国境を越えたグローバルな企業活動が活発になる中、意図的な不正行為や犯罪だけでなく、関係者の知識や意識の不足によるさまざまな不祥事が発生しないように、役員および従業員は常に正しい知識と高い倫理観を持ち、また企業は、外部環境や事業特性、地域特性に基づくリスクを踏まえ、方針を明確化するとともに規程や仕組みを整備し、健全な風土の下で事業活動を行う必要があります。

私たちは、「社会の公器」として、社会から経営資源をお預かりして事業を行う以上、正しく会社を運営するとともに、関係先様に対する責任をしっかりと果たさなければなりません。法令や社会道徳に反しないことはもちろん、私心にとらわれず、「社会のために何が正しいのか」を常に考え、常に誠実でフェアプレーに徹した行動をすることを大切にしています。それを弛まず実践することは、社会や業界、お客様の真の発展に貢献することになると考えています。

反対に、パナソニックグループとしてグローバルに幅広い事業を行う中で、コンプライアンス違反が生じた場合、違反者個人に対する刑事罰や懲戒処分に加え、会社に対しても制裁金その他の行政処分が課され、刑事罰その他の制裁が課されるリスクもあります。さらに、そうした違反は、経済的損失に加え、社会やステークホルダーの皆様からの信頼の毀損、レピュテーション上の問題につながる可能性もあります。

こうした正負の影響を十分に理解の上、当社グループでは、「経営基本方針」を体現しコンプライアンスを実践しながら事業活動を進めていくため「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」を定めています。また、公正かつ自由な競争を尊重することや公務員やお取引先様との間での贈収賄や腐敗行為を行わないことなど、コンプライアンスの実践のために各種の社内規程等を定め、役員および従業員一人ひとりが高い倫理観や適切な知識を持って業務を遂行できるよう、さまざまな取り組みを実施しています。

方針

パナソニックグループの「経営基本方針」を体現し、コンプライアンスを実践しながら事業活動を進めていく上で、当社グループ各社が果たすべき約束、および当社グループ社員一人ひとりが果たすべき約束を定めた「パナソニックグループ コンプライアンス行動基準」(以下「コンプライアンス行動基準」)を制定し、各地の社員が理解できるよう22の言語に翻訳し徹底しています。

このコンプライアンス行動基準では、そうした各約束の実践が社会やステークホルダーの皆様にもたらすプラスの影響を、「経営基本方針」の考え方と紐づけて説くとともに、各約束に違反した場合、どのようなマイナスの結果が会社や個人にもたらされるかについても明確に示しています。

コンプライアンス行動基準は、パナソニック ホールディングス株式会社(PHD)の取締役会が制定・改定し、パナソニックグループ各社に通知し、各社の取締役会の決議やその他適切な社内手続により発効します。

責任者・体制

当社グループのコンプライアンスの取り組み(贈収賄・腐敗行為防止等を含む)の責任者は、グループ・ゼネラル・カウンセル(Group General Counsel、グループGC)の執行役員です(2024年8月現在)。「グループコンプライアンス基本規程」では、パナソニックグループにおけるコンプライアンスに係る役割および責任を明確にしており、「グループ法務規程」では、法務体制や役割を定めています。

「事業会社制」に基づくグループ経営体制のもと、パナソニック ホールディングス株式会社(PHD)がグループ全体のコンプライアンス体制を構築する責任を負い、グループCEOのもとで、グループGCおよびPHD法務部門がその主たる役割を担っています。各事業会社は、自主責任経営に基づき、各事業領域におけるコンプライアンス体制の構築と徹底の責任を負い、事業会社CEOのもと、事業会社の法務責任者および傘下法務部門がその主たる役割を担っています。また、海外においては、パナソニック オペレーショナルエクセレンス株式会社(PEX)の各海外拠点(旧、地域統括)に法務責任者および法務部門を配置・設置し、地域におけるコンプライアンス徹底の役割を担っています。これらの各法務責任者が、グループGCのもとで事業・地域における役割を果たし、1つの法務チームとしてコンプライアンス確保に向けた取り組みを行っています。

さらに、PHDおよび各事業会社の取締役会において、グループGCおよび各社の法務責任者から定期的にコンプライアンスに関する取り組みの報告を行い、取締役会からの適切な監督を受ける体制を構築しています。

なお、PHDの執行役員および事業会社社長の報酬の算定基礎には、コンプライアンスに関する項目が盛り込まれています。

社内コミュニケーション・教育

▪社内コミュニケーション

当社グループでは、グループCEOや各事業会社のCEOはじめ、各事業場長から定期的にコンプライアンスに関するメッセージを発信し、コンプライアンスファーストの文化を醸成しています。

