担当者に聞いてみよう!第2回目インタビュー 「ななめドラム洗濯乾燥機(ぜんたくかんそうき)」

ーーパナソニックでユニバーサルデザイン(UD)の心配りがされた、
ななめドラム洗濯乾燥機が誕生したのはいつからですか?

だれにでも使いやすい製品(せいひん)を目指し、ドラム槽(そう)を使う人の方向へ向けたななめドラム洗濯乾燥機を2003年に誕生させました。ななめドラム式は日本で初めてだったんですよ。
背(せ)の高い大人から、お母さんのお手伝いをする子ども、車いすを使っている人など、使う人の身長や姿勢(しせい)にかかわらず衣類が出し入れしやすい洗濯機として、話題になりました。
洗濯は、ご家庭のだれもが行う可能性(かのうせい)のある家事ですよね。そのだれもが無理なく使えるように、身体の大きさや使う時の姿勢のちがいに気を配って、開発しました。

より良い製品づくりのために、様々な検討が重ねられます。

洗濯機にはスタイルで分けるとタテ型とドラム式があります。また機能(きのう)で大きく分けると乾燥機能が付いているものと、付いていないものがあります。
現在(げんざい)の日本市場で売られているドラム式の洗濯乾燥機の約半分は、パナソニック製(せい)なんですよ。ドラム式の洗濯乾燥機はタテ型の洗濯乾燥機にくらべて乾燥させる性能(せいのう)が高く、洗濯物を干(ほ)すという作業をへらすことができ、結果、家事の負担(ふたん)をへらすことができます。それはたくさんの人の助けになると思います。

初のななめドラム洗濯乾燥機の開発以来、洗濯や乾燥の性能はずいぶん向上しています。
それとともに、いろんな人にとって使いやすいというUDの心配りをずっと大切に持ち続けながら、使い勝手もさらに高め、進化させています。
現在最高の性能と使いやすさを実現(じつげん)しているのが、最新のVX9800シリーズです。(2017年10月1日発売)

最新の9800シリーズ。
最先端(さいせんたん)の性能と使いやすさが、すみずみまでゆきわたっています。

ーー製品にはUDが具体的にどのように活かされていますか?

いま例にあげました最新のVX9800シリーズには、だれにでも使いやすいUDの配慮(はいりょ)がいろいろあるんですよ。

1つめは、より衣類を出し入れしやすくするために、ドラム槽をななめの角度にし、出し入れ口の位置を高く広くできるよう洗濯機全体の設計(せっけい)を行っていることです。はじめにお話ししましたように、大人にも子どもにも、車いすを使っている人にも、身長や姿勢にかかわらずに衣類が出し入れしやすいので、洗濯の作業が楽になります。

2つめは、ドアを楽に開けしめできるように、ドアを手前に引くという自然な動作で開閉(かいへい)できる機構(きこう)を採用(さいよう)していることです。

手前に軽く引くだけでOK。ドアの開けしめのしやすさも、重要なポイント。

3つめは見やすく、使いやすく操作(そうさ)できるように、カラータッチパネルでわかりやすく表示(ひょうじ)していることです。カラー(色)のちがいで運転モードを表示し、取りあつかい説明書がなくても操作やお手入れの仕方がわかるガイドを入れ、はじめて使う時でもまよわないよう配慮しているんですよ。

選んだ運転の種類によって、画面が4つのカラーに色分けされているので、わかりやすさばつぐん!

4つめは、外出先からでも予約の設定(せってい)や変更(へんこう)ができるように、スマートフォンでも運転が操作できることです。洗濯機の前にいなくても、使う人の都合のいい時に洗濯できることで、洗濯の作業の手軽さが広がると思います。

外出先からスマートフォンで洗濯の予約!
家に着いたら洗濯が終わっているかも。

5つめは、洗濯物の多さに合わせて、自動で最適(さいてき)な量の洗剤(せんざい)を入れる機能です。洗濯の作業の負担を、さらにへらすことができます。

また、VXシリーズだけでなく、シンプルで美しいデザインにこだわったキューブルVGシリーズ(Cuble)でも、衣類の出し入れ口が国内最大の大きなサイズなんですよ。

外観は全体がスクウェア(四角い形)ですが、衣類が出し入れしやすいななめのドラム槽や大きな投入口など、UDの心配りがされています。

投入口の位置が高く、大きいので衣類の出し入れがしやすい点や、カラータッチパネルによる簡単操作(VXシリーズ)を実現しているのは、パナソニックだけなんですよ。

あらかじめ洗剤を入れることにより、洗濯物の量に合わせた洗剤が自動で投入されます。洗剤を取り出してきて、はかって、入れる、という作業はもう不要!

前から見ても、横から見ても、美しいスクウェアなデザイン。
でもドラム槽は衣類を出し入れしやすいななめの角度で、出し入れ口は最大サイズ!

ーー製品開発にあたりUDを配慮するために、苦労した点はありますか?

衣類の出し入れ口の位置の設計では、まず身体にかかる負担をシミュレーションなどで解析(かいせき)しました。そのあと実際(じっさい)の使用実験などをくり返して、ようやく理想的な出し入れ口の設計を決定するにいたりました。

また、開発中の製品を実際に洗濯機を使っておられる主婦(しゅふ)や高齢者(こうれいしゃ)の方にも使用してもらって、意見を聞きながらさらに良い製品へと改善(かいぜん)していきました。

カラータッチパネルの設計では、必要な情報(じょうほう)・機能を整理し、かぎられたカラーの液晶(えきしょう)画面の中でシンプルに表現(ひょうげん)し、なおかつ最少のタッチで操作できるようにしました。

使いやすく身体に負担のかからないフォルムの設計のために、関節部をマークし動きをシミュレーションでたしかめます。

画面内ではピクトグラム(絵文字)を使用して内容(ないよう)をイメージしやすくするとともに、アニメーション表現をすることで楽しく操作できるよう配慮しています。

いろいろな方に快適(かいてき)に使っていただくために、開発のひとつひとつのステップで試行錯誤(しこうさくご)しながらベストなものを追究していきました。簡単に完成できるものではありませんが、いろいろな状況(じょうきょう)の方を満足させるために、力をつくせたと思っています。

主婦や高齢者の方に使ってもらって、感想を聞き、それを開発に反映(はんえい)させていきます。

操作をより簡単に、楽しくする、わかりやすくて親しみやすいピクトグラム。

ーーUDを配慮することに対して、どのように考えていますか?

世の中には様々な人々がくらしています。そしてひとりひとり個性(こせい)があります。自分の考えをしっかり持つことは大切ですが、それと同時に他の人の考え方にも耳をかたむけ理解(りかい)をすることも大切です。いろいろな方から意見やアドバイスをもらい、多くの人を満足させる条件を見つけ、それを美しくまとめあげることがUDだと思います。

生活家電はすべてのお客様が使う可能性があります。どのようなお客様に対しても満足いただける製品を生み出すためには、UDの考えがとても重要だと考えています。これからの製品開発においてもUDを実践(じっせん)し、多くの方にゆたかなくらしを提供(ていきょう)できればと思います。


パナソニックがずっと人によりそって考え続けている、 「いろんな人にやさしい商品づくり」は、 中尾さんのUD専門家としての熱い活動や、 パナソニックの新たなUD商品開発へとつながっているよ。
次回はUDが配慮された掃除機の開発担当者の人に お話を聞いてみるよ。お楽しみに!