プロダクト解析センター独自の設計診断向け観点表
2022年4月13日
デバイス・空間ソリューション部 エレクトロニクス設計課の大住です。
最近、電子回路の設計診断のご依頼が増えています。設計診断では「観点表」を使用します。観点表は、過去の経験やノウハウを集約したチェックリストで、不良につながるリスクを第3者視点で抽出する、設計診断の要です。具体的な内容は、下記のとおりで、計329項目あります。
- 基本機能:性能、コストダウン、部品保護、誤動作防止
- EMC:回路、基板、筐体含めた低ノイズ設計、サージ対策
- 電気安全:電気火災、基板・筐体の燃焼、電力ケーブルの強度
- 信頼性:市場不良などのトラブルの対策、製品寿命、実装状態、デバイス故障
- 熱設計:発熱による信頼性・安全性
- 機能安全:故障時のリスク評価の観点
今回、電子回路の設計診断を行う際に使っている、「観点表」ができるまでとその応用例をご紹介します。
(1) きっかけは、ある担当者の一声
設計診断の関係メンバーと、報告書のレビューをしたときの一言です。
「報告書完成まで数回みんなで集まっていますけど、みんな予定が詰まっていて、なかなかタイミング合わないですよね。。」
当時の設計診断は、関係するメンバーが数回集まって議論し、内容を整理して報告書を作成し、最後にレビューを実施して完成させていました。つまり、数回に分けて各メンバーの経験やノウハウなどを拾い上げていたのです。
言われてみればそのとおり!これは改善しないといけない!と思ったことが始まりでした。
(2) 観点表の誕生
早速、各分野の専門家が毎週集まって不良につながる設計ノウハウを集約しようとしましたが、ここからが大変でした。
- 思い込みを無くして議論
各専門家のスキルは本人にとって当たり前なので、「これはノウハウとは違うだろう」と思い、発言しない傾向がありました。そういった思い込みを無くすために、「何でもいいから発言する」「発言を否定しないようにする」ことを前提に議論がスタートしました。
- 技術資料のレビュー
これまでの資料を再確認することで、設計ノウハウを拡充できると考えました。そこで、社内外へのセミナー資料や過去の技術資料を皆でレビューしました。これらは、プロダクト解析センターの財産ですね。ただし、その資料の数が多いこと。。レビューして知見をまとめるまで、3か月もかかりました。
- 実際の商品で検証
ここまでは過去の知見を議論ベースで集約してきましたが、最後はやっぱり実際の商品で検証することになり、過去の分解した写真、あるいは、手元にある商品や回路図を見ながら、気になる所を列挙しました。すると、打ち出の小槌状態!様々な意見、ノウハウが出てきました。やっぱり、実機を目にすると違いますね。
- 新規に採用する仕様、回路などに、潜在リスクを確認する
- ODM、OEM商品を販売する前に、品質レベルを把握する
- 各社の設計フローに組み込み、市場不良のリスクを減らす
- 数社のODM候補から委託する会社を決めるために、各社の試作品の品質レベルを検証する
などの実績があります。上記以外でも適用できる可能性は十分にあります。ご興味を持たれた方は、お気軽にお問い合わせください。
最新記事
情報館では、プロダクト解析センターWEBで掲載されない情報をリアルタイムでお届けしています。
現在、新しいお知らせはございません