時間って何のためにあるの?
もし、時間っていうものが全然なかったら、どんな生活になるだろう? みんなで遠足に行きたいな、と思っても、いっぺんに集まることができなくなるね。だって、みんなが好きな時にばらばらに来たら、いつまでたっても集まれないからだ。バスに乗りたくても、いつ来るのかが分からない。バスに乗れても、いつ着くのか分からない。それじゃあとっても困(こま)るよね。だからみんなの共通の物差しとして、時間ができたんだ。
でも時間はそのままでは見ることも聞くこともできないよね。そこで時計ができたんだ。みんなが9時なら9時って分かるように、時計っていう道具ができたんだよ。
時計の中はどうなっているの?
時計の針(はり)は、動いているよね。中をのぞくと、ギザギザのついた歯車がたくさん、お互(たが)いにかみ合って動いているよ。じゃあ、歯車は何をしているのかな。
1分間で1回転する歯車は、一番細くて長い針を動かしている。1秒1秒動くから、一番忙(いそが)しい。1時間に1回転する歯車は、ちょっと太くて長い針を動かしている。1分ごとに動くよ。そして12時間で1回転する歯車は、1時間に1回動く短い針を動かしているんだ。全部の歯車を動かすエネルギーになる歯車もあるよ。いくつもの歯車が協力し合って、時間を教えてくれてるんだね。
時間って見ることができるの?
時間は残念ながら見ることも聞くことも触(さわ)ることもできないんだ。でも時間が動いているのを表しているのは時計だから、時計の針(はり)が動くのを見ていると、時間を見ているとも言えるかもしれないね。
時計にもいろいろあって、針で時間を表している普通(ふつう)の時計のほかに、数字だけで表しているデジタル時計や、小さな穴(あな)を通して落ちる砂(すな)の量で時間を計る砂時計、大きな音を出して朝起きるのを手伝ってくれる目覚まし時計、など。お腹(なか)が減(へ)った時にぐぅーってなる「腹時計(はらどけい)」っていうのは君の体の中にあるのかな? いろんな時計を眺(なが)めて、いろんな時間を見たり聞いたりしてみよう。
国によって時間が違(ちが)うのはどうして?
まずは、地球儀(ちきゅうぎ)に懐中電灯(かいちゅうでんとう)を当ててみよう。日本の国に光を当てたら、日本から一番遠い所にある国は暗くなっちゃうね。太陽の当たり方もそれと同じ。日本が昼でも、国によっては夜になるんだ。
それなのに世界中で同じ時間を使っていたらどうなるだろう? 同じ午前8時なのに、朝の国もあれば、夜の国も出てきちゃう。だから、地球の上をいくつかに分けて、少しずつずらして時計を合わせることに決めた。世界の時計は、イギリスのグリニッジ天文台の時計を基(もと)にして、そこから足したり引いたりして、決められているんだよ。それを標準時(ひょうじゅんじ)っていうんだ。
同じ国なのに、時間が違(ちが)うことはあるの?
違う国はあるよ。アメリカやロシアのように大きな国では、標準時(ひょうじゅんじ)っていう「ある一定の地域(ちいき)ごとに共通で使える時間」がいくつもあるんだ。世界で一番たくさん標準時を持っているのはロシアで、何と同じ国の中に11も時間があるんだよ。世界の標準時の基(もと)になっているのは、イギリスにある子午線(しごせん)0度。この線を基に、いろんな国の標準時が決まっているよ。
日本は小さい国だから、全国どこでも同じ時間を使っている。日本の標準時を決めているのは、兵庫県明石市(ひょうごけんあかしし)にある東経(とうけい)135度の線だ。その線の上を太陽が通る時間を、昼の12時と決めたんだよ。
1か月とか1年は誰(だれ)が決めたの
1年は12か月、1か月は28、29、30、31日だね。これを決めたのは、大昔バビロニアという所に住んでいた人たちだ。この人たちは太陽や月をよーく観察していたんだよ。
まず月が少しずつ大きくなって、丸くなったらまた小さくなり、またまた大きくなることに気付いた。そんな風に月が変化して元に戻(もど)るまでの間を30日と決めたんだ。そして今度はそれが12回続くと同じ季節がやって来ることに気付いた。だから1年は12か月としたんだよ。今では、地球が太陽の周りを1週すれば1年だってことが分かってるけど、それを見つけた昔の人は偉(えら)かったんだね。
うるう年って何だろう?
