雨が降れば傘をさす

経営者たるものは、すべて天地自然の理法に基づいて行動しなければならない。これは何もむずかしいことを言っているのではない。たとえば雨が降ったら傘をさすということである。
つまり集金をせねばならぬところには集金に行く、売れないときには無理に売ろうとせずに休む、また売れるようになればつくる、というように大勢に順応するということである。
集金すべきところから集金もせずに、新たに資金を借りようとする人があるようだが、金を借りるのならば、まず集金に全力を尽くす。それでもなお資金がいるときにはじめて借りる、という至極簡単な当たり前のことを、どれだけ的確に行うかが非常に大事なのである。

出典:『松下幸之助一日一話』