地震はどうして起きるのかな?
地面を大きく揺(ゆ)らす地震。突然(とつぜん)グラグラと揺れて、地面がひびわれたり、家を壊(こわ)したりと、大きな被害(ひがい)をもたらしてしまう。そもそも、地震はどうして起きるのかな。
地震が起こるしくみを知るには、まず地球のことを知らなくてはならないね。地球の表面は、プレートという大きな岩の板でおおわれている。プレートはひびがはいった卵(たまご)のからのように、何枚(まい)もに分かれている。そしてたがいにぶつかりあったり、地球の中にもぐりこんだりして動いている。そんな動きが地震になるんだ。
プレート同士がぶつかり、動いているのは、プレートのさらに下にあるマントルが関係しているよ。マントルは高い熱でドロドロに溶(と)けた岩石だ。マントルは熱くなるとわき上がり、冷たくなると沈(しず)みこむ。このマントルの動きが、その上にあるプレートを動かしているんだ。
だけど、プレートがもぐりこんでいない場所でも、地震が起きることがある。地震がどうして起きるのかは、まだわかっていないことも多いんだ。
プレートの境目(さかいめ)で地震は起きる?
地球上で今までに起きた大きな地震を、点であらわしてみると、地震がよく起きるところと、まったく起きないところがある。そして地震がよく起きるところは、線のようにつながっていることがわかるよ。この線の形は、実はプレートの形とぴったりあてはまる。つまり、プレートとプレートの境目のところで、地震が起きているっていうことだね。
実際のプレートとプレートは、ぴったりくっついているわけではない。何枚(なんまい)かが重なり合って、とてもいりくんでいる。海の下にあるプレートは、陸の下にあるプレートと重なると、陸のプレートの下にもぐりこむ。そして、もぐりこんだ海のプレートは、地球のもっと奥(おく)深く、マントルの中へしずみこんでいく。この時、プレート同士が押(お)しあう力が、地震を起こすもとになるんだ。
地震には、いくつかタイプがある。そのひとつは、海溝型(かいこうがた)地震、またはプレート境界(きょうかい)地震ともよばれるものだ。これは陸のプレートに、海のプレートがもぐりこみ、陸のプレートがはね上がったときにおきる。数百年ごとにくり返し起きていて、関東大震災(だいしんさい)のような巨大(きょだい)地震になることが多く、津波(つなみ)が起きやすいのが特徴(とくちょう)だよ。地震がどうして起きるのかは、まだわかっていないことも多いんだ。
活断層(かつだんそう)が地震に関係があるの?
地震には、直下型地震と呼ばれるものがある。これは内陸型地震とも呼ばれていて、陸の浅いところで起こる地震だ。陸のプレートと海のプレートがぶつかって起きるプレート境界(きょうかい)地震と比べると、規模(きぼ)が小さいものが多い。だけど、地下の浅いところで揺(ゆ)れるから、大きな被害(ひがい)を引き起こすことがあるんだ。1995 年の阪神・淡路大震災(はんしん・あわじだいしんさい)や、2004 年の新潟県中越(にいがたけんちゅうえつ)地震は、直下型の地震だよ。
直下型地震が起きるしくみを説明しよう。海のプレートと陸のプレートが押し合い続けると、プレートの中にひびが入る。ひび割れて左右がずれているところを断層と言い、この断層が急にずれ動くために地震が起きるんだ。今後も活動する可能性(かのうせい)がある断層は、活断層(かつだんそう)と呼ばれている。日本には、活断層が2,000 カ所くらいあると言われ、どこで直下型地震が起きてもおかしくない。ただ、いつどこで活断層が動くのか、予想するのは難しいんだよ。
震度ってなに?マグニチュードってなに?
