生産者の使命

加工された水道の水は価値がある。今日、価値あるものを盗めばとがめられるのが常識だが、通行人が門口の水道の栓をひねって存分に飲んだとしても、とがめられたという話はきかない。直接、生命を維持する貴重な価値ある水でさえ、その量があまりに豊富であるゆえに許されるということは、われわれに何を教えるか。
それは、すなわち生産者の使命は貴重なる生活物資を、水道の水の如く無尽蔵たらしめることである。いかに貴重なるものでも、量を多くして無代に等しい価格をもって提供することにある。
われわれの経営の真の使命は、まさにここにあると思うのである。

出典:『私の行き方考え方』