サスティナビリティFILES:
スーパーGPの普及促進で新たなトレンドを創出
パナソニックは、商品・サービスが環境に与える影響を企画・設計段階から事前評価する「製品環境アセスメント」をもとに、環境性能を向上させています。当社の従来製品や他社の同一カテゴリー商品より環境性能に優れた商品は、「グリーンプロダクツ(GP)」と定義しています。さらに、「GP」の中でも持続可能な社会への転換を推進する商品を「戦略GP」、そのうち新しいトレンドの創出が期待される商品を「スーパーGP」として認定。2002年度に「スーパーGP」制度が導入されて以来、2013年度までに14商品が認定されています。
2014年度のスーパーGPには、下記の3商品が選ばれました。認定式に出席した、開発・販売など事業部門の代表者の声と共に紹介します。
新型アラウーノ:省エネ・節水で清潔なトイレ空間を
2006年12月に発売した「アラウーノ」は、有機ガラス系の新素材を本体に採用することで、衛生陶器の課題だった水垢のこびりつきを解決。清潔に使え掃除がしやすい点が特長です。2014年6月には、環境性能と清潔さをさらに進化させた「新型アラウーノ」を発売しました。
環境配慮面では、使用時だけすぐに便座を温める「あったか即暖便座」、使う瞬間に洗浄水を温める「瞬間湯わかし方式」、人の入室や着座、室温をセンサーで感知して運転をコントロールする「エコナビ」などにより、業界トップクラス※1の省エネ性能を達成。少ない水で溜め水を一気に排出する「ターントラップ方式」で、大幅な節水も実現しています。約20年前のトイレと比べ、節電で年間約6,000円、節水で約14,000円の節約が見込めます。
また、清潔さを重視した商品設計は、環境配慮にも大きく貢献しています。有機ガラス系の新素材や汚れても掃除がしやすい形状の採用に加え、汚れの「ハネ・タレ・モレ」を防止する「トリプル汚れガード」を新たに搭載しました。これらはお手入れの手間だけでなく、使用する洗剤や水の削減も実現しています。
※1 資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ」より
「便器は陶器でできている」という常識を覆し、パナソニックの技術を結集した「アラウーノ」は、累計販売台数100万台達成が間近に迫るまでになりました。
「新型アラウーノ」は、「全国のトイレ空間を清潔に」を目指して実現したお手入れの簡便性と、節電・節水といった環境性能を進化させた商品として、大変好評をいただいています。有機ガラス系の素材でできているため、廃棄時にサーマルリサイクルが陶器製の便器より容易で、埋め立て量が少なくなる点も特長です。さらに、本体が軽量で、輸送時のCO2削減にも貢献しています。
日本のトイレを「ハレ」の空間にするだけでなく、それを世界中のお客様にお届けできるよう、今後も地球環境と人々の暮らしに優しい商品と、住空間の提案に取り組みます。
太陽電池モジュール「HIT」※2:「性能向上」を訴求してクリーンエネルギーをお届け
太陽光発電は、発電時に化石燃料を使用せずCO2や排気ガス、燃えカスなどを排出しない、クリーンな発電方法です。パナソニックは、太陽電池モジュール「HIT」を、代表的な環境配慮型商品の一つに位置付けています。2014年には、ハイエンドモデルの「HIT」 250αでセル変換効率22.5%を達成、発電量をさらに高めることに成功しました。
1997年に生産を開始した「HIT」は、シリコン基板表面を非晶質シリコン層で覆うことで電荷の消失を低減する「ヘテロ接合型セル」を実装し、かつ、高性能モジュール技術を用いることで、高変換効率・高発電量を実現しています。「HIT」 250αでは、セル内の各種の損失の低減に成功し、さらなる性能向上を実現しています。これらにより、「HIT」は面積あたりでもシステム容量(kW)あたりでも、業界トップクラスの発電量を達成しました。
※2 「HIT」はパナソニックグループの登録商標です。
「HIT」で環境貢献を進めるには、1枚の太陽電池モジュールから多くの電気を生み出す「性能向上」だけでなく、より多くお客様に使っていただく、すなわち、「普及促進」がポイントです。今回、新規技術により「HIT」が誇る世界トップクラスの発電量をさらに向上させただけでなく、技術者自らが販促媒体にて「HIT」の実力を訴求したり、製造工程も含めた工場見学を通して「HIT」の高品質を販売店様に体感していただくなど、開発・製造・販売部門が一体となり、販促活動にも努めました。
「性能向上」「普及促進」の両方に注力した結果、国内の住宅用太陽光発電における占有率を大幅に拡大、より多くのお客様に「HIT」をお使いいただけるようになりました。2014年度に販売した「HIT」が生み出すクリーンエネルギーは、年間でドラム缶約100万本の原油節約に相当します。今後、さらなる高効率化を目指した技術開発と共に、省資源・省エネルギーを意識したモノづくりで、より環境貢献度の高い「HIT」を提供してまいります。
電動フォークリフト用 組電池システム:環境負荷削減と省メンテナンスを両立
近年、建設機械や産業車両では自動車と同様に排出ガス規制が強化され、フォークリフト市場でも従来のエンジンフォークリフトに代わり電動フォークリフトの需要が高まっています。一方、「液式鉛蓄電池」を電源としていた従来の電動フォークリフトは、急速充電や連続稼動の面で課題がありました。また、電池性能や安全性能を確保するため、電解液を定期的に補充しなくてはならないという煩雑さもありました。
パナソニックが2014年に製品化に成功したEV鉛蓄電池「電動フォークリフト用 組電池システム」は、内蔵する単電池(セル)の正極・負極板の枚数を増やすと共に、格子加工を細密にすることで導電性を向上、急速充電を可能としました。また、電池の充電を制御するため搭載していた「電源コントローラ」に代わり、内部の温度の均一化・冷却を促進する新構造や、電池に優しい充電制御アルゴリズムを採用することで、電池寿命を約1.5倍※3に向上しました。さらに、充電中に内部の電解液がほとんど減らないため、補水忘れによる電池の劣化の心配もなくしています。
※3 パナソニック ストレージバッテリー(株)調べ、試験温度:25℃、放電20A/DOD80%
組電池システムの開発に当たり、フォークリフトメーカー様の開発メンバーと密に連携、現場・現物で評価と改善を繰り返しました。こうした苦労の末に実現した、「作業現場での排出ガスゼロ」「CO2排出の大幅削減」という環境配慮、「エンジンフォークリフトに迫る稼動時間」「補水不要」という利便性、「運用コストの低減」といった経済性、「充電時の水素ガス発生40%低減」※4といった安全性は、お客様に大変喜ばれています。今回開発した組電池システム技術を、建機など他の産業車両の電動化にも積極的に提案することで、CO2削減をはじめとする環境負荷低減に、さらに貢献していきます。
※4 パナソニック ストレージバッテリー(株)調べ、試験時の過充電量から推定。