【オンライン出前授業レポート~東京都立千早高等学校】
Q&Aタイムを拡大し「知的財産」に特化した授業にアレンジ
新型コロナ感染症予防及びGIGAスクール構想実現に向けた動きが加速する中、「私の行き方発見プログラム」は、2020年8月下旬よりオンラインによる出前授業を開始し、2020年12月25日現在、25の学校でオンライン授業を実施しました。
「パワーアップ情報ファイル」12月号では、2020年10月29日に行った東京都立千早高等学校でのオンライン出前授業について紹介します。
専門性に特化した授業のポイント
【ポイント1】「私の仕事」パートを拡大し、専門性の高い説明を付加
【ポイント2】Q&Aタイムを延長し、受講生全員の質問に回答
「私の行き方発見プログラム」の出前授業は、「自分の今を大切にすることが未来につながる」をテーマにしたキャリア教育プログラムです。講師を務めるのは、「研究開発」、「製造」、「営業」、「人事」といったパナソニックの様々な専門分野に所属している現役社員で、通常は、中学生を対象に授業を行っています。
今回は、社員講師の仕事の専門性に特化した「特別版」として、パナソニックIPマネジメント株式会社、知的財産部門の青木久枝さん、特別講師として鎌田健司さんの二人を迎え、東京都立千早高等学校のビジネスコミュニティデザインのサークル活動である千早ビジネスプロジェクトで「知的財産」の普及活動を行っているチームIPのみなさんを対象に「私の行き方発見プログラム」オンライン授業を実施しました。
今回は、社員講師の仕事の専門性に特化した「特別版」として、パナソニックIPマネジメント株式会社、知的財産部門の青木久枝さん、特別講師として鎌田健司さんの二人を迎え、東京都立千早高等学校のビジネスコミュニティデザインのサークル活動である千早ビジネスプロジェクトで「知的財産」の普及活動を行っているチームIPのみなさんを対象に「私の行き方発見プログラム」オンライン授業を実施しました。
■授業概要
- 日時:2020年10月29日(木)16:20~17:30(70分間)
- 場所:東京都立千早高等学校
- 受講生:千早ビジネスプロジェクト チームIP(高校1~3年生 11名)
- 講師:パナソニックIPマネジメント株式会社 知的財産部門 青木久枝さん
- 特別講師:パナソニックIPマネジメント株式会社 知的財産部門 鎌田健司さん
- 接続ツール:Web会議システム(zoom)
■授業の流れ
ポイント① 「私の仕事」パートを拡大し、専門性の高い説明を付加
「知的財産」部門とは、技術を守る「特許権」、ブランドを守る「商標権」、デザインを守る「意匠権」などを取り扱う仕事・役割です。 今回受講した東京都立千早高等学校の生徒のみなさんは、ビジネスの授業を通じて「知的財産」の権利を守ることに興味を持ち、専門機関であるWIPO(世界知的所有権機関)や一般社団法人発明推進協会、また特許庁などと連携し、IP(Intellectuai Propety=知的財産)教育の重要さを同年代の若者に普及する活動を行っています。今年度は、同じ高校生を対象に知的財産学習講座を開催しました。
受講生はこれまでにも様々な専門機関、企業の方々から話を聞き、学習していることから、「知的財産」の基本的な考え方からパナソニックの企業としての取り組みや事例等までを話して欲しいという要望があり、基本の授業構成を一部変更し、より専門性の高い内容にアレンジしました。
〇講師の青木さんは「商標権」のスペシャリストです。「私の仕事」パートでは、まず、自身が制作に携わったアイロンとバリカンの模倣品に注意喚起を促す動画が紹介されました。
※画像をクリックすると視聴することができます。
動画の後、模倣品の実物をカメラの前に提示し、詳しい説明を加える青木さん
〇続いて、実際に現地に赴き模倣品撲滅の必要性を理解してもらうため警察署等で説明を行ったミャンマーでの事例、日本政府や他の企業と連携し現地政府等に模倣品の取り締まりや改善要望を行ったタイでの事例、また、パキスタンで偽物を作る工場を摘発したときの事例など、自身の体験を基にした具体的な取り組みの説明がありました。
また、模倣品対策の取り組みは、よりよい社会を築いていくための活動であり、SDGsの取り組みと関連していることが話されました。
また、模倣品対策の取り組みは、よりよい社会を築いていくための活動であり、SDGsの取り組みと関連していることが話されました。
〇パナソニックの模倣対策をまとめたスライドでは、「知的財産」を守ることには、お客様の「安全」を守ること、事業の「利益」を守ること、ブランドの「価値」を守ること、「社会貢献」につながることなど4つの意味があることなどが紹介されました。
「模倣品対策強化」はSDGs実現に向けた最優先課題のひとつであることが、2019年6月の政府のSDGs推進本部で決定されました。
※経済産業省「模倣品対策とSDGs」
ポイント② Q&Aタイムを延長し、受講生全員の質問に回答
〇通常授業での「Q&Aタイム」は6分程度を想定しています。今回は、この枠を30分に拡大し、受講生全員から質問を受け付ける形式としました。
〇質疑応答の時間をより充実したものにするため、「知的財産」に関する質問を事前に提出していただきました。