また、事業会社やPEX海外等に設置した法務責任者・法務部門、コンプライアンス行動基準順守担当役員、輸出管理責任者等や各機能部門責任者を通じて、各事業場に対して具体的なコンプライアンスの取り組みを展開しています。

取り組みの主たる役割を担う法務部門においては、グローバルに法務社員が参加する「グローバル法務・コンプライアンス会議」や、グループGCの下で、事業会社、PEX海外、PHD法務部門の法務責任者が出席する「Direct ReportMeeting」等を通じて、年度のコンプライアンス方針を共有しながら、様々なコンプライアンスに関する取り組みを行っています。

また、当社グループ事業に関係のある法改正、政省令、官庁通達等が発信された場合は、都度、事業場長や、事業会社法務責任者、関連組織等に通達、連絡を行うとともに、毎四半期に、事業部長以上の経営層に対してコンプライアンスに関するニュースレターを配信しています。

▪教育

当社グループでは、事業環境や当社グループ事業の変化に伴い、特定の事業分野・部門、国・地域におけるリスクの変化や法令違反・不祥事の兆しを的確に捉える取り組みを強化し、年間を通じて、倫理・法令順守意識のグローバルな定着とリスクへの対応力向上をめざした取り組みを実施しています。

全従業員が順守を求められるコンプライアンス行動基準や基本的なコンプライアンスの教育・啓発については、入社時、昇格時などに加え、eラーニングや各種コンプライアンス教材の提供等を通じて、通年で教育・研修を実施しています。2023年度は、コンプライアンス行動基準に関する正しい知識を習得するための研修をグループの全社員に対して実施しました。また、グローバルの全従業員を対象に、「従業員意識調査」の中でコンプライアンス意識・風土の浸透に関する設問を設けて調査を行っており、2023年度は約15万人が回答しました。

※グループ全社員に実施したコンプライアンス教育・啓発
2020年度:「利益相反」「会計不正」約14万人受講
2021年度:「経済制裁法」「データプライバシー」約13万人受講
2022年度:「コンプライアンス行動基準」約15万人受講
2023年度:「コンプライアンス行動基準」約15万人受講

さらに、違反時に会社に与えるインパクトが大きい贈収賄・腐敗行為や競争法違反の分野について、2023年度より分野別コンプライアンスeラーニングを開始し、リスクの高い職務に従事する取締役等や社員等が定期的に受講できる環境を整備し、受講対象者の受講状況の管理を進めています。

また、各事業会社や各PEX海外において、事業特性や地域特性を踏まえたリスクに応じ、必要な対象者に対してコンプライアンスに関する研修を実施しています。

通報制度

当社グループは、不祥事の防止や早期解決を目的に、国内外の拠点や、お取引先様を含む社外のステークホルダーからも通報ができるグループ統一の通報窓口として、匿名でも通報可能な「グローバルホットライン」を設置し、32言語、24時間、365日にわたり、倫理問題、腐敗防止、ハラスメント等を含む広いカテゴリーのコンプライアンス上の問題を受け付けています。このことはコンプライアンス行動基準において、通報についての責任とあわせて記載し、各種コンプライアンス研修での周知や、国内外の拠点・職場でのポスターの掲示などを通じた周知に加え、通報に関する統計情報、通報により問題解決に至った事例の紹介、利用方法、通報の受付から最終報告までのフロー、通報に関するFAQ、通報者からの感謝の意見などを社内イントラネットに掲載し、通報制度の運用について透明性を確保の上、従業員の利用促進を図っています。また、お取引先様に対しても、購入先様向けCSR推進ガイドラインの中で当社の通報制度の周知を要請するとともに、購入先様とのコミュニケーション用ウェブサイトの中に通報先URLのリンクを掲載するなど、お取引先様の利用促進にも取り組んでおり、実際に通報もなされています。

グローバルホットラインのウェブサイト上には、問題の報告に当たって必要な手続き、収集される個人データ、その他の情報の管理方法と責任の所在が明記されています。さらに、通報者自身が、自身の申請に割り振られた報告キーとパスワードを用いて、各案件の進捗状況を随時ウェブサイトで確認することも可能となっています。

また、通報や苦情申立は、必ずしもこれらの方法で行わなければならないわけではなく、職場における均等取り扱い、セクシュアルハラスメント・パワーハラスメント等の相談に関する「イコールパートナーシップ相談室」(日本国内)や、取締役・執行役員による不正および職務執行の適法性に関する「監査役通報システム」も設置しています。上記のホットラインや窓口の設置は、他の通報・苦情申立の仕組みを使用することを阻むものではありません。

