パナソニックグループは、「企業は社会の公器である」という経営理念を掲げており、社員※ 1、お客様、お取引先様の従業員など事業に関わるすべての人々の権利を守り、心身の健康や幸せな人生に貢献する責任があると認識しています。グローバルに事業を展開している企業として、すべての人々の人権に配慮しながら、事業活動において適用されるすべての法令を順守するとともに、「国際人権章典」や国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則および権利に関する宣言」で表明された国際的に認められた人権を尊重します。

当社グループは、私たちの事業活動や製品・サービス、取引に関連する人権への負の影響を特定し、その予防、軽減、是正を推進するために人権デュー・ディリジェンスに取り組んでいます。また、お取引先様やビジネスパートナー様などに対しても、人権・労働コンプライアンスに関する当社の方針、施策への理解と実行を求めます。

なお、「人権の尊重」は、当社グループにおけるマテリアリティの一つです。マテリアリティに関する詳細はこちらをご確認ください。

※1 社員:(1)パナソニックグループ会社と雇用関係にある社員、嘱託等およびその指揮命令を受けて業務に従事する派遣社員・出向社員(以下、従業員)、および(2)パナソニックグループ会社の取締役、執行役員、参与、フェロー、監査役、特別顧問および顧問(以下、役員)の総称をいいます。なお、一部の人事諸制度等の適用対象は主要会社と雇用関係にある社員を指しています。

方針

当社グループは、以下の国際規範を参照し、社外の専門家の意見も踏まえた「パナソニックグループ人権・労働方針」(以下、人権・労働方針)を定めています。この方針には、国際規範や事業活動・取引に適用される各国法令の順守を前提として、国際的に認められた人権の尊重へのコミットメント、人権への負の影響の特定・予防・軽減・是正、被害者の救済などの推進、働きがいのある労働環境の実現、これらに関する様々なステークホルダーとの対話に取り組んでいくことを明記しています。この方針に従って、社内ルールを定め、推進体制の整備ならびに人権の尊重や働きがいのある労働環境の実現に向けた具体的な取り組みを推進しています。

また、当社グループの社員一人ひとりが果たすべき約束を定めた「パナソニックグループコンプライアンス行動基準」(以下、コンプライアンス行動基準)においても「人権の尊重」を私たちの社会的責任と位置づけ、その啓発に努めています。

<参照している主な国際規範>

  • 国連「ビジネスと人権に関する指導原則」
  • 国連「国際人権章典」(世界人権宣言、市民的および政治的権利に関する国際規約、経済的・社会的および文化的権利に関する国際規約)
  • ILO「労働における基本的原則および権利に関するILO宣言」およびILO基本条約(中核的労働基準)

これらの方針は、社外の専門家や当社の影響を受けるステークホルダーおよびその代表者の意見を踏まえて、定期的に、また必要に応じて随時見直しています。2023年8月には、人権・労働方針を、ILOの中核的労働基準に労働安全衛生が追加されたことへの対応およびサプライチェーンにおける強制労働防止の取り組みをより充実・定着させるために、社内外の専門家の意見も踏まえて改訂しました。本方針は、当社グループおよび事業会社各社の経営陣および労働組合との意見交換を経て、グループCEOが承認・公布しました。人権・労働方針は日英両言語でWebサイトに掲載しています。また、すべての購入先様に順守いただく「パナソニックサプライチェーンCSR推進ガイドライン」の中で人権を尊重することを要請しています。

責任者・体制

パナソニックグループの人権尊重の取り組みの責任者は、グループ・チーフ・ヒューマン・リソース・オフィサー(グループCHRO)です(2026年8月現在)。当社グループの執行役員は、担当する分野のサステナビリティに関わる項目を、報酬に反映される評価指標として設定しており、グループCHROは、「人権の尊重」の取り組みを設定しています。人権に関する重要課題は、パナソニック ホールディングス(株)(以下、PHD)の取締役会の監督のもと、グループCEOが委員長を務めるサステナビリティ経営委員会※2で議論し、グループ経営会議やPHDの取締役会に報告します。2024 年度は人権デュー・ディリジェンスの推進上の課題や取り組み計画についての議論、2025年度はEUのコーポレート・サステナビリティ・デューディリジェンス指令(CSDDD)に対応するための社内の仕組み・推進計画についての議論がありました。また、2026年度の「グループ重要リスク」として「人権・労働コンプライアンス」を特定し、各事業場でリスク軽減に取り組んでいます。詳細は、「リスクマネジメント」をご確認ください。

