——UDは「いろんな人に使いやすいデザイン」ですが、今回紹介(しょうかい)していただく製品(せいひん)は「もしもの時にも使いやすいデザイン」でもありますね。どのような製品なのですか?
東日本大震災(しんさい)を始めとする大きな地震(じしん)や、台風による近年まれにみる水害や土砂(しゃ)くずれなど、最近災害(さいがい)の被害(ひがい)が多いですよね。防災(ぼうさい)用品の重要性(せい)は年々高まっています。
そのような中での必需品(ひつじゅひん)の一つが、懐中(かいちゅう)電灯やランタン。でも「もしもの時に、どこにしまったかわからず使えなかった」「使おうと思ったら電池が切れていた」などの意見がたくさんあります。
わたしたちはそのような状況(じょうきょう)を解決(かいけつ)する製品を提供(ていきょう)したいとの思いから、「いつもの便利×もしもの備(そな)え」シリーズをつくりました。 それは「いつもは便利に使える」しかも「もしもの時に備えられる」シリーズ。すなわち「いろんな人に使いやすい」UDはもちろん、「もしもの時にも使いやすい」UDが活かされた製品でもあります。
今回はこの中から、決まったサイズの電池でなくても使えるLEDライト2タイプ、いつもの生活でも災害時にも活躍(かつやく)するLEDランタンをご紹介します。
電池がどれでもライト
電池がどっちかライト
球(たま)ランタン
——これらの製品にはUDが、具体的にどのように活かされていますか?
「電池がどれでもライト」「電池がどっちかライト」
◆「もしもの時にも使いやすい」UD
①電池のサイズを気にせず使える。
災害時の停電(ていでん)で懐中電灯を使おうとしたら、「電池が切れていた!」または「電池がなかった!」ということがあると思います。そんな時に引き出しの中にあった電池や、リモコンなどに入っていた電池を取り出して、電池のサイズを気にせず懐中電灯に使うことができます。 これまでは懐中電灯には決められたサイズの電池しか使えなかったので、これらのLEDライトはいざという時にとても便利です。
単1・単2・単3・単4のどのサイズの電池でも1本あれば使える。—— 「電池がどれでもライト」
販売(はんばい)数が多い単3・単4のどちらでも使える。——「電池がどっちかライト」
②懐中電灯としても、ランタンとしても使える2ウェイタイプ。
もしもの時に懐中電灯として手元や足元を照らしたり、ランタンとしてテーブルに置いて活用したりできます。
懐中電灯として。
ランタンとして。
置いた時には先端(せんたん)プラスチックのまわりの部分で 光を拡散(かくさん)するので、まわりにも明かりが広がります。
◆「もしもの時」はもちろん、「いろんな人に使いやすい」UD
③にぎりやすいハンドル付きで、持ち運びもラクラク。
手の力が弱くても持ちやすく、手当たりがやさしい角のない形状(けいじょう)のハンドルです。
電池がどれでもライト 電池がどっちかライト
④少ない力でまわせる回転スイッチ。
暗いところでもわかりやすく、指の力が弱くてもつかみやすいスイッチです。
回転させて電池の種類とオフを選べます。
⑤コンパクトで軽量。
「電池がどれでもライト」はほぼミニペットボトルと同じサイズ、「電池がどっちかライト」はほぼ缶(かん)コーヒーと同じサイズ(ハンドル部分をのぞく)です。
<コンパクト>「電池がどれでもライト」「電池がどっちかライト」
電池がどれでもライト
電池がどっちかライト
<軽量>「電池がどっちかライト」
電池がどっちかライトは約100g(単3電池1本ふくむ)と軽量なので、 子どもやおとしよりにも持ちやすい軽さです。
電池がどっちかライトは、両手がふさがっていても軽々持ちやすい。
「球(たま)ランタン」
◆「もしもの時にも使いやすい」UD
①ふだんの生活で使えるデザインにして、いざという時にさがさずに懐中電灯として使える。
いつも目にするリビングやベッドサイドなどの決まった場所において使用することで、もしもの時にさがさなくてもすぐに手に取れるようにしています。
使いやすさにこだわりながら、どこにでもおいていただけるようなシンプルなデザイン。 リビング・寝室(しんしつ)の常夜灯(じょうやとう)や、赤ちゃんの夜の授乳(じゅにゅう)・おむつがえなど日常(にちじょう)の様々なシーンで使えるようにしました。 明かりの部分が電球の形ですので、避難(ひなん)する時に危険(きけん)な足元を広く照らしたり、空間を広く照らしたりできるメリットもあります。
