【調査レポート】
2020年度プログラム実施校アンケート結果のポイント
9割以上の先生が「生徒が進路を考えるきっかけになった」と回答
2020年度『私の行き方発見プログラム』は、新型コロナウイルス感染症拡大防止等の観点から、40校をオンライン型の出前授業に切り替え、従来の訪問型で実施した8校と合わせ、2020年3月26日までに48の学校で出前授業を実施いたしました(今後さらに2校実施予定)。また、昨年度より1校多い203校で教材提供を活用していただきました。
パワーアップ情報ファイル3月号では、活用いただいた学校の先生、生徒のみなさんに協力していただいたアンケート結果(中間集計)のポイントを紹介します。今後のキャリア教育の実践や進路指導等の一助になれば幸いです。
また、2021年度『私の行き方発見プログラム』の募集開始は4月中旬を予定しています。ぜひ活用をご検討いただきますようお願いいたします。
出前授業アンケート結果のポイント
【ポイント1】「社会における問題の解決に関わりたいと思う」が8ポイント増加
【ポイント2】「学校での勉強・活動が将来役に立つ」の回答がアップ
【ポイント3】「持続可能な開発目標(SDGs)」への関心が向上
【ポイント4】 出前授業のワークシートが「キャリア・パスポート」の一つとして
活用できると評価した先生が93%
【ポイント5】「生徒が進路を考えるきっかけになった」と92%の先生が回答
【調査の概要】回答校数(回答者数)2021年1月末現在
- 事前アンケート(授業前約1か月)・・・・・46校(生徒5,057名、教師219名)
- 事後アンケート(授業後1週間程度)・・・・ 37校(生徒4,101名、教員162名)
- 3か月後アンケート(授業後3か月程度)・・12校(生徒1,224名、教員 51名)
【ポイント1】「社会における問題の解決に関わりたいと思う」が8ポイント増加
Q1.社会をよりよくするため、社会における問題の解決に関わりたいと思いますか?
(調査対象:生徒 事前:n=5,057、事後①:n=4,101)
〇出前授業の前後で「社会をよりよくするため、社会における問題の解決に関わりたいと思うか」を尋ねたところ、「そう思う」と回答した生徒が21%から29%へ8ポイント増加しました。
【ポイント2】「学校での勉強・活動が将来役に立つ」の回答がアップ
Q2.学校での勉強やいろいろな活動(部活動、生徒会活動他)は、将来、仕事に就いたときに役に立つと思います
か? (調査対象:生徒 事前:n=5,057、事後①:n=4,101)
〇学校での勉強やいろいろな活動が将来「とても役に立つ」「ある程度は役に立つ」と回答した生徒が85%から
89%へ4ポイントアップしました。この結果は、出前授業のテーマである「自分の『今』が『未来』につながる」と合致しています。
Q3.具体的には、どのような勉強や活動が役に立つと思いますか?
(調査対象:生徒 事前:n=5,057、事後①:n=4,101)
〇「具体的にはどのような勉強や活動が役に立つと思うか」を訊いた設問では、授業後「国語」と回答した生徒が最も多く64%でした。授業の前後で伸び率が高かった勉強・活動は「国語」で12ポイントアップ、2番目に高かったのは「部活動」の9ポイントアップ、3番目は「数学」で7ポイントアップでした。これらは、出前授業の中で「学校での勉強・活動が仕事に役に立った事例」として取り上げた勉強・活動と一致しており、出前授業の影響が顕著に示された結果と言えるでしょう。
(勉強・活動が役立った事例スライドの一部)
【ポイント3】「持続可能な開発目標(SDGs)」への関心が向上
Q4.「持続可能な開発目標(SDGs)」という言葉を知っていますか?
(調査対象:生徒 事前:n=5,057)
Q5.授業の中で説明のあった「持続可能な開発目標(SDGs)」への関心が高まりましたか?
