「グループDEIフォーラム 2023」開催レポート
「グループDEIフォーラム」は、社員一人ひとりがDEIについての理解と共感を高め、行動につなげる機会とすることを目的とした社内イベントです。「話そう。気づこう。越えよう。」をスローガンに、「DEIは『自分自身のこと』であることに気づき、一人ひとりが本気になること」を目指して、2021年以降、継続的に開催しています。
3回目となる2023年は、現場の事例を通じて「違いを活かし合うこと」の重要性や具体的な行動について理解を深め、国や地域を越えた異文化理解の視点も持ちながら、パナソニックグループとして目指す未来像を想像していく――。そんな視点に基づきながら、オンラインで4つのセッションを実施しました。
※所属や肩書などの情報は、イベント開催当時のものです。
フォーラム開催によせて:
より良い明日に向けて、職場のリアルを話そう・気づこう。
本セッションでは、製造や営業の担当、そしてミドルマネジメント層に当たる社員が登壇し、それぞれの視点からより良い職場環境を実現するにはどうすればよいかについて話し合いました。
製造現場編では、製造現場のコミュニケーション不足によるモヤモヤを動画で共有し、対話を行いました。
動画は、製造現場のリアルな「あるある事例」を再現したものです。例えば、新⼈が⾔いたいことが⾔えず、「声が⼤きい⼈」に流されてしまった結果、チームが悪い状況に陥った事例や、その逆の良い事例も紹介。その上で、お互いが「対等・感謝・尊敬・共感」の意識を持って接することの⼤切さについて語り合いました。
営業現場編では、職場のコミュニケーション不足を4コマ漫画で表現した「あるある事例」を共有したのち、対話を行いました。
4コマ漫画では、新人と上司のコミュニケーションのすれ違いが、その後の新人の仕事の進め方に影響を及ぼすというストーリーが示されました。「相手に合わせて声の掛け方を変えてみる」「お互いが半歩ずつ歩み寄ることが大切」などの意見が出され、お互いに相手を思いやり、理解しようとする気持ちがより良い職場づくりにつながるという認識を確認し合いました。
セッションの最後にはミドルマネジメント層の社員と共に、日々のチームマネジメントでどんな理想を思い描き、試行錯誤しているかについて対話を行いました。主に「メンバーの成長」「心理的安全性」「強み」などを共通のキーワードとして語り合いました。
一歩踏み出したら、新しい自分に出会える。
このセッションでは、様々な経験を持つ社員が登壇。それぞれが「一歩踏み出した体験」について語り、自分らしさを発揮する方法について議論を深めました。
登壇者のエピソード
自分の価値観と行動が一致すれば、自分らしさが引き出せる
障がいのある社員と同じチームになったことから、自分の得意なことを発揮してお役立ちができないかと考え、障がい児向けデイサービスでのプロボノ活動に参加。この経験により「価値観と自分の行動が一致することが、自分らしい行動の原点になる」ということに気づきました。
「悩んだらやる」と決めておけば、一歩が踏み出しやすく
社内サークル「エンゲー部」は、ガーデニングの「園芸」と「エンゲージメント」をかけた名前。社屋のエントランスにある森のお手入れや、来社するお客様に合わせたウェルカムプランツの企画、コミュニティを創出する活動などを行っています。ポリシーは「悩んだらやる」。本業では品質管理を担当しており失敗が許されませんが、エンゲー部の活動では失敗を恐れず、キャプテンとして新しい挑戦を行っています。
事業を通じて、他の誰かの一歩をサポートしていく
パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社 ランドリー・クリーナー事業部のビジネスデザイン部は、社会課題の解決につながる新しいサービス事業を創造する部署です。現在、業務用小型ロボット掃除機「RULO Biz」を用いて、障がいのある方の新たな働き方を提案するプロジェクトに取り組んでいます。これまで、障がいのある方が担当する清掃は単一の作業に限定されていました。しかし「RULO Biz」を使うことにより、チーム内で役割分担をしたり、自分で判断できたり、といった機会が増えてきました。
How Cross-Cultural Perspectives Strengthen Teams ~
異文化体験をチームづくりに活かす!
