オンライン授業レポート 浦安市立美浜中学校
~ICTを活用した授業後の気づきの共有~
新型コロナウイルス感染予防及びGIGAスクール構想の前倒しを受け、「私の行き方発見プログラム」では2020年8月にオンライン授業を開始し、2021年9月末までに68校で実施しました。
今月の「パワーアップ情報ファイル」では、2021年8月31日に実施した千葉県・浦安市立美浜中学校でのオンライン授業の様子をご紹介いたします。
オンライン授業のポイント
【ポイント1】ペアワークによる「発表・共有タイム」
【ポイント2】プログラム全体の「Q&Aタイム」に変更
【ポイント3】ICT機器を活用した授業後の気づきの共有
【オンライン授業の実施概要】
- 日時:2021年8月31日(火)9:50~10:45(55分間)
- 場所:千葉県 浦安市立美浜中学校 体育館
- 受講生:1年生 83名(3クラス)
- 接続ツール:Web会議システム(Microsoft Teams)
【授業のスケジュール】
通常は5つのパートで構成された45分間の授業ですが、今回はプログラム活用のまとめとして「Q&Aタイム」を拡大し、55分間の授業として実施しました。
【ポイント1】ペアワークによる「発表・共有タイム」
オンライン授業では、生徒のみなさんに将来について考えてもらう「ワークタイム」を実施しています。
「ワークタイム」はステップ1、2があり、ステップ1の「個人ワーク」は、生徒自身がワークシートに答えを書き込みます。ステップ2の「発表・共有タイム」では、通常ではグループワークを実施しますが、現在はコロナの状況もあり、可能な範囲で隣の人と考えを発表しあうペアワークとして実施しています。
浦安市立美浜中学校では、ワークタイムのテーマである「15年後のなりたい自分」についてお互いが発表するペアワークで実施されました。積極的な発言を促すなど、先生方のサポートもあり、オンラインの画面越しでも、生徒のみなさんが活発な意見交換を実施している様子を見て取ることができました。
ペアワークの後には、複数の生徒から自分が考えた内容を発表してもらいました。指名を受けた生徒は、「警察官」「歴史に関する仕事」「保育士」など具体的な職業を挙げ、そう考えた理由と共に自らの考えを発表していました。
【ポイント2】プログラム全体の「Q&Aタイム」に変更
通常では、生徒が講師の仕事や、講演内容について質問する「Q&Aタイム」をワークタイムの前に設定していますが、今回は、前日に学習したプログラム①、②も含めたプログラム全体の内容についての質問にも対応するため、「Q&Aタイム」を授業の最後に変更し、時間も通常よりも長めに設定しました。
生徒のみなさんからは、「何歳から働いていますか?」「電気関係の仕事につきたいという夢をかなえるために中学生の頃にやっていたことは何ですか?」など、講師や職業に関する質問に加え、「海外にはどれぐらいの数のパナソニックの会社がありますか?」「松下幸之助さんのことをどう考えていますか?」などパナソニック全般に関する質問などが寄せられ、講師はそれぞれの質問に丁寧に答えました。また、先生からも質問があり、非常に活発な「Q&Aタイム」となりました。
「Q&Aタイム」 講師の話に熱心に聞き入る生徒のみなさん
【ポイント3】ICT機器を活用した授業後の気づきの共有
浦安市立美浜中学校では、昨年度から一人一台端末を導入し、これまではオンライン学活や授業等で活用していましたが、今年度は2学期より生徒自身が端末を使って自由に記入できる情報共有ツールを採用されています。
今回の「私の行き方発見プログラム」でも、そのツールを活用され、授業実施後に先生が3つのテーマを設定し、生徒が端末を使って回答をされています。
■先生が設定したテーマ
➀自分が1番大切だと思った役割は何か
②仕事をしていく中で1番必要だと思った能力は何か
③今までの行き方プログラムを通してどのように感じたか
ツールを活用して寄せられた生徒たちの感想
今回の浦安市立美浜中学校のように、「私の行き方発見プログラム」を短期間で集中して取り組むことによって、進路や職業に関する生徒の意識を向上させることが期待できると思います。また、ICT機器やツールを活用しながら自分の考えをアウトプットし、共有することで、教師や生徒の新たな気づきや振り返りにもなり、より深い学びに結び付けることが可能になると考えらえます。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、オンライン授業を実施する学校が多く見受けられるようになりましたが、ICT機器の導入が進み、これまでのただオンライン授業を受けるということだけではなく、今後は情報共有ツール等を取り入れ、生徒が意見を発表したり、共有したりするなど、その活用法を進化させていくことが必要になるのではないでしょうか。