国境を越えたグローバルな企業活動が活発になる中、当社グループでは、法令違反や不祥事を未然に防止し、ステークホルダーからの信頼を維持することが、持続的な企業価値創造の前提であると考えています。このため、役員および従業員一人ひとりが、常に正しい知識と高い倫理観を持ち、また企業は、外部環境や事業特性、地域特性に基づくリスクを踏まえ、方針を明確化するとともに規程や仕組みを整備し、健全な風土の下で事業活動を行う必要があります。

当社グループは、「社会の公器」として、法令や社会道徳に反しないことはもちろん、私心にとらわれず、「社会のために何が正しいのか」を常に考え、誠実でフェアプレーに徹した行動を徹底することを重要な価値観としています。こうした行動を継続的に実践することが、社会や業界、お客様の信頼に応え、長期的な発展に貢献するものと考えています。

一方で、グローバルに事業を展開する当社グループにおいて、コンプライアンス違反が生じた場合、違反者個人に対する刑事罰や懲戒処分に加え、会社に対しても制裁金や行政処分、刑事罰等を受けるリスクもあります。これらは、経済的損失に留まらず、社会やステークホルダーの信頼の毀損や、レピュテーション低下につながるおそれもあります。

こうした正負の影響を十分に認識したうえで、当社グループでは、「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」を定め、経営基本方針を体現しコンプライアンスを実践しながら事業活動を推進しています。また、公正かつ自由な競争の尊重や贈収賄・腐敗行為の防止を含む各種社内規程等を整備し、役員および従業員一人ひとりが高い倫理観や適切な判断のもと業務を遂行できるよう、必要な取り組みを実施しています。

方針

当社グループでは、「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」(以下「コンプライアンス行動基準」)を、事業活動におけるコンプライアンスの基本方針として定めています。本行動基準は、当社グループ各社および社員一人ひとりが果たすべき行動の指針を示したものであり、各地の社員が理解できるよう22の言語に翻訳し、グローバルに周知・徹底しています。

コンプライアンス行動基準では、法令や社内規程の順守にとどまらず、行動基準の実践が社会やステークホルダーにもたらすプラスの影響を、経営基本方針の考え方と紐づけて説くとともに、違反が生じた場合、どのようなマイナスの結果が会社や個人にもたらされるかについても示しています。

本行動基準は、パナソニック ホールディングス株式会社(以下、PHD)の取締役会が制定・改定し、パナソニックグループ各社に通知のうえ、各社の取締役会決議その他適切な社内手続により発効します。

当社グループは、コンプライアンス行動基準および関連する社内規程について、単に制定するにとどまらず、事業活動のさまざまな場面において実践されているかを継続的に確認しています。これにより、コンプライアンスを形式的なルールではなく、一人ひとりの判断と行動の拠り所として、日常業務に定着させることを目指しています。

責任者・体制

当社グループのコンプライアンスの取り組み(贈収賄・腐敗行為防止等を含む)は、取締役執行役員であるグループ・ゼネラル・カウンセル(Group General Counsel、グループGC)が責任者として統括しています(2026年8月現在)。パナソニックグループにおけるコンプライアンスに関する役割や責任は、グループ全体で明確化されています。

下図の通り、「事業会社制」に基づくグループ経営体制のもと、PHDはグループ全体のコンプライアンス体制を構築・統括する責任を負い、グループCEOのもとで、グループGCおよびPHD法務部門が中心となって取り組みを推進しています。

各事業会社においては、自主責任経営に基づき、事業会社CEOのもと、法務責任者および法務部門が当該事業領域におけるコンプライアンス体制の構築と徹底を担っています。そして、海外地域では、各海外拠点の法務責任者および法務部門が地域特性を踏まえた対応を行っています。

