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遺伝(いでん)もデータなの?
親戚(しんせき)のおじさんおばさんに会った時、「おかあさんにソックリ!」とか「ますますお父さんに似てきたね!」なんて言われることってないかな。親に似(に)る、っていうのも遺伝のひとつの形なんだよ。
生き物はほとんどすべてが「子孫」を残す。つまり子どもを生んで、その子どもにまた子どもができて、どんどん栄えていくようにしているんだ。昔から子だくさんはめでたいとされ、お正月にニシンの卵(たまご)の「数の子」を食べるのも、たくさんの卵を生むニシンにあやかって、子孫繁栄(しそんはんえい)させたいという願いがあるからなんだ。
子どもが親の体の中に宿る時、親は子どもに自分の情報(じょうほう)をコピーしておく。これが遺伝情報なんだ。身体は小さな小さな「細胞(さいぼう)」という部品が集まってできているんだけど、その中に遺伝子(いでんし)と呼ばれるものがある。これが親から子にコピーして伝えられるたくさんの情報を持っているんだ。
ヒトの1個の細胞は普通(ふつう)1ミリの500分の1ぐらい(20~30ミクロン)の大きさ。そんな小さな中にさらに小さな遺伝子が入っていて、図のような2重のラセン階段(かいだん)みたいな形をしている。はしご段の部分はたった4種類の部品(塩基)でできていて、その組み合わせが決まっているんだ。アデニンの相手はぜったいチミン、グアニンの相手はぜったいシトシンというように。この並(なら)び方で遺伝の情報は全部決まってしまう。
2重のラセン階段を、段の真ん中から分けてやると、反対側にまた同じ相手の部品が作られて、全く同じ2重ラセンができ上がる。こうやって生物の遺伝データはコピーされていくんだ。
ヒトではこの組み合わせの階段が、約60億段もあるっていうから気が遠くなるけど、スーパーコンピュータを使ったりして、次第にいろいろな生物の遺伝情報が読み取られ始めているよ。
顔が似ているとかだけでなく、どんな病気になりやすいかなども遺伝で決まるものがある。もし遺伝子の並び方を全部読むことができたら、遺伝子を見て病気の予防(よぼう)に役立てることができるんだ。心臓病(しんぞうびょう)、脳卒中(のうそっちゅう)、そして癌(がん)という人の命を奪(うば)う3大病はすべて遺伝子に関係していると言われているから、とても期待されているんだ。
みんなが大人になるころには、癌はかかる前に退治(たいじ)できる病気になっているかもしれないね。