——今回紹介(しょうかい)していただく2つのタイプのトイレは、それぞれどのような商品なのでしょうか?
玉泉さん
トイレは子どもからおとしよりまで、みんなが毎日使うものです。
でも、おそうじや使いやすさの点で一番不満のある場所で、きらいな家事では約40%がトイレのおそうじなんです。
わたしが担当(たんとう)している全自動おそうじトイレ アラウーノは、パナソニックにしかできない技術(ぎじゅつ)と、みなさんの不満を何とか解決(かいけつ)したいという強い思いで開発が進められました。そして今までにない、まったく新しいトイレとして 2006年12月に誕生(たんじょう)しました。
トイレにはタンクにためた水でよごれを一気に流す「タンク式」タイプと、水道から直接(ちょくせつ)ひいた水で流す、使う水の量が少なくてサイズも小さい「タンクレス」タイプがありますが、アラウーノは他社を含めた「タンクレス」トイレの中でも高い評価(ひょうか)をいただいています。一番売れていて、約40%の方が選んでくださっています。
今回はアラウーノL150シリーズをご紹介します。(2018年8月21日受注開始)
アラウーノL150シリーズ
吉田さん
温水洗浄トイレには、「一体型」とよばれる水タンク・便器・便座がワンセットになったアラウーノのようなタイプと、「別体型」とよばれる便座部分だけを取りかえて使えるタイプがあります。
ビューティ・トワレは「別体型」になります。「別体型」の良いところは、今お使いの便器にそのまま取りつけて、使うことができるところです。
リフォームなどの工事を必要としない、手軽に取りつけることができる商品です。
温水洗浄便座は、日本で発展(はってん)したものですが海外の方からも人気で、外国人の方も多く使うようになってきました。
ビューティ・トワレもアラウーノと同様、年齢(ねんれい)や性別(せいべつ)を問わず、外国人でも使いやすいように、操作(そうさ)のしやすさや、お手入れのしやすさにUDを取り入れています。
わたしからはビューティ・トワレAWMシリーズをご紹介します。(2018年9月発売)
ビューティ・トワレAWMシリーズ
便器に取りつけた状態(じょうたい)
ーーそれぞれの製品(せいひん)には、UDが具体的にどのように活かされていますか?
玉泉さん
先ほどいいましたように、トイレはたくさんの人がおそうじに苦手な気持ちを持っている場所です。
そこで、アラウーノのUDの心配りのひとつ目は、おそうじのしやすさです。
まずは、材料です。便器はどんな材料でできてる?と聞かれたら、みんな「陶器(とうき)」と答えると思います。
そんな固まった考え方をすてて、ヨゴレやキズのつきにくい 「スゴピカ素材(そざい)」 というプラスチックの便器を初めて採用(さいよう)しました。水族館の水そうや飛行機のまどに使われているものと同じで、強度もあります。
次にあらい方。空気と洗剤(せんざい)の2つの「泡(あわ)」で、しっかり便器の中を自動で洗浄(せんじょう)するので、便器の中はいつもきれいです。洗剤は特しゅなものを用意する必要はなく、台所で使っている中性(ちゅうせい)洗剤を約3万倍にうすめて使用するので、使いやすく、環境(かんきょう)にも配慮(はいりょ)したものとなります。
たっぷりの洗剤の泡でしっかりあらう
技術の工夫もあります。パナソニックだけの「ターントラップ」という技術で、少ない水でもしっかり便器内を洗浄します。洗浄する音もとても静かです。
水をためて
一気にズバッと流します
ノズルを使った後は、自動であらってくれるので、いつもきれいに使えます。
最後に形状(けいじょう)。「トリプルガード」という工夫で、オシッコがハネたり、タレたり、モレたりするのをふせぎ、トイレとトイレ空間がよごれるのをふせぎます。
泡のクッションでトビはねを受け止める「ハネガード」
フチの立ち上がりで外にタレにくい
「タレガード」
便座と便器の合わせわざでせきとめる
「モレガード」
そして表面はすべてプラスチックなので、洗浄便座と便器が一体になっています。
全体的にスキマが少ないので、よごれにくく、ふきやすい形状です。
