セルロースファイバー樹脂
石油使用を55-70%以上カットし、天然原料を高濃度に活用。
「セルロースファイバー樹脂」とは?
間伐材や廃材など植物資源から抽出した天然由来の繊維を樹脂に混ぜた成形材料です。
55~70%の高濃度化も実現し、石油使用を大幅カット。
射出成形が可能で、素材のもつ自然感を活かすこともでき、日用品や家電筐体、建材、車載部品等、幅広い展開が期待されます。
セルロースファイバー樹脂の特長
セルロースファイバー樹脂の強み
- つなぎ樹脂を生分解性にすることで、100%生分解も可能な樹脂を開発中
- 乳白色のペレット材料を実現した低温処理
- 着色や木質感の再現など高いデザイン性
開発のきっかけ
森林資源を活用するため開発がスタート
2015年、環境省からの委託で日本の森林資源を活用するため、植物資源から抽出したセルロースファイバーを樹脂に混ぜて使う成形材料の製造技術開発や導入実証をスタートしました。 当初は強度向上をめざしていましたが、現在は石油由来樹脂を減らし、サーキュラーエコノミー材料として市場へ普及させていくことが目的です。
高濃度混錬を実現、木質感もデザイン可能に
パナソニックグループでは永年培ってきた電池用材料の混錬技術を応用し、高濃度混錬を実現。さらにMI本部の成形技術を展開して、木質感も自在にデザインできるようになりました。
展開事例
掃除機の筐体に採用し軽量化を実現
2018年、国内家電で初めて植物由来のセルロース10~20%を添加した樹脂を筐体の一部に使ったコードレススティック掃除機を開発し、発売。材料の強度が向上し、軽量化に貢献しました。
軽量で強度(固さ)があるため、軽さが求められる道具を構成するのにも適しています。原料の個性を消して、従来の樹脂と同様に活用することが可能です。
環境配慮型リユースカップを展開
2019年にはセルロース添加量55%を可能にし、同年7月にアサヒビールと共同で環境配慮型のリユースカップ「森のタンブラー」を展開。
ヒノキやモルトなど、原料の違いによる色合いや香りも楽しむことが出来ます。
また、セルロースファイバー樹脂に含まれる微細な植物繊維がビールの泡をさらにきめ細かくし、味を向上させる効果も認められています。
試してみたいアイデア
さまざまな家電筐体、建材、車載部品、日用品など、現在、樹脂を用いている箇所のセルロース樹脂への置き換え
風合や色が活かせるおもちゃに
オリジナリティあふれる楽器に
リユース可能なカトラリーに
これまでの失敗事例
濃度数%の少量でも高強度を出すため、セルロースを強力にほぐし、ナノファイバー化することを目指していました。
しかし力を加えすぎると発熱し、焦げて逆に強度が低下し、使い物になりませんでした。そこで、濃度数十%でほぐしすぎない加工を加えることで、デザイン性の良いエコ材料へ転換しました。