1年は12か月、1か月は28、29、30、31日だね。これを決めたのは、大昔バビロニアという所に住んでいた人たちだ。この人たちは太陽や月をよーく観察していたんだよ。
じゃあ、どうしてあまりの1日を、2月の最後にもってきたんだろう。みんなが使っているカレンダーの元は、昔のローマで作られた。昔のローマでは2月が1年の最後の月だったから、分かりやすいように、1年の最後の日に1日くっつけたんだよ。
子どもの時間とおとなの時間
誰(だれ)でも1日は24時間。もっと遊びたいから25時間にしてってわけにはいかないよね。でも時間の感じ方って、大人と子どもとで違(ちが)うんだって。小さいうちは、見たり聞いたり遊んだり、初めてのことが多いから、時間が長く感じられる。大人になると慣(な)れてきて、同じ時間でも、短く感じるんだよ。
1日は「365×自分の年令」だっていわれているんだ。例えば10才の子どもなら、365×10のスピード、ということになる。30才の大人なら365×30で、子どもの3倍も時間が速くすぎていくように感じるんだって。もちろん、感じ方は人によっても違(ちが)うけど、大人と子どもの感じ方の違い、お父さんやお母さんに聞いてごらん。
人間の時間と動物の時間
ネコやゾウに、時間をどんな風に感じているか聞くことはできないね。動物は体の大きさによって、心臓(しんぞう)の動くスピードが違(ちが)うってことは分かっているよ。ゾウのような体が大きな動物ほどゆっくり心臓が動いて、ネズミのような体が小さな動物ほど速く心臓が動くんだ。でも、生まれてから死ぬまでの心臓が動く回数はどの動物も同じなんだ。
じゃあ、人間より体の小さいネズミたちは時間を早く感じているのかな? でも人間は人間の、ネズミはネズミの世界で生きているんだから、時間の感じ方はそんなに変わらないかもしれないね。
おやつの時間が3時な訳(わけ)
みんなが大好きなおやつの時間。昼ご飯と夕ご飯の間だから、ちょうどお腹(なか)が減(へ)っている時間だよね。実は「おやつ」って、漢字で書くと「お八つ(おやつ)」なんだ。どうして、3時なのに八つなんだろうか。それは、昔の時間の数え方では、そんな風に呼(よ)んでいたからなんだ。
侍(さむらい)がいた江戸時代(えどじだい)、時間は2時間ごとに区切って「九つ」から「四つ」という呼び方で数えられていたんだ。例えば12時から2時は「九つ」、2時からの4時は「八つ」、4時から6時は「七つ」…といった感じ。2時から4時までの間の時間に「お」をつけて「お八つ」だったんだね。
昼の12時は、午前12時? それとも午後12時?
どちらかと言うと、昼の12時は午前12時。お昼の12時は、午前と午後の間にあるから、本当は午前でも午後でもどっちでもないんだ。ややこしくならないように、お昼の12時は午前や午後で表すんじゃなくて「正午」っていうのが一番いいんだよ。正午を1秒でも過(す)ぎたら間違(まちが)いなく午後だから、例えば正午の5分過ぎは、午前12時5分じゃなくて、午後0時5分と言った方がいいね。
夏より冬の方が、日が暮(く)れるのが早いのはなぜ?
太陽の動きは、季節ごとに変わっているんだ。みんな太陽は、東から昇(のぼ)ってきて、西に沈(しず)むのは知っているよね。春や秋は、昼の時間と夜の時間が大体同じ。太陽は真東から出て、昼には南の空に上って、夕方真西の方向へ沈むんだ。
これが夏は、日の出と日の入が少し北寄(よ)りになる、そうすると太陽が春や秋より高いところまで昇って、太陽が見えている時間が長くなるんだ。だから昼の時間が長くなるんだよ。冬は夏の逆(ぎゃく)で、日の出と日の入が南よりになって、太陽が低い空までしか昇らない。だからすぐ沈んでしまって、すぐ暗くなっちゃうんだ。
楽しい時間とつまらない時間
楽しい時は、あっという間に過(す)ぎちゃうのに、つまらなーいと思っている時は、時間が長く感じちゃうってことない? これは、こんな計算で割(わ)り出すことができるんだ。
感じる時間=やっていることの量÷使う力
大好きなゲームをしている時間やお友だちと遊んでいる時間って、そのことに集中したり、夢中(むちゅう)になったりしているから大きな力を使っているよね。だからあっという間に時間が過(す)ぎるように感じるんだ。逆(ぎゃく)に、苦手な授業(じゅぎょう)の時間や、独(ひと)りでつまらないなーと思っている時は、力を引っ込(こ)めてあんまり使わないから時間が長く感じちゃうんだよ。
過去(かこ)、今、未来ってどうやって決めるの?
「過去」っていうのは、「今」より前の時間のこと。「未来」っていうのは、「今」から先のことだよね。でも「今」って思っている時間は、一瞬先(いっしゅんさき)にはもう過去になってしまう。時間っていうのは、止まることなく、流れ続けているものなんだ。だから本当は、ここからが過去、これが今、ここからが未来ってきちんと分けることはできないんだよ。
でも、みんな心の中に、昔の思い出が残っていたり、これからのことを思い描(えが)いたりすることができるよね。それは、みんなが心の中にタイムマシンを持っているようなものなんだよ。これって素敵(すてき)なことだよね。