電子回路解析 Electronic Circuit Analysis

ご存じですか?TDR法は、導通不良調査にも応用できるんです!

2023年1月23日

デバイス・空間ソリューション部 エレクトロニクス設計課の大住です。

プロダクト解析センターでは、TDR (Time Domain Reflectometry)測定装置を保有しています。皆さん、TDRをご存じでしょうか?某夢の国の略称ではありませんよ。 TDRとは、ケーブルやプリント基板の配線などの特性インピーダンス(以下、特性インピーダンス=特性Z)の測定手法です。動作原理は、プローブからパルス波形を印加して、インピーダンスの変化に伴う反射波の到達時間を測定することにより、測定対象の配線などの特性Zを測定します。

まず、TDRの活用における一般的な事例を紹介します。高速信号の配線の事例です。

高速信号の波形を歪ませず正確に伝えるには、特性Zを一定にすることが基本です。なぜなら変動すると波形が反射して受信側の波形が歪むためです。ではなぜ変動するのでしょうか?変動する例としては、部品のランド、ビアなどがあります。理由は構造の変化です。特性Zは、配線幅やビアの周辺の銅箔との距離により変動します。
下記図は、プリント基板のTDR測定風景とプリント基板の伝送線路の概略図と測定結果です。縦軸はインピーダンス、横軸は観測点からの距離(時間)です。青色のグラフが特性Zの測定結果であり、プリント基板の伝送線路だけでなく、部品のランドやビアにより特性Zが低下していることが分かります。部品ランドで低下する理由は、ランドサイズが配線幅よりも大きいためです。ビアも配線幅よりも大きくなるため特性Zが低下しています。これらの変動を小さくすることが、信号品質を確保できるポイントのひとつです。

伝送線路の特性

次に、導通不良の事例としてBGA(Ball Grid Array)の導通不良について説明します。

BGAは、パッケージの電極上に半田ボールが配置された形状のため、半田ボールとプリント基板のランドとの導通不良を見つけることが困難です。例えば、下の写真のBGAは導通不良があります。X線で観察しても接続しているのか接続していないのか判別することは困難です。

良品(外観・X線)
不良品(外観・X線)

そこで、TDR法を活用します。導通不良が発生していればその箇所でHigh-Zとなるため、良品よりも全反射するタイミングが早まります。これにより、導通不良の有無を確認することができるのです。

良品と不良品をプリント基板に実装したままの状態で、TDR法によって測定した結果を次に示します。半田ボール部での導通不良によるインピーダンス変化を捉えることができます。

導通不良によるインピーダンス変化
導通不良によるインピーダンス変化 グラフ

そこで、TDR法を活用します。導通不良が発生していればその箇所でHigh-Zとなるため、良品よりも全反射するタイミングが早まります。これにより、導通不良の有無を確認することができるのです。

良品と不良品をプリント基板に実装したままの状態で、TDR法によって測定した結果を次に示します。半田ボール部での導通不良によるインピーダンス変化を捉えることができます。

良品ケーブルの測定結果
断線ケーブルの測定結果

このようにプロダクト解析センターではTDRを活用して伝送線路の特性や不良解析などを実施しています。更に、単に測定するだけでなく、設計診断を活用した結果の分析や考察、対策のご提案も行っております。

どんな些細な相談でも構いませんので、ご連絡お待ちしております。

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