新しい技術は、様々な課題を解決し人間のくらしを豊かにする一方で、プライバシーの侵害、不当な監視の強化、偏ったデータで学習したアルゴリズムによる差別等、人権問題につながる危険性も指摘されています。パナソニックグループは、AI倫理を「人間中心・人権を尊重したAI活用を実践する世の中との約束」と考え、AI倫理に照らして適切なAI製品やサービスの開発運用・AI利活用を進めています。
方針
パナソニックグループは、AI 製品やサービスの企画から販売・利用に至るまでのAI 利活用のライフサイクルにおいて、関連するお客様をはじめとするすべてのステークホルダーの安全および利益の保護を図るとともに、リスクの波及を抑止します。そうして、AI 技術・製品への信頼を醸成することによりAI 利活用を促進し、社会へのお役立ちにつなげていきます。
そのため、当社グループ全体に適用する「AI 倫理規程」を定め、この規程および各国法令・規則・倫理ガイドライン等に照らして、AI利活用のライフサイクルが適切に遂行されるよう、AI 倫理上のリスク評価と管理を行い、技術の向上やプロセス改善によりリスクを軽減および回避するAI 倫理活動を推進しています。2022年には、当グループのAI 倫理原則を定め公表しました。
推進体制
AI倫理活動は、最高責任者であるグループCTO執行役員のもとで推進されます(2024年8月現在)。

グループCTOがパナソニック ホールディングス内に設置するAI 倫理委員会は、AI 倫理担当および法務、情報セキュリティ等の関連機能から構成されており、当社グループに対して、AI 倫理活動に関する制度や施策の策定、各事業会社のAI 倫理活動の支援、リスクの把握・レビュー・対応案の策定等を行います。また、各事業会社にAI 倫理担当を置き、AI 倫理委員会と連携して各社の事業や技術に応じた活動を推進しています。
AI 案件のうち極めてリスクが高いものやリスクが顕在化したものについては、AI 倫理委員会は対応策を案出し、AI倫理委員長および各社に対応策を報告した上で、各社と連携してこれに当たります。
教育
グループ従業員がAI 倫理活動の原則に従った業務を遂行できるよう、AI 倫理の基本や推進方法を学ぶことが出来る教育コンテンツをAI 倫理委員会より提供しています。
2022年度より、日本国内グループ会社の全従業員を対象に、毎年AI 倫理 e-Learningを実施しています。さらに、e-Learningの教材はイントラネットサイトに掲載し、海外会社や派遣社員を含むグループ従業員がいつでも教材を確認し学びを深められる体制にしています。
リスクアセスメント
2022年には、グループ内の製品のAI倫理リスクを把握するためのチェックシステムを導入しました。AI倫理委員会が、グループ従業員のアンケート結果や、グループ共通のリスクチェックシステムを通じて事業会社のリスク評価の結果を収集し、それらを分析して当社グループ内のリスク状況を把握しています。また、把握したリスクが高いと判断される場合は、設置したレビューチームによるリスクレビュー、部門横断での対応などを行います。
社外連携
AI倫理委員会は、社外のAI倫理研究機関やコミュニティー・学会・公共セクターの委員会活動への参加等を通じて、AI倫理に関する研究や啓発活動を行っています。日本の経済産業省が設置した「AI原則の実践の在り方に関する検討会」を通じ、同検討会の「AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン」作成に参画しました。また、グローバルな業界団体であるAIアライアンスへの参画により、社外との繋がりをさらに強化しています。