コンプライアンス行動基準において、「パナソニックは、問題を報告した社員に対する報復を決して許しません。」と定めており、通報者に対する不利益な取り扱いは固く禁止され、秘密が守られます。また、匿名でも通報することができます。その趣旨を明確にするため、「通報者等への報復行為禁止に関する規程」を定め、社内外を問わず通報者、調査協力者および調査チームの従業員等への報復行為を禁止し、通報制度の適正な運営の確保を図っています。

全社の通報・調査制度の整備としては、「社内通報および調査に関する規程」を制定し、コンプライアンス上の問題の報告・通報と、その適正な受付・調査・是正・経営層への報告等の仕組みを定め、運用しています。この規程においては、社内通報の対象となる事案や、事業会社および子会社において社内通報担当部署および責任者を定めるべきこと、調査の実施方法等が明確化されています。ホットラインへの通報や報告、その他監査等において違反を疑われる行為を発見した場合は、速やかに社内調査を行います。社内調査により違反行為の事実を確認した場合は、直ちに違反状態を解消するとともに、真因を分析し、再発防止策の実施、必要に応じて関係者の処分を行います。

なお、2023年度は、通報調査に従事する社員の調査能力の高位・平準化のため、全事業会社を対象に通報調査研修を実施しました。引き続き、社内外の環境や課題を踏まえ、適切に通報制度の見直しを行っていきます。

2023年度は、約1,100件の通報、相談を受け、そのうち約76%が上記グローバルホットラインを通じたものでした。内容としては全件のうち約64%が各種職場問題に関するものでした(下記グラフ)。2023年度中に受け付けたもののうち、約29%につき事実であることが確認されました(2024年3月18日時点で調査継続中のものを除きます)。また、すべての通報、相談については、社内規程に基づき、通報窓口が関係部門と連携しつつ、事実調査を行い、事実が確認された事案については、是正・再発防止や必要な対応を実施するとともに、通報者に対してもその旨を報告しております。


相談内容(2023年度)


※ 倫理的行動には、内部規程違反、利益相反、法令違反、贈賄、ベンダー /顧客問題、詐欺に関する懸念等を含みます

評価

グループ各社での「コンプライアンス行動基準順守担当役員」の任命、コンプライアンス行動基準に関する教育・研修の実施、その順守に関する誓約書の取得など、コンプライアンス行動基準の順守・実践状況について毎年確認を行うとともに、確認結果は全社統制監査の一環として、監査法人による外部監査の対象とすることで、その有効性を定期的に確認しています。

▪重大な違反と是正の取り組み

重大な法令、社内規程等の違反が発覚した場合は、直ちに違反行為を停止し、事実と真因を適切に調査した上で、対応策を検討します。また、必要に応じて、取締役会への報告を行い、迅速かつグループ横断的な対応を検討します。

2023年度においては、パナソニック インダストリー㈱(以下、「PID」)が製造・販売する電子材料製品において、米国の第三者安全科学機関であるUL Solutions(以下、「UL」という)の認証登録等において複数の不正行為を行っていたことが判明しました。これを受け、PIDは、UL違反事案の調査、その他の品質不正の有無に関する調査及び調査結果を踏まえた原因分析と再発防止策の提言を目的に、社外有識者による外部調査委員会を2024年1月12日付で設置しました。PIDは、当該製品をご購入いただいているお客様に個別にご説明の上、協議を行うとともに、不正行為の全容解明に向け、外部調査委員会による調査活動に全面的に協力しています。

また、当社グループ全体において、品質コンプライアンス問題に関わるすべての膿を出し切り、品質不正を根絶することを目的として、外部の法律事務所と連携し、品質コンプライアンスに関する不適切行為を対象とした徹底的な自主調査を実施しています。

なお、過去3か年において、当局から制裁を受けた腐敗事案はありませんでした。

重要なコンプライアンスリスクに対する取り組み

▪カルテル防止

当社グループは、過去に当局から摘発された事実を厳粛に受け止め、「カルテル防止」に取り組んでいます。ひとたびカルテルを起こすと、お客様からの信頼を失うだけでなく、高額の制裁金や損害賠償金の支払い、公共調達における指名停止処分等、事業活動への様々な悪影響が発生することから、徹底して防止に取り組んでいます。

