第3回「グループDEI推進委員会」開催レポート

写真:ナショナル坊やの人形を片手にガッツポーズをとる⼭本 恵理(やまもと えり)氏と、山本氏を囲む参加者たち 写真:ナショナル坊やの人形を片手にガッツポーズをとる⼭本 恵理(やまもと えり)氏と、山本氏を囲む参加者たち

グループDEI推進委員会は、パナソニックグループの目指す「一人ひとりが活きる経営」に向けて対処すべきDEI課題について共通認識を持ち、グループ共通の取り組みについて継続的に対話する場です。

2022年10月開催の第3回グループDEI推進委員会には、事業会社社長および人事責任者の社員が参加。「あらゆる人にとって、選択肢を増やすためのDEI」という観点で、各事業会社で行っているアクション事例を共有しました。また、ゲストとしてパラ・パワーリフティング選手の山本 恵理(やまもと えり)氏をお招きし、「障がい」とは何か?という問いをベースに、視点を変えて考えることの大切さについてお話いただきました。

※所属や肩書などの情報は、イベント開催当時のものです。

楠見CEOからのメッセージ

はじめに、パナソニック ホールディングス株式会社 楠見CEOから参加者に向けて、次のようなメッセージを発信しました。

「企業でDEIに取り組む本質は何でしょうか?私は、“衆知経営”の幅を広げることだと思っています。様々な特性を持つ皆さんから課題の気づきをいただき、知恵を集め、スピーディーに解決を図る。これにより、競争力強化のスピードを高めていくことが、当社がDEIに取り組む意味ではないでしょうか。

⾼いレベルでのDEIとは、様々な属性の⽅が活き活きと気づきを共有できる状態のことだと思う⼀⽅で、⾃分とは異なる属性の方による気づきは理解しにくい時もあります。だからこそ、責任者自身が異なる属性の方について深く理解することが必要ですし、多くの人が理解するための施策を行うことも重要です。

本日の内容を、ぜひ自部門の取り組みに活かしていただきたいと思います」

写真:思いを語る楠見CEO

DEIアクション事例の共有

今回は、パナソニック コネクト株式会社、パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社、パナソニック ホールディングス株式会社の出席者が、各社のユニークな取り組み内容を紹介しました。

「Champ(チャンプ)」とは、各部門におけるDEI推進リーダーのこと。自部門のDEI活動施策を検討し、取り組むのが役割です。Champ同士の連携で、他の事業場と連携した取り組みも実施しています。
パナソニック コネクト全体では、年2回のChampミーティングの実施からスタート。「気軽な情報交換の場が欲しい」という声を反映し、月1回のChamp Cafeも行っています。

各Champの活動内容は様々。これまで、女性を対象としたランチ会、オンラインによるクロスコミュニケーション、チャットツール「Teams」を活用したライブ番組の発信、年齢や性別・運動能力に関わらず多様な楽しみ方ができる「ゆるスポーツ」などを実施してきました。

各部門がそれぞれの働く現場の状況を鑑み、独自の取り組みを行うからこそ実現するDEIがあります。その推進の核として、今後もChamp活動に注力していきます。

写真:Champ活動「ゆるスポーツ」の様子。左:壁に投影された映像を見ながら、競技を楽しむ参加者たち。中央:両手を広げ、片足で立つポーズをとる参加者。右:画面上のイラストの表情を真似る種目で対戦する2人。左の社員は歯を食いしばっており、右の社員は驚きの表情を浮かべている。

2022年8月に、パナソニック オートモーティブシステムズとして初のDEIフォーラムを開催。「育児・介護と仕事の両立を考える」というテーマのもと、仕事と介護の両立を支援する株式会社リクシスの酒井 穣(さかい じょう)氏をお招きし、ワークライフバランス実現について講演いただきました。会場とライブ視聴を含め1,200名の社員が参加し、開催後のアンケートでは、「DEIを身近に感じた」「家族にも見せたい」など、好意的な回答が90%以上を占めました。

また、事業場ごとに社内SNSで、DEIについて自分の考えを投稿していく「DEI社員リレーメッセージ」も実施中。リレー形式で次の投稿者を指名しながら投稿の輪を広げ、見た人はコメントやリアクションで参加することで全社ムーブメントの醸成を目指しています。その多様性にあふれる投稿は、累計1,200件、閲覧数は32万件にのぼります(※)。これからも部門や世代を越えたさらなるムーブメントを起こしていきます。

※ 2022年10月現在

写真:DEIフォーラム告知画像。講師の酒井 穣(さかい じょう)氏と、8名のDEI推進室メンバーの顔写真が掲載されている。

パナソニック オートモーティブシステムズ(PAS)DEIフォーラム 告知画像

「アクセシブルマップ」とは、車いすを使用している社員の視点で「事業場内でアクセスしやすいルートを明示した構内図」と「駅から事業場までのアクセスマップ」を作成するプロジェクト。車いすで働く社員、同じ職場で働く社員が参加し、構内を移動しながら白地図を埋めていく形で進めています。

本プロジェクトでは、実際に⾞いすに乗ってみて新しい視点を得ることや、現場を調査する中で⽣まれる気づき、各参加者が考えを深めることに主眼を置いています。社内チャットでは、「こういうところを通ると安全」「こういう部分が難しい」といった気づきを共有し合っています。

社内SNSでこの活動を公開したところ、「自分の拠点でも作成したい」という声が次々と上がっており、今後は海外を含む他の拠点やグループワイドな取り組みとして展開していきたいと考えています。

写真 左:フロアに集まる参加者。うち数名は車いすに乗っている。右:片手で扉を押さえながら、車いすで出入り口を通過する参加者。

車いすでの移動体験を実施

写真:電動車いすのユーザーと同じ目の高さになるよう、いすに腰かけ挨拶する参加者。

車いすユーザーとの名刺交換体験

外部講師による講演と参加者との対話

「イマの私はあなたのミライ?!」と題して、現役パラ・パワーリフティング選手の山本 恵理(やまもと えり)氏が講演。生まれつき足に障がいがあり、車いすを利用している経験を踏まえて、本当の「障がい」とは何か?「DEI」とは何か?という問いについて新しい視点で考えることの重要性を教えていただきました。

写真:手振りを交え、参加者に語りかける⼭本 恵理(やまもと えり)氏

パラ・パワーリフティング選手 山本 恵理氏

「チャレンジを重ねるエネルギーの源とは?」という参加者からの質問に対して、山本氏は「私の一番の原動力はワクワクすること。そこに、人を巻き込んでいます」と回答。「とにかく、たくさんの人を巻き込まないと社会は変わりません。障がいがある子どもたちが“自分の夢は果たせない”と思う未来は来てほしくない。私が先陣を切ることで、障がいがある子どもたちが、皆なりたいものになれる社会を実現させたい」という熱い思いを語っていただきました。

山本氏との対話を受けて、楠見CEOは「障がいの本質は、選択肢を狭められているという状態。それを取り払い、選択肢を増やすことの重要性が、今日の大きな学びだったと思う。商品づくりにおいても、“本当に誰でも使えるか?”と考え、できないならソフト面での工夫を徹底することが重要。山本さんから教えていただいた視点を持ちながら、活動をブラッシュアップしていきたい」と今後の抱負を語りました。