環境:工場省エネ支援サービス事業

工場まるごとの環境対応支援

当社は、2007年度から2009年度の3年間で生産活動におけるCO2排出量を84万トン削減した実績を活かし、2010年4月に「工場支援サービス事業」をスタートしました。エネルギーの見える化から省エネ診断、具体的な省エネ対策の実践まで、工場の省エネ活動を「技術」「設備」「人材」「資金」の面で総合的に支援しています。
このサービス事業の一環として、お客様が管理しているデータを分析し、工場内の電気、ガスなどの基幹エネルギー量、設備の稼動状態を直接反映する流量、圧力、温度、湿度などの物理データ、および生産数量から、エネルギー利用効率を把握し、迅速な省エネ対策立案、効果試算、検証の精度向上をサポートしてきました。
事業開始当初はコンプレッサ、ボイラー、冷凍機などの原動設備の長期的な効率変動をグラフ表示し、設備の劣化やメンテナンスの必要性を把握、設備の消費エネルギーのムダを削減していましたが、生産数量と消費エネルギーから算出される生産数原単位に着目し、ラインや設備の課題点をタイムリーに抽出する「CO2イタコナ手法」へ活用の幅を広げ、省エネ提案活動を加速してきました。
2019年度からはこれまでの活動をさらにアップデートし、「省エネルギー」「新・創エネルギー」「資源循環」「リスクマネジメント」といったお客様の環境経営に関わるあらゆる分野に対し、改善につながる取組みや計画の立案を行う「工場支援サービス事業」をスタートしております。
社外への貢献としては、2010年から2023年の13年間で、日本国内の自動車関連、食品、医薬品、機械や電子部品の業種で約789件の診断を実施し、省エネ・工場支援を行ってきました。また、環境省が主導する、CO2削減のために有効な設備導入や運用改善等の情報を提供する「工場・事業場における先導的な脱炭素化取組推進事業(SHIFT事業)」において、企業の省エネ診断を実施する専門診断機関として登録し、活動を継続しています。
グループで培った環境の技術・ノウハウ・経験を駆使し、省エネルギーのみならず、排水処理、造排水リサイクル、排ガス処理、資源リサイクル、土壌地下水浄化、太陽光発電、企業リスクソリューションなどの環境・エネルギー技術をトータルで提供する「工場まるごと環境ワンパッケージサービス」の強化を通じ、社外の企業様の総合的な環境対応にさらに貢献していきます。

工場支援サービスのイメージ

工場支援サービスのイメージ図です。 省エネルギーとして現状に合った最適提案、 創・新エネルギーとして創エネルギーや新エネルギーの有効活用、 資源循環として使い方を工夫した貴重な資源の有効活用、 リスクマネジメントとして安心・安全なモノづくりのお手伝い を行うことを表しています。

パナソニック エナジー株式会社 モビリティエナジー事業部 住之江工場へのスマートEMS導入

当社は2020年度にパナソニック ホールディングス(株) マニュファクチャリングイノベーション本部と連携し、同社が開発推進している「スマートEMS省エネ自動制御※1」をパナソニック エナジー(株) モビリティエナジー事業部 住之江工場に導入し、現在省エネ効果検証を進めています。
電池の極板製造工程では、製造品質担保のために低湿度環境を維持する必要があり、大量に空調エネルギーを消費します。従来の一定条件手動制御ではなくスマートEMS省エネ自動制御により、季節による外気温変動や生産条件による必要負荷変動に対して、AIを用いた自律制御で最適追従させることにより、過不足ない空調制御が可能となります。
スマートEMSの導入により、対象工程において冬季でCO2排出量約△4.8%の削減目論見に対し、それを上回る△5.9%の削減効果を得ています。今後は年間を通したCO2排出量削減△13.7%の省エネ効果を出すべく、本格稼働に向け中間期・夏季の検証を継続していきます。
当社はこの技術を他拠点に広く展開し、パナソニックグループのCO2削減に向けた活動に貢献します。

※1 スマートEMS:2018年度 省エネ大賞 経済産業大臣賞(節電部門)受賞

写真:スマートEMS導入(パナソニック エナジー(株) モビリティエナジー事業部 住之江工場)
スマートEMS導入(パナソニック エナジー(株) モビリティエナジー事業部 住之江工場)

パナソニック株式会社エレクトリックワークス社 草津工場でのRE100実証施設施工

当社は2021年度にパナソニック(株)エレクトリックワークス社 草津工場において、純水素型燃料電池(495kW)と太陽電池(約570kW)、蓄電池(約1.1MWh)を組み合わせて、事業活動で消費するエネルギーを100%再生可能エネルギーで賄う「RE100化ソリューション」の実証施設「H2 KIBOU FIELD」の立ち上げに貢献しました。
H2 KIBOU FIELDは工場内で製造部門が使用する電力に対しRE100を達成とすると共に、3電池連携による最適な電力需給運用に関する技術開発および検証を行うための施設です。
初期段階のコンサルティングから、太陽電池や蓄電池の構成検討および燃料電池との組み合わせによる電力需給シミュレーション等を実施し、幅広い実証ができるよう設計を行いました。
また、水素発電の本格活用による関係省庁との法規対応や、水素供給事業者・電力供給事業者との連携を通して設計・施工のノウハウを蓄積し、世界初の実証施設を無事竣工させることができました。
今回の経験を活かし、今後も社内外へ迅速かつ最適な提案・施工を実施して参ります。

写真:H2 KIBOU FIELD(パナソニック(株)エレクトリックワークス社 草津工場)
H2 KIBOU FIELD(パナソニック(株)エレクトリックワークス社 草津工場)