ほかの団体の課題も自分に引き寄せ互いにつながりを感じたピアラーニング子ども分野 組織診断助成グループコンサルティグコース

2012年4月21日に、「Panasonic NPOサポートファンド(子ども分野)」の組織診断助成を受けて、集合研修形式で組織診断を実施するグループコンサルティングコースの第3回集合研修を開催しました。
社会課題の解決の促進に向けて市民活動が持続的に発展していくために、パナソニックは2001年より、NPOのキャパシティビルディング(組織基盤強化)を支援してきました。そして10年目の節目となる2011年からは、プログラムを改定し、「組織診断助成」と「キャパシティビルディング助成」の2段階で支援しています。
「組織診断助成」はさらに「個別コンサルティングコース」と「グループコンサルティングコース」に分かれています。グループコンサルティングコース「Panasonic NPOサポート マネジメント イノベーションプログラム」では、コンサルタントが個別に団体の組織診断をサポートすると同時に、3~5団体を一組とし、座学、ワークショップ、ピアラーニングを組み合わせた集合研修を行います。この日は「グループコンサルティングコース」で組織診断に取り組む、子ども分野で活躍する5団体の代表者が参加しました。

各団体に割り当てられたのは45分。初めに、昨年11月の「キックオフミーティング」から5カ月かけて取り組んできた「組織診断」の結果や、抽出された優先課題とその解決策を代表者が15分ほどにまとめて発表しました。その後の質疑応答では、ほかの団体やコンサルタントとの間で活発なやり取りが行われました。
各団体からの発表終了後には1時間の座談会が設けられ、5団体の皆さんから「組織診断助成」を受けての率直な感想が寄せられました。その様子をお伝えします。

「組織診断助成」に応募したきっかけは?

CAPセンター・JAPAN
事務局長 長谷有美子さん

1998年設立の特定非営利活動法人 CAPセンター・JAPANは、「子どもへの暴力防止」を掲げ、人権の尊重をベースに置いた「CAPプログラム」の普及に努めてきた中間支援組織です。今回、3度目の応募でようやく助成へとつながりました。
事務局長の長谷有美子さんは、応募の動機を次のように述べました。
「もともと、地域拠点の確立や人材育成に問題を感じていました。2009年にはCAPの支援センターが二つになったことで会費収入が半減したり、体制を見直さざるを得なくなりました。そこを何とか立て直し、組織内の共感を得て、また進んでいけそうかなと思っていたところに、今回の助成の話をいただきました」

特定非営利活動法人 ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETYは1987年の設立以来、「外国人住民と日本人住民が共に助け合う社会」を目指し、外国人住民への支援を行ってきた団体です。
代表理事の加藤丈太郎さんは「一昨年、面談までしていただいたのに落選したこともあり、リベンジしたい気持ちがありました」と、率直な思いを明かしました。
「私自身、相談業務やイベントの企画に忙殺される中で、助成をいただけば、まとまった時間をつくり、机に向かうようになるのではないかと考えました。今後、資金源をどう獲得していくかという課題に対しても、ここへ来れば皆さんの知恵を借り、自分でアイデアをひねり出せるのではないかという期待がありました」

ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY
代表理事 加藤丈太郎さん

トイボックス
事務局長 栗田拓さん

2003年に設立した特定非営利活動法人 トイボックスは、さまざまな課題を抱える子どもと若者の自立をサポートしてきました。そんな中で事務局長の栗田拓さんは、「目隠しでダンプを運転しているような危なっかしさ」を組織運営に対して感じていたといいます。
「10年経って、現場の働きは向上し、組織や事業の規模は拡大しましたが、事務局機能が追いついていませんでした。特に、課題の共有と外部への発信。トイボックスにはいろんなセクションがあり、働いているスタッフのキャリアもバラバラです。サン=デグジュペリの『愛とはお互いに見つめ合うことではなく、いっしょに同じ方向を見つめること』という言葉のように、経歴も能力も全く違う一人ひとりが同じ方向を見つめている組織に、今しなければ、と思って応募しました」

特定非営利活動法人 横浜にプレイパークを創ろうネットワークは、横浜市内にプレイパークを展開する団体が集まり、2003年にできた中間支援組織です。子どもが冒険心や好奇心を発揮して、のびのび遊べるように工夫されたプレイパークは、今では市内の20カ所で開催されています。
プレイパークで子どもが生き生きとすごせる環境づくりを担う「プレイリーダー」であり事務局を兼務する髙橋利道さんは、応募の動機を次のように述べました。
「団体数は立ち上げ当初の3倍ほどに増えました。しかし、資金源の9割を占める横浜市からの補助金がこの先増える見通しはなく、自分たちで財源を確保していく必要があります。自分たちのリソースは何なのか、組織自体を見直す機会にしたいと思いました」

横浜にプレイパークを創ろうネットワーク
プレイリーダー兼事務局員
髙橋利道さん

CRI-チルドレンズ・リソース・インターナショナル
事務局 大嶋敦志さん

CRI-チルドレンズ・リソース・インターナショナルは1988年の設立以来、ブラジルを拠点に、「子どもたちが子どもらしく過ごせる環境づくり」に取り組んできました。ブラジル国内で託児施設の建設、啓蒙活動、教育事業などを行う一方で、日本国内でも、さまざまなルーツをもつ子どもや若者が集う「マルチカルチャーキャンプ」を開催してきました。
事務局の大嶋敦志さんによれば、「昨年7月に活動の拠点をブラジルから日本へ移し、組織づくりをどうしていこうかという時期に助成のことを知り、反射的に応募した」といいます。メンバーのほとんどが仕事をもっていて、「働きながら、どのように活動を続けていくか」が大きな課題となっていました。