2023年度、当社グループにおいて、反競争的行為により執行当局より法的措置は受けた例はありません。引き続きカルテル防止に向けて徹底を図ってまいります。

基本方針

カルテルや談合を防止するために以下のような基本方針を掲げて取り組んでいます。

  • 競合他社との接触は必要最低限に限るものとし、やむを得ず競合他社と接触する場合、事前に必要な承認を取得するものとします。
  • 競合他社との間で、価格や数量等競争に関わる事項について情報交換や取り決めを行うことは厳に禁止します。
  • カルテルの疑いを招く行為に遭遇した場合には、異議を述べ退席するなどの行動をとるとともに、社内で必要な報告を行うものとします。
  • 通報制度や社内リニエンシー制度を設け、会社としての自浄能力向上に取り組むとともに、リスク評価に基づいた適切なモニタリングを実施し、効果的なカルテル防止体制を構築します。

競合他社との活動に関する規程

当社グループでは、競合他社との活動全般に関し、2008年に、カルテル・談合およびそれらの疑いを招く行為を防止することを目的とした「競合他社との活動に関する規程」を制定し、グループ全従業員に適用しています。この規程には以下のような項目が含まれています。

  • 製品等の価格、数量、性能・仕様に関する情報交換や取り決め等、カルテル・談合およびその疑いを受ける行為の禁止
  • 競合他社と接触する場合に、事業場長および法務責任者の事前承認を得ることを義務付ける事前承認制度
  • 不適切な行為があった場合の対応
  • 違反のおそれがある場合の報告義務
  • 違反した場合の措置
  • 社内リニエンシー制度

▪贈収賄・腐敗行為の防止

基本方針

当社グループでは、公務員贈賄の防止はもとより、接待や贈答その他形態の如何を問わず、法令または社会倫理に反して、利益の提供を行うこと、また、個人的な利益供与を受けることを禁止してきました。さらに、贈収賄・腐敗行為の防止をグローバルに強化するため、2019年7月1日付で、当社グループの全役員・従業員に適用されるグローバル全社規程として、次の4規程を制定しました。

規程

「グローバル贈収賄・腐敗行為防止規程」
公務員を当事者とする賄賂を含む腐敗に加え、取引先様との関係における腐敗行為について、実際の腐敗行為または腐敗とみなされる行為を有効に防止、発見、調査および是正することを目的として制定。
ファシリテーションペイメントの定義とその禁止を定めるとともに、政治献金・寄付・スポンサーシップ、ロビイング、雇用・採用、合併・買収・ジョイントベンチャー等の各項目について、その定義と贈収賄・腐敗行為に該当する行為の禁止や贈収賄・腐敗行為防止に向けたデュー・ディリジェンス等の具体的な手続きを定める。

「贈収賄・腐敗行為防止に向けた特定取引先に関するリスク管理規程」
中間販売業者や業務委託先に関わる贈賄およびその他の腐敗行為のリスクを軽減し、これらのリスクに関連する現実および予想される問題を防止・発見・調査・是正することを目的に制定。これらの取引先様のリスク審査に関する原則を定める。

「贈収賄・腐敗行為防止に向けた贈答・接待等に関する規程」
公務員・取引先様それぞれからの、または、それぞれに対する、食事、もてなし、旅費負担を含む贈答・接待の提供と受入れに係る贈収賄・腐敗行為関連リスクの防止を目的として、禁止行為や実施に当たっての具体的な手続きを定める。

「利益相反防止規程」
取締役や従業員等の個人的利益や社外活動が、直接または間接的に当社グループ全体の利益と抵触している、もしくは何らかの形で、自身の事業上の決定、行為、義務、忠実性もしくは職務遂行能力に影響を与えている場合(これらの外観を有する場合を含む)を「利益相反」として定め、その防止、特定、管理および是正に関する規則に加え、具体的に利益相反に該当するおそれがある行為を定める。

推進活動

間接的な贈収賄・腐敗行為のリスク低減を図るため、「贈収賄・腐敗行為防止に向けた特定取引先に関するリスク管理規程」に基づき、中間販売業者や業務委託先との取引に伴うリスクデュー・ディリジェンスツールおよびリスク審査プロセスを導入し運用しています。具体的には、新規取引に際してリスク審査およびリスク低減を行うだけでなく、その後も、リスクレベルに応じて定められた周期に基づき、定期的に当該取引先のリスク審査を行い、リスク低減策の見直しを行っています。

加えて調達部門においては、購入先様と健全な関係を築き公平公正な取引を行うため、2004年に「クリーン調達宣言」を行い、この宣言に則った調達活動を行っています。詳細は、「責任ある調達活動」の章をご参照ください。

