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アフリカの子どもたちに給食を。支援と自らの健康管理の両立を図る試み

パナソニックでは今年から、特定非営利活動法人TABLE FOR TWOの取り組みに参加。社員食堂の食事代金の一部をアフリカの子どもたちへの給食費として寄付するボランティア活動です。全社にその活動を広げる担当者、社会文化グループの田中典子がレポートします。

アフリカの次世代育成支援がメタボ解消に。日本発の援助プログラム「TABLE FOR TWO」

パナソニック株式会社 社会文化グループの田中典子です。企業メセナや国際交流に関わる活動を担当しています。食糧支援活動には以前から関心があったのですが、今年1月、東京パナソニックビルで、TABLE FOR TWO(以下TFT)への参加検討が始まり、パナソニックとして具体的に動き始めることになりました。まず、TFTについて説明をさせていただきます。

写真:TFTについて説明する、たなかのりこ

社会文化グループの田中典子。「寄付をする人の割合が総喫食数の3割、4割と高いのはありがたいです」

写真:支援先の子どもたちと、一緒に給食を食べるこぐれさん

アフリカの支援先へ視察に行った折、校庭の木陰で温かい給食を一緒に食べる、小暮事務局長と子どもたち 写真提供:TABLE FOR TWO

写真:日本からの支援された給食を食べる、アフリカの子どもたち

現在、TFTが給食事業を支援しているのは、貧困が深刻ではあるが政情が安定しているウガンダ、ルワンダ、マラウィの3カ国です。写っているのはオムウィチャンバ小学校の子どもたち。
写真提供:TABLE FOR TWO

TFTは、先進国の私たちが、1食分の食費のうち20円を寄付することで、アフリカの子ども1人の1食分の給食をまかなうというのが基本的な仕組み。コロンビア大学地球研究所所長のジェフリ―・サックス教授とも連携を取りながら、食糧についての見識が高い方々によって運営されている特定非営利活動法人です。2007年から活動を始め、すでにウガンダ、ルワンダ、マラウィの3カ国の学校に通う約9000人の子どもたちに、200万食以上を提供した実績を持ちます。

現地の貧しい子どもたちは、家の仕事を手伝う労働力として期待されていて、学校へ通うこともままなりません。給食を提供することは、親たちが彼らを学校へ通わせる動機づけにもなります。しかも、ふだんは家で食べられない栄養たっぷりの食事をとることで、学習意欲も向上します。一方で、先進国には、メタボリック・シンドロームなどで摂取カロリーを抑える必要がある人がたくさんいます。TFTは、私たちが健康に過ごすための食事を選ぶことで、アフリカの子どもたちの育成につながる画期的な取り組みをしているのです。事務局長の小暮さんにうかがいました。

「パナソニックさんは、寄付をドーンと打ち上げる形ではなく、確実なところから始めて長期で支援することを考えてくださっているので、心強く思っています。またタンザニアに工場をお持ちなので、アフリカの現状へのご理解もある。
もちろん、現地のことは支援団体の方にきちんと伝えるために、僕は3か月に一度は視察に行きます。その都度目にするのは、温かい給食を食べられる子どもたちの喜びの表情です。彼らは、ふだんはバナナやトマトなどを生で食べています。温かい食事を作るためには薪を集め、水を汲んでこなければならないからです。先日行ったときは、4年生の少年から『おなかがいっぱいになると、勉強がいっぱいできるんだ』と言われました」。そのときのくわしい内容は、TFTのホームページにも「かわら版」として掲載されています。

写真:TFTの取り組みについて説明する、事務局長のこぐれさん

NPO法人TFTの理事・事務局長の小暮真久さん。「日本でTFTメニューを提供しているのは、社員食堂がおよそ8割。そのほか、コンビニやカフェチェーン、ホテル、ゴルフ場、結婚式場などがあります」と活動の広がりを教えてくださいました。

写真:皿に盛られ、湯気の上がる温かそうな給食

トウモロコシの粉をお湯で練ったおもちのようなものを入れた現地の伝統料理、ポショ。給食では、おなかがいっぱいになり、栄養がとれる温かい料理を、村長さんやお母さんたちが作ります。
写真提供:TABLE FOR TWO

この試みは、現在企業、学校など約200団体に広がっています。東京の企業が大半ですが、最近は関西、九州、北海道などの地方のほか、アメリカ、インド、スイスなど海外にも広がりが出てきました。小暮さんは、「参加を決めた企業の経営者の中には、戦後の食糧難時代、自分が給食のおかげで子ども時代に助かったから貢献したいという人もいます」と言います。そう考えると、アフリカの実情は他人ごとではないのかもしれません。