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エコで東日本大震災からの復興をサポート
2011年3月11日に発生した東日本大震災から4年。パナソニックは持続可能で安心・快適・エコな街づくりなど、被災地の復興への「お役立ち」を目的とする、事業やCSR活動を展開しています。
復興支援は「企業の使命」
パナソニックでは「東北復興ソリューション」を、全社を挙げたコーポレートプロジェクトと位置付けています。被災地の住宅再建や新しい街づくり、産業の再生などに貢献するためには、グループ内の関連部門が連携した、中・長期的な活動が重要だからです。プロジェクトを統括する酒井克郎は、「案件によっては、5年・10年のスパンでの『お役立ち』が必要。それでも、復興支援を通じて社会的責任を果たすことは、企業の使命です」と語ります。
プロジェクトの重点施策は、国・自治体の復興計画や被災地の現状を踏まえた、パナソニックならではのソリューションの提供です。また、被災地の復興を目的とするコンソーシアムへの参画、CSR活動なども展開しています。これらを実践する中では、太陽光発電システムHIT、蓄電池、HEMS、省エネ家電など、パナソニックの環境配慮型商品やシステム、技術が大きな役割を果たしています。
太陽光発電と蓄電池が防災機能とエコを両立
東日本大震災を受けて、環境省は災害に強く環境負荷の小さい地域づくりを目的とする、「再生可能エネルギー等導入推進基金事業(グリーンニューディール基金制度)」を設立しました。この制度を活用した被災地では、学校や公共施設といった防災拠点となる場所に、太陽光発電や蓄電システムなどの再生可能エネルギーを導入。高出力・高変換効率で耐久性に優れるパナソニックのHITと、屋外・低温環境下の設置や、既設の太陽電池との連携が可能なリチウムイオン蓄電池を活用した創蓄連携システムも、多くの市町村で採用いただいています。
その一例が、宮城県涌谷町の町民医療福祉センターです。HITが出力するエネルギーは、センターの日常運営で活用される一方、蓄電池に充電されます。災害で停電した場合は、負傷者の収容や災害対策本部として使われる研修ホールに電力を供給。防災拠点として機能する計画となっています。
停電時は頼もしく、環境にも優しい沿岸津波監視システム
地震後の津波で、市街地の65%が浸水した宮城県東松島市。停電により防災システムが停止したことを踏まえパナソニックが構築したのが、完全独立電源型の沿岸津波監視システムです。
このシステムは、HITが発電して蓄電池に充電した電力で、ネットワークカメラを常時稼動。停電時も市内3カ所の海岸に設置したカメラは稼動し続け、市役所の災害対策本部へ映像を無線で送信するので、津波の状況を逐次把握できます。
平常時は、商用電源を使わずエコ。今後、釣り人や遊泳の監視、WiFiでの気象・観光情報の提供など、幅広い活用が検討されています。
新構造材の実用化で産業振興と省エネ
通常の木質構造材よりも蓄熱・断熱性や耐久性、施工性に優れ、欧米を中心に普及が進むCLT(直交集成板)。日本でも、国産CLTを用いた建築物の設計法を確立する方針が閣議決定されています。
CLTの実用化は、林業が主要産業の一つである東北地方の振興につながります。そこでパナソニックは、福島県CLT推進協議会や芝浦工業大学などと協働して、CLT実験棟の蓄熱・断熱性能や、エアコン空調時のエネルギー消費量を計測。CLT建築物の省エネ性を評価し、エアコンを使った冷暖房で、1年中エコで快適な空間が実現する点も検証しました。
これらの結果を踏まえ建築された、東日本初のCLT共同住宅が、今年2月に福島県湯川村で完成。パナソニックの環境配慮商品やシステム、住宅設備も多数採用され、エコとデザイン性を高めています。
次世代育成と高齢者の暮らしをエコでサポート
東北復興ソリューションプロジェクトは、復興を担う子どもたちの育成と、高齢者の元気な暮らしを支援するCSR活動を推進。2014年度に40回以上開催されたプログラムには、環境に関連するものも多く、LEDの特長や仕組みを学び、年齢を問わずオリジナルのランプ作りを楽しめる「LED工作教室」は、その一例です。小学校などでは「出前授業」を開催。白熱電球と蛍光灯、LEDを使った実験で省エネを学ぶ「あかりのエコ教室」や、家電の進化や環境配慮型商品について学び、自身で行う環境取り組みを考える「エコ・モノ語(がたり)」を実施しています。また、太陽電池と乾電池で走るハイブリッドカーの工作教室も開いています。
その他、労使共催ボランティアによる仮設住宅の訪問では、換気扇の掃除やランプの交換など、快適でエコな生活のお手伝いが喜ばれています。