工場支援サービス事業
パナソニック環境エンジニアリング(株)(PESENG)は、2007年度から2009年度の3年間で生産活動におけるCO2排出量を84万トン削減した実績を活かし、2010年4月に「工場支援サービス事業」をスタートしました。エネルギーの見える化から省エネ診断、具体的な省エネ対策の実践まで、工場の省エネ活動を「技術」「設備」「人材」「資金」の面で総合的に支援しています。
2019年度からはこれまでの活動をさらにアップデートし、「省エネルギー」「新・創エネルギー」「資源循環」「リスクマネジメント」といったお客様の環境経営に関わるあらゆる分野に対し、改善につながる取り組みや計画の立案を行う「工場支援サービス事業」をスタートしております。
社外への貢献としては、2010年から2024年の14年間で、日本国内の自動車関連、食品、医薬品、機械や電子部品の業種で約837件の診断を実施し、省エネ・工場支援を行ってきました。
グループで培った環境の技術・ノウハウ・経験を駆使し、省エネルギーのみならず、排水処理、造排水リサイクル、排ガス処理、資源リサイクル、土壌地下水浄化、太陽光発電、企業リスクソリューションなどの環境・エネルギー技術をトータルで提供する「工場まるごと環境ワンパッケージサービス」の強化を通じ、社外の企業様の総合的な環境対応にさらに貢献していきます。
工場支援サービスのイメージ
工場のカーボンニュートラル事例
パナソニック(株)草津拠点でのRE100実証施設施工
PESENGは2021年度にパナソニック(株)草津拠点において、純水素型燃料電池(495kW)と太陽電池(約570kW)、蓄電池(約1.1MWh)を組み合わせて、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄う※1「RE100化ソリューション」の実証施設「H2 KIBOU FIELD(現:Panasonic HX Kusatsu)」の立ち上げに貢献しました。
H2 KIBOU FIELD(現:Panasonic HX Kusatsu)は工場内で製造部門が使用する電力に対しRE100を目指すと共に、3電池連携による最適な電力需給運用に関する技術開発および検証を行うための施設です。
初期段階のコンサルティングから、太陽電池や蓄電池の構成検討および燃料電池との組み合わせによる電力需給シミュレーション等を実施し、幅広い実証ができるよう設計を行いました。
また、水素発電の本格活用による関係省庁との法規対応や、水素供給事業者・電力供給事業者との連携を通して設計・施工のノウハウを蓄積し、世界初※2の実証施設を無事竣工させることができました。2024年度には上記施設を一部改造して、純水素型燃料電池の熱を吸収式冷凍機(空調機)の熱源として活用する実証実験設備の設計施工も行い、無事竣工致しました。
今回の経験を活かし、今後も社内外へ迅速かつ最適な提案・施工を実施してまいります。
※1環境価値証書の活用を含む再生可能エネルギーにて生成されたグリーン水素を活用することでRE100に対応可能。実証開始時は再エネ由来の水素を用いるものではありませんが、将来的には再エネ由来の水素を使用したRE100化を目指しています
※2工場の稼働電力を賄う自家発電燃料として本格的に水素を活用した実証において(2022年3月31日現在、パナソニック調べ)
純水素型燃料電池の熱の空調利用
パナソニック エナジー(株)二色浜工場へのEMS(エネルギーマネジメントシステム)導入
PESENGは2024年度、パナソニックエナジー(株)二色浜工場に純水素型燃料電池(30kW)を導入し、再生可能エネルギー導入比率の向上に貢献しました。2025年度には、純水素型燃料電池の燃料供給設備として水素ホルダー(150m3)1基の意匠を行う工事を実施するほか、純水素型燃料電池と既存の太陽電池(約2MW)、蓄電池(約2MWh)を組み合わせ、事業活動におけるエネルギー消費のピークカットを目的としたEMS設備の立ち上げを予定しています。
新たに導入するEMSでは、従来のシステムでは実装されていなかった「予測機能」が搭載されており、事業活動におけるエネルギー消費量と太陽電池による発電量を自動で予測し、リアルタイムで正確な閾値に基づいたピークカットを実施します。
このEMSの導入により、年間で最も消費エネルギーが多くなる夏季において、電力使用量の抑制を図り、契約電力の削減を目指しています。今後は年間を通じたデータ分析を行い、工場の稼働状況や負荷変動に応じて、燃料電池・太陽電池・蓄電池の3電池を最適に制御するシステムの構築を目指していきます。
PESENGは、これらの技術と取り組みを他拠点にも展開し、パナソニックグループ全体のCO2排出削減に貢献していきます。