これらの法務責任者が、グループGCのもとで連携し、一つの法務チームとしてコンプライアンス確保に向けた取り組みを進めています。

法務・コンプライアンス推進体制(2026年4月1日現在)を示す図。最上部に「グループ・ゼネラル・カウンセル」があり、そこから下に伸びた線が左右に分岐し、左から順に「パナソニックホールディングス」「事業会社」「海外地域」の3区分につながっている。左側の「パナソニックホールディングス」では、左列に上から「法務戦略担当」「コンプライアンス監査担当」が配置されている。右列には上から「コーポレート法務部」「グループコンプライアンス部」「グローバル取引管理部」が配置されている。中央の「事業会社」では、左列に上から「PCO CLO/L&C」「PEW CLO/L&C」「PHCC CLO/L&C」が配置されている。右列には上から「PEC CLO/L&C」「PID CLO/L&C」「PC CLO/L&C」が配置されている。右側の「海外地域」では、左列に上から「North America CLO/L&C」「Latin America CLO/L&C」「Europe CIS/MEA CLO/L&C」が配置されている。右列には上から「Asia Pacific CLO/L&C」「India CLO/L&C」「China & Northeast Asia CLO/L&C」が配置されている。図の下部には、「CLOは法務責任者、L&Cは法務・コンプライアンス部門の略」とある。また、事業会社欄の各社略称について、「PCO:パナソニック コネクト(株)、PEW:パナソニック エレクトリックワークス(株)、PHCC:パナソニック HVAC & CC(株)、PEC:パナソニック エナジー(株)、PID:パナソニック インダストリー(株)、PC:パナソニック(株)」と記載されている。

また、グループGCおよび各社の法務責任者は、取締役会等において、コンプライアンスに関する取り組みや重要事項を定期的に報告しています。これにより、経営陣による適時適切に指示・監督が行われるとともに、現場の課題やリスクが経営判断に反映される体制を整えています。

なお、PHDの執行役員および事業会社社長の報酬評価においては、コンプライアンスに関する取り組みを非財務指標の一つとして設定しています。さらに、2025年度からは、当社執行役員のあるべき行動を促し、重大コンプライアンス事案の未然防止・発見・是正を目的として、マルス・クローバック条項※1を導入しています(業績連動報酬が対象)。

※1 重大コンプライアンス事案(当社グループ全体の財務、レピュテーションまたはブランド価値に重大な悪影響を及ぼすおそれのあるコンプライアンス事案)が発生した場合、当社グループ全体の財務諸表に重大な修正が生じた場合に、支給済みの報酬の返還請求(クローバック)や支給予定の報酬の減額(マルス)を行うことができる

重要指標

当社グループでは、ビジネスインテグリティをマテリアリティの一つとして特定し、「重大コンプライアンス違反の発生 0件」を重要な指標(KPI)として取り組みを進めています。重大コンプライアンス違反となり得る事案は、複数の領域にまたがる性質を有しています。本章では、その中でも、公正な競争の確保、贈収賄・腐敗行為の防止、ならびにグローバルな取引規制への対応といった、ビジネスインテグリティの中核を成し、事業活動全体に直接的な影響を及ぼす分野を中心に、当社グループとして実施している取り組みを記載しています。その他の領域については、以下の各章をご参照ください。

重大コンプライアンス違反になり得る主な事案

サステナビリティ サイト/サステナビリティ
データブックでの主な記載箇所

カルテル等の独占禁止法・競争法違反コンプライアンス「重要なコンプライアンスリスクに対する取り組み
贈収賄を含む腐敗行為
輸出管理規制および国連制裁・経済制裁法令への違反
個人情報保護法違反サイバーセキュリティ・データ保護「データ保護
製品・サービスに係る品質不正や法令違反、化学物質・廃棄物処理等に関する規制違反コンプライアンス「重大な違反と是正の取り組み
品質向上と製品安全の確保
環境「環境リスクマネジメント
児童労働、強制労働人権の尊重

社内コミュニケーション・教育

▪社内コミュニケーション

当社グループでは、コンプライアンスを経営の最重要基盤の一つと位置づけ、グループCEOをはじめ、各事業会社のCEOおよび各事業場の責任者が、社内メッセージや対話の機会を通じて、誠実で倫理的な行動の重要性やコンプライアンスファーストの考え方を継続的に発信しています。また、現場から寄せられた意見や懸念を経営にフィードバックし、必要に応じて方針や施策へ反映するなど、双方向のコミュニケーションを行っています。

また、事業会社や海外地域等に配置された法務責任者・法務部門をはじめ、コンプライアンスや輸出管理を担当する責任者等や各機能部門責任者を通じて、各事業場において具体的なコンプライアンスの取り組みを展開しています。