日常の人権の尊重の取り組みは、PHD・CHRO傘下のソーシャルサステナビリティ部が当社グループの人権・労働の取り組みの統括組織として、人事機能を中心に法務や調達などの関連機能と連携しながらグループ傘下の各事業会社とともに推進しています。各事業会社では、人権デュー・ディリジェンスの推進リーダーが自社で特定した人権課題に対する取り組みを主導しています。

サプライチェーンにおける取り組みに関しては、「責任ある調達活動」をご確認ください。

※2 サステナビリティ経営委員会は2026年3月末に発展的に解消し、2026年度より、Group Transformation Round Table (GTRT)やPHD Executive Committee (PEC)にて、サステナビリティに関する方針、戦略、指標および目標等の議論・方向付け等を引き続き実施します(詳細は「推進体制」をご確認ください。

重要指標

当社グループは、事業会社ごとに事業領域や活動の拠点などが異なり、生じ得る人権リスクも、その深刻度なども異なります。よって、事業会社がそれぞれのバリューチェーンや事業特性を踏まえて、主体的に人権デュー・ディリジェンスに取り組むことが重要です。このためには、各事業会社において、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを整備するだけでなく、それを効果的に運用するための人材と体制が不可欠です。こうしたことから、当社グループでは、「ビジネスと人権」を深く理解した上で、現場で人権リスクを適切に特定し、改善につなげることのできる人権推進リーダーの育成を重要指標の一つとしています。

また、当社グループは、人権デュー・ディリジェンスの取り組みを通して、強制労働を予防・軽減することを重要課題に位置付け、強制労働に脆弱である外国人移住労働者を雇用するグループ拠点に向けた啓発・人材育成をもう一つの重要指標としています。

これらの指標により、人権デュー・ディリジェンスの基盤づくりと、優先課題への対応の進捗を継続的に評価し、取り組みの効果向上に努めています。

重要指標目標進捗
各事業会社の人権推進リーダーを育成する「人権デュー・ディリジェンス実践研修」の理解度※380%88%
(2025年度)
外国人移住労働者を雇用するグループ国内外拠点に対する強制労働防止への対面研修実施率100%
(2024~2026年度の3カ年目標)
81%完了
(全32拠点、2024年度13拠点、2025年度13拠点で実施)

※3 知識に対する理解度に加え、「ビジネスと人権」に対する共感度とその推進に対する意識の高さを研修後のアンケートにて調査

啓発・人材育成

当社グループは、すべての社員が「人権の尊重」を確実に実践できるよう、啓発と人材育成を重点的に推進しています。「人権の尊重」を含むコンプライアンス行動基準については、22言語に翻訳し、入社時・昇格時など定期的に教育する機会を設けています。特に各事業会社が任命した人権推進リーダーに対しては、2日間の人権デュー・ディリジェンス実践研修を毎年実施しています(2025年度は人事に加え、法務・調達等対象機能を拡大し、計45名が参加)。同研修では、人権リスクの特定・評価手法、人権リスクの軽減策等を実務に沿ったコンテンツで学ぶ演習や、受講者間のディスカッションに重点を置いたグループワークに加え、主な国際規範や事業を取り巻く様々な人権リスク、他社事例についての社外専門家による講義も実施しました。

日本では、外国人技能実習生・特定技能外国人を雇用する製造部門の職場責任者等に対し、人権セミナーを実施しました(103名が参加)。また、日本から海外会社に赴任する経営者を含むすべての新規出向者に対して、企業の人権尊重責任についての国際規範や各国法令、グループの人権・労働方針を含む当社グループの取り組みに関する理解を目的とした研修を実施しています(2025年度:489名が参加)。当社のモノづくりが集中するアジア各国の人事担当者等に対し「ビジネスと人権」に関する研修も実施しました(2025年度:13名が参加)。

人権デュー・ディリジェンス

当社グループは、事業活動や製品・サービス、取引に関連する人々の人権の尊重のため、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づき、また、OECD「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」を参照して人権デュー・ディリジェンスを実施しています。さらに、欧州のCSDDDをはじめとする法制化の動きなどを踏まえ、グループ全体で一定水準の信頼性・実効性を担保した人権デュー・ディリジェンスを可能とするため、2024年度に関連部門横断のプロジェクトを立ち上げ、プロセスやツールを継続的に強化しています。また、その過程において、社外の専門家や社内外のステークホルダーと対話や協議・連携も行っています。

