電子回路の設計診断
実際の使用環境下にて所望の機能を発揮し、そして想定寿命まで壊れず、かつ安全に動作することは、全ての電気製品に求められる普遍的で絶対的な要求です。そして、その要求に応えるため、電気製品の企画、設計から製造、出荷までの各工程で、妥当性を確認するために数多くのレビューやチェックが行われています。
一般的に電気製品の品質を決定する電子回路に対するレビューやチェックのクオリティを高めるために、デザインレビューのしくみ化やチェックツールの活用などの手法が採られますが、ここで最も大切なことは、客観的な視点の反映です。これまでに経験したことがないトラブルや新たな設計課題に対して、当事者の視点の延長線上から客観的な判断を行うことは困難です。このような新たな設計上の課題に対しては、新たな知見や「気づき」を得るために第3者視点が必要となります。
プロダクト解析センターでは、独自の着眼点である「観点表」に基づき、第三者の立場から電気製品に対する設計診断を行っています。
設計診断のコア技術について
私たちの設計診断は、二つのコア技術により独自性を見出しています。
(1)デジタル・パワエレなど幅広い回路設計の専門家による多面観察
私たちは、VIErA、DIGAなどの黒物家電、エアコン、洗濯機などの白物家電に加え、車載機器など、デジタル・パワエレ回路を搭載した、様々な商品に20年近く携わってきました。具体的な設計・評価内容は、回路・プリント基板設計・シミュレーション、EMC・熱設計、電気安全評価、部品の寿命予測、故障解析などです。プロダクト解析センターには、各分野の専門家がおり、設計診断の際に、一同に会して議論、レビューすることで、多面的に観察しています。
(2)過去の経験やノウハウを集約した独自の観点表
設計診断の着眼点である「観点表」は、基本機能、EMC、電気安全、信頼性、そして熱設計の5つのカテゴリーで構成されています。そして、それぞれのカテゴリーはさらに設計ステージ毎に分けられています。例えば、EMCのカテゴリーであれば、「回路設計」、「部品選定」、「プリント基板の仕様」、「パターンレイアウト」、「機構設計」の5つの観点に分けられています。コストと設計期間を考慮しつつ、高いEMC性能を実現するためには、それぞれの設計ステージで適切な設計がなされる必要があります。一例を挙げると、回路図上に必要なノイズ低減回路が漏れていたり、プリント基板のレイアウトに問題があれば、EMCの評価で苦労することになります。
この観点表は、プロダクト解析センターの専門家が持っている過去の経験やノウハウを出し合い、議論を重ねて作り上げました。いわば、プロダクト解析センター独自の観点表と言えます。
全328項目(随時更新)
設計診断のフロー
設計診断の実施に際してはまず、お客様の目的をしっかりと理解し、課題の整理と共有を行うことから着手します。そして、その課題に対し、「観点表」に基づいて、必要な設計診断項目を選定いたします。
その後、製品や回路図、そしてプリントパターンのレイアウト図などをお預かりして、設計診断を行います。設計診断には、デジタル回路/アナログ回路技術者、EMC技術者、プリント基板設計技術者、部品信頼性技術者、及び電気安全技術者などの各技術分野の専門家がチームを組んで対応します。複数の視点で診断を行うことで、診断漏れを防ぐとともに、診断の深堀りが可能となります。
そして、診断結果に基づき、改善の方向性をできるだけシンプルに具体化してゆきます。
お客様の声
(1)A様
今回は、1次試作品の入手前に基板回路図とパターン図のみでの評価をお願いしましたが、試作品も提出できればもっと違う角度からのご意見が伺えたのではないかと思いました。
次回は、別のフェーズでの評価をお願いしたいと思います。
報告書を受取った後の問合せについても、丁寧に対応いただき大変助かりました。
(2)B様
初めての委託で少し不安な部分がありますが、担当の方に細かくチェックして頂き試作機の品質担保に活用させて頂きました。
また機会がありましたら依頼させていただく考えでいます。