パナソニックグループは、創業者の松下幸之助によって確立された経営理念に則り、あらゆる企業活動において一貫して「社会の発展への貢献」を実現することを事業目的としています。

方針

創業者は、「すべて事には『萌し』がある」「この『萌し』を敏感に把握して、善処していかなければならない」と、社員一人ひとりに「変化への感性」を磨くことを求め続けました。当社グループのリスクマネジメントは、組織が「社会の公器」としての使命を最大限果たすため、現場から経営までのあらゆる階層でこの感性を重んじ、事業目的の達成に与える好ましくない影響については未然に抑制し、好ましい影響については積極的に活用することを目指す取り組みです。

リスクマネジメントの位置づけを示す図。最上部に「当社の事業目的」があり、その内容として「社会の発展への貢献」が示されている。その下に「ステークホルダー」があり、その下に左から右へ「地域社会等」「お取引先様」「従業員」「お客様」「株主様」が横一列に並んでいる。中央には大きな円が配置されている。円の左上には「事業環境の変化」が記載されている。大きな円の内部には、上部に「リスクマネジメント」と書かれた右回りの循環矢印状の円環がある。その内側には、上部に「戦略」、下部に「オペレーション」と書かれた右回りの循環矢印状の円環があり、中心には「リスク文化」と書かれた円が配置されている。円の下には「経営基本方針の実践」が配置され、その周囲を大きな循環矢印が囲んでいる。

パナソニックグループでは、リスクマネジメントの実効性向上にあたり、組織におけるリスクに対する認識や行動様式としての「リスク文化」を大切にしています(後述の教育・啓発をご参照ください)。それに基づき、事業環境の変化への対応を適切に戦略やオペレーションに織り込むことを目指しています。

責任者・体制

当社グループでは、国際的なリスクマネジメントシステムの規格であるISO31000、リスクマネジメントの国際的なフレームワークであるCOSO-ERM(2017)等を踏まえた「パナソニックグループリスクマネジメント基本規程」(以下、「基本規程」)に基づき全社的リスクマネジメントの体制・プロセスを構築しています。

また、当社グループは、コネクト、エレクトリックワークス、HVAC & CC、エナジー、インダストリー、スマートライフ等の多岐にわたる事業領域を国内外で展開しています。このような事業構造を踏まえて、当社グループでは全社レベルと事業レベルの最適化を両立したリスクマネジメントを実現するため、基本規程に基づき持株会社である当社と事業会社に推進体制を設けています。

当社では、グループのリスクマネジメント推進に係る責任を有するグループ・チーフ・リスクマネジメント・オフィサー(以下、「グループCRO」)を委員長、グループ施策を所管する機能部門のトップを委員とした「PHD エンタープライズリスクマネジメント委員会」(以下、「PHD ERM委員会」)を設置しています。また、エンタープライズリスクマネジメント室(以下、「PHD ERM室」)ステークホルダーと機能部門が連携し、リスクマネジメントの推進に係る実務を担っています。

リスクマネジメント推進体制を示す図。図は上段の「パナソニック ホールディングス」と下段の「事業会社」の二つの大きな枠で構成されている。上段のパナソニック ホールディングスの枠内では、左側に上から「株主総会」、その下に「取締役会」が配置されており、「株主総会」から下向きの矢印が「取締役会」へ伸びている。「取締役会」の下部左側には「Group Transformation Round Table(GTRT)」、同じ高さの右側には楕円形の「グループCEO」が配置されており、「グループCEO」から左向きの矢印が「GTRT」へ伸びている。さらにその下には、水色の横長長方形の「PHD ERM委員会」が配置され、その左側に紺色の楕円形の「グループCRO」が一部重なる形で配置されている。「PHD ERM委員会」からは上向きの矢印が伸び、「GTRT」および「取締役会」につながっている。「PHD ERM委員会」の下部左側には紺色の「機能部門(人事、法務、経理財務 等)」、下部右側には水色の「ERM室」が配置されている。「ERM室」からは左向きの矢印が「機能部門」へ、上向きの矢印が「PHD ERM委員会」へ伸びている。上段のパナソニック ホールディングス枠内の右側には、「取締役会」と同じ高さに灰色の「監査役会」が配置されており、「監査役会」から左向きの矢印が「取締役会」へ伸びている。その下には灰色の「内部監査コミッティ(グループCFO/グループGC)」が配置され、「グループCEO」との間に双方向の矢印がある。また、「内部監査コミッティ」から上向きの矢印が「監査役会」へ伸びている。さらにその下には、灰色の「監査部門(内部統制、内部監査、コンプラ監査)」が配置されている。「ERM室」と「監査部門」の間には双方向の矢印があり、「監査部門」から上向きの矢印が「内部監査コミッティ(グループCFO/グループGC)」へ伸び、左無期の矢印が「機能部門」へと伸びている。下段の事業会社では、左側に上から「事業会社取締役会」、その下に水色の「事業会社ERM委員会/経営会議体 等」が配置されており、「事業会社ERM委員会/経営会議体 等」から上向きの矢印が「事業会社取締役会」へ伸びている。その下には、左側に紺色の「機能部門」、その下に白色の「事業部門」、さらにその下に白色の「国内・海外子会社」が配置されている。右側には水色の「ERM部門」が配置されている。「ERM部門」からは上向きの矢印が「事業会社ERM委員会/経営会議体 等」へ、左向きの矢印が「機能部門」へ、さらに左向きの矢印が「事業部門」へ伸びている。また、「事業部門」から下向きの矢印が「国内・海外子会社」へ伸びている。事業会社の枠内右側には、「ERM部門」と同じ高さに灰色の「内部監査部門」が配置されており、「ERM部門」との間には双方向の矢印がある。パナソニック ホールディングス側の「機能部門」と事業会社側の「機能部門」は、「リスクオーナー連携」と記された上下方向の矢印でつながっている。また、パナソニック ホールディングス側の「ERM室」と事業会社側の「ERM部門」も、「リスクコントロール連携」と記された上下方向の矢印でつながっている。さらに、パナソニック ホールディングス側の「監査部門」と事業会社側の「内部監査部門」は、「リスクアシュアランス連携」と記された上下方向の矢印でつながっている。図の左端には上下二つの縦長の帯が配置されている。上段の帯には「グループ重要リスク」「PHD重要リスク」と記載されており、下段の帯には「事業会社重要リスク」と記載されている。図下部の注記には、「PHD:パナソニック ホールディングス、ERM:エンタープライズリスクマネジメント」と記載されている。