人権デュー・ディリジェンスのプロセスを示す図。中央には円形の矢印でつながる4つの工程を配置しており、左上の「①負の影響の特定・評価」、右上の「②負の影響の予防・軽減・是正」、右下の「③追跡調査」、左下の「④情報開示」の順に循環する構成となっている。左側には「方針によるコミットメント」、右側には「苦情処理メカニズム」を配置し、それぞれ中央のプロセスとの間を両方向の矢印で結んでいる。また、下部には「ステークホルダーエンゲージメント」を配置し、中央のプロセスとの間を両方向の矢印で結んでいる。

なお、当社グループにおいては、事業によって複雑なサプライチェーンを持つため、責任ある調達活動の一環として、グローバル調達本部の支援のもと各事業会社や地域の調達部門と連携しながら人権リスクの防止や軽減に努めています。取り組みの詳細は、「責任ある調達活動」をご確認ください。

▪人権への負の影響の特定と評価

当社グループは、バリューチェーンを含む事業活動全体での人権リスクの特定が必要であると認識しています。2024年度、まずは、人権に関する国際規範やガイドラインの参照、社内外のステークホルダーや人権専門家との対話や協議を踏まえ、当社グループの事業、国・地域の特性などを考慮し、以下の17項目を評価対象とする人権課題と特定しました。

  • 差別の禁止と法の下の平等
  • ハラスメントと虐待
  • 女性の権利
  • 児童労働
  • 強制労働
  • 労働安全衛生
  • 労働時間
  • 表現の自由
  • 知的財産権
  • 適切な労働環境
  • 賃金
  • 結社の自由・団体交渉権
  • 研修と教育の不平等
  • 思想・良心・信教の自由
  • プライバシーの侵害
  • 居住移転の自由
  • 賄賂・腐敗防止

次に、事業会社がそれぞれのバリューチェーンや事業特性を踏まえつつ、関連部門へのヒアリング結果や自社のリスク軽減の取り組み状況を考慮した上で、各人権課題を「深刻度」と「発生可能性」の2軸で評価し、優先的に対応すべき人権課題を特定しました。さらに、各事業会社が特定した人権課題を集約し、当社グループにおける特に優先度の高い顕著な人権課題として強制労働と労働安全衛生を特定しました。

優先的に取り組む人権課題の特定プロセスは継続的に改善するとともに、特に差し迫った課題が発生した場合には可能な限り速やかに予防・軽減・是正するように努めます。

▪人権への負の影響の予防・軽減・是正

2024年度に特定した優先的に対応すべき人権課題に対し、2025年度、各事業会社にて実態調査のうえ、把握した問題の是正や未然防止策の導入を行いました。取り組み状況についてはPHDの統括組織が定期的な確認を行い、必要に応じて助言や提言をしています。

当社グループにおいて特に優先度の高い人権課題である強制労働、労働安全衛生については、各社でグループ共通の活動に取り組んでいます(以下の「強制労働の禁止」、および「安全・安心・健康な職場づくり」に詳述)。また、人権デュー・ディリジェンスを通して特定したその他の人権課題に対しても、その予防・軽減・是正のために様々な取り組みを行っています。

強制労働の禁止

当社グループは人権・労働方針において、あらゆる形態の強制労働の禁止を明記しています。ILOなどが策定している国際規範・ガイドラインを参照し、また適用されるすべての法令および社内ルールに従って、強制労働や不当な扱いのない採用・雇用環境の確立に向けた取り組みを推進しています。万一、当社グループまたは購入先様、お取引先様、ビジネスパートナーなどの第三者において、強制労働または強制労働が疑われる行為(ILOによる11の強制労働指標※4に該当または関連し得る行為を含む)が確認された場合、その中止・是正・軽減や被害者の救済を含めて、速やかに人権への負の影響に対処するよう、社内ルールで定めています。

サプライチェーンにおいては、パナソニックサプライチェーンCSR推進ガイドラインを通じて購入先様に強制労働防止に取り組むよう要請しています。詳細は、「責任ある調達活動」をご確認ください。

※4 ILOの11の強制労働指標:脆弱性の悪用、欺瞞、移動の制限、隔離、身体的・性的暴力、威嚇・脅迫、身分証明書の保持、賃金の留保、借金による束縛、虐待的な労働・生活環境、過度な時間外労働