取り組みの主たる役割を担う法務部門においては、グローバルに法務社員が参加する会議や、グループGCのもとで、事業会社、海外地域、PHD法務部門の法務責任者が出席する会議等を通じて、年度のコンプライアンス方針を共有しながら、さまざまなコンプライアンスに関する取り組みを推進しています。

加えて、当社グループ事業に関連する法改正等については、事業場や関係部門に適時周知するとともに、四半期ごとに経営層向けのコンプライアンスに関する情報をニュースレターとしてグローバルに配信しています。

▪教育

当社グループでは、事業環境や事業の変化を踏まえ、特定の事業分野・部門や国・地域におけるリスクの変化、ならびに法令違反や不祥事の兆しを的確に捉える取り組みを強化しています。これにより、年間を通じて、倫理・法令順守意識のグローバルな定着とリスクへの対応力の向上に取り組んでいます。

全従業員が順守を求められるコンプライアンス行動基準や基本的なコンプライアンスの教育・啓発については、入社時、昇格時に加え、eラーニングや各種教材を活用し、通年で教育・研修を実施しています。

また、コンプライアンス行動基準の順守・実践に向けて、各事業会社、事業場、傘下子会社で任命されるコンプライアンス行動基準順守担当役員のもと、傘下事業場における教育・啓発活動を実施しています。

さらに、贈収賄・腐敗行為や競争法違反など、違反が生じた場合の影響の大きい分野については、分野別のコンプライアンスeラーニングを実施し、リスクの高い職務に従事する取締役や従業員等が定期的に受講できる環境を整備しています。あわせて、理解度の確認や受講状況の管理を行っています。

このほか、事業会社や海外地域においては、事業特性や地域特性を踏まえたリスクに応じ、必要な対象者に対してコンプライアンスに関する研修を実施しています。

当社グループでは、これらの教育を継続的に実施するとともに、その理解度や意識の浸透状況を確認し、教育内容の改善につなげています。こうした取り組みを通じて、コンプライアンスを「守るべきルール」としてだけでなく、一人ひとりが公正な判断を行い、日々の業務において実践していくための拠り所として定着させることを目指しています。

通報制度

▪グローバルホットラインの設置

当社グループは、不祥事の未然防止および早期是正を目的として、国内外の拠点の従業員に加え、取引先様等の社外ステークホルダーからも利用可能なグループ統一の通報窓口として、匿名での通報も可能な「グローバルホットライン EARS」を設置しています。本制度は、32言語に対応し、24時間365日体制で、倫理問題、贈収賄・腐敗行為、ハラスメント等を含む幅広いコンプライアンス上の問題を受け付けています。グローバルホットラインについては、コンプライアンス行動基準への明記に加え、各種コンプライアンス研修や国内外の拠点におけるポスターの掲示等を通じて周知しています。また、通報制度の運用の透明性を確保するため、通報に関する統計情報や、通報によって問題解決に至った事例、利用方法等を社内イントラネットに掲載し、従業員による利用促進を図っています。取引先様に対しても、購入先様向けのCSR推進ガイドライン等を通じて本制度の周知と利用促進に取り組んでいます。

グローバルホットラインのWebサイト上では、通報に必要な手続きや、収集される個人データの内容、情報の管理方法および責任の所在を明確に示しています。また、通報者は、付与された報告キーとパスワードを用いて、進捗状況を随時確認することができます。

▪通報制度の実効性確保

当社グループでは、コンプライアンス行動基準において、「パナソニックは、問題を報告した社員に対する報復を決して許しません。」と明確に定めています。通報者に対する不利益な取り扱いは固く禁止され、秘密は厳格に保護されます。また、匿名での通報も可能としています。こうした考え方を明確にするため、通報者、調査協力者および調査に従事する従業員等に対する報復行為を禁止する規程を定め、通報制度の適正な運営を確保しています。