欧州、北米、アジア太平洋、ラテンアメリカ、日本の各地から、パネリストとオブザーバーが参加。異文化体験やマイノリティとしての経験をシェアしながら、より良いチームづくりにつなげるヒントを探りました。
意見が異なるときは、相手の視点で考えてみる
1つ目のテーマは「異文化圏で働いたり、多様なチームメンバーと仕事を進めたりする中で直面した最大の課題について」。
日本からセッションに参加した社員は、赴任先のベルギーで、言語や考え方、文化的背景、働き方などが多種多様なメンバーを束ねた経験について語りました。ディスカッションを行う際にはそれぞれのメンバーの視点に立ち、丁寧に説明することを心掛けていたと言います。
欧州から参加した社員は、国籍の異なるメンバーとのプロジェクトにおいて、仕事の進め方が真逆であることに苦労したことを紹介。この経験から、人によってアプローチの仕方が違うことを学び、相手がその方法で取り組む理由を考えることで新たな視点が得られたと話しました。
「違い」は軽視せず、尊重することが成長につながる
2つ目のテーマは「過去の異文化体験または『マイノリティ』の立場になった経験から得られた重要な教訓や気づきは何ですか?」。
北米から参加した社員は、自身がマイノリティであると感じた子どもの頃の経験から、互いの共通項を探すことの重要性を強調しつつも、「違いを軽視しないことも等しく重要であり、違いを尊重できる環境をつくれば組織は成長する」と語りました。ブラジルから参加した社員は、ブラジル国内におけるLGBTQ+の人々を取り巻く状況を紹介。相手への敬意を基本とした対話や行動を促すことを目指していきたい、と話しました。
優れたリーダーとは、メンバーの個性を活かせる人
3つ目のテーマは「他のメンバーと連携して仕事を進める上で、異文化体験はどのように役立ちましたか?」「異文化体験で得られた教訓をどのように活用すれば、より良いリーダーになれると思いますか?」。
欧州の社員は「チーム内に異なるタイプの人がいることは、やりとりを通じて互いに成長できる機会でもあり、その機会を与えることがリーダーの役割」と語りました。
北米の社員は「どんなスポーツでも優れたコーチは『選手が力を発揮できる環境』を理解しており、仕事においても同じであるはず」と述べ、自分が何でも知っていると思い込んでいるリーダーは成長できず、衆知を集めてメンバーの個性を活かせる人が最強のリーダーなのではと語りました。
DEIは誰かのためではなく、自分たちのもの。
このセッションでは楠見グループCEOと共に多様な社員が登壇。玉置グループCIOのファシリテーションの下、自身がマイノリティの立場となった経験や、多様な個性を活かし合うためにはどうすればよいかについて語り合いました。
セッション後半では、視聴者から集まった質問に答える形で、多様性について掘り下げていきました。
Q:
マイノリティだと自分が感じたときに、社内でどうすれば仲間を見つけられますか?
私はトランスジェンダー女性ということをはっきりとカミングアウトしたわけではなく、ある日、現在のような身なりで会社に出勤してみたら周りが受け入れてくれて、自分が気づかない間に会社や仲間が変わっていたことにとても驚きました。もともと目立つことにあまり抵抗がないため、仲間は自然に見つかることが多いですね。
Q:
意見がぶつかったときにお互いが大切にしたらよいものとは?
意見がぶつかることは、お互いの個性が嫌いという話とはまた別だということを意識できるよう、心掛けたいです。白黒つけなくても建設的に会話ができる関係が大切ですね。
Q:
DEIは大切だと頭では理解できますが、周りには自分と同じような人がいない。どのような一歩を踏みだせますか?
相手を尊重して理解することが大切です。違いはどこからくるのかを分かった上で、いいところを見る。創業者も「いいところ7割」と言っています。上司と部下がお互いに、まずは相手を認めることから始めるとよいと思います。
私たちは、同一性を好みがちです。しかし、企業は多様性を取り入れて強みに活かす方がイノベーションを起こして強くなれます。DEIや多様性については、私たちには「筋トレ」が必要なんだと思います。
楠見グループCEOからパナソニックグループの未来に向けたメッセージ
改めて、パナソニックグループ全体でDEIに取り組む目的とは何なのか。それは一人ひとりの個性ゆえの気づきを存分に発揮して誰にも負けない社会へのお役立ちを果たすこと、つまり「物心一如」すなわち物と心が共に豊かな理想の社会を実現することです。そのために、パナソニックグループとして、以下の3つの観点でDEIを経営に活かしていきます。
- 多様な一人ひとりがベストなパフォーマンスを発揮できること
- 個性が活かされ、新たなお役立ちが生み出されること
- 多様な知恵や気づきが集まり、意思決定ができること
我々パナソニックグループは、DEIの取り組みを通じて社員一人ひとりの「幸せの、チカラに。」、そして社会へのお役立ちを通じて多くのお客様やパートナーの「幸せの、チカラに。」なることを目指しています。DEIは誰かのものではなく、自分たちのものです。理想の社会を実現するために、一緒に実践していきましょう!
フォーラム視聴者の声
- まだ新入社員ですが、上に立つ人たちの悩みを知ることができ、今後部下を持ったときの対応について考えることもできました。これまでになかった視点を得ることができました。
- 踏み出す人のサポーターになることも大きな役割ですね。
- 心の中に種をまく。そんなコミュニケーションができる組織を目指したい!
- 「意見はぶつけるものではなくて、みんなの目の前にあるテーブルに載せるもの」という考え方がいいなと思いました。