いつもはリビングのインテリアや寝室の常夜灯に。
もしもの時は懐中電灯に。
熱くならないLEDだから赤ちゃんのそばでも安心。
赤ちゃんを起こしにくいまぶしすぎない明るさです。
本体の下部分に2か所穴があけてあるので、市販(しはん)のひもを通せばつり下げて使うこともできます。
②明かりの強・弱モードが調整でき、弱モードでは長時間使える。
避難時は明るい明かりで安全に、人がいっぱいの避難所などではおだやかな明かりで気持ちをほっと落ちつかせられます。「弱モード」設定(せってい)では長時間(1100時間[乾電池エボルタNEO使用時])使えて安心です。
◆「もしもの時」はもちろん、「いろんな人に使いやすい」UD
③電球の上の部分をおすだけで点灯できる。
指の力の弱い人や操作(そうさ)がむずかしい人でも、手のひらやひじなどでおすだけでオン・オフできます。手がふさがっていたり、手がよごれたりしている時にも便利です。
おし続ける1つの動作だけで、2種類の明るさとOFFが選べます。もしもの時にもわかりやすいシンプル操作。
④コンパクトで軽量
本体サイズは縦横7cmで高さ13.5cm(スタンドふくむ)。重さは約180g(単3電池3本ふくむ・スタンド30gふくむ) 。持ち運びにも便利です。
<番外編(へん)>使っている電池にもUDの心配り。
逆接防止(ぎゃくせつぼうし)の様々な工夫がある
「乾電池(かんでんち)エボルタネオ」
「電池がどれでもライト」「電池がどっちかライト」「球ランタン」を使う時に欠かせないのが電池。電池にはプラス極とマイナス極がありますが、プラス極・マイナス極どうしでつなげる「逆接」には液(えき)もれ・発熱・ショートなどの危険があります。「乾電池エボルタネオ」にはそれらを防止する「逆接防止」のために、マークや色で工夫がされています。
これも「もしもの時」はもちろん、「いろんな人に使いやすい」安全性に心配りをしたUDとなっています。
プラス極側全周に「+」マークを表示(ひょうじ)。
プラス極とマイナス極の色を変える。
——製品開発にあたり苦労した点はどんなところですか?
3製品ともふだんの時ともしもの時、両方に対応(たいおう)する製品です。世の中にある製品をまねするのではなく、ふだんの時ともしもの時にどんな製品が必要か、調べたり、被災者をはじめいろいろな人に話を聞いたり、考えたりすることにできるだけ時間を使いました。 企画(きかく)や技術(ぎじゅつ)、営業(えいぎょう)に関わる人たちと話し合い、いくつも試作品をつくり、実際(じっさい)に部屋を暗くして試作品を光らせて使い方を検討(けんとう)し、試行錯誤(しこうさくご)をくり返し、より良い製品に高めていきました。
例えば、「球ランタン」はもっと光が広がらないか、スイッチを楽にオン・オフできないか、何度も試作品をつくり、実際にキャンプやアウトドアで使ってみてアイデアをさぐりました。
キャンプのテーブルで。
アウトドアの夜に。
また「電池がどれでもライト」「電池がどっちかライト」では、持ちやすく使いやすいハンドルの形、にぎった時に安定するハンドルの大きさ、まわしやすい回転スイッチなどをさぐるために、子ども、女性(じょせい)、大人の手で実際に試してデザインを決めていきました。
様々な形のハンドルを検討
実際につくったもので、様々な持ち方をして使いやすさなどを検討
実際につくったもので、スイッチの回しやすさを検討
製品を世に送りだしてから「停電の時に役に立ちました」というお便りや「災害時に球ランタンがあって良かった」というSNSを読んだりすると、いろいろな心配りがお役に立つ製品づくりへとつながったと感じ、大変うれしくほっとします。
——UDについてメッセージがあればお願いします。
UDは使う人のこまりごとに気づき解決することです。これまでお話しましたように、「もしもの時に使いやすい」製品づくりにもUDの考え方が活かされています。
そこでみなさんも一度、UDの考え方で「もしもの時」のことを考えてみてはいかがでしょうか。 避難する通路のドアは開けやすいか、じゃまになる荷物が置いていないか、何かたおれてくるものはないか、おとしよりでも小さな子どもでも、だれでもにげやすくなっているか?家や学校、通学路などにもしもの危険がひそんでいるかもしれません。
ぜひこの機会にUDの考え方でまわりを点検(てんけん)してみてください。