〇当日は、生徒一人ひとりがカメラの前で質問を行い、講師の青木さんと特別講師の鎌田さんが、それぞれ専門分野の観点から回答をしていきます。
〇受講生からは、パナソニックとして前年に出願した「知的財産」の件数に関する質問や、取り扱っている「知的財産」の種類に関する質問、ロゴマークに関する質問など、様々な質問が寄せられました。
〇「若者向けの知的財産教育は必要だと思いますか」という質問には、青木さんから「知的財産権が守られない世界はどういうものだと思いますか?」という問いかけがありました。
知的財産権が守られず、粗悪な偽物や模倣品が横行してしまう世界では、使用するお客様の安全性が脅かされてしまう懸念があります。また、模倣品はテロリストの収入源になったり、貧困を余儀なくされている地域の子供たちが不法に労働させられていることにもつながってもいます。今後、よりよい社会にしていくためには、知的財産権を守ることが大切であること、それには、中学生、高校生のような若い世代が率先して教育活動を行うことが重要になってくること等が訴えられました。受講生たちは熱心にメモを取り、講師の話に耳を傾けました。
知的財産権が守られず、粗悪な偽物や模倣品が横行してしまう世界では、使用するお客様の安全性が脅かされてしまう懸念があります。また、模倣品はテロリストの収入源になったり、貧困を余儀なくされている地域の子供たちが不法に労働させられていることにもつながってもいます。今後、よりよい社会にしていくためには、知的財産権を守ることが大切であること、それには、中学生、高校生のような若い世代が率先して教育活動を行うことが重要になってくること等が訴えられました。受講生たちは熱心にメモを取り、講師の話に耳を傾けました。
〇他の受講生からは、パナソニックで新型コロナウイルス対策として知的財産権を無償解放していることに関する質問がありました。
この質問には、特許のスペシャリストである鎌田さんから、例えば新型コロナウイルスの診断や検知に関する技術などは、コロナで困っている人たちに役立てていただきたいため、期間限定で特許を無償で解放していると回答がありました。
一方、新型コロナの影響で空気洗浄機等は非常に需要が高まり、模倣品が多く作られるようになったが、それらのほとんどは粗悪品で危険性が高い。お客様の安全のためにもパナソニックの商標権に関しては解放していないとの説明が加えられました。
この質問には、特許のスペシャリストである鎌田さんから、例えば新型コロナウイルスの診断や検知に関する技術などは、コロナで困っている人たちに役立てていただきたいため、期間限定で特許を無償で解放していると回答がありました。
一方、新型コロナの影響で空気洗浄機等は非常に需要が高まり、模倣品が多く作られるようになったが、それらのほとんどは粗悪品で危険性が高い。お客様の安全のためにもパナソニックの商標権に関しては解放していないとの説明が加えられました。
生徒一人ひとりがカメラに向かい各々の質問をしました
〇最後に、チームIPを引率していている親泊先生から、今日お話しのあったパナソニックの取り組み等を参考にし、「知的財産」を守ることの重要さを若い世代に普及する活動を更に進めていきたいとの言葉がありました。
今回の「私の行き方発見プログラム」オンライン出前授業は、「知的財産」に特化した特別編として実施しました。 実施校のニーズに合わせ、様々な分野の人材を有するパナソニック社員講師の専門性をいかした授業を行うことは、より密度の高いキャリア教育につながっていく可能性を測るテストケースになったと言えます。
また、受講生のほとんどは教室に集合し授業を受けましたが、別拠点から参加した生徒もいました。そのうちの一人はオーストラリアからの参加で、離れた場所からでも受講できるオンライン授業ならではの広がりを感じることができました。
現在、GIGAスクール構想完了予定の前倒しにより、児童・生徒一人一端末所持、学校ネットワーク環境の整備が急ピッチで進められています。それに合わせ、ICT教材の充実やオンライン授業の多様化等が必要となってくることが予想されます。
「私の行き方発見プログラム」は、これまで培ってきた経験に加え、今回のような新たな取り組みを適宜取り入れながら、学校現場のニーズに合った内容の充実、より深い学びが可能なプログラムづくりに努めてまいります。
また、受講生のほとんどは教室に集合し授業を受けましたが、別拠点から参加した生徒もいました。そのうちの一人はオーストラリアからの参加で、離れた場所からでも受講できるオンライン授業ならではの広がりを感じることができました。
現在、GIGAスクール構想完了予定の前倒しにより、児童・生徒一人一端末所持、学校ネットワーク環境の整備が急ピッチで進められています。それに合わせ、ICT教材の充実やオンライン授業の多様化等が必要となってくることが予想されます。
「私の行き方発見プログラム」は、これまで培ってきた経験に加え、今回のような新たな取り組みを適宜取り入れながら、学校現場のニーズに合った内容の充実、より深い学びが可能なプログラムづくりに努めてまいります。
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