーキング・グループ(WG)」のリーダー企業として発足時より参画しています。
当社グループの長期環境ビジョンで活用している、気候関連の機会を評価する開示項目の一つである削減貢献量の認知拡大のため、2022年度に公表されました「気候関連の機会における開示・評価の基本指針」に続き、2023年12月に金融機関による活用事例集を、2024年5月に事業会社による推奨開示仮想事例集を他の策定企業と共同で発行しました。
※50 GXとは、「グリーントランスフォーメーション」の略。2022年2月に経済産業省産業技術環境局が「GXリーグ基本構想」を発表。GXに積極的に取り組む「企業群」が、官・学・金でGXに向けた挑戦を行うプレイヤーとともに、一体として経済社会システム全体の変革のための議論と新たな市場の創造のための実践を行う場として「GXリーグ」を設立。
▪国際的イベントでの削減貢献量の訴求
2022年度の国際イベントでの認知・普及活動の結果、2023年のG7日本において成果文書に明記され、2024年度も継続して認知・価値化活動に取り組んでいます。
COP29(第29回気候変動枠組条約締約国会議)
2024年11月、当社グループはジャパン・パビリオンで開催されたセミナー「産業及び金融分野における削減貢献量の標準化に向けて」にて、削減貢献量の標準化の意義と進捗を紹介しました。また、IECの国際規格(IEC63372)の標準化に取り組んでおり、ISOやWBCSDとも連携していることに言及しました。その上で、削減貢献量の標準化により、政府や金融機関が脱炭素化に貢献する企業を適切に評価し、インセンティブ付与や投資判断に活用できるようになることが期待されます。さらに、COP21で採択された気候目標の達成に向けて、電気・電子業界だけでなく、あらゆる産業界にとって重要であることを強調しました。
CES2025
2025年1月、CES2025のオープニングキーノートにて、「物と心が共に豊かな理想の社会」を実現するために、地球環境問題の解決を最優先事項とし、次世代のために健全な地球環境を守ることを強調しました。また、社会全体での脱炭素化技術の開発とイノベーションを加速させるために、WBCSDと協力し、削減貢献量の重要性を訴えました。