自修自得
たとえば経営学というものをとってみよう。経営学は人から教わったり、本で学んだりすることができる。しかし、万巻の経営学の本を読んだからといって、それで経営というか、仕事が完全にできるというものではない。それはいろいろな面で参考になるかもしれない。しかし生きた経営なり仕事というものは教えるに教えられない、習うに習えない、ただみずから創意工夫をこらしてはじめて会得できるものである。
その自得するという心がまえなしに、教わった通り、本で読んだ通りにやったとしても、一応のことはできるかもしれないが、本当のプロにはなれないと思う。自得していこうという前提に立って、はじめてもろもろの知識も生かされ、人の教えも役に立つわけである。
出典:『その心意気やよし』