パナソニックグループは、事業に必要なリソースはすべて社会からお預かりしている「社会の公器」という認識に立ち、地域社会と対話をしながら事業活動を推進しています。
事業進出・撤退の際は、現地政府や住民との対話、環境などへの影響度評価を行い、地域社会への貢献と、マイナス影響の最小化に努めています。
また、事業活動とともに、地域社会の一員として企業市民活動を積極的に推進し、企業と地域がともに発展していくことに努めています。
方針
「物と心が共に豊かな理想の社会の実現」を目指し、企業市民活動では事業活動とともに社会課題解決と新たな社会価値創造に取り組んでいます。活動推進にあたっては、SDGsの目標1でもあり、創業当初から取り組んでいる「貧困の解消」と、世界全体の喫緊の課題である「環境(問題)」、さらに課題解決のベースとなる「人材の育成(学び支援)」を重点テーマに設定しています。
従業員の積極的な参画を促すとともに、私たちの製品や技術、モノづくりで培ったノウハウやリソースを活かし、ステークホルダーの皆様と協働しながら、社会課題の解決やサステナブルな共生社会の実現に貢献したいと考えています。
責任者・体制
企業市民活動は、グループCEOが直接管掌し担当します(2025年8月現在)。パナソニック ホールディングス(株)(以下、PHD)企業市民活動担当室がグループ全体の戦略策定機能を担当し、パナソニック オペレーショナルエクセレンス(株)(以下、PEX)企業市民活動推進部、事業会社などとともに活動を推進しています。各事業会社には企業市民活動担当者を設置し、各社・各地域の実態に合わせた活動を展開しています。それらの活動については「企業市民活動ニュース」にてグループCEO以下、関連する取締役・役員、世界各地域の企業市民活動担当者に共有しています。
※ パナソニック ホールディングス株式会社(PHD)は、パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社(PAS)の事業において、アポロ・グループと戦略的な共同パートナーとなりました。その結果、PASは、PHDの連結子会社でなくなり、PASの親会社の持株会社であるStar Japan Holdings株式会社(その孫会社となるPASを含む)は、当社の持分法適用会社となりました。詳しくは、以下のニュースリリースをご覧ください。
なお、企業市民活動においてPHDとPASは引き続き連携を図っています。
従業員の参画とそれを支える制度
従業員が社会課題への関心や解決への意欲を高めることは、企業市民活動を推進する上でも、事業活動を行っていく上でも非常に重要です。当社グループでは、従業員の参画を促進するため、ボランティアや講演会情報の提供、社員食堂で社会課題に繋がるメニューの提供などを行っています。以下に、特徴的な活動を記載します。
▪従業員の社会参画を促進する活動
みんなで“AKARI”アクション
社員の福利厚生サービスのカフェテリアポイントや、古本やDVDなどのリサイクル品の寄贈などで集めた資金で、無電化地域にソーラーランタンを届ける寄付活動です。2009年に会社の寄贈からスタートし、これまでに36か国に約13万台を届けてきました。2024年度はのべ400人の社員がカフェテリアポイント寄付に参加し、一般の方も含め、21,705点のリサイクル品が集まり、2,790台を寄贈しました。
パナソニックエコリレー・フォー・サステナブル・アース
持続可能な地球環境と社会づくりへの貢献を目指し、世界各地の従業員が地域の方々や子どもたち、家族と一体となって取り組む環境保全活動です。2024年度はグローバルのべ72拠点で清掃活動や植樹などを行いました。
また、世界各地の従業員一人ひとりが、日常生活の身近なところで環境保全アクションを習慣化することを目指した取り組みとして、「Panasonic ECO RELAY World Action」を展開しています。
社員食堂へのサステナブル・シーフード※1の導入(日本)
当社グループは、日本で初めてサステナブル・シーフードを継続的に社員食堂へ導入した企業です。2018年3月に2拠点からスタートしたこの取り組みは、日本国内累計57拠点で展開しています(2025年3月末時点)。食堂での喫食を通じて、危機的状況にある世界の水産資源への関心を高め、消費行動の変革を促し、周囲への影響拡大を目指します。
※1 持続可能な生産(漁獲・養殖)に加え、加工・流通・販売過程における管理やトレーサビリティの確保について認証を取得しているシーフード
福島『復興』応援アクション(日本)
社員食堂における福島県産の農畜水産品によるメニューの提供や、福島県産品を販売する「ふくしまマルシェ」の開催を通して、従業員が福島の現状を正しく知る機会を設け、風評被害の影響が残る福島の震災復興を応援する取り組みです。社員食堂でのメニュー提供は、2022年1月に2拠点から開始し、累計24拠点へ拡がっています(2025年3月末時点)。「ふくしまマルシェ」は、2022年9月に開始し、累計14拠点で実施しています(2025年3月末時点)。また、福島県が実施している食の安心安全確保の取り組みについて、福島県庁職員の方から従業員に講演いただくなどの啓発活動も継続的に実施しています。
プロボノ活動(日本)
従業員が、仕事で培ったスキルや経験を活かし、社会課題解決に取り組むNPO/NGOの事業展開力の強化を支援する活動です。2011年からこれまで422人の従業員が参加し、70団体の中期計画策定や営業資料作成、ウェブサイトの再構築などを支援しました。
ボランティア活動の紹介・機会の提供
グループ各拠点が主体となり、各地域・事業会社の特性にあわせて様々なボランティア活動を展開しています。例えば、北米では従業員ボランティアプログラムを用意し、「Month of Service」(ボランティア月間)を設けるなど、従業員によるボランティア活動を奨励しています。中国では、国内の様々な拠点が同じ時間に、同じテーマのボランティア活動を行う「在華地域統一グループボランティア活動」を年に数回企画しています。さらに日本では、NPO団体などが主催するボランティア情報を従業員向けに紹介しており、2024年度はのべ280名の従業員が外部のボランティア活動へ参画しました。
