助成を受けられた団体(環境)

環境分野・2010年に取り組んだ組織基盤強化事業 報告書(概要)

事業名

EPOの中期戦略(2011-2013)及び人材育成計画の策定

団体名

一般社団法人 環境パートナーシップ会議

助成事業の概要

 EPO受託団体(5団体)が、環境分野における中間支援組織のあるべき姿についての認識を共有する研修機会を持ち、中期計画の策定とその実施のための体制作りについて検討すると同時に、人材育成計画についての計画を策定する。EPO受託団体(5団体)はいずれも環境省からの委託事業を受託している共通点を持つが、今回は、環境中間支援組織の観点から、社会から求められている機能を再認識し、それに応える事業の計画と、人材育成計画について検討を行った。研修においては、各団体の理事およびスタッフが一同に会し、認識の共有を図った。

助成事業の取り組みで得られた成果

1.EPO受託団体の意識共有と十分な議論

これまでEPO受話団体の会合は、受託事業であるEPO業務内で開催されていたが、今回はじめて委託事業外での会合を持った。環境中間支援組織として社会の期待に応えていくのか、という視点でオープンなディスカッションが行われた。合宿では、組織で一定の意思決定に関っている理事に参加していただくことにより、団体の運営についても議論する時間が取れた。「このような機会は自主的に毎年作るべき」との意見が大半であり、今後は全国EPO連絡会の前後に、自主勉強会を開催するなど、社会状況をより意識した戦略会議の必要性が確認された。

2.人材育成ツールの一部施行による課題の発見

合宿で出されたアイディアを具体的なアクションに起こそうということで、ドロップボックスを活用して現場スタッフのQ&Aが作成された(653問)。この取り組みは合宿で紹介されたせんだいみやぎNPOセンターの手法を参考にしたものだが、5つの受託団体の体制が統一されていないことから、相乗効果が発揮された部分と、混乱を生んだ部分があり、連携したツールづくりの難しさも露呈された。
「政策事業」等テーマを限定して情報共有することで、解決されると思われるが、合宿で学んだことをすぐに試行し、課題を発見しつつ修正していくという組織学習の基盤ができた。

3.同団体間の共通目標設定

今回の事業では、各団体の策定した中期戦略を統合・共有する機会までを持つには至らなかったが、その必要性については全団体が認識し、今撃継続して共通目標と事業の実施をしていくことが確認された。

助成事業の総合評価

1.予想外だった方向性の合意をするまでの労力

各EPO受託団体が(1)委託事業に過度に依存せず自らの財源および事業で社会課題に取り組んでいく必要性を認識し、(2)中期戦略を策定し、(3)近しい事業については団体間で連携していく、という一連のプロセスの中で、(3)がいくつか見えるのではないか、というのが計画当初の想定であった。
しかし、実際には(2)については合宿に参加した各団体の理事・スケッフ間では策定できたものの、実際に各団体に戻って合意し、実施体制を構築するところでは、ほぼ全団体が止まってしまい、(3)については、その必要性が認識されつつもほとんど手がつけられなかった。
各団体で事業計画を策定・合意していくことが非常に困難である中、それをさらに団体間で共有していくことの難しさは想定外のものだった。当初の目標とのかい離は大きく、担当者としての評価は低い。

2.勘違いしていた人材育成計画の対象

本事業名の目標設定について、委員長の川北氏との相談の中で決定したが、人材育成計画の策定については、「現場スタッフの育成」であると思い込んでいた。
実際、EPO事業を担当するスタッフの多くが1~2年と経験が浅く、また定着率も悪いという課題を抱えていたため、2週間でスタッフスキルを半人前にするための情報共有などは想定内だったが、事業を実施していく上で、理事を含む組織体制の見直し、長期人材育成の必要性については想定外だった。
指摘の正しさについての納得感があったと同時に、それを各団体内部でどのようなプロセスで実行していくのかについては、数年という期間が必要であり、その実行の端緒についたという点では担当者としては一定の評価ができる。

今後の展望について

  • 環境中間支援組織間の目標共有と具体的なワーキングネットの構築
    今年度の事業計画策定を経て、参加団体間の理事・およびスタッフが共通理解を持つことができた。今後、各団体内部で策定した中期ビジョンの実行プロセスに移るが、それに加え、今後は共通目標の設定と具体的な事業実施を通じた機能的なネットウーク(=ワーキングネット)の構築に着手したいと考えている。
    その候補としては、環境政策提言事業の連携や事業型環境NPO支援など、これまでの資源を団体間で共有するというものである。本事業を通じて、これまでにない密度の高い情報交換ができたことから、今後は具体的な事業を通じた目標の実現に取り組んでいきたい。

事務局より

 環境省は持続可能な地域づくりに向けた環境パートナーシップの推進のため、全国に8つのEPO(環境パートナーシップオフィス)を設置しています。同じ「EPO」という看板を掲げながら、各地でその業務を受託しているのは各地域のNPOや財団法人などで、受託団体の生い立ちや基盤、根拠法もまちまちであることから、これまで8つのEPOの連携はあまり形になっていません。本助成事業では、EPO事業を担う全国の受託団体が連携し、中間支援組織としての支援力を高めるための中期戦略を練り、人を育てる共通の仕組みを作る取り組みが行われました。個々の受託団体はスタッフ数も少なく、組織の基盤も磐石ではないからこそ、相互で補完し合うことで地域の環境NPOや企業、市民に対して魅力の有る支援が可能になるのだと思います。人材育成のインフラや事業戦略を共有するのは一足飛びには難しいようですが、我が国の環境NPOを強力にバックアップし、多様な主体を繋げるパートナーシップ形成が支援できる全国ネットワーク組織へ進化して行っていただきたいと思います。