サステナビリティ経営の推進体制

パナソニックグループは、自主責任経営を徹底し、より中長期的な視点で当社事業の競争力を強化するため、事業会社制(持株会社制)を採用しています。各事業会社は、外部環境の変化に応じた迅速な意思決定や事業特性に応じた柔軟な制度設計などを通じて、競争力の大幅な強化に取り組み、持株会社は、競争力KPIを通じてそれを見届けています。また、グループの重要課題については各種委員会などを設け、機動的に具体的施策の議論・方向づけを行い、各事業会社の競争力強化を積極的に支援するほか、グループ全社視点での成長戦略を推進し、グループとしての企業価値向上に努めています。

その中で、サステナビリティ経営の強化に向けては、グループCEOが委員長を務め、委員長から任命を受けた執行役員およびグループ会社の役員等によって構成されるサステナビリティ経営委員会を原則月1回開催しています。同委員会は、取締役会の監督の下、当社グループのサステナビリティに関する重要テーマについての議論・方向付けを行い、グループ経営会議等を通してグループ全体に展開・徹底しています。また、その内容は必要に応じて取締役会においても報告・共有され、グループとしての意思決定につなげています。

このほか、グループDEI 推進委員会およびPHD ERM 委員会など、個別テーマの推進に特化した委員会も設けて課題解決に取り組んでいます。

サステナビリティ経営の推進体制 (2024年8月現在)

マテリアリティ

マテリアリティ特定の目的

「当社財務への影響」「社会への影響」の2つの側面で、サステナビリティに関する重要な機会とリスクをマテリアリティとして特定しています。これらのマテリアリティに対して、新たな事業機会の創出とリスクの低減を図ることで、サステナビリティ経営の向上を図ります。
マテリアリティは、事業環境の変化やステークホルダーとの対話等を踏まえ、適宜見直していきます。

マテリアリティの特定プロセスと位置づけ

社会からの要請や予見される将来課題等のうち、当社グループにとって機会とリスクになり得る課題を抽出。次にこれらについて、当社グループおよびステークホルダーの視点で評価し、11の重要課題を抽出しました。
これらの分析プロセスと抽出した重要課題の妥当性を、社外専門家との対話を通して確認した上で、当社グループのサステナビリティ経営委員会、グループ経営会議、当社取締役会での検討を経て、8つの最重要課題と3つの重要課題からなるマテリアリティを特定しました。
特定したマテリアリティのうち、「地球温暖化進行と資源の枯渇」と「お客様一人ひとりの生涯にわたる健康・安全・快適」は、当社のグループ共通戦略である「環境」と「くらし」の領域におけるお役立ちに対応するものです。この2つの領域において、当社は新しい事業機会を最大限に活用し、持続的な価値創出を目指していきます。一方、それ以外のマテリアリティは、様々なリスクを低減しつつ、持続的に価値を創出していくための経営基盤を構築・強化するためのものです。
これらのマテリアリティに対する取組みのポイントと指標・目標を次頁でまとめています。

(縦)社会への影響の重要度、(横)当社財務への影響の重要度

注:マテリアリティには、リスクマネジメント活動で決定した「グループ重要リスク/ PHD重要戦略リスク」と類似の名称の項目がありますが、目的・特定プロセスが異なるため、対応する取り組みが一部異なっています。
リスクマネジメント活動については、P134をご確認ください。

マテリアリティに対する取り組み事例

ポジティブな影響の拡大  ネガティブな影響の緩和

マテリアリティ

主な取り組み

指標

目標

関連事項の報告

最重要課題

グループ共通戦略

地球温暖化進行と資源の枯渇

Panasonic GREEN IMPACT
環境車向け車載電池、ヒートポンプ式温水暖房機、水素燃料電池の拡大
環境エネルギー技術革新(水電解、ペロブスカイト太陽電池、DERMS)
自社CO2排出量の削減(CO2ゼロ工場拡大、省エネ機器の拡大)
サーキュラーエコノミー型事業・製品の拡大

CO2削減インパクト

3億トン(2050年)

サステナビリティデータブック2024

  • 環境 P9

サステナビリティサイト

全工場CO2排出量

実質ゼロ
(2030年)

廃棄物リサイクル率

99%以上

お客様一人ひとりの生涯にわたる健康・安全・快適

お客様一人ひとりに合った価値をお届けする「くらしのソリューション・プロバイダー」として、お客様との多様なつながりとデジタル技術を掛け合わせて、お客様の生涯にわたる健康・安全・快適へのお役立ちを提供

-

持続的に価値を創出していくための基盤

ビジネスインテグリティ

パナソニックグループ コンプライアンス行動基準、社内規程の理解促進と順守状況の確認、関連法の対応
内部通報制度の周知と適切な運用
当社知的財産の保護・活用と第三者の知的財産の尊重