◇責任ある採用と雇用

製造拠点やサプライチェーンにおいて、国や地域を越えて働く移住労働者は脆弱な立場にあると認識しています。当社グループにおいて、マレーシアのグループ会社はグループ内で最も多くの外国人移住労働者数を雇用しており、2018年には国連の関連機関である国際移住機関(IOM)と連携して「責任ある雇用プロジェクト」を開始しました。IOMは、移住に関する継続的な課題に世界各地で取り組むとともに、マレーシアおよび周辺地域において人権問題の特定・是正を進め、これらの問題に関する研修も提供しています。マレーシアのグループ会社各社は、2020年に「外国人移民労働者の責任ある採用および雇用に関する方針」(2025年4月改訂)、2021年9月にその業務手順書(2025年4月改訂)を制定し、これらに基づき関連する様々な取り組みを推進してきました。2025年度には、マレーシアの方針・業務手順書をもとに「パナソニックグループ責任ある採用と雇用に関するガイダンス」の策定を進め、2026年度より脆弱な外国人移住労働者を採用・雇用するグループ会社に展開していきます。これらマレーシアの方針等やグループのガイダンスでは、採用手数料および関連費用の労働者負担禁止、個人文書(パスポートなど)の会社保持禁止、外国人移住労働者に対する母国出国前の理解可能な言語での基本的雇用条件の明示など、労働者保護の原則を明確に定めています。マレーシアでは、方針や業務手順書の運用実態の確認も行っています。2024年度には、IOMの協力のもと、グループ4社の製造拠点で働く外国人移住労働者約770人との面談を実施し、社内ルールや現場レベルの苦情処理メカニズムの認知不足を把握しました。これを踏まえて方針と手順書を改訂し、当該4社の全外国人移住労働者約1,700人と管理者に対し、労働者の権利や社内ルール等に関する再教育を行いました。2025年度には、人事、法務等関連機能の責任者・実務担当者に対し、方針・手順書の浸透のためのワークショップを実施しました(グループ8社38名参加)。

また、2024年度からは、マレーシアで製造請負会社や各種業務委託先との契約に人権の尊重に関する順守事項を追加し、強制労働に関する国際規範、国内の関連法令、当社グループの人権・労働方針に関する研修を実施しています(2024年度64社、2025年度52社参加)。

潜在的なリスクのある国・地域では、マレーシアでの取り組みを横展開しています。台湾では、2024年度にグループの製造会社1社にて第三者監査を実施し、雇用契約書の記載内容が不十分な項目の見直し、寮の生活衛生の改善と防災強化、苦情処理メカニズムの運用再徹底のための教育を行いました。日本では、2025年度、外国人技能実習生、特定技能外国人を雇用する13拠点に対し、啓発・研修と潜在的リスクのチェックを実施しました。タイでは、2025年度、製造請負会社や各種業務委託先(計約400社)との契約に人権の尊重のための順守事項を追加しました。また、IOMの協力のもと、グループ12社と業務委託先73社に対し、人権に関する国際規範、強制労働リスクやその軽減措置などに関する研修を実施しました。

強制労働の根本原因への対応には政府、関係機関、企業、お取引先様などが連携して取り組むことが不可欠であるとの認識のもと、当社グループは、2025年度より、Responsible Business Alliance (RBA)の190社以上が参加する責任ある労働イニシアティブ(Responsible Labor Initiative)のワーキンググループに参画し、倫理的な採用の促進に取り組んでいます。マレーシアの当社グループ事業拠点では、2025年度よりOn The Level※5プログラムで倫理的な採用基準を満たし、認証を取得した人材紹介業者を活用しています。高リスク国であるマレーシアやタイでは、政府関係当局、国連関係機関やNGO等との関係構築に努め、重要な情報入手や意見交換を行っています。

※5 On The Levelは、Fair Hiring Initiativeが運営する、人材紹介業者等を対象とした認証プログラムで、国際的に認められた倫理的採用基準の普及および定着を目的としている。

児童労働の禁止、若年労働者の保護

当社グループは、人権・労働方針において、児童労働の実効的な廃止に向けて取り組むことを明記しています。

社員の採用時には、当該国の法令を順守した活動を行うとともに、人材紹介会社などのお取引先様にも同様の対応を求めています。また、18歳未満の労働者が危険で有害な労働に従事することは認めていません。サプライチェーンにおいては、パナソニックサプライチェーンCSR推進ガイドラインを通じて購入先様に対応を求めています。詳細は、「責任ある調達活動」をご確認ください。

 