(調査対象:生徒 事後①:n=4,107)
〇今回の出前授業では、持続可能な開発目標(SDGs)に関する取り組み等について紹介しています。事前の調査では、「SDGs」という言葉を「まったく知らない」と回答した生徒が36%もいましたが、事後の調査では「かなり高まった」が23%、「少しは高まった」が62%、合わせて85%もの生徒が「関心が高まった」と回答しました。
(SDGsに関連した出前授業スライドの一部)
【ポイント4】出前授業のワークシートが「キャリア・パスポート」の一つとして活用できると
評価した先生が93%
Q6.今回、ワークタイムで使ったワークシートは、「キャリア・パスポート」のポートフォリオの一つとして活用
できると思いますか?(調査対象:教師 事後①:n=162)
〇2020年度4月に「キャリア・パスポート」が全面導入されたことをうけ、今年度、出前授業の最後に実施されるワークタイム(15分程度)の内容を、文部科学省が示した「キャリア・パスポート(例示資料)」で、中学2年生の学期末の課題例の一つとして取り上げられているテーマである『15年後のなりたい自分』に設定しました。さらに、活用する「ワークシート」についても、前述のキャリア・パスポート例示資料を参考に、「先生からのメッセージ」と「メッセージを読んで気づいたこと」を記入する欄を新たに設けました。
教師対象事後調査で、ワークタイムに使用したワークシートは「キャリア・パスポート」のポートフォリオの一つとして活用できるかを尋ねたところ、「十分に活用できる」との回答が28%、「ある程度活用できる」の65%と合わせ、93%の先生から「活用できる」と評価をいただきました。
【ポイント5】生徒が進路を考える「きっかけになった」と92%の先生が回答
Q7.先生の目から見て、生徒たちは、「自分のこれからの進路」について考えていると思いますか?
(調査対象:教師 事前:n=219)
Q8.今回の出前授業は、生徒たちが「自分のこれからの進路」について考えるきっかけになったと思いますか?
(調査対象:教師 事後①:n=162)
〇実施前は生徒たちは自分のこれからの進路について「あまり考えていないと思う(45%)」「まったく考えていないと思う(2%)と回答しましたが、実施後は61%の先生が、生徒が進路について考える「きっかけになった」と回答。「どちらかといえばきっかけになった」の32%と合わせ、92%の先生からプログラムを活用したことで、生徒が進路を考えるきっかけになったと評価をいただきました。
出前授業を活用していただいた先生、生徒のみなさんからいただいたコメント
- 講師が自分の仕事に誇りをもっているといっていたので自分もそうなりたいと思った。(生徒)
- 今勉強していることが将来に役に立つと今まで実感できなくて、今回の授業で実際に役立っている人の経験話を聞けた。(生徒)
- 同級生の発表でみんなしっかり考えていて自分も考えるべきと思った。(生徒)
- 講師が部活での経験も必要だと言っていたので、もっと部活をやって将来の役に立てることを考えてみたいと思った。(生徒)
- 生徒全員にわかりやすく話していただきありがとうございました。講師の方とのやり取りもあり、臨場感のある授業でした。生徒が楽しそうに参加していて、私たち教員も嬉しくなりました。(教師)
- 出前授業を受けてから、前向きに将来のことを考え、今できることをしっかり取り組んでいきたい、意欲がわいた、という生徒が多く、良い刺激を受けたようです。(教師)
教材提供アンケート結果のポイント
【ポイント1】「社会をよりよくするため、社会における問題の解決に関わりたいと思う」 と回答した生徒が6ポイント増加
【ポイント2】96%の生徒がプログラムの内容を「理解できた」と回答
~ワークシートや教材が「使いやすかった」との回答は95%
【ポイント3】プログラム活用率が昨年度より大幅アップ
【ポイント4】96%の先生が、生徒が進路を考える「きっかけになった」と回答
【調査の概要】回答校数(回答者数)2021年2月末現在
- 事前アンケート(授業前約1か月)・・・・38校(生徒4,414名、教員190名)
- 事後アンケート(授業後1週間程度)・・・38校(生徒4,260名 教員173名)
【ポイント1】「社会における問題の解決に関わりたいと思う」
と回答した生徒が6ポイント増加
Q1.社会をよりよくするため、社会における問題の解決に関わりたいと思いますか?
(調査対象:生徒 事前:n=4,414、事後①:n=4,260)
〇出前授業の前後で「社会をよりよくするため、社会における問題の解決に関わりたいと思うか」を尋ねたところ、「そう思う」と回答した生徒が20%から26%へ6ポイント増加しました。
【ポイント2】96%の生徒がプログラムの内容を「理解できた」と回答
~ワークシートや教材が「使いやすかった」との回答は95%
Q2.プログラムの内容は理解できました?
