助成を受けられた団体(環境)
事業名 |
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ファーム・エイド銀座事務局強化事業 |
団体名 |
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特定非営利活動法人 銀座ミツバチプロジェクト |
助成事業の概要
2006年、銀座の屋上でのミツバチ飼育事業からスタートした当団体は、多くのメディアに取り上げられ認知度が高まるにつれて事務局業務も増えてきていた。特に、2008年度からスタートしたファーム・エイド銀座は年4回開催で総予算560万円(2009年度実績)の事業へと成長してきていた。だが、高まる社会の期待に応えて、活動を発展・継続させていくための事務局基盤が未整備で、若手メンバーの育成による事務局強化と、如何にして自治体出店者の拡大を図るかが課題であった。
そこで本事業では、ファーム・エイドの運営マニュアルの作成、地方自治体への広報戦略&ツール作りを行った。具体的には、食・農業分野の専門家による研修、自治体への訪問研修を実施し、地方自治体の要望も汲み取った運営マニュアルを作成した。また、研修や、運営マニュアルと広報ツールの作成過程では、若手スタッフが開催意義や目的、将来の展開について自ら考え、事務局運営に参画するモチベーションが上がるような進め方とした。
助成事業の取り組みで得られた成果
(1)【組織基盤への影響】
助成事業を通じて常に意識したのは、若手スタッフのスキルアップと人材育成である。当初は学生スタッフの育成に注力していたが、学業や就職活動を優先せねばならない学生の活用には限界があった。特に、ファーム・エイド銀座は学生の奇抜なアイディアでお祭り的に盛り上げるイベントではなく、出店いただく地域の生産者や地方自治体と信頼関係を築き、力を合わせて農業と観光の融合で地域活性化を実現するという目的があるため、継続して関われるスタッフの育成がテーマとなった。研修やツール作成の作業を通し、若手社会人スタッフが育ち、WEB担当、チラシ作成担当者、事前準備担当者など、以前はNPOの理事が担当していた業務を若手スタッフに任せられるようになった。その為、理事個人の力量で進めていた活動も、組織として動くようになり、企画・準備作業・当日運営・終了後の作業などが計画的に進められるようになった結果、時間と労力が軽減でき、かつイベントの成果が毎回上がっていった。
(2)【事業への影響】
若手スタッフに業務の一部を任せた結果、理事は空いた時間を利用して積極的に地方自治体との連携や、各地の首長とも直接意見交換が可能になり、都道府県の農林水産部担当、農林水産省や総務省など国の機関とも連携をとり、質の向上に注力出来るようになった。また、以前は、NPOの理事と数名の幹部スタッフで運営していたため、イベントをいつまで続けるかも検討課題に挙がっていた。今回の事業を通して、若手スタッフの参画により組織基盤が強化したことで、今後も継続する体制が整えられたのは大きな成果である。また、NPO全体の活動にも余裕ができ、農林水産省の事業助成を受け、都市農村交流事業が拡大しNPO活動全体が大きく前進した。
助成事業の総合評価
今回の助成事業の目標「事務局機能体制と財務力の強化」は、期待した効果をおおむね得る事ができたと考える。助成事業で実施した各種マニュアルやリーフレット作りは、時間はかかったが若手スタッフが中心となり作成したため、その後、それらのツールを使ってファーム・エイド銀座を若手スタッフ自身が各方面に説明、PR可能となった。また、理事や中心メンバーの負担が減ったことで、各自の個性を活かした新企画の実施が可能になり、さらに、新企画により市町村や都道府県の出店が増え、安定した出店料の獲得へとつながっている。そして、マニュアルやリーフレットを活用することで、団体としての信頼性が増し、イベント協賛企業が増え、期待していた財務力の強化へとつなげることができている。人材育成について、応募当初は学生スタッフの育成をイメージしていたが、当団体の事務局運営には、学生スタッフよりも若手社会人スタッフが中核になることが望ましいことに気づけたことにより、次年度以降の運営体制の基礎を構築することができたと考えている。
以上のことから、事務局機能強化と財務力強化が実現でき、計画的な運営と収支の改善となり、今後のファーム・エイド銀座の継続実施が決まった。また助成事業を実施したことでNPO全体の社会評価も向上している。
今後の展望について
2011年、ファーム・エイド銀座を発信の場として、連携して地域活性化を進める市町村が増え、特に、実際にミツバチを飼い、その地域の「ミツバチの里」を実現し、そこでできた農産物やその加工品を「環境や生き物に優しい食べ物」として、差別化販売する試みを開始する。こうした新しい取り組みにチャレンジできる事も、本事業の成果であると認識しており、今後はさらに農業と観光による地域活性化を進め、銀座と地域がつながる活動を発展させていきたいと考えている。
事務局より
今後の事務局運営を担う若手スタッフのイメージについて、早い段階でミスマッチに気づき、育成対象を変更した結果、貴団体の運営体制の基礎を築けたことが本事業の最も大きな成果だと考えます。若手スタッフが一定程度、事務局や事業の運営作業にも慣れてきて、団体の将来像について漠然とでも語れるようになれば、さらに育成を図るための新しい育成の仕組みが必要になるでしょう。これまでは研修に同行し、現場に触れ、人と話すことで吸収し、また、イベントに参加して事業の必要性を感じ取ることで成長してきましたが、今後、さらに理事・中心メンバーのステージに近づける育成のためには、理事・中心メンバーと将来ビジョンについてより深い議論を繰り返すことや、より大きな責任ある仕事を任せて自己啓発を図ることや、または、もっと具体的なソーシャルビジネススキルが必要になるかもしれません。これからも、各地の首長や生産者、消費者、そして幅広い層の協力者と綿密なコミュニケーションのもと、地域活性化となる環境活動を推進していただけることを願っております。