さらに、コンプライアンス上の問題について、適切な報告・通報、受付、調査、是正および経営層への報告等を行うための社内規程を整備し、運用しています。当該規程では、通報の対象となる事案や、調査の方法等を明確にするとともに、各事業会社において、法務・人事部門を中心とした通報対応体制および責任者を定めています。通報や監査等を通じて違反が疑われる行為を把握した場合は、速やかに社内調査を実施し、違反行為が確認された場合は、是正および再発防止策を講じるとともに、必要に応じて関係者に対する処分を行います。対応結果は関係部門および経営層と共有され、必要に応じて社内規程や教育内容の見直し等につなげるなど、グループ全体の改善につなげています。

なお、通報調査に従事する従業員の調査能力の維持・向上および平準化を図るため、通報調査業務に従事する従業員を対象とした研修を継続的に実施しています。

通報から報告までの流れを示す図。左端の「通報~受付」では、EARs(Ethical Action Real Solutions)による通報を示している。説明として「国内ではPHD/国外ではPEXグループの法務部門で受付。」「日本では、受け付けた事案を各事業会社の社内通報担当部署に送付。」と記載されている。その右の「調査」では、「調査チームによる調査」として、「チームごとに利害関係のない調査チームを指名。」「収集した証拠に基づき事実を認定し、法務部門等と連携し、法令や社内規程違反の有無などを評価。」と記載されている。さらに右の「対応(違反事実が確認された場合)」では、「違反の是正と処分」として、「コンプライアンス違反が確認されたら、事業場責任者が関係部門と連携し、是正措置および再発防止策を実施。」「違反に関与した従業員には、就業規則等に従い適切な懲戒処分などを実施。」と記載されている。右端の「報告」では、「通報者への連絡」として、「調査の進捗状況・対応結果等を適切な時期・範囲において報告。」と記載されている。図の下部に注記として「PEX:パナソニック オペレーショナルエクセレンス(株)」と記載されている。

当社グループでは、重大なコンプライアンス違反の未然防止と早期是正に向け、従業員一人ひとりが安心して懸念や相談を提起できる「Speak up」カルチャーの醸成を重視しています。通報制度については、継続的な周知・教育に加え、通報後の迅速かつ公正な調査、是正措置および適切なフィードバックを通じて、実効性向上に取り組んでいます。

この結果、通報・相談件数は年々増加しており、2025年度には、1,592件の通報・相談を受け付けました。そのうち約79%がグローバルホットラインを通じたもので、内容としては約70%が職場問題に関するものでした(右グラフ)。受け付けた通報・相談のうち、約26%について事実であることが確認され、すべての通報・相談については、社内規程に基づき、事実調査を行っています。事実が確認された事案については、是正・再発防止等の対応を行うとともに、通報者へのフィードバックを実施しています(本統計の対象期間は2025年3月16日から2026年3月15日)。

社内外の環境変化や顕在化する課題を踏まえ、当社グループでは、引き続き、通報制度の運用状況を検証しながら、必要に応じて適切な見直しを行っていきます。

通報・相談内容(2025年度)を示す円グラフ。円グラフは5つの区分で構成されている。各区分の割合は、「職場問題」70%、「倫理的行動」17%、「規程違反」10%、「健康・安全」2%、「会計・監査」1%である。

※2 「職場問題」の定義には、ハラスメント、差別、不満・その他を含みます。「倫理的行動」の定義には、贈賄、利益相反、詐欺・窃盗、競争法、品質、情報セキュリティ、その他倫理的行動を含みます。なお、グラフ上の数値については、四捨五入により表記しています。

評価

当社グループでは、重大なコンプライアンス違反の発生件数といった結果指標に加え、相談・通報制度の利用状況や社内規程の順守状況、教育・研修の実施状況など、プロセス指標も含めたモニタリングを行い、コンプライアンス体制および企業文化の継続的な改善に取り組んでいます。

コンプライアンス行動基準の順守・実践状況については、グループ各社における「コンプライアンス行動基準順守担当役員」の任命状況や、教育・研修の実施、誓約書の取得状況等をPHD法務部門が毎年確認しています。これらの確認結果は、全社統制監査の一環として、監査法人による外部監査の対象とし、独立した立場からのその有効性を定期的に検証しています。また、内部通報制度についても、適切な運用が行われているか継続的にモニタリングを実施しています。