(調査対象:生徒 事後①:n=4,260)
Q3.プログラムごとに用意された「ワークシート」や「教材(役割カード、 工程シート、エピソードシート)」
は使いやすかったですか? (調査対象:生徒 事後①:n=4,260)
〇プログラムの内容が「よく理解できた」生徒は37%、「ある程度理解できた」生徒は59%で、96%の生徒が「理解できた」と回答しました。
また、プログラムごとに用意された「ワークシート」や「教材(役割カード、工程カード、エピソードシート)」は「とても使いやすかった」が42%、「まあまあ使いやすかった」が52%で、合わせて94%の生徒が教材は使いやすかったと回答しました。
【ポイント3】プログラム活用率が昨年度より大幅アップ
Q4.実際に活用したプログラムは何ですか?
(対象:教師 2019年度事後:n=190、2020年度事後 n=173)
〇実際に活用したプログラムを尋ねたところ、「プログラム①会社の役割発見」が91%、「プログラム②職業と能力の関係発見」が86%でした。昨年度の同様の調査と比較すると、「プログラム④自分の“行き方”発見」が36ポイントもアップしたのをはじめ、今年度はどのプログラムについても昨年度より多く活用していただきました。
その理由の一つとして、新型コロナ感染症の影響で職場体験が中止になった学校が多く見られたことを挙げることができると思います。先生からは「職場体験学習がコロナによって中止になったので、今回の学習は本当に意義あるものになった」「職場体験以外でもキャリア教育ができることが分かった」などの意見をいただきました。
【ポイント4】96%の先生が、生徒が進路を考える「きっかけになった」と回答
Q5.事前:先生の目から見て、生徒たちは、「自分のこれからの進路」について考えていると思いますか?
(調査対象:教師 事前:n=190、事後①:n=173)
Q6.事後:プログラムを活用したことは、生徒たちが「自分のこれからの進路」について考えるきっかけになった
と思いますか?(調査対象:教師 事前:n=190、事後①:n=173)
〇実施前は47%の先生が、生徒たちは自分のこれからの進路について「あまり考えていないと思う(45%)」「まったく考えていないと思う(2%)と回答しましたが、実施後は65%の先生が、生徒が進路について考える「きっかけになった」と回答。「どちらかといえばきっかけになった」の31%と合わせ、96%の先生からプログラムを活用したことで、生徒が進路を考えるきっかけになったと評価をいただきました。
教材提供を活用していただいた先生、生徒のみなさんからいただいたコメント
- 自分の大切なものなど、価値観について考えたことから、自分のこれからの進路について考えようと思った。(生徒)
- 1つの会社の中でも、さまざまな役割があってその中でも自分の能力を生かせる場所を探すことが大切だと思った。 (生徒)
- エピソードシートで必要な力がいろいろ分かった。だから自分の今持っている力はどこで使えるのかというのを考えた。(生徒)
- 職場体験学習がコロナによって中止になったので、今回の学習は本当に意義あるものになった。(教師)
- 役割カードや工程シートで、子どもたちが新しい発見をしていたのが良く、職業に対して興味をもつきっかけになったと思う。(教師)
「教材提供」は学年のニーズによって使い分けられる4つのキャリア教育プログラムで構成されており、「職場体験学習」の事前学習やまとめとしても最適です。残念ながら、今年度は多くの学校で「職場体験学習」が中止になってしまいましたが、その代替えのキャリア教育教材としても活用していただきました。ティーチャーズ・ガイド、カード教材、ワークシート集に加え、「企業活動クイズ」スライドや電子黒板用教材等を収録したCD-ROMがセットになっておりますので、ICT機器等でも使用いただくことが可能です。
「出前授業」は「自分の『今』が『未来』につながる」をテーマにした1コマ(50分)授業です。今年度より、従来どおりの訪問型授業に加え、WEB会議システムを使用したオンライン授業を開始し、それに伴い、これまでは実施が難しかった遠隔地域での授業が可能になりました。次年度も訪問型・オンライン型両方の実施を予定しておりますので、学校のニーズによってそれぞれの良さを授業に活かしていただければと思います。