材料分析 Materials Analiysis

昨年度に引き続き、グローブボックスを導入しました。~分析精度向上にむけて~

2022年4月19日

こんにちは、材料ソリューション部 無機分析課の仲井です。

リチウムイオン電池や全固体電池、有機ELデバイスを構成する材料は、大気中の水分や酸素などと反応するものが多く、大気暴露すると変質や劣化が進行します。

LIB電極材料

反応生成物が 表面に発生
水分と反応し 液状化

このような材料を分析し、出来栄えの確認や特性向上・劣化要因の究明等を実施するためには、前処理(サンプリング)の段階から、窒素(N2)やアルゴン(Ar)など不活性ガス雰囲気に制御された環境内で作業することが必須です。

弊部署では、このような課題に対して、大気非暴露に合致する環境を構築することを目的に、昨年度は、材料分析を実施する2つの拠点のうち、1つの拠点へ大気の影響を受けない分析環境=「グローブボックス」を導入しました。

今年度は、さらにもう1つの拠点にも「グローブボックス」を導入しました。これにより、1つの拠点において前処理から観察までが完結しますので、工数の削減と解析精度の大幅アップを両立できるようになりました。

グローブボックスの外観写真

大気非暴露環境構築は勿論、本体横に付属しているサイドボックスからサンプルの出し入れする際、減圧や不活性ガスのパージを行うことで、サンプルに付着している水分や酸素を事前に取り除けるため、常にボックス内の水分量や酸素濃度を安定できます。 

このグローブボックス内でサンプリング後、トランスファーベッセルを用いて、試料を各種分析設備にもっていくことで、サンプリング~測定まで、一切大気に触れることなく分析することが可能です。

大気非暴露環境下での材料・デバイスの分析

グローブボックスを活用した大気非暴露環境でのLIB電極材料の断面SEM観察結果を以下に示します。大気中でサンプリングした試料は、大気中の水分や酸素などの反応生成物が認められますが、グローブボックスでのサンプリングにより反応が抑制できていることが分かります。

大気中での サンプリング → グローブボックスでの サンプリング

更に、前面のガラスを開閉することで、特大サンプルの取り扱いや実験器具の設置も可能です。 
大気の影響を受けやすい材料やデバイスの観察・分析に関する困りごとがございましたら、お気軽にお問い合わせ下さい。

最後に、グローブボックスの仕様を下表に示します。不活性ガスであるアルゴン(Ar)を使用し、ガス循環精製装置を活用することで、水分値-76℃(1ppm)以下、酸素濃度1ppm以下、ダスト0.3μm以下の雰囲気に制御できます。

仕様

装置

パージ式グローブボックス
(美和製作所社製)

不活性ガス

アルゴン(Ar)

水分値

-76℃以下

酸素濃度

1ppm以下

ダスト

0.3μm以下

サイドボックス
有効面積

210×265×510mm

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