加えて、グローバルの全従業員を対象に、コンプライアンス意識・風土の浸透に関する調査を行っており、グループ全体、地域、組織等で経年測定し、各組織での風土改善に役立てています。2025年度は約14.7万人が回答しました。

▪重大な違反と是正の取り組み

当社グループでは、重大な法令、社内規程等の違反が発覚した場合、直ちに違反行為を停止するとともに、事実関係および真因を適切に調査した上で、必要な対応策を検討します。また、事案の重要性に応じて、取締役会への報告を行い、迅速かつグループ横断的な対応を検討します。

2024年にパナソニック インダストリー㈱(以下、「PID」)において判明したUL認証に関する不正およびその他の品質不正を受け、当社グループでは、品質不正の発見、是正および再発防止の徹底を目的として、品質コンプライアンスに関する不適切行為を対象とした自主調査を2024年1月から2025年8月にかけて実施しました。

本調査では、国内グループの全従業員を対象にアンケート調査を実施し、申告された品質コンプライアンス問題の全てに対して、外部法律事務所による申告者や関係者へのヒアリングや、関連する業務記録の精査等を通じて、事実関係の把握と明確化を行いました。判明した事案については、外部法律事務所の助言を踏まえ、適切な是正措置を講じるとともに、グループ全体で再発防止に向けた取り組みを推進しています。なお、本調査により判明した事案の中に、行政処分の対象となったものや、認証取り消しに至ったものはありませんでした。

PIDにおいて判明した事案の詳細については、リンク先をご参照ください。

▪監査

当社グループでは、コンプライアンス監査部門を設置し、年に1回、重要なコンプライアンスリスクである贈収賄・腐敗行為および競争法違反リスクを対象とした監査を実施しています。監査に当たっては、全事業所を対象に、トランスペアレンシー・インターナショナルが公表する腐敗認識指数(CPI)等の客観的指標を踏まえて国・地域ごとのリスクを評価し、相対的にリスクが高いと判断される拠点の中からおよそ5拠点を監査対象拠点として選定しています。選定された拠点に対する監査を通じて、コンプライアンスに関する全社規程等の整備状況およびその運用状況を確認しています。監査により識別された不備事項については、事業所が主体となって改善計画を策定し、コンプライアンス監査部門がその実施状況をフォローすることで、是正の確実な定着を図っています。

重要なコンプライアンスリスクに対する取り組み

当社グループでは、カルテルの防止をはじめとする競争法の順守、贈収賄・腐敗行為の防止、貿易規制・取引規制の順守を、特に重要なコンプライアンス分野と位置付けています。これらの分野が事業活動全体に及ぼす影響を踏まえ、当社グループでは重点的に取り組みを推進しています。

▪競争法の順守

当社グループでは、過去に当局から摘発された事実を厳粛に受け止め、カルテル防止をはじめとする競争法の順守に取り組んでいます。ひとたびカルテルを起こすと、お客様や社会からの信頼を損なうだけでなく、高額の制裁金や損害賠償金の支払い、公共調達における指名停止等、事業活動に重大な影響を及ぼす恐れがあります。このため、当社グループではカルテル等の未然防止に向けた取り組みを徹底しています。

2025年度においては、当社グループが反競争的行為により執行当局より法的措置は受けた事例はありませんでした。引き続き競争法順守の徹底に向けて取り組んでいきます。

基本方針

カルテルや談合を防止するために以下のような基本方針を掲げて取り組んでいます。

  • 競合他社との接触は必要最低限に限るものとし、やむを得ず競合他社と接触する場合、事前に必要な承認を取得するものとします。
  • 競合他社との間で、価格や数量等競争に関わる事項について情報交換や取り決めを行うことは厳に禁止します。
  • カルテルの疑いを招く行為に遭遇した場合には、異議を述べ退席するなどの行動をとるとともに、社内で必要な報告を行うものとします。
  • 通報制度や社内リニエンシー制度を設け、会社としての自浄能力向上に取り組むとともに、リスク評価に基づいた適切なモニタリングを実施し、効果的なカルテル防止体制を構築します。

