助成を受けられた団体(環境)
事業名 |
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団体における活動の事業化に向けての体制構築 |
団体名 |
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NPO法人 五環生活 |
助成事業の概要
1.団体の中期ビジョンの策定
外部アドバイザーの藤沢烈氏にファシリテーターを依頼。理事・スタッフをメンバーとして、3年間の団体活動の棚卸しと、今後のビジョンについて参加型ワークショップを実施し、中期ビジョンを策定。
2.中期ビジョンに基づく五環生活リーフレットの作成
ワークショップ及び、事務局内で策定した中期ビジョンに基づき、五環生活のリーフレットを作成。
作成したリーフレットは各関係者に配布。
助成事業の取り組みで得られた成果
1.組織の体制確立
大部分のスタッフが入れ替わり、組織体制が曖昧でスムーズに活動することが難しいとの意見があがったため、事務局長を据え、各事業チームの編成及びリーダーの確立など組織の体制を整えた。これにより、相談はまずチーム内で意見を統一して、事務局会議で相談するという流れができ、チーム毎で定期会議を開催、中期事業計画・収支計画を作成することができた。また各々1日の動きを把握、全員で情報共有をするため朝礼も開始した。
2.ミッション・ビジョンの再構築と事業再構築に向けた方向性の合意(スタッフ・理事)
メンバーが入れ替わった直後ということもあり、団体のミッション・ビジョンを全員が理解するため、設立当初からあるミッションの意味を考えるところから始め、順を追って全員が納得・理解するプロセスを踏むことができた。ビジョンの共有については、五環の目指すものを未来予想絵図によりイメージとして理解すると共にその絵図を現わす文章を作成し、共有することができた。ワークショップ及び、月1の理事会内で、事業の今後をどうしていくかを全員で考えるようになった。
3.事業の絞り込み・各事業の中期行動計画・収支計画の作成
複数の既存事業から、今後3ヶ年で主として取り組む事業を、自転車タクシー事業・輪の国事業・五環カフェ事業に絞り込み、3本柱で収入の基盤を作ることで合意。収支計画シートを用いてそれぞれの収支も含めた事業計画を作成。3ヶ年の中期的な事業計画作成に取り組むことで、「事業を進めていくことで3年後にどうなりたいのか」という長期的な視点を意識するようになった。
4.会員制度の再構築とボランティア制度(ムラビト)の確立
五環生活の収支計画を見直す中で、会員制度の管理ができておらず会費収入が少ない事や、ボランティアスタッフも少数に留まっているという課題があがった。そのため、会員制度の再構築と積極的に五環生活へ携わり、ビジョンに向かって共に活動してくれるボランティアスタッフ(ムラビト)制度を開始。制度確立に向け、継続して取り組みを進める。
助成事業の総合評価
事業実施においては、ミッション・ビジョン・各中期計画は全員が納得するものを作りたかった為、報告・修正を繰り返し、スケジュールが当初よりも大幅にずれ込むなど反省すべき点もあったが、新しく入職したスタッフと、設立当初から団体を知る代表・理事・スタッフと一緒に改めて五環生活とは何かを考え共有することができ、スタッフ全員で事業の選択と集中・ミッションの共有・中期行動計画の作成に取り組むという目標はクリアできた。これまで、日常の業務の中でこのような議論をする機会がなく、スタッフだけでは意見を出しにくかったこともあり、ファシリテーターとして藤沢氏に入って頂いた計3回のワークショップは大変意味のあるものであった。そして、普段の事務局ミーティングやチームごとのミーティング内では、助成金に頼っている現状と2012年度に助成金が止まったときの危機感を持ち、収支をイメージすることにより、以前よりも経営的な視点で意見が出るようになり、事業計画や各事業の企画の件で積極的に理事へ個別に相談することも増加した。
今後の展望について
1.助成金に頼らない事業の自立化
各事業で中期事業計画を作成したが、助成金に頼らない事業の自立化という大きな課題が残っているため、藤沢氏のアドバイスを反映させ2011年の事業計画を再構築する。また、作成した行動計画・収支計画を定期的に確認、見直す機会を設ける。
2.会員・ボランティアスタッフの増加、ボランティアマネジメント
今後、団体のあり方を考える上で、五環生活の想いに共感し活動に参加してくれるボランティアスタッフや、会費という形で五環生活を支えてくれる会員の増加、より地域の人々を巻き込んでいく方法が課題としてあがっている。まずは、ブログやメルマガ・twitter等のメディアを活用し、五環生活の活動や思い、動きをわかりやすい形で発信し、多くの人に認知していただく。さらに、そこで興味を持った人が、活動に参加しやすいよう、ブログで記事・イベントレポートを書いてもらうことや、ボランティアスタッフが集まる日を毎月一回設ける等を設定し、団体に関わっていることを実感できるスタッフ間の交流の増加により、アイデアを提案しやすい関係性を積極的に築いていくことを目指す。(ボランティアマネジメントの必要性)
3.収支戦略強化
今回、各事業で収支の計画を立て各チームに収支の把握をすることができたが、今後は収支の把握だけではなく、先々の資金の流れを戦略的に考え、検討していきたい。
2011年度は収支の基盤を作るために、自転車タクシー事業・輪の国事業に集中して取り組んでいく予定だが、先々のことを考え、もう一本収入の柱となる新規事業を継続的に考えていくことが、五環生活がこの先生き延びていくカギとなると思う。
事務局より
団体の設立者であり、代表理事の近藤さんは、豊富なアイデアと行動力、人を集める才能で団体を牽引して来られました。様々な事業、活動が増えて行く中で、どのNPOも必ずぶつかる最初の壁は、個人事業から組織の仕事へどう進化させるかということと、ミッション・ビジョンの再構築です。団体の立ち上げからのメンバーや理事、支援者など内輪だけの話し合いでこの壁を乗り越えるのは容易ではありません。人も組織も「変化」には必ず抵抗感があり、どうしても理事や立ち上げメンバーの思いや意見が通ってしまうからです。そこで本ファンドが採択条件として付したのが、外部のテクニカルアシスタンスを導入すること。企業やNPOなどの事業計画、戦略構築支援などで定評のある藤沢烈氏がファシリテーターとして参画し、ワークショップを開催してミッションやビジョンを再検討し、中期ビジョンの策定に取り組みました。団体の目指すビジョンや目標をイメージとしてまとめた未来絵図は、団体に参画する理事やスタッフがミッションやビジョンを共有する上で大変有益なものであろうと思います。是非そのイメージを具体的な事業計画に落としこみ、彦根地域の活性化に貢献していただきたいと思います。