地震の大きさをあらわすのに、震度やマグニチュードという言葉を聞いたことはあるかな。この2つはどうちがうんだろう。震度とは、その場所での揺(ゆ)れの大きさがどのくらいかをあらわしたものだ。いっぽうマグニチュードは、地震そのものの大きさをあらわしたもの。マグニチュードが大きい地震でも、そこから離れたところでは震度は小さくなるよ。
震度は、計測(けいそく)震度計によって、自動的に観測(かんそく)している。気象庁(きしょうちょう)は、全国各地に約600地点の震度観測点を作って、地震が起きているかどうかをチェックしているんだ。震度の大きさは、0から7まである。そのうち、震度5と6はそれぞれ2つに分けて、「震度5弱」「震度5強」「震度6弱」「震度6強」として合計10階級とした。
日本では、マグニチュードが7以上の地震を、大地震と呼(よ)んでいる。マグニチュードが1つ大きくなると、エネルギーは約32倍に、2つ大きくなるとエネルギーは1,000倍になる。たとえばマグニチュード7の地震は、マグニチュード6の地震の約32個(こ)分のエネルギーになり、マグニチュード5の地震の1,000個分のエネルギーがあるってことだよ。
地震が起きると海や山もたいへんだ
地震が起きると、それに連動して、津波(つなみ)が起きることがある。日本は海に囲まれているから、地震と共に津波にも気をつけなくてはならないね。では、津波はどうして起きるんだろう。海底の地下で地震が起きると、海底が上がったり、下がったりする。一緒(いっしょ)に海面も上下に動いて、大きな波になる。これが津波だよ。津波は、表面だけがうねっている普段(ふだん)の波とは、まったく別のものだ。海底から海面まで、一気に大量の海の水が動き出す。速くて強い力がある津波が海岸に押(お)しよせると、一瞬(いっしゅん)のうちに家や人などを押し流してしまうんだ。
それから、火山の噴火(ふんか)にも気をつけなくてはならないよ。火山の活動は、地震と同じくプレートの動きが原因(げんいん)で起きる。だから地震が起きると、その影響(えいきょう)を受けやすいんだ。火山が噴火すると、マグマがふきだして溶岩流(ようがんりゅう)となって流れることがある。高温の火山灰(かざんばい)やガスが、高速で流れくだるのが火砕流(かさいりゅう)。山の斜面(しゃめん)にたまった火山灰が、雨によって一気に流れ出すのが土石流。どれも大変危険(たいへんきけん)なものだよ。
日本は「地震国」ってほんと?
日本は、世界でも地震がとても多い国だよ。世界で起きているマグニチュード7以上の地震のうち、10個(こ)に1個が日本や日本の周辺で発生したものなんだ。世界の大きさからくらべてみても日本はとても小さいのに、なぜそんなに地震が多いんだろう。それには、やっぱりプレートが関係しているよ。
日本のまわりには、北アメリカプレート、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートという、4つのプレートがある。この4つのプレートはぶつかりあって、海のプレートは陸のプレートの下にもぐりこんで少しずつ動いている。プレートはそれぞれ複雑(ふくざつ)な動きをしているから、日本は特に地震が多いんだ。今まで起きた地震を見ても、プレートの境目(さかいめ)で大きな地震が起きていることがわかるよ。
日本に住んでいると、地震を避(さ)けて通ることはできない。だからこそ、地震のことをよく知って、日ごろから防災(ぼうさい)を心がけることが必要なんだね。
日本では今までどんな地震が起きたの?
日本で記録に残る最も古い地震は、416 年だそうだ。その後も日本では、大きな地震が何度も起きている。古い書物や絵でも、そのようすが描(えが)かれているよ。今までに起きた大きな地震を地図にしてみると、同じようなところで繰り返し起きているものもあれば、そうでないものもある。
よく知られているのが、1923 年(大正12 年)に起きた関東大震災(かんとうだいしんさい)だ。関東地方南部で大きな地震が起きて、14 万人以上もの人が命を落とした。その犠牲者(ぎせいしゃ)の多くは、地震の後に起きた火事が原因(げんいん)だったと言われているよ。東京の下町は、火事で一面の焼け野原になった。このことをきっかけに、地震が起きた9 月1 日を「防災(ぼうさい)の日」と定め、さまざまな防災の取り組みが行われているよ。
1995年には、阪神・淡路大震災(はんしん・あわじだいしんさい)が起こり、震源(しんげん)は淡路島の北の端(はし)で、神戸(こうべ)、芦屋(あしや)、西宮(にしのみや)、淡路島などが大きな被害(ひがい)を受けた。多くの建物がたおれ、高速道路がくずれ、6,400 人以上が亡(な)くなった。
2004年に新潟(にいがた)で中越(ちゅうえつ)地震、そして2011 年には東日本大震災が発生した。この地震は、巨大な津波を引き起こし、大きな被害をもたらしたよ。毎年地震が発生した日が近づくと、ニュースでも取り上げられるから、知っている人も多いかもしれないね。
2016年には、熊本(くまもと)地震が発生した。4 月14 日と16 日にマグニチュード6.5 と7.3 の地震が連続して起こり、熊本県を中心に大きな被害が出た。
最近では、2024 年1 月に石川県の能登(のと)地方を震源(しんげん)とする地震が発生し、多くの建物が倒れ、大規模(だいきぼ)な火災が発生した。
世界でも大きな地震が起きているの?