公正競争コンプライアンス規程

当社グループでは、競合他社との活動全般に関し、2008年に、カルテルや談合およびそれらの疑いを招く行為を防止することを目的とした規程を制定し、運用してきました。その後、各国競争当局の動向等を踏まえ、2025年1月にこれを見直し、「公正競争コンプライアンス規程」として改定しました。2025年4月以降、本規程を当社グループの全従業員に適用しており、公正かつ自由な競争を確保するためのルールや手続を定めています。本規程には、以下のような内容が含まれています。

<本規程の概要>

  • カルテル・談合に加えて、取引先に対する再販売価格の拘束、市場支配的地位の濫用、その他公正でない取引の方法を通じた競争制限行為が禁止される旨の基本原則
  • 製品等の販売・製造・開発・研究市場のみならず、部材等の購買市場、労働市場での競合他社との活動においても、禁止される情報交換・取り決め等を明確化するとともに、競合他社との接触前に、必要な承認を取得することを義務付け
  • 本規程の順守に向けた定期的教育や監査等に関する事項
  • 本規程の違反の可能性があった場合や当局から立入検査等があった場合の報告義務等
  • カルテル・談合に関する社内リニエンシー制度

▪贈収賄・腐敗行為の防止

基本方針

当社グループでは、公務員贈賄の防止はもとより、接待や贈答その他いかなる形態であっても、法令または社会倫理に反して不当な利益を提供すること、および、個人的な利益供与を受けることを禁止しています。こうした考え方のもと、贈収賄・腐敗行為の防止をグローバルに強化するため、2019年7月1日付で、当社グループの全役員・従業員に適用されるグローバル全社規程として、贈収賄・腐敗行為防止に関する以下の規程を制定しました。これらの規程により、贈収賄・腐敗行為の未然防止、発見、是正を体系的に推進しています。

なお、腐敗・汚職の分野に関しては、過去3カ年において、当局から制裁を受けた事案はありませんでした。

規程

◇「グローバル贈収賄・腐敗行為防止規程」

公務員を当事者とする賄賂を含む腐敗に加え、取引先との関係における腐敗行為の防止、発見、調査および是正することを目的として制定。

ファシリテーションペイメントの定義とその禁止を定めるとともに、政治献金・寄付・スポンサーシップ、ロビイング、雇用・採用、合併・買収・ジョイントベンチャー等の定義と贈収賄・腐敗行為に該当する行為の禁止や、デュー・ディリジェンス、承認要件、支出に関する正確な記録・保管(少なくとも5年間)に関する手続を定める。

◇「贈収賄・腐敗行為防止に向けた特定取引先に関するリスク管理規程」

販売仲介業者や行政サービス業者を含む第三者を介した贈収賄・腐敗行為を防止・発見・調査・是正することを目的に制定。これらの取引先のリスク評価、審査、モニタリングおよびリスク低減策に関する手続を定める。

◇「贈収賄・腐敗行為防止に向けた贈答・接待等に関する規程」

公務員・取引先からの、または、これらに対する、食事、もてなし、旅費負担を含む贈答・接待の提供と受入れに係る贈収賄・腐敗行為関連リスクの防止を目的として、禁止行為を定める。

取締役や従業員等が、贈り物、食事、もてなし、旅行招待の提供を行う場合、上長または事業場長の事前承認を得なければならず、当該事前承認に記載すべき事項、承認の文章化、経理責任者による証拠書類との支払い・費用償還請求の調査・検証、支払い・費用償還の保管(少なくとも5年間)等、実施に当たっての具体的な手続きを定める。

◇「利益相反防止規程」

取締役や従業員等の個人的利益や社外活動が、直接または間接的に当社グループ全体の利益と抵触している、もしくは何らかの形で、自身の事業上の決定、行為、義務、忠実性もしくは職務遂行能力に影響を与えている場合(これらの外観を有する場合を含む)を「利益相反」として定め、その防止、特定、管理および是正に関する規則に加え、具体的に利益相反に該当するおそれがある行為を定める。

また、取締役や従業員等は、顕在化しているまたは潜在的な利益相反について、上長または事業場長への書面による開示を行わなければならず、開示を受けた上長または事業場長は、法務責任者と相談の上、開示された情報の評価および適切な対応策の決定を行う利益相反の開示手続きを定める。