差別・ハラスメントの禁止

当社グループは、人権・労働方針において、「雇用および職業における差別の排除」を明記しています。その上で、当社グループは、コンプライアンス行動基準などにおいて、「年齢、性別、人種、肌の色、信条、宗教、社会的身分、国籍、民族、配偶者の有無、性的指向、性同一性と性表現、妊娠、病歴、ウイルス等への感染の有無、遺伝情報、障がいの有無、所属政党や政治的指向、所属労働組合、兵役経験など」による差別や差別につながる行為およびハラスメントなどを禁止し、その啓発に努めています。これらにより、多様な人材がお互いを重要なパートナーとして尊重し合い、活き活きと活躍できる働きやすい職場づくりを進めています。詳細は、「多様な人材・組織のポテンシャルの最大発揮」をご確認ください。

◇採用選考について

各国の法令やガイドラインを踏まえ、応募者の適正・能力・意欲に基づく選考を徹底しています。選考において、上記差別を含む人権侵害またはこれらにつながる問題を確認した場合は、短期的な是正だけでなく、啓発・教育を通じ、再発防止策の徹底に努めます。

結社の自由と団体交渉権

当社グループは、人権・労働方針において、「結社の自由」および「団体交渉権の効果的な承認」を推進することを明記し、各国・地域において、社員との積極的な対話を通じて、健全な関係の構築や問題解決に努めています。また、人権・労働方針に基づき、法令により労働組合の結成が認められていない国の事業拠点においても、国際的に認められた人権の原則を尊重する方法を追求しています。

◇日本

当社グループでは、PHDおよび事業会社が対峙する各労働組合と締結している労働協約において、組合の団結権、団体交渉権、争議権を認めるとともに、組合加入者への差別の禁止、組合活動を理由とする不利益な取り扱いの禁止を定めています。管理職を含む社員の労働組合への加入率は74.6%、管理職を除く加入率は97.2%です(2026年3月末時点)。

会社と労働組合は、会社の健全な発展と社員の労働福祉条件の向上および社会の発展が、それぞれ不離一体であるという共通認識に立ち、労使の対等性と強固な信頼関係に基づき、組合の経営参加制度を確立し、経営上の重要事項について会社と労働組合が協議する「労使協議会」を設置しています。

◇欧州

1994年に採択されたEU指令※7を受け、健全な労使間の協議の場として労使で自主協定を締結しています。パナソニック欧州従業員会議(PEEC)を設置し、従業員代表と会社代表による、経営戦略や社員のくらしサポートを含む事業課題に関する意見交換や議論を実施しています。

※7 EU指令:欧州連合域内の2カ国以上にわたって1,000人以上を雇用するすべての企業に汎欧労使協議会の設置を義務づける指令

◇中国

ほとんどのグループ会社で組合(工会)を組織しています。定期的な労使対話、積極的な労使合同レクリエーションの開催、重要な経営判断についての組合への事前説明を行い、良好な労使関係づくりに力を入れていて、報酬、福利厚生、研修などに関する意見交換や協議も実施しています。

労働安全衛生

当社グループは、「安全で健康的な労働環境の実現」を人権・労働方針に定めています。当社グループにおける特に優先度の高い顕著な人権課題として特定し、重点的に対応しています。詳細は、「多様な人材・組織のポテンシャルの最大発揮」章の「安全・安心・健康な職場づくり」をご確認ください。

適正な労働時間の管理

当社グループは、各国の労働関連法令や労使間の協定(労働協約など)に基づき、労働時間および休憩時間、時間外労働、休日・休暇などの適正な管理に関する規則を就業規則で定めています。また、労働者との合意なく労働者に時間外労働を強制することは、強制労働または強制労働が疑われる行為の一つとして、社内ルールで禁止しています。

日本では、所定労働時間を7.75時間/日とし、それを超える労働時間については割増賃金の対象とするなど、法を上回る対応をしています。また、法定基準よりも厳格な労働時間管理基準を社内で設定し、過重労働の撲滅に取り組んでいます。

年次有給休暇制度についても、法を上回る水準を付与し、取得残日数については最大50日まで積立て可能としています。その取得にあたっては、時間単位や半日単位での取得を可能とするなど、よりフレキシブルに個人のニーズに対応できる制度としています。

これらの制度面での充実に加え、時間外労働が特定の社員に偏らないための最適な人材配置、および、万一長時間労働となってしまった従業員については、追加で健康診断を実施するなど、社員の心身の健康管理に総合的に取り組んでいます。

