継続助成

事業名

足尾の山の緑化活動により、広範な自然環境の健全化と地域活性化を目指す活動の組織基盤強化
基盤強化

団体名

特定非営利活動法人 足尾に緑を育てる会

代表者

秋野 正峯(会長)

【推薦理由】
足尾銅山は日本の公害の原点とも言われ、銅の精錬所から排出された亜硫酸ガスや酸性雨、坑木・燃料木のための乱伐等で広範囲にわたって「禿山」と化したエリアが広がっている。本団体は、渡良瀬川流域の市民活動グループが集まり、足尾の山に緑を取り戻そうとの思いから結成され、「足尾に百万本の木を植えよう」というスローガンの下、1996年から植樹活動を続けている。
設立から20年余りが経過し、創業メンバーの神山英昭前会長が亡くなり、団体運営を担って来た理事の多くも高齢になるなど、組織は世代交代の時期を迎えている。会費・寄付金収入の低迷に加えて、会員管理や参加料の設定に課題を抱えるなど、団体のマネジメント体制を根本的に見直す時期に差し掛かっている。助成1年目はそうした経営資源の棚卸など組織診断に取り組んだ。組織のミッション、ビジョン、バリューを見直す作業では、長年の歴史を有し、多様かつ多くのステークホルダーとの対話に大変多くの時間をかけ、粘り強く進められている。

選考委員会では、1年目の組織診断で洗い出されたマネジメント体制の整備と併せて、活動資金を獲得するための協賛企業集めや企業向けのサービス開発など攻めの施策が評価され、採択に至った。
毎年春の植樹祭には2日間で約2千人の参加者が集まり、大変な熱気の中で植樹活動が展開されており、1箇所での活動規模で言えば、我が国を代表する市民参加型の植樹プロジェクトである。歴史的な遺産の価値を鑑みれば、工夫次第ではファンドレイズの可能性もまだまだ大きい。活動の創立者たちの志を受け継ぎ、多くの人が賛同、参加する活動をいかに再構築できるのか、地元足尾のご出身で、思いも共有できる外部専門家の支援を得て、着実に組織基盤を固めていただきたい。

団体概要

  1. 設立(開設)
    1995年(設立後 満23年)
  2. 設立目的
    足尾銅山の煙害で荒廃した足尾の山の緑化活動を通じて、水循環系を中心とした環境問題に取り組むとともに、渡良瀬川源流地域の問題を考え、もって自然環境の健全化ならびに地域社会の伸展に貢献すること
  3. 活動内容
    足尾ダム周辺の荒廃地緑化事業、植樹活動支援事業、足尾銅山と環境問題に関する文献収集事業、調査研究・情報収集および提供事業、環境問題および緑化に関する講習会や研修会の開催等
  4. 活動地域
    栃木県日光市足尾町
  5. 有給スタッフ数
    23人(常勤3人、非常勤20人)
  6. 正会員数
    個人会員50人
  7. 財政規模(年間経常収入)
    2,523万円 (2018年度予算)
    2,668万円 (2017年度決算)
    2,394万円 (2016年度決算)
  8. ホームページ

※円グラフは、2017年度の収入内訳

事業名

持続的な自伐型林業推進に向けた事業推進基盤及び広報PR組織基盤強化
基盤強化

団体名

特定非営利活動法人 持続可能な環境共生林業を実現する自伐型林業推進協会

代表者

中嶋 健造(代表理事)

【推薦理由】
本団体は、日本の林業において、森林経営・管理・施業を林業の担い手自らが行なう「自伐型林業」を提唱し、その全国的な普及、推進を展開している。団体設立から5年目を迎え、連携する自治体数は前年の27から40へ増え、会員数も300を超えている。また、与野党の超党派による「自伐型林業普及推進議員連盟」が設立され、各地で開催されているシンポジウムやフォーラムは大変な盛況ぶりで、林業セクターの自伐型林業への関心度が伺える。まさに事業や組織が急成長するステージにある。戦後の造林政策で植樹された山が今まさに伐期を迎え、他方、気候変動によるこれまで経験したことのないような豪雨により、近年の山林経営は様々な課題を抱えている。そうした中で、自伐型林業に光明を見出そうとする自治体、企業、山主は多く、当団体が担うべき役割は大きい。自伐型林業に取り組んでみたいと考える主体に対して、いかに具体的な解決策(ソリューション)をパッケージとして提供できるのか、本団体にとってこの3~5年の大きなテーマであろう。