地球上では、1 年でおよそ50 万回もの地震が起きている。そのほとんどは、人が気づかないくらいの小さなものだ。その中の1,000 回くらいが、人の生活になんらかの被害(ひがい)を出す大きな地震になる。地球はまるで生きているみたいに、常(つね)に活動を続けているんだね。
1985年のメキシコ地震では、震源(しんげん)から離(はな)れていたメキシコシティが、最も大きな被害にあった。メキシコシティはもともと湖だったところで、やわらかい土地の上に建物が建てられていたから、地震でたくさんの建物が倒れたんだ。そして多くの人々が、その下じきになってしまったんだ。
2004年にはインドネシアのスマトラ島でスマトラ沖地震が起きて、長さ560km にもおよぶ断層(だんそう)が大きくくずれて、巨大な津波が発生した。この津波はインド洋のまわりの国々をおそって、22 万人以上の人々の命をうばった。この周辺には、プーケット島のようなリゾート地もあり、遊びに来ていたたくさんの観光客も犠牲(ぎせい)になってしまったんだ。
最近では、2020 年にトルコとギリシャの間のエーゲ海で地震が発生したよ。この地震も、建物が倒れるなどの大きな被害をもたらし、多くの人々に被害を与えた。世界のいたるところで、こうした大きな地震は起きているんだ。だからこそ、地震に備えて、どうすれば安全を守れるかを学ぶことがとても大切なんだよ。
地震にはどうやって備(そな)えたらいいのかな?
地震が起きると、本棚(ほんだな)やたんすなど、普段(ふだん)は何でもないものが危険(きけん)なものになってしまう。きみの部屋では、家具がたおれたり、ものが落ちたり、ガラスが割(わ)れたりする危険はないかな。棚などの上に、重いものを置いていないかな。ねている場所にものが落ちてこないかな。家具がたおれた時、出入り口をふさいでしまわないかな。一度、チェックしてみよう。
家族が離(はな)ればなれになった時、連絡(れんらく)する方法を決めておくことも大事だね。どこに避難(ひなん)しているかを書いて自宅(じたく)に貼(は)り紙をするとか、 親戚(しんせき)に連絡をとることなど決めておこう。また、市区町村が指定する避難場所が、どこにあるかを確認(かくにん)しておくといいよ。
地震に備えて、持ち出し品を用意しておくことも大切だ。食べ物や飲み物のほか、お金や通帳などの貴重品(きちょうひん)も欠かせない。懐中電灯(かいちゅうでんとう)、携帯(けいたい)ラジオ、乾電池(かんでんち)は、役に立つからぜひ用意しておこう。他にタオルやトイレットペーパー、薬なども必要だ。あらかじめリュックの中に入れておいて、すぐ取り出せるところに置いておくといいね。
地震が起きた!その時どうする?
地震は突然(とつぜん)やってくる。もしも大きな揺(ゆ)れが起きたら、とっさにどうしたらいいんだろう。まずは、自分の身を守ることだ。たおれやすい家具や窓(まど)ガラスから離(はな)れて、机(つくえ)の下などに身をかくそう。ざぶとんがあったら、ざぶとんで頭を守るといい。外にいたら、かばんなどの持ち物で頭を守ろう。ブロック塀(べい)のそばやせまい路地では、物が落ちてきたりたおれてきたりするかもしれない。倒れている電柱(でんちゅう)や電線など、危険(きけん)なところから離れよう。
もし火がついていたら、すばやく火を消そう。それから、いつでもにげられるように、窓や戸を開けよう。ドアが地震でゆがんでしまい、開かなくなる危険があるからだよ。避難(ひなん)する時は、その前に電気のブレーカーを切って、ガスの元栓(もとせん)をしめること。電気やガスは火災(かさい)の原因(げんいん)になるから、必ず確認(かくにん)しよう。
気をつけたいのは、あわてて外へ飛び出さないこと。屋根瓦(やねがわら)や窓ガラスなどが落ちてきて、けがをすることもある。学校にいる場合は、先生の指示(しじ)にしたがって避難しよう。駅やビルの中、地下街にいる時も、駅員や係りの人の指示にしたがって、落ち着いて避難することが大事だよ。
地震は予知できないのかな?
