助成を受けられた団体(環境)

環境分野・2010年に取り組んだ組織基盤強化事業 報告書(概要)

事業名

ベロタクシードライバーのスキルアップによるホスピタリティ強化

団体名

特定非営利活動法人 エコ・モビリティサッポロ

助成事業の概要

 当団体は、地球温暖化防止に貢献すると同時に地域活性化にも寄与することを目的に、自転車タクシー(以後、ベロタクシー)運航事業を活動の中心として2007年に設立された。
 環境に配慮した交通手段を活用したまちづくりに貢献するためには、市民や観光客にとって日常の移動手段として定着していくことが望まれるが、ベロタクシー運行2年度以降の利用者は大幅な減少傾向にあった。目新しさが減り、リピーターが僅かであったことが主な原因と考えられる。そこで、本事業では、「札幌」そして「ベロタクシー」に最適なホスピタリティを提供するドライバーを育成するため、接客サービスやコミュニケーション技術の向上を図った。具体的には、他地域のドライバーからの情報を収集し共有、また、モニター調査を行い、各ドライバーがスキルアップを果たせる効果的な研修システムの構築、研修教材ツールの作成を行った。

助成事業の取り組みで得られた成果

(1) 【他地域で活躍中のドライバーの招聘、インタビュー】

現ドライバーが各地で活躍するドライバーの様子や意識の高さを知ることで、意識改革と成長を促し、個々の働き方の改善へつながった。また、利用者層が異なる面はあるが、他地域の接客方法を共有したことで、新たな利用者の拡大につなげられるだろう。さらに、そのインタビュー内容は小冊子としてまとめ、常にドライバーが手に持ち成長意欲を持続させるツールとすることができている。
そして、「ベロタクシードライバーとなる意義を自身がしっかりと確認できているか」がドライバーの質の向上の基礎部分となることがわかり、研修内容に盛り込む事ができた。ドライバーは高い意識を持ってベロタクシーを漕いでいるということを採用時に認識してもらうことが可能になった為、意識が変わり、ホスピタリティが向上、ひいてはベロタクシーを利用するリピーターの増加が期待できる。

(2) 【ドライバー用研修システム・ツールの作成および研修の実施】

  • ドライバー研修
    観光知識研修では基本的な観光施設の内容に加えてガイドブックに無い情報やどのような話が観光客に好まれるか等、ガイドする側としてのアドバイスを得ることができた。環境知識研修では基本的な環境問題の知識の習得と、交通から見た環境問題および北海道の現状、ヨーロッパの先進事例や今後の可能性について学んだ。交通法規研修では法規だけに限らず、自転車事故の増加や賠償問題、駐輪場問題にも触れてもらった。ベロタクシードライバーとして必要な基本的素養を身につけることができた。
  • モニター調査及びフィードバッグ
    モニター調査は数値で表した画一的な評価は避け、具体的な事実に対してどのように感じたかを記入してもらう形式を取ったため、個人のスキルを評価出来ただけではなく、どのような対応が望まれているかがより具体的になった。また、モニター調査結果で好評だった接客方法とNGだった接客方法を全ドライバーで共有し、他ドライバーの接客態度についても学ぶことで高い成長を促すことができた。
  • 研修システム・ツール作成
    利用者の生の声を入れることで、マニュアルに嫌悪感を持つドライバーに対しても受け入れやすい研修ツールを作成した。また、接客のスタイルは十人十色であり、お客様のタイプも様々であることから、画一的なマニュアルではない接客スタイルがベロタクシーらしさであることから、自身のコミュニケーションスタイルを把握するアセスメント形式を取り入れたため、お客様が心地よいと感じる接客スタイルの習得につなげることができた。

助成事業の総合評価

 外部講師を呼んでの研修において、前向きに吸収しようとしている一部のドライバーは大きく成長し、具体的に大幅な顧客増へとつなげられている。また、モニター調査の評価内容が自分では気づけなかった部分であった為、新たな自分の強みを確認でき、次のステップに進む自信になったようだ。反対に指摘された部分を受け入れられないドライバーはその後の活動に影響し、ルールを守らないなどの行為があり、他のドライバーからクレームが出るなど問題も起きた。ドライバー希望者の質を見極める力が事務局内に必要であり、本事業で作成した小冊子が一つの基準になると考えている。
 また、研修を警察署に依頼して交通法規を定期的に学んでいる事や、ベロタクシーの走行の仕方が地域の安全パトロールとして効果的だと認められ「地域の安全パトロール団体」として認定された。さらに、ホスピタリティ強化内容が札幌の新しい観光ホスピタリティ事業として評価され、商工会議所観光部会の副分科会長の任命を受けるなど、当団体のベロタクシー事業が地域に認められつつある。
 総利用人数は対昨年比17%増加した。月別で見ると研修やモニター調査、フィードバッグを重ねていった結果、5月の時点では昨年を上回り、8月時点では人数、料金共に飛躍的な伸びを示した。

今後の展望について

 研修ツールの効果を検証し、同ツールを他地域へ普及させていきたい。また、ドライバーのさらなるスキルアップを図り、ベロタクシーの存在意義やベロタクシー札幌のブランドを確立、そして、企業CSRとしてベロタクシーを活用することの価値を高めるなどして、一層の地域への定着を目指す。合わせて、ベロタクシーの接客がコミュニケーションスキル習得の場としても期待できることから、人材育成という社会貢献の可能性についても検討し、インターンシップ受入れの基盤も整備していきたい。さらに、本事業でモニター調査に基づいたフィードバッグを行ったが、モニター調査を毎年行う予算の確保は困難であるため、お客様アンケートのフィードバッグする仕組みを本事業の経験をもとにして構築したいと考えている。

事務局より

 本事業でドライバーのスキルアップを図りホスピタリティを強化した効果として、すでにベロタクシー利用者の大幅な増加という具体的な形で現れてきており、それを受けてスポンサー企業の獲得、イベントでのベロタクシー運航などといった事業連携も拡大していくことが期待できます。着実に拡大と定着が図れるよう、ベロタクシー利用者数の推移や運行距離、運行経路、利用者層、CO2削減量については、ホームページ等にとどまらない発信の仕方を検討するとともに、スポンサー企業の具体的な収益増がイメージできる広告提案が望まれます。今後は、本事業のモニター調査ではリーチできなかった本当の一般利用者に対して、「なぜ繰り返し利用してくれるのか」という声を蓄積・分析して、地域に定着させる施策のアイディアとし、人材育成のスキームは札幌市街だけでなくひいては道内外の他地域へ波及していけるような環境配慮型地域活性化事業となっていくことを期待しております。