非破壊で元素マッピングを行います!蛍光X線分析装置更新のご紹介
2022年4月21日
材料ソリューション部 無機分析課の川原です。
材料開発、デバイス開発において、非破壊で元素マッピングを実施したい、そんなご要望はございませんでしょうか?
プロダクト解析センターでは、これまでもX線マイクロアナライザによる元素マッピングのサービスをご提供してきました。測定できる試料は固体・粉体に限定され、表面コートや機械加工などの試料の前処理が必な場合もありますが、数μm角程度の狭いエリアの元素マッピングでは威力を発揮しています。
この度、弊センターでは、最新の波長分散型蛍光X線分析装置(XRF)を導入しました。蛍光X線分析装置は、特殊な物理的化学的前処理を必要とせず、非破壊で高感度な固体、粉体、液体の元素分析を速やかに行えます。今回導入した設備は、上面照射型ですので、粉末状の試料を保護フィルムなしで実施できます。また、X線照射領域を0.5mmΦに絞ることができ、試料ステージを動かしながら分析を行うことで、広範囲(照射半径:最大30mmΦ)の元素マッピングが可能です。
弊センターでは、測定の目的に応じて、これらの設備を使い分けています。
今回導入した設備のマッピング機能について、簡単に説明させて頂きます。r-θ駆動の試料ステージを採用し、高精度カメラを内蔵したことから、分析部位を正確に確認できるようになりました。波長分散方式のスペクトル分解能を生かした100μmの位置分解能で正確なマッピング測定が可能です。
マッピング機能を活用して花崗岩を測定した事例を以下に示します。6mm角の広いエリアを測定した結果、強度が強い赤い箇所や強度が弱い黒い箇所の分布にばらつきが認められたことから、Al、Si、Ca、Feの偏析していることを確認できました。また、花崗岩中に複数の鉱物(長石:Al、Ca、Si:石英:Si、黒雲母:Fe)が存在することも推測できます。
花崗岩サンプル元素組成分析例(バルク分析) 単位:質量%
ご参考までに、蛍光X線分析装置の測定原理を簡単に説明させて頂きます。
蛍光X線分析は、物質にX線を照射した際に物質表面から発生する特性X線を測定する元素分析法です。特性X線の波長(エネルギー)は元素毎に異なりますので、特性X線の波長で元素を同定、X線強度から元素量の定量を行うことができます。
弊センターでは、現在も金属、ガラス、樹脂材料などの固体材料の元素組成分析を蛍光X線分析装置を用いて行っています。また、誘導結合プラズマ発光分析装置や誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた微量成分分析の他、走査電子顕微鏡・X線マイクロアナライザを用いた形態観察や元素分析も実施しております。
材料やデバイスの微量成分分析・形態観察・元素分析に関する困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。
関連リンク
最新記事
情報館では、プロダクト解析センターWEBで掲載されない情報をリアルタイムでお届けしています。
現在、新しいお知らせはございません