突然(とつぜん)おそってくる地震を、なんとか予知できないのかな。地震の専門家(せんもんか)は、プレートの境界(きょうかい)で起こる小さな揺(ゆ)れや、地震波などを観測(かんそく)して、地震の前ぶれを見つけようと努力しているよ。今のところわかっているのは、将来(しょうらい)、静岡県の駿河湾(するがわん)近くを震源(しんげん)とする「東海地震」が起こるだろうということ。東海地域(ちいき)やその周辺(しゅうへん)に観測機器を置いて、つねに見はっているよ。だけど、「何年の何月何日に、このくらいの大きさの地震が来る」とはっきり予知することはできないんだ。
地震が発生した時に、いち早く知らせてくれる「緊急地震速報(きんきゅうじしんそくほう)」というシステムが、平成18年から始まったよ。これは地震初期の揺(ゆ)れから、その後の大きな揺れを推定(すいてい)して知らせるものだ。例えば「震度5の地震が、約10秒後に来ます」というように、推定される震度や到達(とうたつ)までの時間を知らせてくれる。知らせを聞いてから揺れが来るまでの時間は、長くても数十秒しかない。だけど、少しでも防災(ぼうさい)につなげようと、鉄道や建設(けんせつ)会社などに用いられ始めているよ。
地震にあって困(こま)っている人に何ができる?
大きな地震が起きた後は、たくさんの人や物が必要になる。人を救助するのはもちろん、こわれた建物のかたづけなど、やることがたくさんある。毛布(もうふ)や食べ物など、救援物資(きゅうえんぶっし)も必要だ。国内や外国からも、被災地(ひさいち)へさまざまな支援(しえん)活動が行われるよ。
地震にあった人たちを助けようと、自主的に被災地に来る人たちが、ボランティアだ。人の救助や、困っている人の世話など、さまざまな手伝いをして、被災者を助けてくれる。阪神・淡路大震災(はんしん・あわじだいしんさい)では、全国からボランティアでお医者さんや看護士(かんごし)さんたちが集まって、けがをした人の治療(ちりょう)をした。また、外国からは犬を連れた救助隊が来て、がれきの下じきになっていた人を見つけだしたんだよ。
もしきみが、地震にあって困っている人たちに何かしてあげたいと思ったら、被災地に行かなくてもできることがあるよ。学校や町で募金(ぼきん)活動をして、集めたお金を義援金(ぎえんきん)として送ることだ。ほかには被災地で足りない食べ物や、洋服、毛布などを送る方法もある。だけど、腐(くさ)りやすい食べ物や、古くてきたない洋服や下着などは、送られても役に立たないよ。被災地に物を送るときは、相手の立場に立って、本当に必要な物を送るようにしよう。
地震は何をもたらしているんだろう?
地震の多い日本って、怖(こわ)くて住みにくいところなのかな?たしかに災害(さいがい)が多いと困(こま)ることもあるけれど、くらしに役立っていることも少なくないんだよ。
地震や火山の多いところでは、温泉(おんせん)がわく。火山の地下にあるマグマが地下水をあたためて、地上にわき出したものが温泉だ。古くから人は温泉につかって楽しみ、けがや病気をなおすのにも利用してきたよ。それから火山の近くでは、溶岩(ようがん)などの割(わ)れ目に豊富(ほうふ)な地下水をためている。きれいなわき水は飲み水に利用したり、農業や工業に利用したりしているよ。火山灰(かざんばい)を利用した野菜作りや、マグマの熱で電気を作る地熱発電なども、地震や火山が多いからこそできることだ。
日本の風景を見てごらん。小さな国土に、起伏(きふく)のある山や谷が複雑(ふくざつ)に入りくんだ形をしているよね。このような地形は、地震が大地を動かして作り出したもの。そんな豊(ゆた)かな自然をもたらしてくれた地震と、これからもじょうずにつきあっていくことを考えていきたいね。