推進活動

当社グループでは、「グローバル贈収賄・腐敗行為防止規程」に基づき、贈収賄・腐敗行為リスクの高い職務に従事する取締役、社員等を対象とした研修を実施しています。事業部、連結子会社により特定された受講対象者※3は、定期的な受講(概ね2~3年に1回以上の頻度が目安)が義務付けられています。

また、第三者を介した間接的な贈収賄・腐敗行為のリスク低減を図るため、「贈収賄・腐敗行為防止に向けた特定取引先に関するリスク管理規程」に基づき、販売仲介業者や行政サービス業者との取引に伴うリスク デュー・ディリジェンスおよびリスク審査プロセスを運用しています。新規取引時のリスク審査およびリスク低減を行うだけでなく、取引開始後も、リスクレベルに応じて定められた周期に基づき、定期的にリスク審査を実施し、必要に応じてリスク低減策の見直しを行っています。これらの審査にあたっては、トランスペアレンシー・インターナショナルが公表している腐敗認識指数(CPI)のスコアに加え、取引先の種別や取引内容等を考慮し、国・地域別および取引類型別の腐敗行為リスクを審査の過程で考慮し、リスク低減策を推進しています。

※3 職務に関連し公務員との接触がある取締役等および社員等

▪貿易コンプライアンス

当社グループは、コンプライアンス行動基準の中でグローバルな取引規制順守について定めています。また、「グローバル貿易規制・制裁法順守規程」の中で、安全保障貿易管理を含む貿易規制や経済制裁法等の順守を定め、さらに日本国内では「物流業務規程」および「関税法順守規程」の中で、物流業務の遂行において、法令はもとより企業倫理を順守することを通じて社会的責任を果たし、企業価値の維持向上を図るよう定めています。これらによって各国の輸出入規制および貿易関連法令の順守など、貿易コンプライアンスを徹底しています。

日本では、貨物のセキュリティ管理と法令順守の体制が整備された事業者に対して、税関手続きの緩和や簡素化策を提供する「AEO(Authorized Economic Operator)」制度があります。この制度において、パナソニック オペレーショナルエクセレンス(株)は税関より「特定輸出者(AEO)」および「特例輸入者(AEO)」として承認されています。自社のみならず業務委託先についても、物理的、人的、情報のセキュリティが確保された企業を選択することで国際物流の安全確保に努めています。

また、グローバルに各地域でAEO制度への参画の取り組みを推進しており、例えば、米国法人のパナソニックノースアメリカ(PNA)では、「テロ防止のための税関産業界提携プログラム(C-TPAT)」に参加しているほか、中国等においてもAEO制度参画を積極的に推進しています。

政治献金における透明性の確保

当社グループは、政治寄付を企業の社会的責任の一環と認識して行っています。これは、経団連の見解「民主政治を適切に維持していくためには相応のコストが不可欠であり、企業の政治寄付は、企業の社会貢献の一環として重要性を有する」にも沿っています。政治寄付に当たっては、政治資金規正法などの関連法令を順守するとともに、前述の贈収賄・腐敗行為の防止のためのグローバル全社規程をはじめとする厳格な社内ルールを定め、公務員への贈賄の疑いがもたれる行為や汚職に当たる行為を禁止しています。政治寄付の実施にあたってはパナソニック ホールディングス株式会社の渉外担当役員、経理担当役員(CFO)、人事・総務担当役員(CHRO)等の複数の担当役員に報告・確認し、合議承認を得ることなどを規定しています。

2024年度政治献金額: 2,850万円(1件、日本)
※ 2025年度の政治献金は1件(日本国内)で、金額は2026年11月に総務省(日本) によって開示されます。

公共政策の支援については、原則として業界団体を通じて行っています。政策提言に伴うロビイングに関しては、「グローバル贈収賄・腐敗行為防止規程」においてロビイングの定義や法令・関連規程の順守について定め、特定のロビイングが、合理的見地から、不適切、非倫理的または腐敗行為と認識され得ないことを求め、公平性、透明性の確保に努めています。

税務方針

当社グループは、事業活動を通じて社会の発展や課題解決に貢献し、その活動を通じて得られた利益をベースとして、各国の税法およびOECD等の国際機関が公表している租税に関するガイドラインを踏まえて、正しい納税に努めています。詳細は、下記をご参照ください。