また、すべてのお取引先様においても当社グループに関連する事業の実施において贈収賄・腐敗行為等の不正な手段を用いることがないよう、当社グループがお取引先様に順守いただきたい事項をまとめた「贈収賄・腐敗行為防止に関するガイドライン(お取引先様向け)」を策定し、順守を要請しています。

お取引先様の皆様へ
<贈収賄・腐敗行為防止について>
当社グループでは、グローバルで贈収賄・腐敗行為の防止に取り組んでおります。(詳細は上記「贈収賄・腐敗行為の防止」をご参照ください。)
当社グループの事業に関係する全てのお取引先様におかれましても、当社グループに関連する事業の実施において贈収賄・腐敗行為等の不正な手段を用いることがないよう、当社グループがお取引先様に順守いただきたい事項をまとめた「贈収賄・腐敗行為防止に関するガイドライン(お取引先様向け)」を策定いたしました。
当社グループの贈収賄規制法令の順守においては、お取引先様のご理解・ご協力が不可欠となります。お取引先様におかれましては、ご理解の上、ご徹底いただきますようお願い申し上げます。

監査

年に1回、贈収賄・腐敗行為リスクに基づいて、全事業所からコンプライアンス監査対象先の選定をしています。国際非政府組織トランスペアレンシー・インターナショナルが毎年公開する腐敗認識指数の低い国・地域で事業を行っているなど、リスクが高いと想定される拠点については、コンプライアンス監査部門において巡回で監査を実施し、コンプライアンスに関する全社規程等の整備・運用状況を確認しています。

▪貿易コンプライアンス

当社グループは、コンプライアンス行動基準の中でグローバルな取引規制順守について定めています。また、「グローバル貿易規制・制裁法順守規程」の中で、安全保障貿易管理を含む貿易規制や経済制裁法等の順守を定め、さらに「物流業務規程」および「関税法順守規程」の中で、物流業務の遂行において、法令はもとより企業倫理を順守することを通じて社会的責任を果たし、企業価値の維持向上を図るよう定めています。これらによって各国の輸出入規制および貿易関連法令の順守など、貿易コンプライアンスを徹底しています。

日本では、貨物のセキュリティ管理と法令順守の体制が整備された事業者に対して、税関手続きの緩和や簡素化策を提供する「AEO(Authorized Economic Operator)」制度において、税関より「特定輸出者」として承認されています。自社のみならず業務委託先についても、物理的、人的、情報のセキュリティが確保された企業を選択することで国際物流の安全確保に努めています。

また、グローバルに各地域でAEO制度への参画の取り組みを推進していて、例えば、米国法人のパナソニックノースアメリカ(PNA)では、「テロ防止のための税関産業界提携プログラム(C-TPAT)」に参加しているほか、中国におけるAEO制度参画も積極的に推進しています。

政治献金における透明性の確保

当社グループは、政治寄付を企業の社会的責任の一環と認識して行っています。これは、経団連の見解「民主政治を適切に維持していくためには相応のコストが不可欠であり、企業の政治寄付は、企業の社会貢献の一環として重要性を有する」にも沿っています。政治寄付に当たっては、政治資金規正法などの関連法令を順守するとともに、前述の贈収賄・腐敗行為の防止のためのグローバル全社規程をはじめとする厳格な社内ルールを定め、公務員への贈賄の疑いがもたれる行為や汚職に当たる行為を禁止しています。政治寄付の実施にあたってはパナソニック ホールディングス株式会社の渉外担当役員、経理担当役員(CFO)、人事・総務担当役員(CHRO)等の複数の担当役員に報告・確認し、合議承認を得ることなどを規定しています。

2022年度政治献金額:2,850万円(1件、日本)
※2023年度の政治献金は1件(日本国内)で、金額は2024年11月に総務省(日本)によって開示されます。

公共政策の支援については、原則として業界団体を通じて行っています。政策提言に伴うロビイングに関しては、「グローバル贈収賄・腐敗行為防止規程」においてロビイングの定義や法令・関連規程の順守について定め、特定のロビイングが、合理的見地から、不適切、非倫理的または腐敗行為と認識され得ないことを求め、公平性、透明性の確保に努めています。

税務方針

当社グループは、事業活動を通じて社会の発展や課題解決に貢献し、その活動を通じて得られた利益をベースとして、各国の税法およびOECD等の国際機関が公表している租税に関するガイドラインを踏まえて、正しい納税に努めています。詳細は、下記をご参照ください。