助成1年目の前年度は、経営資源の棚卸など組織診断に取り組んだ後、中期事業推進計画を策定するなど、組織基盤強化の取り組みを行なった。助成2年目の今年度は、自伐型林業の普及を一層促進させるための広報・PR基盤の強化や、自伐型林業の担い手育成やコンサルティング事業など具体的な支援の仕組み作りに取り組む。選考委員会では1年目の成果を踏まえた取り組みであり、申請事業の計画も綿密に練られた内容で、成果が十分に期待されるとの評価を得て、採択に至った。

自伐型林業への期待感が膨らむ中、具体的な支援活動ができる仕組みや事業を提案して行くことが求められている。本助成の取り組みを通じて、自伐型林業を推進する組織として、しっかりと期待に応えられる中核的な団体へと成長されることを期待したい。

団体概要

  1. 設立(開設)
    2014年(設立後 満4年)
  2. 設立目的
    持続可能な環境共生林業を実現する自伐型林業を推進すること
  3. 活動内容
    自伐型林業の普及活動、自伐型林業推進のための全国的組織およびネットワークの形成、自伐型林業普及のための情報発信および啓発広報活動、自伐型林業に関する調査研究および自伐型林業定着のための政策提言
  4. 活動地域
    全国
  5. 有給スタッフ数
    6人(常勤4人、非常勤2人)
  6. 正会員数
    個人会員45人、企業・団体会員15件
  7. 財政規模(年間経常収入)
    8,960万円 (2018年度予算)
    4,743万円 (2017年度決算)
    5,635万円 (2016年度決算)
  8. ホームページ

※円グラフは、2017年度の収入内訳

事業名

農家が主体となった都市農山村連携事業を継続するための組織基盤強化
基盤強化

団体名

特例認定特定非営利活動法人 山村塾

代表者

宮園 福夫(理事長)

【推薦理由】
本団体は、1994年に福岡県八女市黒木町の農家2軒が中心となり、地域の豊かな自然環境を保全していくことを目的に発足した。以降、都市と農山村の住民が連携交流できる環境保全型農業や山林保全体験(植樹、間伐)のプログラムを実施し、年間600名以上の都市住民の参加を促したり、また、年間200日以上の国際ボランティア合宿を運営、地域の様々な環境保全プログラムを提供したりするなど、地域貢献度を高めてきた。
2012年の九州北部豪雨災害の際には、同団体が福岡県八女市黒木町の災害ボランティア拠点を運営し、2年間で延べ3,500名のボランティアをコーディネートした。それを機に事業数が増加したことで、組織体系が複雑化、また、発足20数余年を迎えて組織基盤強化と世代交代の時機がおとずれている。助成1年目は、組織全体の診断後に中長期ビジョンの作成、事業と組織(理事会・運営会議・事務局)の精査、拡大した事業を支えられる持続可能な組織への改編に取り組んだ。
継続助成の2年目は、基幹事業である農山村体験活動のリニューアル、理事会活性化のための研修の実施、また、中長期ビジョンをベースとした情報発信体制(ウェブサイト)のブラッシュアップを図る。選考委員会で、1年目の第三者の客観的な視点を取り入れて実施した丁寧な組織診断と、また、診断結果を真摯に受け止めた上で考えられた本事業内容は実効性が高いと評価され、採択に至っている。

地元だけでなく都市部でも本団体への共感が拡がっている一方、団体が活動の中で大事にしている点を発展の中でも見失わないように着実に一歩一歩、組織基盤の強化を図ってもらいたい。本団体の成長の過程が、国内各地で同様の地域貢献型環境活動に取り組むNPO/NGOの模範になることを期待したい。