適正な賃金の管理

当社グループは、報酬制度設計ガイドラインを定め、市場競争力のある報酬水準の実現を目指すとともに、各国の労働関連法令や労使間の協定(労働協約など)に基づき、適切な賃金、諸手当、賞与、その他臨時に支払われる給与、退職金などを就業規則にて定めています。

また、国ごとに、最低賃金、法定給付、時間外労働などに関するすべての賃金関連法令を順守した規則を定め、賃金の管理や支払いについては、この規則に基づいて運用し、決められた支払い期間と時期で、給与明細および電子データにより社員への必要な通知を行い、直接支給しています。

苦情処理メカニズム

当社グループは、人権侵害に関する苦情への対処が早期になされ、是正および救済につながるよう、各種チャネルを通じて苦情を受け付けています。また、人権侵害が確認された場合には、影響を受けた人々の救済に取り組みます。

通報窓口の一つとして、従業員およびお取引先様を含む社外のステークホルダーを対象とした「グローバルホットライン EARS」(32言語対応)を設置しており、人権・労働問題を含むコンプライアンス違反の被害を受けたり見聞きした場合、通報することができます。匿名での通報も可能で、通報者の情報や通報内容は機密に保持されるとともに、社内外の通報者が通報を理由に報復行為や不利益な扱いを受けることがないよう、社内規程で定めています。詳細は、「コンプライアンス」章の「通報制度」をご確認ください。

加えて、当社グループ外からの人権に関する通報をより広く受け付けるため、ビジネスと人権ロイヤーズネットワーク、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、電子情報技術産業協会(JEITA)CSR委員会等の取り組みを統合して設立された、業界横断的な苦情処理プラットフォーム「JaCER(一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構)」に正会員として加盟しています。このような第三者窓口も活用し、公平性・透明性の確保と対話の促進を通じて、人権に関する課題の解決に取り組んでいます。

国際・業界連携の取り組み

当社グループは、2022年1月より国連グローバル・コンパクトに参加しています。「人権」「労働」を含む、4分野10原則への支持を表明するとともに、人権・労働の取り組みを国際基準に則り、その進捗・成果を社会に開示することにより、説明責任を履行しています。

また、2021年10月より電子・ICT・自動車分野の国際的なCSR団体であるRBAに加盟し、RBA傘下のResponsible Minerals Initiative(RMI)にも参画しています。2026年3月にRBAが主催したマレーシア政府の関連省庁とRBA会員企業との対話には企画段階から参画し、マレーシア政府機関による外国人移住労働者の人権尊重に向けた企業支援を要請しました。

2024年2月には、マレーシアで外国人労働者の責任ある採用と雇用について支援実績がある国連の専門機関、IOM、と、サプライチェーンにおける外国人移住労働者の権利向上を目的とした戦略的グローバルパートナシップを締結しました。

2025年4月には、企業の人権尊重の取り組みを支援する国際的な団体であるGlobal Business Initiative on Human Rights (GBI)に加盟しました。GBIとの連携により、企業が直面する人権課題への理解を深め、当社グループの人権デュー・ディリジェンスの継続的な改善に役立てています。

当社グループは、上記の活動を通じて、信頼性の高いマネジメントシステムの構築に取り組んでいます。

また、当社グループは、国内・国際団体、政府機関などに対して、企業の立場から実践的な人権に関する意見を積極的に発信しています。2025年度、PHDの担当者がOECDの持続的ビジネスエキスパートグループおよび経済産業諮問会議(BIAC)に継続して参加、また在欧日系ビジネス協議会(JBCE)のコーポレートサステナビリティ委員会を副委員長としてリードし、欧州における人権やデュー・ディリジェンスと関わりのある政策への貢献を継続的に行っています。2025年はCSDDDを含むオムニバスI簡素化法案の策定過程において積極的に貢献を行いました。日本では、JEITAのCSR委員会サステナビリティ デューデリジェンスWGへの参画を通じ、欧州を中心とする人権デュー・ディリジェンスに関する法制化について欧州政策担当者に意見書を提出するなど、電子業界共通課題の解決を図ろうとしています。マレーシアでは、国家人権委員会(SUHAKAM)との間でも、マレーシアにおける人権課題について対話を継続しています。2026年1月には、昨年に続いて経済産業省が実施する「ベトナムにおける責任ある企業行動の推進研修コース」の日本研修を受け入れ、ベトナム商工会議所や日本企業と取引を行っている電気電子関連等ベトナム企業の幹部に対して「ビジネスと人権」に関する当社グループの取り組み紹介や意見交換を実施しました。