学びの場の提供(日本)
社会課題への関心や解決の意欲を高めるため、社会課題に取り組む多様なゲスト講師を招いての従業員向け社会課題講演会「Social Good Meetup」(SGM)を開催し、2024年度はのべ1,674名の従業員が参加しました。また、頻発する自然災害に備え、ボランティアとして活動するための知識や技能を身につける「災害ボランティア育成講座」も実施しています。
▪社員参画を支える人事制度
日本国内主要グループ会社の事例
◇ボランティア活動へ参画するための柔軟な働き方
ボランティア活動への参画や挑戦を後押しするため、多様な働き方の選択肢を拡充しています。具体的には、ボランティアと仕事の両立を可能とする短時間・短日勤務制度や、ボランティア活動への参加を目的とした最長1年間(青年海外協力隊に参加する場合は必要期間)の休業制度があります。その他、節目年齢で付与される10日の「チャレンジ休暇」や、年次有給休暇25日のうち5日間をボランティア目的で取得する場合には会社として連続取得を配慮するなど、各種休暇を活用したボランティア参画も促進しています。
◇社内有志活動の実践と表彰
当社グループでは、所属会社や職位に関係なく、共通の関心や課題感を持つ社員が自発的にコミュニティを形成し、多彩な活動を展開しています(従業員リソースグループ(ERG))。こうした社員の自発的な取り組みの支援と認知向上策としてグループCEO表彰に「クロスUNLOCK賞」を設けています。過去には「聞こえない人と聞こえる人が働きやすい職場づくり」の活動や「事業場構内のアクセシビリティマップづくり」の協働など、多様な一人ひとりが個性を発揮するための組織風土活性化に寄与した功績が表彰されました。その他、社員の社会貢献活動への積極的・継続的な参画を評価するべく社会貢献賞も設けています。
北米の事例
各自が地域社会への貢献ができるよう、就業時間の中から年に最大5日分をボランティア活動に充てることができる制度を設けています。さらに各事業拠点での活動をコーディネートするなど、従業員のボランティア活動への参画を奨励しています。
欧州の事例
従業員の社会参加をさらに奨励するため、欧州の一部のグループ会社では、年に最大16時間の有給休暇をボランティアのために取得することが可能です。
企業市民活動の評価
主な活動に対し、その特性に合わせた効果測定をおこなっています。
▪LIGHT UP THE FUTURE
無電化地域にあかりを届ける「LIGHT UP THE FUTURE」プロジェクトでは、ソーラーランタンの寄贈や現地での支援プログラムを通して、「教育」「健康」「収入向上」の機会創出を目指しています。寄贈や支援はNGO/NPO や国際機関など様々なパートナーと連携して実施しており、その効果検証結果は以下の通りです。
<国連人口基金(UNFPA)によるケニアでの調査結果(2023年)>
- 家庭での学習時間が増加した就学児童は約8割(1時間増33%、2時間増42%、3時間以上増8%)
- ビーズ製作などの内職に従事する女性の収入が平均で1.5倍
▪Panasonic NPO/NGOサポートファンド for SDGs
NPO/NGOの組織基盤強化を支援する「Panasonic NPO/NGO サポートファンドfor SDGs」では、助成事業終了の1年半後に助成先のフォロー調査を行い、組織基盤強化の有効性について第三者が定量的・定性的な評価を実施しています。
2024年には、2022年に助成期間を終えた計12団体(海外助成6団体、国内助成6団体)を対象にフォローアップ調査を行いました。申請時と比べて経常収入が増加した団体は10団体で、そのうち1団体は経常収入を3倍以上に、もう1団体は2倍以上に伸ばしていました。本プログラムを通じて組織基盤強化に取り組むことで、9団体が組織の課題が目標の80%以上解決されたと回答しました。また、11団体が組織基盤強化の取り組みが貧困の解消に役立っていると回答しました。これらの結果は、本助成プログラムが組織基盤強化に有効であったことを示しています。
▪私の行き方発見プログラム
中学生向けキャリア教育プログラム「私の行き方発見プログラム」では、毎年、教員や生徒を対象に授業実施前後でアンケート調査を行い、生徒の変化やプログラムの有用性などを確認し、プログラムの改善などにつなげています。
2024年度のアンケートでは、授業が理解できたと回答した生徒は95%、授業をきっかけに自分の将来について考えようと思った生徒は96%となりました。参加した子どもたちからは、「将来について考える楽しさを感じることができた」、「どんな教科も必ず将来役に立つということを忘れないようにしたい」などの感想がありました。これらの結果は、本プログラムが子どもたちに有益であることを示しています。
▪外部評価・受賞等
2024年度の主な受賞および外部からの評価は以下の通りです。
■経済産業省 第14回キャリア教育アワード 大賞
パナソニックホールディングス(株) キャリア教育プログラム「私の行き方発見プログラム」
■東京ボランティア・市民活動センター 第10回企業ボランティア・アワード 特別賞
パナソニックグループ 従業員による災害ボランティア活動
■TABLE FOR TWO プラチナパートナー認定(12年連続)
パナソニックグループ 途上国に給食を届ける活動
■All India Business & Community Foundation CSR &サステナビリティアワード2025
パナソニック ライフソリューションズ インド(株)
■CSR 中国教育榜 最優秀責任企業ブランド賞、SDGs持続可能な優秀プロジェクト賞
パナソニック チャイナ(有)
■無錫市生態環境局 環境貢献大賞
パナソニックエナジー無錫(有) 環境保護プログラム