団体概要

  1. 設立(開設)
    1994年(設立後 満24年)
  2. 設立目的
    都市と農山村の住民が、その連携交流を通じて農林業および農山村の環境に関する役割を認識するとともに、それを学び実践することによって、農山村の振興、環境の保全、食物の安全、健康ひいては持続可能な社会の構築に寄与すること
  3. 活動内容
    環境保全型農業体験活動、里山保全活動、災害ボランティアのコーディネート、国際ボランティア合宿の受入れ事業
  4. 活動地域
    福岡県八女市黒木町笠原地区
  5. 有給スタッフ数
    5人(常勤3人、非常勤2人)
  6. 正会員数
    個人会員64人、企業・団体会員3件
  7. 財政規模(年間経常収入)
    3,097万円 (2018年度予算)
    2,687万円 (2017年度決算)
    2,866万円 (2016年度決算)
  8. ホームページ

※円グラフは、2017年度の収入内訳

事業名

より多くの人が活躍するための組織基盤強化
基盤強化

団体名

認定特定非営利活動法人 JUON NETWORK(樹恩ネットワーク)

代表者

生源寺 眞一(会長)

【推薦理由】
本団体は、阪神淡路大震災などで多くの学生ボランティアが活躍したことを契機に、全国大学生活協同組合連合会の「学生が活動できる場づくりと、都市と過疎地域とのつながりを何とかしよう。」という呼びかけで1998年に発足した。現在、全国19都府県で地域活性化や農村漁村の再生などに取り組んでいる。

東日本大震災以降、市民の地域貢献の関心は高まっているが、それらの関心層に対して効率的な訴求ができておらず、広報・PRの基盤に課題を感じていた。本助成1年目に組織診断を実施し、課題を抽出・分析、ミッション・ビジョン・ドメインを明確化させた。助成2年目には中期計画を完成させ、また、農山村の活動プログラムの改善と新規事業の開発のための戦略会議を実施、本団体の強みである全国6ブロック(北海道東北、関東甲信越、東海北陸、関西中国、四国、九州)のボランティアの力を引き上げることを目指した「地域ブロック世話人会」を開催している。

最後の助成となる3年目は、これまでの2年間の集大成として、策定した中期計画に基づいて成果目標を達成できる組織になるため、スタッフ制度の抜本的な改革を検討する。具体的には、東京の事務所で勤務する常勤・非常勤職員が各地方の活動の運営も担っている現在の仕組みを精査し、各地方の現場の活動の当日運営を中心に担う「活動スタッフ」制度を導入、研修を実施、東京の事務局職員の省力化と同時に各地域の活動の活性化を図っていく。また引き続き、地域ブロックの戦略会議を実施していき、助成終了後も各地域の活動が継続発展できる体制の構築、定常化を目指す。
選考委員会では、団体独自の人材開発・登用のシステムが構築されて持続可能な組織へと成長することに、他のNPOの模範となる可能性を期待されて助成最終年の採択となった。

団体概要

  1. 設立(開設)
    1998年(設立後 満20年)
  2. 設立目的
    都市と農山漁村の人々をネットワークで結ぶことにより環境の保全改良、地方文化の発掘と普及、過疎過密の問題の解決に取り組み、自立・協助の志で新しい価値観と生活様式を創造していくこと
  3. 活動内容
    「都市と農山漁村を結ぶ自然と文化のネットワークづくり」事業、「森林の保全・育成・ボランティア活動」事業、災害救援活動等
  4. 活動地域
    全国
  5. 有給スタッフ数
    7人(常勤3人、非常勤4人)
  6. 正会員数
    個人会員469人
  7. 財政規模(年間経常収入)
    2,832万円 (2018年度予算)
    2,961万円 (2017年度決算)
    2,678万円 (2016年度決算)
  8. ホームページ

※円グラフは、2017年度の収入内訳