重大なコンプライアンス違反の発生

0件

サステナビリティデータブック2024

  • 企業倫理 P142
  • 知的財産 P124

自社のサプライチェーンマネジメント

サプライチェーンのムダ・滞留の撲滅
購入先複線化、製造拠点見直しを推進し、サプライチェーンを強靭化

サステナビリティデータブック2024

  • リスクマネジメント P134

社員のウェルビーイング

安全・安心・健康な職場環境づくり(安全・コンプライアンスの徹底、健康経営の推進)
自発的な挑戦意欲と自律したキャリア形成を支援
(能力開発や挑戦の機会創出、働き方の選択肢拡大、公募によるグループ内人材交流)
Diversity、Equity & Inclusionを推進
(トップコミットメント、インクルーシブな職場環境づくり、一人ひとりへのサポート)

重篤災害・重大災害の発生

0件

サステナビリティデータブック2024

  • 社員のウェルビーイング P81

「従業員意識調査」の社員エンゲージメント/社員を活かす環境

グローバル
最高水準

コーポレート・ガバナンス

取締役会実効性評価を実施し改善施策に取り組む
株主との建設的な対話を促進
非財務KPIの役員報酬連動

株主との建設的な対話の充実

実施

取締役会実効性評価の実施と改善施策への取組み

実施

PHD取締役会の社外取締役比率

1/3以上

業績連動型役員報酬における非財務指標の採用

実施

人権の尊重

「パナソニックグループ人権・労働方針」の整備と当社グループ内での徹底
当社グループおよびそのバリュー・チェーンにおける、グローバルスタンダ ードに基づいた人権デュー・ディリジェンスの推進
ステークホルダーとのエンゲージメントの推進、情報の適切な開示

当社グループ各社に対する人権デュー・ディリジェンスにおいて特定された、強制労働につながり得る課題の是正推進

実施

サステナビリティデータブック2024

  • 人権の尊重 P74
  • 責任ある調達活動 P105
  • AI倫理 P115

外国人移住労働者を雇用する当社グループ拠点に対する、強制労働防止に向けた研修実施率

100%

サイバーセキュリティ

製造・情報システム・製品の各分野のサイバーセキュリティの共通機能を一元化し、平時の対策と有事のインシデント対応を強化
サプライチェーンを含めたサイバーセキュリティ対策へ段階的に対象範囲を拡大

セキュリティ意識の向上と行動変容を促進するための全従業員向けの教育・訓練の実施

年4回以上

サステナビリティデータブック2024

  • サイバーセキュリティ・データ保護 P148

専門チームによる脅威情報・脆弱性情報の定常的な収集・監視と、必要に応じた対応

実施

サイバー攻撃を想定した専門チームによるインシデント対応訓練の実施

年1回以上

重大インシデント発生件数

0件

重要課題

地政学リスクへの備え

国際情勢や各国・各地域の政策・法規制の動向監視による、当社グループ事業への影響の把握および適時の対応
各国の経済安全保障政策等に起因する事業環境の変化について、事業への脅威と機会の側面で注視・対応

サステナビリティデータブック2024

  • リスクマネジメント P134

感染症・パンデミックへの備え

各国の政府方針、規制動向・感染状況分析などを踏まえ、国ごとのグループ方針を策定、各事業場で詳細ルールを設定、実施

自然災害への備え

平時の備蓄・訓練の充実と安否確認体制の構築
有事の際のグループ緊急対策本部体制の構築

法令順守、国際基準等の支持

当社グループは、適用される法令の順守に加え、以下のグローバルスタンダードの規格や規範、ガイドライン、各種イニシアティブを踏まえて、事業を展開しています。2022年1月には、国連グローバル・コンパクトに署名しました。

これらの考え方は、事業活動の指針となる「経営基本方針」「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」にも反映しています。

OECD 多国籍企業行動指針、ISO26000、国連 グローバル・コンパクト、RBA (レスポンシブル・ビジネス・アライアンス)の行動規範、経団連 企業行動憲章、グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)スタンダード、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)、RE100、Race To Zero、世界人権宣言、ILO 中核的労働基準、国連 ビジネスと人権指導原則

ステークホルダーエンゲージメント

当社グループは、世界中の幅広いステークホルダーと多様な対話を事業の様々な段階で実施しています。いただいたご意見は事業活動や商品づくりに取り入れています。

主なステークホルダー パナソニックグループ:「お客様」「株主・投資家様」「政府」「NPO / NGO」「従業員」「地域社会」「業界団体」「購入先様」

ステークホルダーエンゲージメントの例:

お客様

営業活動、ウェブサイト、お客様ご相談センター/コールセンター、等
ご参考)サステナビリティデータブック>「お客様対応」 P117

株主・投資家様

株主総会、決算説明会、戦略説明会、グループ/個別ミーティング、等

購入先様

調達活動、パートナーズミーティング、CSR自主アセスメント、購入先監査、等
ご参考)サステナビリティデータブック>「責任ある調達活動」 P105

従業員

従業員意識調査、各種トップメッセージ発信、対話会/交流イベント、イントラネット・社内SNS、等
ご参考)サステナビリティデータブック>「社員のウェルビーイング」 P81

政府、業界団体

財界・業界団体への参加、国際機関・政府へのロビー活動、等
ご参考)サステナビリティデータブック>「環境」削減貢献量の認知・価値化活動 P21
サステナビリティデータブック>「人権の尊重」国際・業界連携の取り組み P80