アラウーノL150シリーズには、便器内に発生する菌(きん)をおさえる「オゾン除菌水(じょきんすい)」やかべなどにつくニオイをおさえる「ナノイーX(エックス)」といった新しい機能(きのう)も追加されています。
アラウーノを使われているお客様の中には、トイレがきれいなので、おそうじするのが楽しくなったといわれる方もいらっしゃるんですよ。
アラウーノの2つの目のUDの心配りは、ラクな姿勢(しせい)で使えることです。
トイレ本体にアームレストがつけられるようになっているので、ひざや腰(こし)への負担(ふたん)が少なく、安定して立ったりすわったりすることができます。
便座は、長い時間すわっていてもつかれにくい、おしりにそった形状です。
また、自動で便ふたが開閉(かいへい)するので、開閉時に腰をかがめる必要がありません。
3つ目のUDの心配りは、様々な人にとっての使いやすさです。
かべに設置(せっち)するスタンダードリモコンには、いろいろな使いやすい工夫をしています。
写真のリモコンはアラウーノCH130シリーズ
- 大きくおしやすいワイドなカタチの「大」「小」洗浄ボタン。指先に力の入りにくい方やおとしよりの方でも手のひらでラクに操作できます。
- ボタンをわかりやすく配置したことにより、初めて使う来客の方でも操作しやすく。
- 操作の内容(ないよう)がわかりやすい文字やピクト(絵文字)を使用。
- 点字の表示(ひょうじ)で、目の不自由な方でも安心して使えます。
また、入室を検知(けんち)して自動的にLEDのやわらかな光が点灯し、便器まわりと便器内をほんのりと照らします。トイレのスイッチに手がとどきにくい方にうれしい工夫です。
写真はアラウーノL150シリーズ。L150シリーズはタイプ0・1のみ。新型アラウーノはタイプ1のみです。
吉田さん
ビューティ・トワレもUDの心配りのひとつ目は、おそうじをしやすくするためによごれがつきにくい工夫をしていることです。
アラウーノと同様、あらかじめセットした洗剤を噴出(ふんしゅつ)する「泡コート」により、便器面をこびりつきよごれ・輪じみよごれ・飛びハネよごれから守リます。
中でもビューティ・トワレAWMシリーズは360°泡ビームで広い範囲(はんい)にわたって便器面に泡を噴出できます。
また、ビューティ・トワレAWM600は便ふた・便器内部の空間に「ナノイーX」を放出して除菌・抗菌(こうきん)できるので、より清潔(せいけつ)な状態をたもてます。
ノズルは連続して温水を流しながら除菌洗浄します。
便座面やノズルシャッターをAg+、またはAg+パワーで抗菌します。
これらの機能でより清潔な状態をたもち、おそうじをラクにします。
さらに、便ふたの形は、本体全面をギリギリまで大きくおおいかぶせることで、スキ間や段差(だんさ)をへらし、ほこりやよごれがたまりにくくしています。 さらにおそうじの時にサッとふき取れるように、凹凸(おうとつ)が少ないデザインにしました。
UDの心配りの2つ目は快適性(かいてきせい)です。
かべに設置(せっち)するリモコンには、様々な使いやすい工夫をしています。
写真のリモコンはビューティ・トワレAWMシリーズ
- ボタンを大きくして、おしやすく。
- 使う回数が少ないボタンはふたの中におさめることで、いつも使うボタンを選びやすく。
- 操作の内容がわかりやすい文字やピクト(絵文字)を使用。
- 点字の表示(ひょうじ)で、目の不自由な方でも安心して使えます。
- 中央の「ユーザーボタン」により「水の強さ」「水の前後位置」「水の太さ」を4人分登録可能(かのう)。使う人に合わせた設定(せってい)をボタンひとつで使えます。
「人センサー」検知によって便ふたが自動開閉できるので、
おとしよりや腰にいたみがある方、妊婦(にんぷ)の方でも負担が少なく快適です。
気になるニオイを、何重もの脱臭(だっしゅう)機能でおさえます。
かべについたニオイを軽くする「ナノイーX」(AWM600のみ)、便器で発生するニオイを軽くする「お出むかえオート脱臭」&「風量10%アップのパワー脱臭」で、トイレを快適な空間にたもちます。
ーー製品開発にあたり、苦労した点やエピソードはありますか?
