全社環境情報の一元管理
環境経営のPDCAを回す上では、各事業場でのエネルギー使用量や廃棄物・有価物発生量、化学物質排出・移動量、水使用量等に関する膨大なデータを、迅速かつ正確に把握することが不可欠です。
当社グループは、グローバル全事業場の環境関連データを収集・管理する環境パフォーマンスシステムであるエコシステム(工場)を構築・導入しており、このシステムを活用して月度での管理を実施しています。特にCO2排出量の管理では、取り組みの進捗確認や課題抽出を行い、それらの情報を共有し対策実施を徹底することで、CO2排出量削減に向け重要な役割を果たしています。エコシステム(工場)は、グローバル全事業場からの順法状況などの共有の仕組みとしても機能しています。近隣住民からの苦情を受けた場合や、条例の規制値を上回った場合に事業場の担当者が状況を入力することで、当該事業会社およびパナソニック オペレーショナルエクセレンス(株) 品質・環境本部の担当者に即時にメール配信され、迅速な情報共有と、適切な対応ができるようになっています。
また、当社グループは、環境情報の法的開示要求やステークホルダーの要請に適切かつ効率的に対応し、Panasonic GREEN IMPACTの推進および開示・訴求に必要なデータを蓄積し、共有することを目的に、新たに環境情報基盤を構築しました。この基盤では、バリューチェーン全体(スコープ1,2,3)のCO2排出量の算出や集計に関する情報、ならびに削減貢献量に関する情報を一元管理します。
エコシステム(工場)の仕組み
製品については、グローバルで含有化学物質の法規制が強化され、EUのREACH規則ではサプライチェーンでの情報伝達や開示が義務化されています。当社グループは、業界標準の情報伝達方式を採用した製品化学物質管理システムを構築し、様々な規制や要請に対応しています。
2017年1月には製品化学物質管理システムを刷新し、電気電子機器に関するマテリアルデクラレーション(製品を構成する材料や化学物質の情報宣言)の国際規格であるIEC62474に準拠したchemSHERPA※1を採用するとともに、当社グループ車載事業の拡大に伴い日本の自動車業界の標準フォーマットであるJAMA/JAPIA統一データシート※2も採用し、多様な領域で複雑化する製品化学物質法規制への対応を可能としました。また、車載事業での製品化学物質法規制への対応力強化のため、2020年10月からグローバルでの自動車業界の標準システムであるIMDS※3への連携機能を強化しました。
さらに、欧州での廃棄物枠組指令により、高懸念物質(SVHC※4)の廃棄物処理業者および消費者への情報開示が強化され、欧州化学品庁(ECHA)のSCIP※5-DBへのSVHC登録が義務化(2021/1/5開始)されました。SCIPDBへの登録対応のために、システムでの連携機能を強化し、当社グループシステムを介した登録を開始しました。
製品化学物質管理システムの仕組み
※1 アーティクルマネジメント推進協議会が運営する情報伝達フォーマット
※2 日本の自動車業界で標準化された成分調査データシート。現在は一般社団法人日本自動車部品工業会主導によるJAPIA統一データシートが後継ツールとして活用されている。
※3 International Material Data System:グローバルに運用されている自動車産業界向けのマテリアルデータシステム
※4 Substances of Very High Concern
※5 Substances of Concern In articles as such or in complex objects (Products)