溶解できない試料も測れます! ➡難溶性物質を燃焼して水溶液に
2022年4月25日
材料ソリューション部 無機分析課の才本です。
イオン性成分の定性・定量を行うイオンクロマトグラフ分析装置では、導入サンプル形態として純水に溶解させることが基本となります。一方、難溶性物質に含まれるハロゲン(F、Cl、Br、I)や硫黄(S)成分などを分析する際、内部に存在する成分を抽出によって水溶液化するには複雑な前処理が必要で、多くの工数が発生します。
プロダクト解析センターでは、熱分解ユニットと吸収ユニットからなる自動試料燃焼装置を用いて、燃焼によりガス化した難溶性物質を純水に溶解(水溶液化)することで、それらに含まれるハロゲンや硫黄成分を測定する方法を選択しています。
このようなご要望にお応えするため、弊センターでは、この度、自動試料燃焼装置を更新いたしました。自動試料燃焼装置をイオンクロマトグラフ分析装置の前段に連結して、前処理~分析までを装置内で完結させる仕組みになっていますので、難溶性物質などの直接導入できない固体試料を一気通貫で分析することが可能です。
この新規導入設備には、新たな2つの機能が搭載されています。酸素濃度モニターによる燃焼条件決定機能および自動定容機能により、それぞれおよそ80分(100分→20分)および30分(50分→20分)、測定に掛かる時間を短縮できるようになりました。
新規導入に伴い、新たに搭載された2つの機能をご紹介いたします。
①酸素濃度モニターによる燃焼条件決定機能
測定精度を向上させるためには、可能な限り多くの試料を燃焼させたいのですが、試料が多すぎると、燃焼に必要な酸素が不足して不完全燃焼になります。これまでは試料が燃焼したかどうかは燃え残りの有無を目視で確認するしか方法がなく、1回あたり10分掛かる予備検討を、多い場合は10程度繰り返し実施する必要がありました。
今回導入した設備では、燃焼中の酸素濃度をモニターできます。これにより、完全燃焼できる処理条件を1~2回の予備検討で決定できるので、測定時間を100分→20分に短縮できます。
②自動定容機能
配管洗浄のための洗浄水を含むウェットガス送気あるいは高温ガスのバブリングにより、吸収管に水分が出入りすると、初期と燃焼後の液量に変化が生じます。これまでは、定量するための添加物質(内標準)により、濃度補正する必要がありました。
今回導入した設備では、液面センサーにより一定量に補正できます。これにより、内標準を決定するための測定(試料と内標準に共通する成分があるかどうかの予備測定)が不要になりました。
例えば、複合材料など成分の詳細が不明な試料の場合、これまでは予備検討が5回程度必要でしたが、今回からは1~2回で決定できるので、測定時間を50分→20分に短縮できます。
今回導入した自動試料燃焼装置を用いた分析事例を以下に示します。溶解するのが難しい撥水性ガラス繊維に含まれる微量塩素のピークがしっかり確認できています。
弊センターでは、燃焼イオンクロマトグラフ分析装置の他、一般的なイオンクロマトグラフ分析装置、誘導結合プラズマ発光分光分析装置、誘導結合プラズマ質量分析装置などによる微量成分分析も実施しております。
ご興味ある方は下記からお問い合わせいただければと思います。よろしくお願い致します。
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