玉泉さん
トイレはプライベートな空間なので、実際(じっさい)の使い方がよくわからないのが本当のところです。
製品開発の最初の段階(だんかい)で、何人もの人に直接インタビューしたり、WEBサイト上でアンケートをとったりして、少しでも多くのお客様の意見を引きだすことを試みました。
また、UDをみんなに理解(りかい)していただくためには、使いやすさを数値(すうち)化することも大切です。
アラウーノにつけられるアームレストは、人間工学の資料(しりょう)から寸法(すんぽう)をミリ単位でみちびきだしました。また便座は、大学の研究機関とも連携(れんけい)して、きめ細かなデータからベストなすわりやすさを追究してきました。苦労した点は、製品にしていくために技術的な制約(せいやく)が加わると、なかなか思うようなきれいなカタチにならなかったところです。見た目にも美しく、使いたくなるようなきれいなデザインもUDの条件(じょうけん)のひとつと考え、技術部門と細かい調整を重ねデザインをまとめ上げていきました。
吉田さん
ビューティ・トワレはおもにかべに設置したリモコンを使って操作します。しかし、今までのリモコンはボタンが多くて小さく、操作しにくいリモコンでした。そこで、ボタンを大きくしておしやすくし、また使う回数が少ないボタンはフタの中におさめることで、いつも使うボタンを選びやすくしました。
さらに、「ユーザーボタン」という機能を新しく取り入れました。これは家族4人分の「水の強さ」「水の前後位置」「水の太さ」を記憶(きおく)することができる機能です。使うたびに調節しなくても、登録した「ユーザーボタン」をおすだけで自分に合わせた設定で使うことができます。
温水洗浄便座をうまく使えない人でも、これがあれば安心ですね。
また、今までのリモコンの操作ピクト(絵文字)は、各メーカーそれぞれが、独自(どくじ)のピクトを用いておりバラバラでした。そこで、各メーカーの開発者が集まり、共同で開発しました。通常(つうじょう)であれば、他のメーカーはライバルですので、一緒(いっしょ)に開発することは少ないのです。
だれにでも操作しやすい温水洗浄便座を作るために、ピクトをメーカー間で話し合いながら、2年をかけて統一しました。ピクトを一つに統一することで、どのメーカーの温水洗浄便座を使っても、わかりやすく使えるようにしました。
ーーUDについての思いや、子どもたちへのメッセージがあれば教えてください。
玉泉さん
わたしたちメーカーにとっては、トイレは使用されるお客様だけでなく、トイレを取りつけていただく人もお客様です。買ってきてすぐに使える掃除機(そうじき)やテレビといった家電商品とはちがって、水道や電気の工事が必要になります。わたしたちは、その工事をしていただくお客様の気持ちも考えながら商品づくりを進めています。
例えば一般(いっぱん)的な陶器便器は約50kgあり、小学生高学年男子の平均(へいきん)体重より重いです。でもアラウーノはプラスチックなので、その半分の25kgくらいの重さです。
この重さだったら、一人で住宅(じゅうたく)の2階へも取りつけすることができます。
どんどん高齢(こうれい)化社会が進んでいるので、これからは、工事される方自身が、高齢者かもしれません。そういう方々にも配慮したやさしい商品をこれからも提供(ていきょう)していきたいと考えています。
UDは、人を思いやるやさしい気持ちがベースにあります。
普段(ふだん)の生活の中で、いつも相手の気持ちになって、自分がされたらうれしいことを考え行動にうつしてください。一人ひとりがそんなふうにできれば、だれにでもやさしい社会が実現(じつげん)できて、人を思いやるやさしい商品も自然と生まれていくのではないかと思っています。またトイレに入った時にでもUDについてゆっくり考えてみてください。
吉田さん
○○デザインという言葉がむずかしく、なじみがなく感じるかもしれませんが、ユニバーサルデザイン、UDは決してむずしいものではありません。
例えば、友達にあげる手紙や携帯(けいたい)電話での文字のやりとりに、言葉と一緒に絵をつける。これは伝える内容を見やすくするデザインです。みなさんが日ごろからしている、家族や友達などに行うちょっとした気配りが、UDの始まりなのです。
みなさんも相手の気持ちになって考えてみることから、UDを始めてみませんか。