基本的枠組み

当社では、年1回、外部・内部環境の変化や当社グループの方針・計画に基づく経営層のリスク認識など、トップダウン、ボトムアップかつクロスファンクションの観点から、当社または当社グループにおいて対応やモニタリングが求められるリスクとその優先度を特定、分析、評価しています。重要リスクの決定にあたっては、当社グループや社員、お客様、お取引先様などのステークホルダーに対する影響度だけではなく、リスクに対する脆弱性等の複数の指標を考慮することで、不確かな将来を想定し、限られた経営資源を有効に配分することに努めています。

また、当社では、PHD ERM委員会においてリスクの変化や重要リスクの対策の状況に関する モニタリングを含むリスクレビューを定期的に行っています。これらのリスクマネジメントの一連の推進に係る内容は、Group Transformation Round Table (GTRT)における経営判断や業務執行の質の向上、取締役会におけるリスク管理体制の有効性および効率性の監督に加えて、重要リスクを中心としたリスクベースアプローチの内部監査にも活用されています。

昨今では、企業の社会的責任(CSR)やSDGs、ESG等の社会的要請への取り組みの重要性に鑑み、これらの期待に応えられないことによるリスクに関する項目(人権・労働コンプライアンス、環境問題等)や自社がステークホルダーに及ぼす影響に関する評価要素についても活動の枠組みに取り入れています。

▪認識している重要なリスク(グループ/PHD)

当社グループで2026年7月時点で認識している重要なリスクは以下の通りです。詳細は有価証券報告書「事業等のリスク」をご覧ください。

* PHDにおけるERMのフレームワークで特定した重要リスク

目的

リスク(機会・脅威)

成長の原動力としてのソリューション事業の信頼基盤強化

情報セキュリティ・サイバーセキュリティ

AI(人工知能)の利活用

事業ポートフォリオマネジメントの継続的な推進

競合・業界に関するリスク

他社との提携・企業買収等に関するリスク

事業再編に関するリスク

グローバルでの安全・コンプライアンス体制確立

コンプライアンス・法規制

人権・労働コンプライアンス

品質

労働災害

知的財産に関するリスク

不確実性の高い環境でのレジリエンス強化

国際的な事業運営に関するリスク

環境問題・気候変動

災害・事故

人材の誘引・維持・獲得

サプライチェーンに関するリスク

経済状況の変動

為替動向、金利変動および株式市場の動向

会計上の見積り

教育・啓発

当社グループでは、リスクマネジメントの実効性を高めるために、刻々と変化する環境の中で、社員一人ひとりがリスクリテラシーを絶えず向上し、健全なリスクテイクを志向できるよう「リスク文化」の醸成に向けた取り組みを推進しています。入社時および海外赴任前の従業員を対象とした研修(日本地域)では、リスクを過度に恐れず、組織と個人の成長につなげるために必要なマインドセットや、危機発生時の基本的な対応等を身につけることを目指しています。

企業の社会的責任の一環として、リスクマネジメントを通じ未来を担う若年層の成長に寄与することを目的として、社外(大学)の講座においても「組織と人の成長を支えるリスクマネジメント」と題した講演を展開しています。

社内外からの通報窓口

国内外の拠点やお取引先様が潜在的なリスクを報告できる仕組みとして、コンプライアンス違反や各種ハラスメント、調達活動等に関する問題を通報できる「グローバルホットライン EARS」を整備しています。詳細は「コンプライアンス」章の「通報制度」をご確認ください。

BCM・BCP

当社グループは、自然災害、テロ・戦争、パンデミック、サイバー攻撃等の危機発生に際した事業継続を可能とする観点で、BCM(事業継続マネジメント)活動を通じたオペレーショナル・レジリエンスの強化に努めています。

当社グループでは、グループ全体に大きな影響を及ぼす可能性のある緊急事態が発生した際の対応の基本方針、体制および役割、初動対応等を「パナソニックグループ緊急対策規程」に定めています。また、当該規程に基づく緊急時の体制構築や連携の実効性を高めるため、毎年グループ防災訓練を実施するとともに、平時の防災・減災対策の強化にも取り組んでいます。

加えて、自然災害(地震・洪水・津波)に関してはハザード調査に基づいて、自社およびサプライチェーンでリスクベースの対策を実施しています。また、当社グループの事業への影響が特に甚大であると想定される自然災害として、南海トラフ地震、首都圏直下地震をストレス事象とした影響分析を実施し、分析結果に基づき必要な対策の強化を進めています。

さらに、グループ全体のレジリエンスの継続的な向上を図るため、有事の際に優先して復旧する事業の選定や事業復旧プロセスの構築等の考え方を示した「BCM構築ガイドライン」を展開し、各事業会社や拠点における事業継続計画(BCP)の策定や適切な見直しを促しています。