担当者に聞いてみよう!第6回目  「スマイル浴槽(よくそう)」 パナソニック株式(かぶしき)会社  ライフソリューションズ社 ハウジングデザイン部 平尾 尚郷
(ひらお しょうご
)さん
入りやすく出やすい UD(ユニバーサルデザイン)の心配りのある浴槽とは?

——今回紹介(しょうかい)していただく「スマイル浴槽」はどのような製品(せいひん)ですか?

おふろは一日のつかれをいやす大切な場所です。でも残念なことに、家の中での事故(じこ)が一番多い場所でもあるんです。
そこで、おふろがあぶない場所になることがないように、快適(かいてき)に安心して入浴できる浴槽の開発を目指しました。超高齢化(ちょうこうれいか)社会が進む日本において、おとしよりをはじめ家族全員にとって、体に負担(ふたん)がなく安全におふろに入れることは必要なことでもあります。

パナソニックには「いつでもあったか、ずっとあんしん、おそうじらくらく」を特長としたバスルーム「リフォムスシリーズ」という浴槽のシリーズがあります。その中で、「入りやすく出やすい浴槽」を
コンセプトに開発したのが「スマイル浴槽」です。 

スマイル浴槽
「入りやすく出やすい」けど「肩まであったまる」スマイル浴槽には、 UDの心配りがいっぱい。

——具体的にはUDがどのようにいかされていますか?

おとしよりをはじめ、多くの方にとっての「出入りのしやすさ」と「心地よさ」を徹底(てってい)的に追究しました。
浴槽をまたぐ場所を低くすると出入りはしやすくなりますが、肩までつかることができなくなってしまいます。この浴槽はそのちょうどよい高さを明確(めいかく)にして浴槽の基本要件(きほんようけん)である肩までつかってあたたまれる深さもしっかり確保(かくほ)しています。

立った姿勢(しせい)でもすわった姿勢でも、安定してラクに出入りができるように、
従来(じゅうらい)の浴槽より中央部の高さを50mm低く、あつみを40mmうすくしています。

立った姿勢でもすわった姿勢でも、またぎやすい形に。

立った姿勢でもすわった姿勢でも、またぎやすい形に。

立った姿勢でもすわった姿勢でも、またぎやすい形に。

また、洗(あら)い場床(ゆか)と浴槽床の高低差を少なくしました。

洗(あら)い場床(ゆか)と浴槽床の高低差を少なくしました。

浴槽底と側面をつなぐ曲線(浴槽内またぎ側のみ)を小さくして
足が着地しやすくしています。

浴槽底のすべり止めを際(きわ)まで広めに取っているので、
転びにくくしています。

その他にも浴槽まわりで行われる様々な動作に対して、
形状(けいじょう)による使いやすさの向上を図りました。
浴槽のフチをうすくして、にぎりやすい形状にしています。

頭をあずけてラクにくつろげる形状に。
また、浴槽内ベンチをなくすことで足をのばしやすく、ゆったり安全につかれる形状にしています。

素材(そざい)面では、当社独自(どくじ)の水やよごれをはじく
「スゴピカ素材(有機ガラス系(けい))」を採用(さいよう)。おそうじがラクにできます。

表面がとてもなめらか。しかも、素材にはよごれにくい成分を練りこんでいます。

シミュレーションも、おとしよりの意見も、高齢者体験セットも。 すべてはUDにベストな浴槽のために。

——製品開発にあたりUDを配慮(はいりょ)するために、
こだわった点や苦労したところは何でしょうか?

安心して安全に入浴するためには、入浴時の一連の動作(入室→体をあらう→浴槽につかる→退室(たいしつ))を観察して浴槽の形と素材を決める必要があります。
そこで当社独自のデジタルヒューマン解析評価技術(かいせきひょうかぎじゅつ)により、動作のシミュレーションを何度も行い、最適(さいてき)なデザインを追究しました。

そこで当社独自の身体負担解析技術(しんたいふたんかいせきぎじゅつ)であるデジタルヒューマン※を使って、おふろに入る動作のシミュレーションを何度も行い、最適(さいてき)なデザインを追究しました。※4万人の身体寸法(すんぽう)データベースや、いろいろな年れい・性別(せいべつ)の身体負担データベースをもとに、パソコン上で体の負担を解析し、色でわかりやすく表わすことができる技術。

また、おとしよりに実際(じっさい)にお湯をはって入浴をしていただいて評価(ひょうか)したり、
意見を聞いたりして、実際の体の変化についてもくわしく調べました。

さらに老化による体の変化を体験できる高れい者体験セットを着用し、またぎやすさの評価(ひょうか)を自ら何度も行いました。高れい者体験セットを着用してみると、おとしよりにとっておふろに入ると
いう動作が思った以上に体に負担が大きく、小さな動作もむずかしいということに、あらためて気づき
ました。
そしてデザイン試作→評価検証(けんしょう)→デザイン修正(しゅうせい)をくり返し、使いやすい
浴槽をつくりあげました。

高れい者体験セットを使って、浴槽の使いやすさをさぐる。

「こうすれば使いやすい」や「こういうものがあったらいいな」が UDのタネになる!

——UDに対する思いやメッセージがあれば教えてください。

UDはおとしよりの方をふくむ、多くの方が快適にくらしていただけることを目的としています。はじめにいいましたように特におふろは家庭内の事故が最も多い場所です。ひとつひとつのおふろでの動作をていねいに観察することで、危険(きけん)がひそんでいる部分を見つけ出し、安心安全な浴槽の開発を日々目指していきたいと思っています。

みなさんに伝えたいことは、毎日の生活の中で、こうすれば使いやすいなとか、こういうものがあったらいいなという思いが素晴らしいUDのアイデアのみなもとになっていくということです。
ふだんあたりまえに何気なくしている行為(こうい)を一度立ち止まって考えてみてください。はっと、気づくアイデアがきっと出てきます。それを将来(しょうらい)パナソニックでぜひ実現(じつげん)
してみてください。楽しみにしています。

安全で快適に入れる浴槽のカタチを決めるまでには、 いろんな努力のつみかさねがあるんだね。 スマイル浴槽でひとりでも多く人のスマイルがふえるといいね。
ぴっくす吹き出しの写真。次回はどんな開発担当者の人にお話を聞けるのか楽しみです!